マルクス・ガブリエルの「新しい実在論」って、なにが新しいのかわからんな〜と思いつつ、読んでみた。
「実在論的転回」は、ガブリエルだけではないとは聞いていたけど、違いがよくわからなかったんだけど、メイヤスとか、ハーマンとか、いるわけですね。そして、それぞれの主張の概要もわかった。
ポストモダーンの哲学がもたらした相対主義、「正しさ」はないという袋小路を乗り越えたいという動機はすごくわかる。
でも、それは単純に実在論にもどればいいというほど単純なものでゃない。ポストモダーンでは批判されてきた「実在」をもちだしても、それはポスト・ポストモダーンな議論にしかならないな〜。
なんだか、ポストモダーンよりもさらに屁理屈ぽくなっているような気もする。
多分、100年後の人たちが読むと、スコラ哲学での普遍論争とか、いわゆる神学論争にみえるだろうな〜。つまり、同じ穴のムジナだな〜、というのが印象。
そういうなかで、マルクス・ガブリエルの議論はちょっと突き抜けている感じはしたかな?
と言っても、ガブリエルの議論が新しいものにも思えなくて、これって、ポストモダーンな相対主義だよね、と思うんだよね。
ポストモダーンが、「社会的な構築だ」と言っていたのを「実在する」と言葉を変えているだけに思える。
でも、同じことをいっていても、「構築だよね」というより、「実在だよね」というほうが元気がでるわけで、そこが面白い。
自分は、もしかすると、ガブリエルと近いことを考えているのもかもしれない。
自分と同じようなことを考えている人にであうと、すごく盛り上がっちゃうこともある一方、ガブリエルにあんまり盛り上がらないのは、たんにそんなもんだと思っているからかな〜。
「新しい実在論」、もうちょっと付き合ってみるかな?
世界に統一的な意味をあたえる「世界」は存在しないと腹をくくること。だけど、私たちの周りには、いろいろな「意味」が満ち溢れていて、それを楽しみながら生きていけばいいじゃん、みたいな。
「現代実在論」の議論のわかりやすい解説はとても刺激をうけたけど、プロローグとエピローグの著者自身の考えの部分は、なるほどと思いつつも、「現在実在論」の解説部分とややニュアンスが違う感じもある。その辺のところは、別の本に切り分けて論じたほうがいいかなとか思った。