岩内章太郎のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
相互承認の原則に基づき共通了解を図る「本質観取」。
この多様な世の中で、対話によって共に暮らしていくために、とても大切な考え方だと思いました。多くの方に読んでいただきたい一冊です。特に学校の先生など、教育に携わる方におすすめしたい。
子どもの頃から、対話を通じて相互承認と共通了解を得ようとする態度を育てることは、大袈裟ではなく世界平和にもつながっていくのではないでしょうか。
前半では、プラトン、デカルト、フッサールなどの哲学者が紹介されており、その説明もとてもわかりやすかった。
「哲学」と聞くと、小難しく理屈をこねくり回すものというイメージ?を持たれがちかもしれませんが、本書を通して、 -
Posted by ブクログ
他者の視点や判断に身を委ねるうち、〈私〉という自己イメージが曖昧になってくる感覚を覚える人は多いだろう。その〈私〉を取り戻すためには、逆説的だが、自分が自由にできる〈私〉という自己イメージを手放す必要がある、というのが本書の主張。全般的にやや繰り返しが多く少々くどい感じがするが、認識論、現象学、経験論などを幅広くカバーしている割には論旨が一貫しており、おかげで理解がしやすい。自身の身の上話から本書が始まるのも共感できる(本書の要諦を体現しているとも言える)。
かつて社会を支えていた共同体が果つるところで立ち現れた〈終わりなき日常〉(宮台真司)では、当該共同体で必要とされるコミュニケーショ -
Posted by ブクログ
【主な目次】
第1章 デフォルトの〈私〉
――――動物になるか、善い人になるか
・ミニオンズの憂鬱
・パッケージ化された善に警戒せよ
・目を閉じて、〈私〉の声を聴く
第2章 〈私〉を取り戻すための哲学的思考
・「新デカルト主義」宣言
・判断しなくてよいという判断
・批判的思考のプロトタイプ
第3章 ポスト・トゥルースを終わらせる
・SNSを気にする学生
・「正しさをめぐる争い」は終わりにする
・陰謀論は理性と情動に訴える
第4章 ネガティブなものを引き受ける
・対話とネガティブ・ケイパビリティ
・アルゴリズムと自己消費
・「弱いロボット」から考える -
Posted by ブクログ
本書は間違いなく、私にとっての「座右の書」になった。
「高さ」と「広さ」は今の自分にとって、切実な問題だった。この世に、至高性と普遍性はない、と嘆く自分に嫌気がさしていた。
今を生き、今を嘆く自分。まだ嘆きがあるだけいいのだろう。いま、ここではない、どこかを望めるだけ「まし」なのだろう。
しかし、「まし」だという感覚だけでは生きていけない。絶対なものを持たない人生。また、共有は一時的な現象。そのような感慨は、憂鬱しかもたらさない。
エピローグで「エモさ」について、深めた論考が秀逸。
哲学は不可能性の論証から、新たな可能性の道を切り拓く。
素晴らしい「哲学」である。
タイトルからはうか -
Posted by ブクログ
本質観取という名の認知の再設計
読書とは、著者の知識という外部データを自分の情報空間に取り込み、既存の認知体系を書き換えるプロセスである。今回取り上げた本質観取の教科書は、単なる対話の技法書ではなく、他者との分断を乗り越え、生存確率を高めるための認知OSをインストールするためのブートローダーであった。これまで私は、身体的制約というハードウェアの制限から、いかに無理をせず生存リソースを温存するかという受動的な戦略をとってきた。しかし、本書を通じた対話的探求により、自身のOSをより能動的かつ構造的に運用し直すための実装コードを手に入れることができた。
概念との衝突とOSのアップデート
本書の -
-