小笠原弘幸のレビュー一覧

  • ケマル・アタテュルク オスマン帝国の英雄、トルコ建国の父

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    ケマル・アタチュルクの人生、業績に焦点を絞った著作。最後に、アタチュルク後のトルコを簡単にまとめている。著者の『オスマン帝国』と併せて読めば、イスラムの勃興から現在のトルコ共和国まで、オスマン帝国とアタチュルクの時代を中心にトルコの歴史をザックリ押さえることができる。

    これまでガリポリの英雄でトルコ共和国建国の父という程度の知識しかなかったが、出生や幼年期の経験、友人や女性との交友関係、その当時のバルカン情勢なども追うことでどんな人かというイメージが湧いてくる。

    本書の内容というよりも読んで感じたことを何点か記したい。
    ・アタチュルクの行動範囲や視界を見ると、サロニカ生まれで軍人時代の任地

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    2025年01月26日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    存在はもちろん知っているが、実はオスマン帝国について何も理解していなかったことが改めて理解できる一冊。

    オスマン・トルコ帝国と言えば、セルジューク朝に取って代わる形でトルコ系の盟主となったものの、ティムールに一度崩壊させられたが、メフメト2世が1453年にコンスタンチノープルを陥落させて千年王国を滅亡させ、スレイマン一世の最盛期には地中海を支配してウィーンも脅かし、プレヴェザの海戦で欧州連合軍を撃破した。その立役者がヨーロッパから拐われた白人奴隷によるイェニチェリ軍団。しかし、1571年のレパントの海戦で負けてから退勢に入り、後はロシアを中心とした欧州勢にやられるがままで、領土を削られ、第一

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    2025年01月12日
  • ハレム―女官と宦官たちの世界―(新潮選書)

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    ネタバレ

    中公新書の「ケマル・アタテュルク-オスマン帝国の英雄、トルコ建国の父 」に続いて読んだが、分かりやすく面白い。すっかり小笠原先生のファンになってしまった。淫蕩なイメージのある「ハレム」についてその歴史からその構成員を主軸に描いている。巻頭にオスマン帝国周辺地図と歴代スルタンの一覧があり、本書を読み進める上で非常に役に立った。「ハレム」という王位継承者を確保するのに最適な官僚機構について興味深く学ぶ事ができた。

    【第1章 ハレム前史】
    王族女性が「トルコ・モンゴル型」から「アッバース朝型」への変遷過渡期に2代目スルタンの寵姫ニルフェルの存在があったとの事だが、その変遷理由が分からなかった。スル

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    2024年12月26日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    全編にわたり面白かった。第3章までは世界史の教科書では空白地帯になっていることも多く、毎日1ページごとに参照メモをとりながら読み進めた。

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    2024年03月20日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    巨大なイスラム文明の象徴とも言えたオスマン帝国の繁栄と衰亡の600年を日本で初めて詳細にまとめあげた上で、一般の読者にも分かるよう配慮されている貴重な一冊。カリフとスルタンと近代的立憲民主制のせめぎ合いの中で、巨大な帝国が翻弄されて滅亡していく様は、ひとときの夢のようだったモンゴル帝国のそれとは重みが違った。オスマン帝国はかつては負の遺産として封印されようとしていたが、今のエルドアン大統領の政権下で、イスラム的価値観の再評価とオスマン帝国の再評価が行われ、公的に称賛されている。カドゥザーデの時代、タンズィマートの時代を経て、エルドアン大統領により、イスラム主義のアブデュルハミト2世のような時代

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    2023年10月29日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    600年にわたって一つの王朝が続いたオスマン帝国――その継続の理由が本書を読めばわかるだろう。また、多くの君侯国の中からオスマン朝が覇者となった理由も――オスマン帝国の政治史がわかりやすくまとめられている。各時代のオスマン帝国の体制の変遷や諸国との関係についての叙述、さらには現代史への言及もある。どんなに短期間の在位のスルタンにも何かしら述べられている。系図ページは何度も見返すことになるだろう。コンパクトなオスマン帝国入門書。

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    2023年07月02日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    やっぱり集権的帝国の時代の冷徹な歴史が一番おもしろかった。権力をどう握ってどう維持するか、権力の集中と分散それぞれの長所と短所。イスラム教という宗教と現在の中東問題。同じ地域にあったペルシャ帝国についても見たくなった。

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    2022年12月15日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    オスマン帝国に全く触れたことのない私にも、わかりやすく楽しく読める新書でした。でもたった300ページで600年を語るため、1ページごとの圧がすごくてもう2,3回は読まないと色々覚えられそうにないです笑。
    噂には聞いてたけど本当に兄弟殺しまくっててウワーッと思った、でも君主崩御後の跡目争いとどっちがいいかと言われると…
    他国との接地面?が広すぎて、ロシアもオーストリアもエジプトも出てくるの面白すぎですね、壮大

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    2021年02月04日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    本書の区分で言うところの「集権的帝国の次代」以外の知識はほぼ持ち合わせていなかったので、非常に興味深く読めた。特に近代化の時代は現在のトルコ共和国に通ずる点も多くあり示唆に富む内容だった。長い歴史が君主を軸に叙述され、権力構造がどのように変遷していくかもよく分かる良書。

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    2020年05月27日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    複雑な歴史だった。
    キリスト教圏ではない、イスラム教圏の入口として読むには、一本の道としての理解が出来る良本。

    フランス史も複雑で、いつからが本当の国なのか、色んな書籍を読んでもし難いんですけど、それと同じく、中東の大国としてあるにも関わらず、統一国家という意味でなかなか理解がしづらく、頭の整理がいつも出来ない。

    島国日本の様に、分かり易い国境が示しがたく、領土の拡張や奪還、または奪われ放棄しつつ国家の体を成しているから、という事だけは理解している。
    あとは、自民族だけで成立しないので、多民族との共生が、物事や政治、統治の方法論が、時代で変化しているんだなと。

    オスマン帝国があったがゆえ

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    2019年08月06日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    ネタバレ

    今までは塩野七生の描くキリスト教社会から見たイスラム社会としてしか認識していなかったオスマン帝国の実像を初めて知ることができた貴重なオスマン通史。どうもイスラムというと中世的で原理主義的に思ってしまうが、実のところはキリスト教社会も中世は極めて原理主義的かつ非人間的であるところがあり、むしろオスマン側のほうが他宗教に寛容でさえあったという。現在のイスラムのイメージとは大分違うとともに、たぶん日本がヨーロッパ的価値観に縛られているためにそのように感じるのだと思う。それが再認識できる非常に素晴らしい本。まあ、後継者争いを避けるために兄弟殺しをするなど今考えるとあり得ないようなことも起きていたが、そ

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    2019年06月23日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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     なぜオスマン帝国は長く、600年もの命脈を保ったのかを説明したのが本書。

     目についたのは2点。
     一つは、奴隷の活用。
     一方は、権力分立。

     奴隷の活用という点では、これほど徹底している帝国もあるまい。次代の母后から大宰相まで、余すところなく奴隷なのだから。確かにこれでは強大な外戚も発生すまい。また、強大な力を持った臣下も、奴隷という身分であれば処刑するのも容易であろう。ただひたすら主君のみが絶対であれば、それだけ安定する。しかし、それゆえ血の粛清があれほど激しいく、惨い。

     権力分立については、一種の公有制で担保している。例えば、徴税権のみを保証し、土地の領有は許さない。一種のサ

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    2019年04月27日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    最近はオスマントルコとは言わんとか、あとは塩野小説の敵役としてくらいしか知らんかったのでいろいろおもしろかった。約600年続いて親子兄弟甥っ子以上に離れた王位継承がないってすごいよね。兄弟殺ししかり鳥籠しかり現代から見ると人権的にどうよ、ってのはさておき王家の存続のためには優れてるし、重臣を奴隷から登用することで世襲で王家を脅かす存在を作らないってのがこれだけ長く機能したのもあまり他で聞かない気がするし。スレイマンの時に全盛期を迎えてから遺産を食い潰しながら腐っていったイメージしかなかったけど、もちろん腐って崩壊するのを食い止めようとした人々がいたわけで、特にナポレオン以降は塩野の範囲外やし読

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    2019年03月19日
  • 世界史のリテラシー オスマン帝国は、いかに「中世」を終わらせたか コンスタンティノープル征服

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    ネタバレ

    表題とは異なり、1453年のコンスタンチノープル陥落は中世を終わらせたわけではないと逆説的に述べる。また、トルコではメフメット2世とコンスタンチノープル陥落は長らく評価されず、19世紀にオスマン主義(啓典の民による宗教別分離とジズヤから諸民族の国民化)の勃興とその破綻によるトルコ民族主義の台頭の中で、評価されるようになった。
    (1453年の世界史の事象を挙げて、その影響を述べよという東大入試問題があったけれども(コンスタンチノープル陥落と百年戦争終結)
    ・メフメット2世は、中央集権化を強力に推し進めた。イスラム学院の創設によるウラマーの育成・国家公務員化とカーディ(地方の法官)への任命、伝統的

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    2025年10月17日
  • オスマン帝国 英傑列伝 600年の歴史を支えたスルタン、芸術家、そして女性たち

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    3人のスルタン(オスマン1世・メフメト2世・マフムト2世)、ドラマの主人公になった2人の妃(ヒュッレム・キョセム)、女性革命家ハリデ・エディプ、3人の芸術家(ミマール・スィナン、レヴニー、オスマン・ハムディ)、オスマン帝国を解体したトルコ建国の父ムスタファ・ケマルの10人を軸に600年のオスマン帝国を記した一冊。著者のオスマン帝国の著作は何冊も読んだが、変わった切り口のオスマン帝国通史である本作も相変わらず面白い。小笠原先生のオスマン帝国本は外れがない。

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    2025年09月23日
  • ハレム―女官と宦官たちの世界―(新潮選書)

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    ハレムって後継を確保するために高度に組織化された官僚世界だったのね。
    中での人事や、可哀想な王子(事実上ハレムに幽閉された)の話も面白かったけど、ハレムの話を通してオスマントルコの歴史もちょっぴり知ることができた。

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    2025年09月13日
  • ケマル・アタテュルク オスマン帝国の英雄、トルコ建国の父

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    ケマルアタテュルクの人生を追いながら、600年続いた帝国の滅亡と、新しい(といっても地続きな)国づくりの道筋を描いている。
    ケマルは傑物で強すぎる意志を持っているが、時代の流れの中で偶然を味方につけてなんとか前に進んでいた印象を受けた。

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    2025年07月26日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    小笠原先生の本は三冊目だが、相変わらず分かりやすく面白い。オスマン帝国600年のダイナミックな歴史を堪能した。オスマン帝国の崩壊からトルコ建国の流れは多少駆け足なので、小笠原先生の「ケマル・アタテュルク」を先に読んでいて良かった。

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    2025年05月16日
  • 世界史のリテラシー オスマン帝国は、いかに「中世」を終わらせたか コンスタンティノープル征服

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    今争いが絶えない中東もかつてはオスマン帝国の一部だったと知り、もっと知りたくて読んだ。せっかく多民族・多宗教の国だったのに滅亡してしまったのは、それはやっぱり(みんな違ってみんないいと考えていたからではなく)領土拡大のために多様性を利用したに過ぎなかったからなのだろうか。情(なさけ)で平和は維持できないのか。自分(自民族)は他人(他民族)と違うと自覚することは、本当に幸せな生き方なのか。今の世の中と照らし合わせて、いろいろと考えさせられる内容だった。

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    2025年03月31日
  • ケマル・アタテュルク オスマン帝国の英雄、トルコ建国の父

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    オスマン帝国末期からトルコ共和国設立までが分かりやすく記述されている。またケマル・アタテュルクが亡くなってから現代までもダイジェストに紹介されている。

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    2024年11月11日