さいとう・たかをのレビュー一覧
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90年代前半の仮想戦記とかでも良く使用された、石油関係の微生物を巡る戦いが盛り込まれているエピソードが秀逸です。
石油を分解して燃料として使用できなくする微生物を作成した博士、並びに微生物自体の狙撃ミッションが、湾岸戦争の空爆時間をリミットとして設定している点が非常に面白い。 -
ベルリンの壁崩壊に際してのEC統合に絡めた東西ドイツを渡り歩く狙撃が光る巻です。
パーソナルコンピュータの普及によって発生した半導体の需要と海賊版製品など、90~91年の世界の動きが手に取るように分かるので、軽く社会の勉強をしている気分になる。 -
ベルリンの壁崩壊直後に描かれた、ロミオとジュリエットを模したスパイのエピソードが象徴的な巻です。
東西ドイツを隔てる壁が消える前、東側のスパイ活動はどのようなものだったのか、というのをフィクションにしては生々しく表現されている。
その他、南米の宗教観を表したエピソードも考えさせられるような内容なので...続きを読む -
日本人にとっても平成の始まり、世界にとってもベルリンの壁崩壊が起きた89年に描かれた珠玉の作品の数々を楽しめる。
モスクワプラトーンは今の時代にこそ読んで欲しい、戦争帰還兵の惨状を表現しているエピソードである。 -
ゲーセンのスナイパーゲームでおなじみのG線上の狙撃、イラン・イラク戦争を描いたバトルオブサンズリ、ゴルゴへの依頼手段を破壊してやろうとする保険屋のエピソードであるシステム・ダウンが非常に秀逸です。
1986年という冷戦の終わり間近の時代に描かれた各種エピソードは、時代考証にも非常に面白い内容となって...続きを読む -
定期的に起きるゴルゴの出生に関わるかもしれないエピソードが収録されている巻。
まさかのロマノフ朝関係者とか、88年にやるにはかなりセンシティブな内容を描ききっているのはさすがのさいとう・たかを先生である。
とはいえゴルゴ13の生まれは令和になっても謎まみれなので、ひとつの世界線の話として見ればよし! -
香港返還に向けた中国政府の動きと、その際に香港独立を望む男のやり取りという、2023年時点でも揉めに揉めている内容を当時から取り扱っているエピソードが秀逸。
ゴルゴの国際情勢エピソードは当時の空気感を感じられるため、こち亀のように読み直すとまた違った印象を受ける。 -
標題はゴルゴが科学の粋で作り上げられた戦闘マシーンとの対決で、ドーピングを突き詰めるととこうなってしまうのかとの印象です。今はドローンなどのAI兵器が中心ですがこの作品が描かれた90年代前半は、戦争において人が兵士となり戦う時代でした。他2作品はともに中国が絡んでおり、ゴルゴの世界でも中国の存在が大...続きを読む
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標題はインドネシアと東ティモールの紛争を背景にした作品。両国の歴史や政治背景を盛り込んだ重厚な話です。ゴルゴの計算された狙撃が超絶そのもの。この巻の大半を占めており、大変読み応えある作品です。ニンジャの話は荒唐無稽な点もありますが、なかなか楽しめる作品でした。
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標題はゴルゴと彼を追い詰める警部とのエピソードで、ゴルゴの犯行ルートを推理し行動を予測するその警部が印象的でした。このようにゴルゴを追い詰める警察関係者は珍しく、これが2回目の登場となる彼はさいとう先生が愛したキャラだったのでしょう。重厚な作品でした。
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標題ではゴルゴに因縁を持つスイス警部が3回目の登場。ゴルゴ逮捕に全てを賭けた彼の行動は圧巻です。彼がゴルゴを追跡(敵対)した事による報いには哀愁を感じましたね。火縄銃での狙撃の話では火縄銃の特性を学べなかなか面白かったです。