石井美保のレビュー一覧
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文化人類学というものに初めて触れました。エンジニアという職種で仕事していることもあって、普段から構造化やパターン化をして物事を単純にする思考が習慣になっています。そのような生活をしていると、ある種の人間社会にもその構造化やパターン化がうまく当てはまるような錯覚をしてしまっていると自覚しています。その人間社会に引いた、もしくはすでに引かれた境界線の脆さに対しての向き合い方や考え方に色々なきっかけをもらえた内容でした。
また、多くの論文を引用する文章構成は普段そのような文章に多く触れる身としてはすごく読みやすかったです。
文化人類学を学ぶことで、チームビルディングや会社の文化形成にも応用できる -
Posted by ブクログ
女性が亡き親族の足跡から戦時中の世相や市井の人の暮らしを描くという点で、星野博美氏が思い出されるが、作風はもっと情緒的。従軍した大叔父の亡くなるまでの手記、婚約者との書簡、長男として意に染まぬ家業を継ぎ徴兵されなかったことで図らずも研究職となった祖父の複雑な心情が感じられる。著者の姉だという銅版画家の装丁と挿画もいい。
P17 その時々の季節の、大気と植物と水と土の醸し出す匂い。畑に足を踏み入れるとき、草木の茂みにホースで水を撒くとき、子どものころの感覚がふっと甦る。
P238 わたしの知らないうちにこの場所に生きて去っていった人たちの、今ここにいていつかはいなくなる人たちの、今ここに存在 -
Posted by ブクログ
2015年7月30日、当時小学校1年生だった浅田羽菜ちゃんが学校のプールで溺死するという事故が発生しました。本書は羽菜ちゃんのご両親が「どのようにして娘が亡くなったのか」を追求する過程を、同じ小学校の保護者であった文化人類学者である著者が克明に綴ったノンフィクションです。
事故後、「再発防止」や「今後の学校運営」に軸足を置いた対応となった学校側と、「事故の真相」に拘ったご両親との間で噛み合わない議論が続きました。
追悼をめぐっても、「生徒たちに過度なショックをあたえないように」配慮しようとして追悼行事を進めた学校側と、まだ自分の娘の死の真相が判明せず、「娘はまだ追悼の対象として存在しているので -
購入済み
いままでの著書も持っているので
基本が詰まった今回の本は
正直なところ読み応えに欠けましたが
大切なプロセスが紹介されています。
必要なケアがあったときなど
実用的な面で読み返すことにしています。