ルシア・ベルリンのレビュー一覧

  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    260頁に24編の作品があるため、短いモノは2、3頁で終わる。長くても10頁程度。何より、描写がきわめてクールでスタイリッシュ(体現止めが多い)。描かれている内容は極めて悲惨、残酷、無情な場合が多いのだが、なんてことのないわ、これが日常よ、という感じでサラっと美しく流して書かれているので読み手は暗鬱とした気分にならない。
    これは、限りなく詩ち近い小説だと思う。

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    2025年12月16日
  • すべての月、すべての年 ――ルシア・ベルリン作品集

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    相変わらず独特。なかなか入り込めないんだけど,壁を越えて向こう側に行けると,情景がビビッドに浮かんでくる。しかし,訳は悪くないと思うんだけど,原著で読まないと本当のリズムとか手触りみたいな物は理解できないんだろうな。ある意味では私小説で,想像で書いている部分は少ないのではなかろうかと思わされる。中南米での貴族的生活からアルコール依存症のどん底まで,まさに波瀾万丈の人生。ひとりの人間がこれほど多様な経験をする例はあまりないだろう。それが小説家としての財産になっている。

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    2025年08月18日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    とあるブログで激賞されていたので読んでみた。読み始めてみて,正直そこまでではないなと思ったが,途中から引き込まれることになった。
    著者の波瀾万丈な人生と,観察眼が凄い。ドライな諦念が通底している。文体にも魅力があるようだが,これは原著で読まないと分からないなぁ。。。
    短編だけ書いてて評価されるってのが,テッド・チャンと通じるものがある。日本にはあんまりいない気がする。星新一くらいか?

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    2025年06月28日
  • 楽園の夕べ ルシア・ベルリン作品集

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    情景描写も話の締め方もクール。どれも良いが、特に「日干しレンガのブリキ屋根の家」「幻の船」「陰」「新月」がお気に入り。

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    2025年02月24日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    ルシア・ベルリンの24の短篇。
    私は「すべての月・すべての年」に続いて2作目。
    とりわけ変わった設定ではなく、1900年代半ばの普通の生活がベースになっている短篇。
    一度に全部読んだらすぐに忘れちゃうかなと思いきや、随分とずっしりとした読後感。
    軽くて面白い短編集はたくさんある。
    しかしこれはずっしりと面白い短編集。
    これは何に因るものなのかなあと考えてみたのだけれども、まずは空気の重さまで感じられるようなリアリティ。
    実体験をベースにしているものが多いと聞いてなるほどと思うと同時に、実体験を扱えばすべてこのようなリアリティが出るかと言ったらそうはいかない。
    場面、表情、行動の切り取り方が素晴

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    2025年02月22日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    初読
    坂口文庫。
    坂口さん曰くまったく読み進められない本シリーズの2。
    これはわたしもかなり難儀しました。なかなか手強い。最初いくつかサラっと読んだとき 全然サラっと行かなくてこれは困ったと思った。
    短編集のうち いくつかは まぁまぁ読めるのがあって もうそれでいいかなと思ったケド 別の日にまたちょっと読んだら もういくつかホォと思うのもあり。その時思いついて解説先に読んでみたのがよかったのかも。でも解説のおかげで最初の時には気がつかなかった重いツライ感じもわかってきた。
    フィクションとしたら 全然面白くないけど これがノンフィクションに近いとしたら それはちょっと興味あるというか ちょっと惹

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    2025年01月25日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    短編集とわかってはいても、一見バラバラな気がした。
    それがいつしか作者の生い立ちとも重なって、太い束のようなまとまりに感じられてゆく。
    若い無邪気さ、苦い経験、切羽詰まった状況、そしてごく日常の風景。
    どれも書き手がそこにいて、「これがあたし」といっているよう。
    けれどそこに押しつけがましさはなくて、静かに目の前に差し出す。
    謙虚で辛辣でちょっとクール、そして皮肉とユーモアを忘れない。
    フィクションのようにもノンフィクションのようにも見えたこの作品群。振れ幅の大きな彼女の人生の、ある意味伝記のように思えた。
    また読みたい。

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    2025年01月19日
  • 楽園の夕べ ルシア・ベルリン作品集

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    短編集
    作家自身の生い立ち感情が見え隠れする作品集.ロクでもない夫,アルコール依存や薬物依存,子供達への愛,生活の厳しさなどが自然の情景描写の中に溶け込んでいる.短い物語の中に漂う臭いまで感じられる,そんな作品の数々.

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    2024年12月18日
  • すべての月、すべての年 ――ルシア・ベルリン作品集

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    ネタバレ

    誰もがここで書かれている彼女のことを好きになってしまったり、そうでなくても嫌いにはなれないんじゃないかと思った。賢くて繊細で、情熱と愛があり時に弱く、悲しみと喜びに満ちた人生を送る女性。彼女の言動には優しいぬくもりを感じるし、言外に親密な空気が漂うところが好きだ。
    「カルメン」や「ミヒート」で描かれている、悲惨な状況に陥ってしまった女性や子どもの話がとてもつらかった。あまりにも克明でハラハラしながら読むことになったが、決して同情的には書かれておらず、作者の冷静な目線をいつも感じた。
    姉妹のバカンスを描いた「哀しみ」が特に心に残った。少しの嘘だって、すべて妹への愛にほかならない。誰の視点かによっ

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    2024年12月16日
  • すべての月、すべての年 ――ルシア・ベルリン作品集

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    「一篇読むたびに深呼吸せずにはいられない」の帯の謳い文句に偽りはない。
    何か悪いことをしたような、それでも何か郷愁をそそられるような、一篇ごとにそんな気分にさせられる。
    登場人物はみんな傷を持っている。
    その傷一つ一つは、誰しもがいつか感じたことのある傷みを見いだせるような気がする。
    あの時の、あの感じ、という気分になりたいとき、ぜひ。

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    2024年12月03日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    ハードな人生、タフな登場人物。軽やかに乾いた文章。ユーモアや余裕も絶妙に漂っていて。とてもカッコ良い短編小説たち。
    何度目かに読んだときから、これは彼女の人生で体験してきた「あきらめ」の上で物語られているのではないか、というような気がしてきている。
    不条理な世界、ままならない人生、過去のやり直せない過ちや消えない傷を受け入れる。「悔いるのをやめる。」一度あきらめる。そのうえで、それでも、ハードな人生をタフに生きていく、生きてきた。その人生から慎重に切り取られ、誇張を加え作り話混ぜ合わせ紡いでいく。そうやって書かれる短編小説は、きっと彼女と同じようにとても強い。そんな印象を受けた。
    あきらめるこ

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    2024年11月16日
  • 楽園の夕べ ルシア・ベルリン作品集

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    ネタバレ

    子どもの頃よりあちこちに住み、結婚離婚✖️3、息子4人、シングルマザーにして職業をいくつか、そして大学教師、アルコール中毒と、これでもかの人生経験。日本の私小説作家が書いたら、恨みや悲しみのお涙頂戴にも出来そうなのに、彼女の場合、全く、微塵も湿っぽくなく、ドライなのが素晴らしい。『リード通り、アルバカーキ』『桜の花咲くころ』わたしの人生は開いた本』が特に気に入りました。

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    2024年11月03日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    ごく個人的な、自分のためだけに書いた小説という雰囲気がある。それがとてもよい。そして、いい夢かな?と思ってたら悪夢だし、悪夢はやっぱり悪夢のまま。そして、悪夢なのにゲラゲラ声をあげて笑ってしまって、その自分の声に驚いて目覚めるみたいな感じ。あぁ夢でよかった、みたいな悪夢感。
    訳者のインタビューを聞いて購入後、何度も開いて、読み始めてみるけど、全然頭に入ってこない。合わないのかな?と思ったけど、ひとつひとつは短いので、順不同に何度も読み返すうちに、物語というか、作者のことが好きになってきて、好きな人の話しは、聞こうとするというか、貴方を知りたい。という気持ちに変わった。そしたら、映像になって、夢

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    2023年12月23日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    すごい、すごいと聞いてはいたけど、やっぱりすごかった。歯切れのいいテンポと強烈な映像喚起力。短編それぞれがまるで映画を一本見たように世界にどっぷり浸り切ったような読後感を残す。最初数編読んで、すごいけど長編が無いのが残念だなと思ったけど、全て読み終えるとまるでルシア・ベルリンその人を主人公とした長編を読んだような気分になった。

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    2023年10月23日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    異なる話が収められた短編集かと思ったら、先に読んだ話が主人公を変えてまた現れる。それによって1つの話の背景が次々と明らかになるのが面白かった。根底には、米国のおそらく多数を占めるいろいろな意味で精一杯の暮らしをせざるを得ない人たちのありよう。再読したくなる。

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    2023年09月03日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    原文はわからないけど、端的でわかりやすい文章なのに、時折びっくりするようなスラング的な表現や思いつかないような(でもなんとなくわかるような)比喩が入って、読むのが面白い。
    ストーリーは、ほとんどがアルコール中毒の話(笑)
    作者自身も苦しんだらしいが、それ以上に波乱万丈な人生から、その描写は辛辣ながら優しさがある。
    スヌーピーに気高いながらホコリを引き寄せてしまうビッグ・ベンというキャラクターがいるけど、一言でいうとそういう印象の作品。
    人生の美しさも底辺も見たいなら、ぜひ。

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    2023年06月12日
  • 楽園の夕べ ルシア・ベルリン作品集

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    読んだことないタイプの本で衝撃だった
    いろいろ出来事が書いてあったがなんとなく常にゾッとしながら読んでた

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    2025年10月20日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    正直、読み始めは状況を把握しづらく、入り込めなかった。
    でも、読み進めるうちに、一つの人生が立ち上がってきた。
    孤独な幼少期、虐待、アルコール依存、妹の病気、3回の離婚と結婚。
    これら、すべて彼女の実人生から生まれたもの。
    波乱万丈ではあるけれど、悲壮感がなく、カラリとした印象すらある。
    ラストの「巣に返る」という話に、「私がここまで生きてきたのは、過去を全部捨ててきたからだ」という一文がある。
    ルシアは、書くことで、昇華してきた人なのかもしれないな、って思った。

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    2025年07月05日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    オシャレな雰囲気の表紙とは逆でオシャレ感はなく、只々現実があるのみ。おそらく1人の女性(作者?)の人生が時系列バラバラに短編集としてまとめられているのかなと思うんだけど、幼少期の虐待、学生時代のいじめやアル中の描写などがリアルすぎて未来にいい事があると思えず、子育て真っ只中の自分には読み進めるのがキツかった。人生積み重ねて50代ぐらいに読み返したら感じ方も変わっているかもしれない。

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    2025年05月04日
  • 掃除婦のための手引き書 ――ルシア・ベルリン作品集

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    最初は読み慣れず休み休み読んでいたが、途中から一気に進み読み終わった。
    劇的な展開があったわけではなくて、著者の文体のリズムに自分が合ってきたようだった。
    犯罪、依存症と共存して酷く辛い生活なのかと同情を誘うのではなくて、それも含めてユーモアに変えて、すました顔でたばこを吸う著者の姿が浮かぶ。

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    2025年02月07日