ルシア・ベルリンのレビュー一覧

  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    めちゃくちゃ良いじゃん!!
    小説を読む喜びが詰まっている。行ったこともない土地の空気、匂いを感じ、経験したことのない痛みや喜びをわが身に感じられる。
    アメリカ/南米…

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    2026年04月20日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    星新一ばりに短いお話しの数々
    そのどれもが作者の実体験や生活を元にしたものらしい

    とても短い話しなのにどれもこれもタフで強い
    スパイス見本棚みたいな作品集
    山椒の様なバニラのようなキャラウェイのようなアンモニアのような生理の生ぐさい臭気さえ… めくるめく色や形が鮮やかに短いはすっぱな言葉で表現されている

    短いお話しが著者の人生とゆう塊となって立ち現れるもこざっぱりしているのがとっても不思議…
    絶望も夢も毒も愛もなんも重たいことなくトイレにジャーって流しちゃってさっさと次に行く感じがする 軽いとも違うし…

    不思議な読書体験だった…

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    2025年10月17日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    いや、ちょっと。読み始めたのが失敗。一気読み
    著者のベルリンは2004年に亡くなっているのだがこの短編集の原書は2015年、没後だ
    現地米国ではさほどウケていなかったのにこの本の発行で話題になり2週間後に彼女の全ての本が売り切れたらしい。そう、この本で発見された私小説風の短編集(虚構もけっこうある)

    重度のアルコール中毒で息子たちが眠るのを待ち
    こっそり酒を買いに夜明けの開店に合わせてフラフラと外出し購入
    これで酒が飲めると顔をあげた瞬間の街の朝日
    この対比がすんばらしい、一発惚れ

    壮絶な人生山あり谷あり

    短編1つ1つ最後に特徴的なフレーズが来る
    さすがの訳者、岸本さん

    いやもうルシア・ベルリンという作者を知りたいと読後すぐさま他も買おうと思い調べると
    76の短編を書いて生涯を終えているらしい
    この本は24編
    著作がす、すくない………
    なんで今まで積んでたのだろう。はあ、良かった

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    2025年10月04日
  • すべての月、すべての年 ――ルシア・ベルリン作品集

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    ネタバレ

    やはり圧倒的な描写力で、美しいことも、醜いことも色鮮やかに描かれていて、惹き込まれる。
    表題作も海で泳ぐ気持ちよさが、海中の美しさが、漁師宿のゴチャゴチャした中にも温かみが、肉体的な感覚を伴って感じられる。
    体験しないとわからないこのような感覚が、これほどまでに鮮やかに描写できるこの作家の凄さを改めて感じた。
    B.Fと私は、最晩年の作品とのこと。
    美しく無いものをくっきりと描いているけれど、それでいて嫌な感じはしないのは、才能なのだと思う。
    そしていつも感じるのは、どんなロマンスの中でも人は孤独であること。自立した女性ならではの感覚だと思う。

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    2025年09月19日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    いままで読んだことのないタイプの小説群だ。荒っぽく、むきだしで、パンク。しかも状況の把握がすぐにはできない。何度も行きつ戻りつして、読み進む。最後は、人生の理不尽さが出てくるものの、言いようのないふしぎな感動に襲われる。
    鉱山技師の子としてアラスカに生まれ、子どもの頃はアメリカ各地やチリを転々とする。その後3度の結婚、4人の子ども。教師、掃除婦、電話交換手、看護助手、大学教員、そしてアルコール依存と慢性の肺疾患……作品の底流にあるのはこうしたキャリアと体験だ。
    この本のラストの作品は「巣に帰る」。冒頭にカラス、終わりもカラスが登場。描かれているのは、人生と反実仮想。ルシア・ベルリンその人が少しわかったような気がする。
    岸本佐知子さんの訳のうまさにも脱帽(文庫版では、スペイン語の発音ミスが修正されていた)。

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    2025年05月04日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    ネタバレ

    目次
    ・エンジェル・コインランドリー店
    ・ドクターH.A.モイニハン
    ・星と聖人
    ・掃除婦のための手引き書
    ・私の騎手(ジョッキ―)
    ・最初のデトックス
    ・ファントム・ペイン
    ・今を楽しめ(カルぺ・ディエム)
    ・いいと悪い
    ・どうにもならない
    ・エルパソの電気自動車
    ・セックス・アピール
    ・ティーンエイジ・パンク
    ・ステップ
    ・バラ色の人生(ラ・ヴィ・アン・ローズ)
    ・マカダム
    ・喪の仕事
    ・苦しみ(ドロレス)の殿堂
    ・ソー・ロング
    ・ママ
    ・沈黙
    ・さあ土曜日だ
    ・あとちょっとだけ
    ・巣に帰る

    ・物語(ストーリー)こそがすべて リディア・デイヴィス

    初読みの作家でしたが、思った以上に楽しめました。
    ほぼ作者の体験に根ざした作品らしいが、その経歴がまた想像以上。
    貧困家庭で家族に顧みられないまま育ち、学校ではいじめに遭い…からの地理の上流階級へと跳ね上がり、女手一つで4人の息子を育てながらアル中になり、刑務所で創作を教え、最終的にはコロラド大学の准教授から、闘病生活へ。

    家族を顧みない父、二人の娘を見守ることのないアル中の母、妹だけを可愛がる祖母、作者を可愛がるが性的虐待をも与えるアル中の祖父、家族の中で唯一作者の理解者であったアル中のジョン叔父。
    悲惨ともいえる家庭生活以外では、学友たちにいじめられ、先生からは疎まれて、それでも親友ができた。

    死期の近い妹の世話をするために仕事をやめてメキシコに立ち、クローゼットのように狭い小部屋に住んで、最後のひと時を家族の思い出話で過ごす。
    妹は妹で、彼女のことを羨んでいた、と。

    悲惨も絶望も残酷もあるのに、決して湿っぽくはない。
    何ならクスッと笑えるところもある。
    それは作者が、そうやって生きてきたからだろう。

    日本の私小説は、自分の奥深くへ潜っていくような息苦しさがあるが、彼女の書く小説は世の中や時代に即して、ある。
    どんなにつらいときでも目を、耳を、閉ざすことなく世の中とつながっている。
    だから読者は、作者から拒絶されたと思わないで読み進めることができる。

    最近読んだばかりのせいか、こうの史代みたいな読み心地に感じられた。

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    2025年05月02日
  • すべての月、すべての年 ――ルシア・ベルリン作品集

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    異次元。本質の描きかた、その鮮やかさ。
    描かれている現実は、あんなに苦いのに。
    なのに重苦しくなく軽やかで、
    すこしだけ救いも感じられるのはなぜだろう。
    エル・ティムは特に胸を抉られる一編だった。
    打ちのめされるくらい見事な小説。

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    2025年01月13日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    はじめは、フーンこれがなんか色んな人が大絶賛の本か。なるほどなかなか読ませますなという感じで読んでいたのに、一編読み終えるごとに夢中になっていった。
    あれ?あの話の彼女はこの人?この体験はあの体験のこと?というか、これ全部繋がってる……?
    短編集というよりは自由な章立ての長編のような……作家自身の体験と深く結びついた物語が、ひとつ、またひとつ自分の中で繋がるほどに引き込まれていく。印象的なメロディーを繰り返しながら盛り上がっていく音楽みたいに。

    読み終えた時には、一人の女性の人生――痛みと喜び、幸と不幸、激しさと静けさ、深い傷と赦し――が、確かな色と、音と、匂いを持って立ち上がってきた。
    その迫力。
    それでいて読み心地には常に達観したような軽みがあるのだ。素晴らしい体験だった。

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    2024年12月13日
  • すべての月、すべての年 ――ルシア・ベルリン作品集

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    彼女が執筆した全76篇の短篇のうち65篇を岸本氏が訳したもののうち、19篇を収めた短編集。
    順番としては「掃除婦のための手引き書」が先だったようだけど、私はこちらが先だった。まあ、短編集だし独立しているし、順番は関係ないか。

    最初の2篇を読んだあたりでは「なるほど。おしゃれ。」程度で、少し時間が経つと思い出すのがしんどくなるくらいの印象でしかなかった。
    そこからもう数篇読み、ルシア・ベルリンの語る語り口に慣れてくる頃になると、この作家のすごさが見えてくる。
    表題作を読むあたりでは、岸本氏が後書きで「そして文庫の帯で」書いているように「一篇読むたびに本を置いて小さくうなり、深呼吸せずにはいられない」という状況がやってくる。
    「なるほど。すごい。」に変わる。

    どれも、とても平易な語り口で読みやすい。
    だからファーストインプレッションは、さっきも書いたとおり、軽い。
    ただ、よくよく読んでいるとそうではない。
    一人称を中心に、個人の主観を語る中で語り手の人となりを、その人間性を深くから描き出す一方で、その姿を客観的に見たときの第三者的な違和感を実に見事に表現している。
    客観的に見たら明らかにおかしい(あるいはおかしくない)のに、主観的にみたらまったくおかしくない(あるいはおかしい)というギャップ。
    これが物語に強い陰影を与え、読む側はずいぶんとそのギャップにはらはらさせられる。
    読むのを止められなくなる。

    もう一つ、特徴的なのは、独立した、そして孤独な人間が中心に据えられていること。
    そして上記の主観云々も関連するのだけれども、本人はそれを孤独だとも悩みだとも思っていない。
    ただ客観的な我々読み手は、主人公から強い孤独さを感じずにはいられず、そこになんとも言えない感情が生まれる。
    これもまた、すごい。

    アルコール依存の女性が登場する物語がとても多く、これはなにを意味しているのだろうとずっと考えていたのだけれども、これは筆者本人がアルコールと戦ってきたということが反映されているのかな。そこからなにかを表現しようとしているのかもしれないけれども、そこは今回私の読み方では見いだせなかった。
    例の孤独さを強調しているような役割は感じられたけど。

    読むのが辛くなるような展開のものもあるけど、でもどれもものすごく秀逸。素晴らしい。
    掃除婦〜も読んでみようと思う。

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    2024年10月27日
  • すべての月、すべての年 ――ルシア・ベルリン作品集

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    1話1話の話を読み終えるたびに、その話に出て来た登場人物のその後を想ってしまう話ばかりでした。
    なんせ、なんの唐突もなく、バスッと終わらせられる話が殆どでしたから。最初はかなり戸惑いましたぜ。

    乾いた空気と広い空の下で、生活してる人々の一部分を切り取ったスクラップ集みたいな作品だと感じました。

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    2024年09月23日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    著者の小説を書く心意気を強く感じました。フィクションのはずなのに、著者の心がむき出しに感じられます。私は感電して、重傷を負いました。

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    2024年07月08日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    アメリカに芥川賞あったら獲れてたのではないかと思ふ。強烈、そして生き生きとした文章であった。

    日本にはAAと断酒会、二つの組織があるからAAをいちがいに断酒会と訳すのはもしかしたら微妙かもしれない。でもなんて訳すの?と聞かれたらぶっちゃけAAとしか訳せない(訳せてない笑)

    機能不全家族に育ち、アルコール依存となった作者の苦しみはもはや理解できない領域。でも、この文章を読んでしまうと、、、苦しみも悪いことじゃないのかも。さらけ出せる勇気と書くことの魔力に魅せられてしまった。

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    2024年01月09日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

    無料版購入済み

    読んでから何日もたっているのに、ふとした瞬間にこの小説が頭をよぎる。読み終えた瞬間よりも、時間が経過するごとに好きになっていく作品だ。

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    2022年09月30日
  • すべての月、すべての年 ――ルシア・ベルリン作品集

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    以前、『掃除婦のための手引書』を読んだ時に、いずれはこちらも、と思っていた。どちらの短編集も著者自身の人生経験の豊かさが、題材と詩情の豊穣さに結実している。
    主人公はしばしば学生、看護師、電話交換手、子育てに忙殺される主婦である。それら全てが彼女の人生の諸相だ。ところが小説家だけは登場しない。そこは客体化したことがないのだろう。それとも私が知らない作品にあるのだろうか。

    いずれにせよ登場人物たちの日常が生き生きとして楽しげであることに読者は安心する。それほど彼女の分身たちは我々に愛されているのだ。本書の最後ではついに全てから解放された70歳の老女役で登場する。トレーラーハウスの屋内で、病気のために酸素ボンベを持って移動するという、彼女の終末の姿そのものだ。しかし難病にもめげない朗らかさにホッとさせられた。

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    2026年09月24日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    今までにあんまり経験したことないような文体で新鮮だった。
    短編集だけど、まったくのバラバラな話の集まりという訳ではなく、作者の実体験に基づく話が時系列等はバラバラに載っている。
    かなり波瀾万丈な人生を送った人のようで、途中まで同じ人の人生とは気づかなかったくらい。
    あんまり綺麗じゃない描写も多いんだけど、その場面の情景や登場人物の感情が突き刺さるみたいに鋭く伝わってくる。あとユーモラスですごく面白い。
    ハッピーな話の方が少ないから虚しさとか切なさを感じる読後感だけど、だからといって絶望的な雰囲気ということではなく、どこかさっぱりした終わり方な気がする。特に家族についての話でそう感じた。
    お気に入りの話は『エンジェル・コインランドリー店』、『掃除婦のための手引き書』、『ファントム・ペイン』、『いいと悪い』、『苦しみの殿堂』、『ママ』、『さあ土曜日だ』、『巣に帰る』。

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    2026年08月21日
  • すべての月、すべての年 ――ルシア・ベルリン作品集

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    あとがきにあるように「突き放しながら温かい、にぎやかなのに孤独」。人生に訪れる相反する瞬間を書き留めた短編集だった。
    ただ愉快なだけでは終わらず、悲劇のなかにもユーモアのスパイスが効いている。
    場所も背景も文化も様々で、バラエティに富んでいて読んでいて楽しかった。どれも似ていないのがすごい。
    比喩や詩のように凛とした表現がとても良かった。
    長くて手元に置いておきたい作品。

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    2026年05月10日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    目の前にゴツゴツした石塊がある。
    なんだか殺風景に見えるが、それをハンマーで叩いて割ると、キラキラと輝く断面が現れる。宝石の原石だ。しかも割るたびに様々な色合いの光を放つ不思議な石。

    この短編小説集を読み終わって頭に浮かんだのは上記のようなイメージだ。

    本書には22の短編が収められている。
    最初は、突然ざっくりと切り取られた日常の断片が目の前に無造作にボン、と放り投げられたような印象で、面食らった。
    次の短編、またその次…と読むうちに気づく。
    場所も時代も、語り手の職業も年齢も全然バラバラだが、なんとこれは同一人物の物語だ。

    著者のルシア・ベルリンは、アラスカで鉱山技師の家庭の生まれ。鉱山町を転々とし、戦時中はエルパソに転居し母方のアル中親族に囲まれ孤独で過酷な日々を送り、二度の退学を経験。その後チリに移住。打って変わってそこでは上流階級の仲間入りをし、ミッションスクールに通う。メキシコの大学進学後は、3度の結婚を経験し、四人の子供をもうけ、カリフォルニアやバークレー等に移り住みながら、掃除婦、教師、電話交換手、看護助手などをしながら、自らもアル中に苦しむ。その後は…

    ともう、この時点で一人の人生としてはお腹いっぱいというくらいに千変万化で、落差も大きい。

    どの短編も、基本的には著者の体験に基づく、言ってしまえば「ちょっと話を盛った思い出話」なのである。
    しかし、それなのにまるでプリズムのように様々な光を放つ作品集ができあがっているのである。

    さて、「光」や「輝き」という喩えを用いてきたが、実は内容を見ると、親族からの虐待、学校でのいじめ、生まれついての病気、3度の離婚、重度のアル中、妹の逝去……と明るい話なんて殆ど無い。
    本人がそんな境涯だから、彼女の周りに現れる人々や世界もはみ出しものや落伍者ばかりであり、モチーフとしているものはどちらかと言えば暗い。

    「どんな悲惨なことでも、笑い話にしてしむえるのなら平気で話す」
    と語り手は言う。
    本作の語り口は、テーマに関わらずどこか穏やかで、時に軽妙でリズミカル。トントントン、と繰り出される言葉にするっと読まされてしまう。

    はっきり言うと、本書を2/3くらいまで読んだ時点ではまだ本書には全然ハマっておらず、実話の羅列ではないか…くらいに思っており、著者と相性良くないな。と思っていたのだが、段々と魅せられてしまったのか慣れたのか、『さあ土曜日だ』から先の3編はとても良かった。

    一つ残念に思うのは、巻末のリディア・デイヴィスが寄せた文章によると、ルシアの文章の真髄を味わうには英語の原書を読むのがどうやらベターだと言うことだ。
    私が英語が読めたなら、本書の評価はもっと変わるのかもしれない。

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    2026年04月09日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    短編集という形になっているが、作家自身がモデルと思われる主人公の人生が断片的に描かれている。
    語られるのはなんとも不条理な人生。生まれ持った障害、虐待、アルコール依存症、貧困、差別。それを淡々と語る。ユーモアも淡々と。その淡々と語られる言葉がなぜだかとてもきらきらしていて、目の前にぱっと情景が現れる。そしていつの間にかどっぷり嵌っているのだ。ただ、どんどん読めるという作品ではない。ストーリーというよりは言葉を味わう作品のように思う。
    訳者の岸本佐知子さんの力も当然あるとは思うが、ルシア・ベルリンが生前に見出されなかったのが信じられないくらい。

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    2026年03月28日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    岸本佐知子さんの翻訳している作品が読みたくて買いました。
    著者のルシア・ベルリンは、アメリカ出身の作家なのだが、申し訳ないが、全然知りませんでした。
    亡くなって20年以上経っているのだが、本屋大賞の翻訳部門で再評価されている。
    私小説のような、著者自身の生い立ちや、経験が
    小説に色濃く反映されています。
    作中に何度もアル中という言葉が出てるのだが、これは著者自身が、アルコール依存症に罹っていたことが強く影響している。
    1950年代のアメリカの文化を強く感じさせることができる短編集でした。


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    2026年02月13日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    オートフィクション(自伝的小説)の連作短編または掌編小説集(一番短い「わたしの騎手」は2ページと4行)。
    どれも、自身の家族のことや、職業遍歴や、アルコール依存や、肺がんで死期の迫る妹を看取った経験など、重苦しい実体験をベースにしながらも、文章は軽妙な印象。
    また、話の終わらせ方がどれも秀逸。p.34の「大っきらいよ」とか、p.147の「コリント!」とか…これだけを読んでも何のことやら判らないけれど、良い。

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    2025年12月31日