ルシア・ベルリンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
アラスカに生まれ、鉱山技師の父親とともに各地を転々としてきた著者。
学生時代、チリで成熟していった彼女の人生の一片が、この短編集に匂う。
そこから始まった3回の離婚とシングル混ざ^としての苦渋に満ちた人生を足下に持つからこその、彼女の文体イメージだと思える。
「掃除婦の為の・・」「すべての月・・」に続く3作目の読書。
やはり❣ベルリンだと思う作風に満ちている・・中南米の空気感の中での豊穣に満ちた人々の生活感。
生活は苦しかったり、悲惨な内容もあるだろうに、余計な感情は微塵も伝えぬ、短いセンテンス。
日本人のウエット気味の感覚からすると両極端の様なほどに,乾いた・・それでいて真理を突くよ -
Posted by ブクログ
短編集の2/3を読み終えるまでは、ひたすら、退屈で読みにくい本だと思った。
最初は、訳が下手くそなのかとも思ったけど、時々、ハッとする美しい表現が出てきて、そうではなさそうと思い直した。
喪の仕事まで来て、少し変わって、沈黙、さあ土曜日だ、巣に帰るの4編は良かった。
簡潔な文章で、特徴としては、周囲の状況を描くことで、主役について物語を紡ぐ。それが、若い頃の数編においては、私が村上春樹に感じる、それいらなくない?関係なくない?という感想。
そこから、どんどん、作者が歳を重ねていき、彼女の人生が酸素ボンベを離せない状態であることまでわかるうまいチョイスをしている短編集の構成になっている。