岩内章太郎のレビュー一覧

  • 〈私〉を取り戻す哲学

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    ゆりちゃんに借りた本
    最初の個人の体験から引き込まれる
    とはいえ前半は哲学の紹介部分で、ある程度哲学用語は知っているとはいえ読むのが辛かった
    後半は現在の世界の状況を哲学用語を使いながら解説して行く
    個人的に、陰謀論について書かれていた部分で、苦しみは単なる偶然で起こったものもあるのに、苦しみの原因を探ろうとするあまり理性が原因を捏造しているという部分が面白かった

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    2025年10月04日
  • 〈私〉を取り戻す哲学

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    個人的にはすごく良かった。

    社会という空間の中で宙に吊るされた〈私〉を、確かに取り戻してくれた気がした。意識しないと、また宙吊りになってしまいそう。

    〈私〉の絶対性と有限性は、覚えておきたい。

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    2025年08月11日
  • 〈私〉を取り戻す哲学

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    学生時代不勉強だった私は、読み進めるうちに、わからない語句を調べる、文章に戻る、調べる戻るを繰り返し、ようやく読み終わりました。
    現代にある問題にも通じ、生き方や考え方に大きく影響を与えてもらいました。
    わからない事を保留し、そのままわからない状況でも不安にならない事、そして決めつけない。更に人は不完全であるから、不満あっても付き合える友人がいることの素晴らしさを再認識させて貰いました。

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    2025年07月12日
  • 〈私〉を取り戻す哲学

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     他者の視点や判断に身を委ねるうち、〈私〉という自己イメージが曖昧になってくる感覚を覚える人は多いだろう。その〈私〉を取り戻すためには、逆説的だが、自分が自由にできる〈私〉という自己イメージを手放す必要がある、というのが本書の主張。全般的にやや繰り返しが多く少々くどい感じがするが、認識論、現象学、経験論などを幅広くカバーしている割には論旨が一貫しており、おかげで理解がしやすい。自身の身の上話から本書が始まるのも共感できる(本書の要諦を体現しているとも言える)。

     かつて社会を支えていた共同体が果つるところで立ち現れた〈終わりなき日常〉(宮台真司)では、当該共同体で必要とされるコミュニケーショ

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    2024年05月16日
  • 〈私〉を取り戻す哲学

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    【主な目次】
    第1章 デフォルトの〈私〉
    ――――動物になるか、善い人になるか
    ・ミニオンズの憂鬱
    ・パッケージ化された善に警戒せよ
    ・目を閉じて、〈私〉の声を聴く

    第2章 〈私〉を取り戻すための哲学的思考
    ・「新デカルト主義」宣言
    ・判断しなくてよいという判断
    ・批判的思考のプロトタイプ

    第3章 ポスト・トゥルースを終わらせる
    ・SNSを気にする学生
    ・「正しさをめぐる争い」は終わりにする
    ・陰謀論は理性と情動に訴える

    第4章  ネガティブなものを引き受ける
    ・対話とネガティブ・ケイパビリティ
    ・アルゴリズムと自己消費
    ・「弱いロボット」から考える

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    2024年04月02日
  • 〈私〉を取り戻す哲学

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    星4.5かな。
    相対主義、構築主義の時代にあって、力に押し切られないために、<私>という確かな場をもつこと、そのことを自分だけでなく、あらゆる<私>に見出し、普遍の基盤を広げる。そこに倫理の基盤もある。
    背景には、スマホ時代の<私>からの逃避も捉えられている。

    デカルト、フッサールの哲学を参照しつつ、<私>という基軸を打ち立てる手法を説得している。

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    2024年01月09日
  • 〈私〉を取り戻す哲学

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    <私>を取り戻す哲学は、世界を取り戻す闘いでもある。一人ひとりが、<私>の内側に視線を移し、内省すること。それは、「スマホ」を介した外側の世界との接続ではなく、<私>の意識体験を見つめることだ。そこから、「よい」世界は創られていく。

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    2023年12月31日
  • <普遍性>をつくる哲学 「幸福」と「自由」をいかに守るか

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    神々の争いになってしまっている「新実在論」を乗り越えるため、フッサール現象学に立ち返り、「普遍性」の地平を目指す。

    前著『新しい哲学の教科書』と併せて読みたい。問題意識は共通だが、それぞれ違う位相で書かれているから。

    最終章の自由と実存主義の関係についての記述が鋭い。

    全体的に難易度は高め。現象学について基本的なことは知っておいた方が良い。

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    2022年06月28日
  • <普遍性>をつくる哲学 「幸福」と「自由」をいかに守るか

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    フッサール現象学を普遍性をつくるための認識論として読み込むことで、実感に適った普遍性を目指すコミュニケーションを提案している。普遍性やフッサール現象学が現代に置いてこれほど生き生きと語れるのかと感銘を受けた

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    2022年02月13日
  • <普遍性>をつくる哲学 「幸福」と「自由」をいかに守るか

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    構築主義と本質主義の二項対立を避け、狭い隙間をかけ抜けて「自由」に生きぬき、おそらくやがて死ぬための、英雄的でありながら地道なロジックとエシックスにしびれました。スピノザ以来です。

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    2021年10月28日
  • 新しい哲学の教科書 現代実在論入門

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    本書は間違いなく、私にとっての「座右の書」になった。

    「高さ」と「広さ」は今の自分にとって、切実な問題だった。この世に、至高性と普遍性はない、と嘆く自分に嫌気がさしていた。

    今を生き、今を嘆く自分。まだ嘆きがあるだけいいのだろう。いま、ここではない、どこかを望めるだけ「まし」なのだろう。

    しかし、「まし」だという感覚だけでは生きていけない。絶対なものを持たない人生。また、共有は一時的な現象。そのような感慨は、憂鬱しかもたらさない。

    エピローグで「エモさ」について、深めた論考が秀逸。
    哲学は不可能性の論証から、新たな可能性の道を切り拓く。
    素晴らしい「哲学」である。

    タイトルからはうか

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    2020年07月12日
  • 新しい哲学の教科書 現代実在論入門

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    メランコリー、メランコリストという枠組を提示され、さも自分を言い当てられてるかのようだった。

    メイヤスー、ハーマン、テイラードレイファス、ガブリエル…彼らの思想が現代の若者にどれだけ強力な武器になるのか。

    著者には今後さらに期待が持てる。

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    2020年07月03日
  • 新しい哲学の教科書 現代実在論入門

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    ポストモダン以降の悪しき相対主義/独断主義を問い直すことから始まる現代実在論について、普遍性と超越性をキーワードに紹介、論考した一冊。そこで描かれている世界像が量子論やリトルピープル論とパラレルに見えるのも、きっと偶然ではないのでしょうね。

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    2020年02月23日
  • 新しい哲学の教科書 現代実在論入門

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    著者の処女作。現代の哲学の状況をこの1冊でわかりやすくまとめつつ、「メランコリスト」という概念を提唱して現代人の「心のあり様」を表現し、最新の哲学の成果を踏まえた私たちの行く末を提案してくれる著作。個人的にフィットする内容が多く、特にエピローグに関しては感動的な体験でした。

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    2019年11月29日
  • 本質観取の教科書 みんなの納得を生み出す対話

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    こういう感じが良いよなぁと思っていた話し合い?に名前がついていて大事なポイントも決まってるのかとこの本を読んで知れて輪郭が定まってきたのが良かった。
    子供の頃から きちんと本質観取の機会が広まってるのは希望だなと思う。

    なぜ対話篇なのか、饗宴なのか、なんだろなーと思っていたのがなるほど!とわかったのも嬉しかった。

    本質観取っぽい会話ができる友達が何人かいるので大事にしてこれからも色んなこと話したいなと思えた。

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    2025年12月16日
  • 新しい哲学の教科書 現代実在論入門

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    ●感想要約:
    近年の「実在論への転回」を手がかりに,メイヤスーやハーマン,ガブリエルらの議論を紹介しながら,哲学を「生きることの問題」として捉え直そうとする入門書だと感じました.「存在はどうやって証明できるのか」という昔からの疑問を持つ自分にとって,特に印象に残ったのは,マルクス・ガブリエルの「世界は存在しない」という考え方でした.宇宙は物理で定義できるが,無数の文化から成る世界は無限で定義できない.だから「存在しない」という説明には腑に落ちるものがあった.また,ある文化を別の文化で理解し尽くそうとすることが全体主義につながる,という指摘は,世界を物理ですべて説明できると思いがちな理系研究者へ

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    2025年12月13日
  • 本質観取の教科書 みんなの納得を生み出す対話

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    様々な人が互いの違いを認め合い、そのうえで誰もが納得できる共通了解に向かっていくこと。理論編には納得できる部分が多かったが、実例を読むと、本当に本質と言えるのか疑問を持った。

    「いいケア」とは何かを考える事例では、進行役と四名の参加者によって対話が行われ、最終的に「その人の自覚的・無自覚的な願いを想像したかかわりである。いいケアの実現には、対等性の志向、対話的なかかわり、ケアする人の貢献感が必要である」という結論が示される。しかし、これは本質というより、参加者全員の意見を均等に取り入れた結論に見えた。

    企業の例として紹介されているSCSKの経営理念「夢ある未来を、共につくる」の本質観取につ

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    2025年11月27日
  • 〈私〉を取り戻す哲学

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    岩内さんの『〈普遍性〉をつくる哲学』に敗北感を味わったこともあり、新書ならさすがにもう少し歩み寄れるだろうと、今度はこちらを手に取ってみました。

    帯にあるように、なぜスマホを見続けてしまうのか、と私は日々スマホを長々とスクロールした後に自分が嫌になっております。

    なぜスマホを見続けてしまうのか、それはタイトルからも想起させるように、自分(つまり、〈私〉)がないからです。

    いやいや、待って、私は〈私〉があると思ってるんだけど…。

    そんな気持ちで読み進めていくと、どうやらタイトルにある〈私〉は、私がまだたどり着けていない〈私〉かもしれないと思うようになりました。

    自分自身、退屈を防ぐため

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    2025年11月20日
  • <普遍性>をつくる哲学 「幸福」と「自由」をいかに守るか

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    〈普遍性〉という言葉に惹かれて読んだものの、読後の素直な感想は「完敗」。
    それぐらい今の自分には内容が難しくついていけなかったです。。。

    ただ気になって付箋貼った箇所だけもう一度読んでみると、あら不思議、意外とわかるかもしれない。そして納得度も高い。

    〈普遍性〉、つまり、世の中には絶対的な善的幸福があって、人間はそれを求める自由を持っている、そして、その精神でいれば、周りに振り回されることなく自分の自由もみんなの自由も守ることにつながるんだよね、ということだと理解しました。

    この考え方は、最近触れたアリストテレスの哲学とも通ずるし、何より人間は自由のために学ぶし、幸福のために生きてるんだ

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    2025年11月27日
  • 星になっても

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    現象学を中心にした哲学を専門とする著者が、自身の父親の死をライトモチーフにした「群像」での連載をまとめたエッセイ集。SNSの書評が気になって読んでみた。
    静かで淡々としたまなざしのなかに、親愛や知性が見え隠れしていて、いい文章を読んでいるなぁという心地がした。
    お酒が好きだったお父様との記憶をたどり、未知である「死」への不安にゆらぐ息子さんの瞳をみつめ、そこから湧く泡沫をすくいあげるように綴られている。
    死ぬというのは、なんなのか。いつか訪れるであろう身近な人との別れを想像し、さまざまな思いが込み上げた。

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    2025年10月14日