デヴィッド・グレーバーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分の仕事がブルシットジョブで向こう20年を耐えるのはムリだから転職する、という人生の節目で、じゃあブルシットジョブという言葉を作った人の本を読んでみようと手に取った。
語感だけで使ってた単語だが、著者の定義を見てその通りで驚いた。被雇用者本人でさえ存在を正当化しがたいほど完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態で、とはいえその雇用条件の一環として本人はそうではないと取り繕わなければならないように感じている、と。そしてこれはシットジョブとは違うんである。
ブルシットジョブの種類や、市場が生み出した仕事になぜそんな非効率なものがあるのか、なぜブルシットジョブが増えているのかという問 -
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Posted by ブクログ
第1章
ホモ・サピエンスは唯一の現生人類ではなく、ネアンデルタール人やデニソワ人をはじめとする複数の人類種が共存し、交雑していた事実を示している。
これにより、人類の起源は単純な直線的進化ではなく、多様で複雑なネットワーク型進化モデルで説明されるべきである。
さらに、アフリカを起源とする「単一起源説」も修正が必要である。最新の化石発見と古代DNA解析により、人類はアフリカ以外の地域でも独自の進化を遂げ、遺伝的交流を重ねてきたことが明確に証明された。
古代DNAの解析技術の進展は、人類の移動経路と交配の詳細なパターンを解明し、過去に存在した多様な人類集団が互いに影響を与え合っていたことを -
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この本は語られること多くして、実際にはあまり読まれていないのではないか。
実際読んでみると、グレーバーはここで、現代の資本主義の根源的な問題を抉り出しており、その最も本質的な批判になり得ていると思う。
この書物の結論のひとつは、この社会においては、労働が他者の助けとなり他者に便益を提供するものであればあるほど、そしてつくり出される社会的価値が高ければ高いほど、それに与えられる報酬はより少なくなるということ。そして逆に報酬の高い労働とりわけFIREセクター(金融、保険、不動産)におけるそれは、社会的に徹底的に無意味であると本人に感じられるようなものであるということだ。
すなわちいわゆる「負け組」 -
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人類の歴史に安易なストーリーを付与して、狩猟採集から農耕へ、そこで「所有」という概念が発生したから支配構造が登場してきたという、この世界観を覆したのが本書。そもそも、直線的に所有を生み出す農耕へ突き進んできた訳ではない。また、狩猟時代に既に支配構造はあった。
必ずしも支配構造があった訳でもない。必ずしも闘争があった訳でもない。黎明から既に人類は多様なスタイルにあり、一概には言えないものを、単純化して認知してしまっている。
食べなければいけない。食料調達の方法は、環境や技術レベルにより、狩猟採集も農耕生産も使い分けていた。私は飢えのレベルにおいて、本来そこに人食もあったと考えたい。また、飢え -
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ネタバレやっと読み終わった、という感じ。だが、それに見合う本だった。世界の見方を変えてくれる本というのはそうそうあるものではないが、本書は自分にとってまさにそういった本の一つとなった。多分、何度か読み返してそのたびに考察のヒントを与えてくれそうな予感がする。
一般に流布している人類史の見方として、1 人間集団はその規模を拡大するにつれて複雑化するため、やがて集団を制御するための非生産階層が必要となり、その階層が集団を支配するようになる。2 規模の拡大につれて支配層が分厚くなり、ヒエラルキーの度合いが増大する。3 農業などのテクノロジーにより、規模拡大が加速し、ヒエラルキー形成が加速する、といった -
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若干冗長に感じたところはあるけど、面白かった。特に最後の何章かがとても面白かった。
世の中のあり方に対する著者の姿勢に心を動かされた。
結局のところ、この本で一番私がグッと来たのは、意思の発露みたいなものだ。アナーキストっていうのはこういうことなのかなと。
本を読む楽しみというのはそういうことにある気がする。
ずっと、カタカナの何とかコンサルタントみたいな人がこんなに増えていて、しかも現場に対する意見が異常に抽象的で、人がわからないような英語が多く、ケアリングの場所においては何の役にも立っていないにも関わらずコンサルタントとして入ってきては結果を出せ結果をだせ(そして、ケアリングワークをして -
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考古学者と人類学者の共著のビッグヒストリー系なんだけど、ハラリやダイアモンドが前提としていることを否定する。
ビッグヒストリーを書いてきた思想家はルソーとホッブズとの考えの間を行ったり来たりしてきたが、どちらも真実ではない。古代の人や未開の人は我々が思っているような未熟な人ではなく我々と同様に思索する人々だった。アメリカ先住民は西洋を批判していて、ヨーロッパ人は彼らから多くのことを学んでいた。社会的不平等に起源があると考えるが、それは農耕によって不可避的にもたらされたものではない。本当に問題にすべきは社会的不平等の起源が何かではなく、どうして閉塞したかにある。人類はそれまで様々な社会組織の間を -
Posted by ブクログ
本文だけで二段組約600頁の大著、しかもその内容が帯によれば、「考古学、人類学の画期的研究成果に基づく新・真・世界史!」というのだから凄い。
人類史20万年で分かっていることはごくわずか。しかし現実にはルソーの『人間不平等起源論』かホッブスの『リヴァイアサン』で示された発想の二者択一で、それをアップデートしたものが語られているに過ぎないと著者たちは言う。例えば、農耕の発明により「バンド」から「部族」へ、さらに「首長制」→国家へであったり、狩猟採集、牧畜、農業、工業といった生産様式の変化などなど。ベストセラーらとなったビッグ・ヒストリーの著者たち(自分も大変面白く読んだ)、ハラリ、ダイアモン -
Posted by ブクログ
斎藤幸平の『人新世の資本論』でこの本を知り、手に取った。はじめはブルシット・ジョブとは誰の役にも立たない仕事や資本主義を成立させるために作られた(例えば広告代理店のような)仕事のことかと思っていたが、そうではない。役に立たないとわかっているのになぜかなくならない仕事のことだった。
私の周りではブラックな仕事の話を聞いてはいたが、その反対にこのような内容の伴わない仕事があるのかと暗然とした。
その対極としてあるのがケアワークである。教員の仕事がブラックであることは昨今知られていることであるが、このブラックさは政治によって作られたものであり、ケアワークをブルシット化することが政治的に進められた結果 -
Posted by ブクログ
この本以降「ブルシット・ジョブ」という言葉が流行語のように数々の著作で引用され、動画でも用いられてきた。この語感の意味をその定義以上の文化的な課題への警鐘を含め、しっかり前後の文脈まで把握する事が重要。二次的な浅い理解ではなく、原典を読めて良かった。本著は少し冗長で口説く感じるが、平易で分かりやすい表現。かつ、自らの頭で考えながら読む為には、あれこれ具体例を示しながら、ダラダラとした対談のような紙幅がちょうど良かったと、後から感じた。
興味のある切り口で頭の整理をしてみる。「価値のある仕事とは何か」「価値とは何か」「価値の無い仕事は何故生まれたか」「隣人と奥さん(旦那さん)を交換し、相互に有