小笠原弘幸のレビュー一覧

  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    13世紀に生まれ、中世、近世、近代を乗り越えてわずか100年前に消滅したオスマン帝国。本書はその歴史を大まかに3つ、
    ①集権的帝国の時代
    ②分権的帝国の時代
    ③近代化の時代
    に分類してテンポよく記述し、600年以上続いた帝国の飛躍、安定、衰亡を新書一冊で上手く纏めてくれている。
    通史なのでスレイマン1世の栄光もすぐに過ぎてしまうが、逆に無名のスルタンも飛ばさず、一人残らず紹介してくれる。(もちろん情報量に差はある)

    ①集権的帝国の時代
    「壮麗なる時代」のはるか前の、帝国立ち上げ話や途中でティムールに敗れて国家崩壊する局面が一番面白かった。中世だけあって負けるとあっさり部族がバラバラになり、勝

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    2024年05月14日
  • ハレム―女官と宦官たちの世界―(新潮選書)

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    いわゆる、あの「ハーレム」です。
    女性が男性を取り巻いているようなアルファオスの象徴というか、破廉恥な文脈でもありそうな、あの現象?について。その語源を歴史を紐解き真面目に解説したもの。

    ハレムは、オスマン帝国のスルタン(君主)がトプカプ宮殿に構えたもの。アッカド語のハラムが語源。シュメール語には、女性たちの家と言うハレムを指す単語がある。一夫一婦制を規範とするキリスト教以降、ハレムのような慣習は徐々に失われていったが、イスラムは、妻の数は4名まで。君主でもこれを破ることはできなかったが、所有する女奴隷と性的関係を結ぶにあたっては、数の制限はなかったから、ハーレムに住む寵姫たちは、基本的に奴

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    2024年05月14日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    トルコもオスマン帝国もほとんど知らないよ〜な完全初心者が読んでみた。
    いやぁ、面白い!
    同名の人物が出てくるのに最初は苦戦したけど、地図や家系図、索引も活用して読み進めていけば全体的に優しく解説してあるので、難しくはなかった。

    はしがきに「時代ごとに違う国家があったよう」とある通り、区分通りの4つの時代で王権や政治体制が異なっている。それに至る経緯や事件などを流れとしてみると、なるほどなるほど…。
    様変わりしていく様子や過程も興味深い。
    たとえば、近代化に近づく政策が進められていったと思ったら、その直後に「王位を継げる唯一の男子になれば廃位されない」と古来からの「兄弟殺し」と同じ継承者の殺害

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    2024年04月08日
  • ケマル・アタテュルク オスマン帝国の英雄、トルコ建国の父

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    オスマン・トルコの英雄というか救世主。かつ近代化のために帝国に引導を渡し、トルコ共和国を建国。
    帝国主義に対応するために国のあり方を変えるしかなかったところは、日本の明治維新っぽい。直接的なヨーロッパ列強に対抗する様がよく分かる。
    オスマンの歴史を持ちながら政教分離に踏み切ったのは凄い。でもやっぱり独裁者なんだなぁ。大変革を成功に導くのは独裁体制の方が効果的なんだろうね。

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    2024年02月24日
  • ケマル・アタテュルク オスマン帝国の英雄、トルコ建国の父

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    もともと興味のあった決まる。アタテュルクの生涯について書かれた本。
    外国人だけではなく、内部にも敵がいる中、政権を勝ち取ったことが新たにわかった。

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    2023年11月13日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    トルコドラマ「オスマン帝国外伝」「キョセム」を見て、オスマン帝国自体に興味を持ちこの本を読みました。
    帝位につかなかった兄弟は皆殺しという制度に驚いた、なんて非情な。自分が后だったら男の子は産みたくない、産んでも一人だけ、後は女の子がいい。

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    2023年09月02日
  • ハレム―女官と宦官たちの世界―(新潮選書)

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    オスマン帝国の君主がトプカプ宮殿に構えた、ハレム。
    それは帝国の国政と文化を担った場所であり、組織だった。
    第一章 ハレム前史―古代よりオスマン帝国初期まで
    第二章 ハレムという空間の生形―トプカプ宮殿の四00年
    第三章 女官たち  第四章 王族たち  第五章 宦官たち
    第六章 内廷の住人たち  第七章 ハレムと文化
    第八章 変わりゆくハレム  終章 ハレムの歴史的意義
    コラム1~11、注、図版出典一覧有り。

    主にトプカプ宮殿を中心にハレムの存在意義と、
    住まう人々について、分かり易く、かつ詳細に説明している。
    身分は非ムスリムで非帝国臣民の奴隷たちが大部分。
    それぞれの事情、ハレムでの職階

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    2023年05月30日
  • ハレム―女官と宦官たちの世界―(新潮選書)

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    ネタバレ

    様々な角度からハレムが考察されていてとても興味深かったです。
    以下簡単な内容メモ。

    ・ハレムは構造が果たす役割が大きい
    ・王子はスルタンになるまで鳥籠の間で暮らす→ほぼ幽閉(至高の存在に至近するものでありながら、制限されている)
    ・王子は即位の機会がなければハレムにずっと軟禁される
    ・兄弟殺しが通例だった
    ・母后の権限がとても強い
    ・女官はピラミッド型の統率された社会
    ・白人宦官と黒人宦官がいた
    ・去勢の過程で化膿もろもろで四分の一が死亡するため、宦官は他の奴隷よりも高値で取引された
    ・各役職がしっかりと統制されていて興味深い
    ・「我が獅子よ(アルスラヌム)」→某戦記を思い出しました。

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    2023年01月02日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    【読書】600年の歴史を一冊に纏めてたわりには分かりやすく、面白かった。ヨーロッパ相手にボコってたのか、いつの間にやらコテンパンにノされてる姿は時代の流れを感じますわ。栄枯盛衰は必ずあるんだろうけど、スレイマンまでの拡大期とそれからの緩やかな衰退は何か単位が600年ともなると凄いなあとしみじみ。こういう歴史モノはこういうところが楽しいね。

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    2022年06月20日
  • オスマン帝国 英傑列伝 600年の歴史を支えたスルタン、芸術家、そして女性たち

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    帝国600年の歴史の中から選ばれた十人の列伝。通史的な中ではあまり取り上げられない女性や芸術家たちが多く取り上げられていて興味深かった。最新の研究成果を踏まえつつ、現代における各々の位置付けまで言及されていて面白い。

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    2021年07月10日
  • オスマン帝国 英傑列伝 600年の歴史を支えたスルタン、芸術家、そして女性たち

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    オスマン帝国の君主だけではなく、建築家、作家、画家など文化を担った人物も採り上げられている。建築はともかく、トルコの絵画や文章に触れることは、なかなか難しそうだ。

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    2021年04月27日
  • オスマン帝国 英傑列伝 600年の歴史を支えたスルタン、芸術家、そして女性たち

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    江戸幕府250年、オスマン帝国600年、如何に存続させたか。やはり三世代までにしっかりとした基盤構築している。崩壊の理由も財政問題から怠慢政策から内部組織崩壊へと繋がっている。

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    2021年04月15日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    世界史とってなかったこともあって知識がまだらなので第一次世界大戦の敗戦国のうちにオスマン・トルコが含まれていることを知ってちょっと驚いてその歴史に興味を持ったので。日本だと鎌倉時代から明治にかけて実に36代、600年続いた王朝の通史を新書にコンパクトにまとめたものなのでかなり大雑把ではあるけれどかえって大きな流れが理解できてよかった。まずタイトルがオスマン帝国とあるけれどそれはオスマン家という実は出自のはっきりしないトルコ系の遊牧民が王様(スルタン)を務めてはいたものの政権の中枢を担っていたのはアルメニア人やクルド人など多岐にわたる民族であってトルコ帝国とはいえないということらしい。更には宗教

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    2020年11月16日
  • オスマン帝国 英傑列伝 600年の歴史を支えたスルタン、芸術家、そして女性たち

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    【読書】厚みがある割には分かりやすくサクサク読めた。オスマン帝国の歴史に詳しいわけではないので、この国の歴史の流れとそこに出てくる重要人物が丁度いい感じで出てきて、凄く分かり易かったな。この国の歴史もこうやって読むと面白そうだなって感じで更に知りたくなった感じかな。ホント面白かった。

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    2020年10月09日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    ネタバレ

    13世紀末から20世紀まで長期にわたって存続したオスマン帝国の通史。
    ヨーロッパ史とイスラム史を繋ぎ止める重要な立ち位置であったにも関わらず、今まであまり顧みられてこなかったこの国を非常にわかりやすくまとめ切った本書。

    世界史を授業で学んだ限りでは当初は興隆を見せるも、近代には帝国主義とナショナリズムの流れについてこれなくなって遅れた国という認識に留まる。
    しかし、600年以上続いた背景には変革と反動を繰り返しながら時代に順応していった歴史があり、
    現代の問題を解くヒントを得ることができるという、
    歴史を学ぶ意義を改めて思い出させてくれた。

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    2020年03月24日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    オスマントルコという国は歴史上の古い、しかも縁遠い国というイメージがあった。東ローマ帝国を滅ぼし、更にウィーンなどの欧州を脅かした敵方というイメージもあった。それを相手方から見ることによって全く知らなかった世界を学んだ気がする。それも既に19世紀のうちに立憲民主主義を確立し、ケマルによるアタチュルク革命後の共和国に連続している部分もあるとは、再認識である!この国の起こりが、彼らそのものがトルコと呼んだことがなく、国の名前さえなかったことにもビックリ。そしてスルタンという言葉も実は確立していない!本の中では「オスマン帝国」「スルタン」と呼ぶことに最初に断りがあるのだ。そして名君が多く登場する輝か

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    2019年02月14日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    オスマン帝国600年の通史。わかりやすくまとまっている。オスマン帝国の通史はなんどか読んだ気もするのだが、日本語原書はこの他に50年前の1冊があるだけらしい。ほんと?オスマン帝国が安定した理由のひとつに王位継承が比較的スムーズで、有名な兄弟殺しの他に、奴隷を母として王子が産まれることにより、外戚の介入を防いだ、というのは初耳の気がする。なぜこれだけの大帝国で奴隷の母后が多かったのか、不思議に感じたが、格式よりも合理性だったのか。兄弟殺しも残虐ではあるが、マキャベリズムとしては正しい。封建国家としては最強だった理由がわかる一冊。

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    2019年01月26日
  • オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史

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    オスマン通史はなかなかない。
    それぞれの時代を適切に区切りながら、各王の治世と、社会・世界構造の変化を織り交ぜて、記述している。
    物語というよりは、教科書的な表現も多いが、所々のエピソードが上手く挟まり、飽きずに読めた。

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    2018年12月31日
  • ケマル・アタテュルク オスマン帝国の英雄、トルコ建国の父

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    以前からトルコ建国の父でありトルコの世俗主義の方向を定めたムスタファ・ケマルに関心があり、読んだ。読む前はトルコの英雄としての側面しか理解していなかったが、ムスタファ・ケマルを取り巻く人間関係と政治的な歩み(そしてそれはトルコ共和国の歩みと重なっていく)を感じることができた。歴史の流れとしてざっくりと知っていたことを、改めてひとつの視点から学ぶと、歴史・政治はタペストリーのように重なり合い影響し合い、簡単には断ずることのできない複雑な要素が影響し合い現代に繋がっているのだと理解できた。
    登場人物は多く混乱もするが、後ろに簡単な一覧もあるので親切な構成だと思う。私は全部読んでから気づいたので、今

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    2025年11月09日
  • オスマン帝国の肖像 絵画で読む六〇〇年史

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    偶像崇拝が禁止されているイスラム文化でありながら、ルネサンスの影響を取り込んだという面白い変遷を経てきたオスマン絵画。オスマン帝国の歴史と絵画について書かれた一冊。軍隊の近代化のために設立された軍技術学校で製図技術習得のために図画が教えられ、その卒業生である軍人がその時代の代表的な画家になるなど、歴史と絵画の関わりが面白い。

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    2025年09月27日