さいとう・たかをのレビュー一覧
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死神のお供、脇役が主役の物語
日本の漫画世界における殺し屋キャラクターの最高峰として知られるゴルゴ13氏。彼は単独でも万能に近い能力を持っており、一見すると孤高の存在に見えがちですが、実際のところ彼の職業のプロフェッショナルとしての資質は自己完結性ではなく人を使う点も含めてのそれであり、達人の達人たる所以は自分以外の達人を見極め仕事を委託できることにあるのだという、義理人情や仁義の領域での高潔さから生じる感動、その点にあるのである。
ゴルゴ13は銃器職人デイブを重用している。それは友情に基づくものではなく、自律した個人と個人が役割を分担することで集団が成り立つ分業社会を形成することがゴルゴ13にとって利益を生むからである。ゴルゴ13は銃を扱うことには長けているが、その部品を作るのは銃器職人であり、それなしにはゴルゴ13はゴルゴ13足りえないのである。それは、銃の生産者が人類の社会に銃を扱う者、軍人や暗殺者、或いはその他諸々の人種を生み出し続けていることと不可分でもない。
さて、今回のデイブの仕事はまたしても銃の改造と銃弾の制作である。それは彼が銃器職人だからそうするのであり、アイデンティティであるからだ。顧客は様々でいつものゴルゴ13以外にもデイブの知り合いや、ひょんなことから彼を訪ねてきた復讐者、或いは新しい銃を作るために意見を求めてきた企業の人間など、兎に角銃を必要とする者たちである。デイブは時に彼個人の情念を交えながら、銃と銃弾を仕上げて物語を完結させる促進剤を提供していく。彼は事態を発生させ動かす主体的な存在ではなく、既にある事態を解決するために動く受動的な存在である。挑戦者と言ってもよい。そんな挑戦者がある事態に向き合って解決へと導いていくさまが、人間の情動を刺激する。素晴らしい物語を生み出す。
ゴルゴ13の世界を補完し、より深い魅力を付与した今作は素晴らし外伝作品であるといえよう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレまず、最初に、改めて、さいとう・たかを先生のご冥福をお祈り申し上げます。
年齢的な事を考えると、普通と言えば普通なんですが、やはり、もっと、最前線で劇画家として全力を奮って欲しかった、そう、ファンとしては悔しくなってしまいます。
ただ、さいとう・たかを先生の生み出した、分業制作システムによって、「ゴルゴ13」は決して、“死ぬ”事がない、それに関しては、感謝しかありません。
この単行本は、さいとう・たかを先生が脚本家を起用せず、なおかつ、自らが沖五郎の名で考え、世に出したストーリーを漫画にした回を収録したモノになっています。
脚本家を起用したモノも、相当にレベルが高い、それは絶対的な評価、結果です。その上で言いますが、沖五郎が脚本を担当した回は別格感が漂っていますよね。
あくまで、私個人の考え方ですが、漫画読みには、いくつか、人間力を強化するために読むべき漫画が、各々にある、と確信しています。私の中にあるそれらの一つが、この『ゴルゴ13』です。
『ゴルゴ13』の良さを語る上で、やっぱり、沖五郎が脚本を担当した回を外す事は出来ません。特に、『海へ向かうエバ』は断トツに凄まじいんじゃないでしょうか。
『ゴルゴ13』の色、また、さいとうイズムを特に感じるモノは何か、とファンに尋ねたら、この『海へ向かうエバ』は間違いなく、上位に入るでしょう。さすがに、1位になる、とは断言できません。断言してしまったら、洒落にならない喧嘩になる事くらい、私にも想像が出来ますから、自重もします。
何がどう凄いか、それを説明するのは、情けない事にファン初級どころか、見習いの域も出てない私には難しい。なので、恥も承知で言いますが、これを買って読んでください。確かに、これは魂が震えるな、と一人でも思ってくれれば、嬉しいです。
あえて一つだけ、素人丸出しの意見を言う事を許していただけるのならば、多くの漫画に登場し、死を迎えるヒロインの中でも、彼女、エバは特に幸せな気持ちを最期の最期まで抱えて、逝ったんじゃないでしょうか? 「満足する死」を、さいとう・たかを先生は、エバで表現してくれていました。
この台詞を引用に選んだのは、ゴルゴ13を筆頭にした、生きるか死ぬか、の世界で生きている本物のプロ意識を感じ取れるものだからです。
周りが、死への恐怖でパニックになる状況でも、決して、冷静さを失わず、かと言って、諦めるのでもなく、どうするのが正しいか、を判断し、自分が生き残るルートの選択を的確に行い、手を打つ時が来るまで穏やかな気持ちを保てるのは、ただただ、凄い。
ぶっちゃけた話、この境地に達するには、人として大切な何かを欠落させるほどの経験をしなきゃいけない気はします。
しかし、ほんの少しでも憧れ、近づこう、真似ようとすれば、人間力を高められる気がします。
そして、そのピンチを乗り越えられたら、絶対に、人間として大きくなれます。
「?? お、お客さんたち、ふ、船を、はなれないんですか!?・・・お、お客さん!?」
「荒れている海にボートでこぎ出すのと・・・時限爆弾をかかえた船に残るのと・・・あまり変わりはしない・・・」
「ほんとうね・・・わたしも、そう思うわ・・・どっちを選んだとしても、危険度は同じでしょうね」(byバーテンダー、ゴルゴ13、エバ)
そして、もう一つ、私の心にぶっ刺さってきた名言を紹介させてください。
これを外したら、漫画読み失格の烙印を、自分で、てめぇの顔面に押したくなります。
上の台詞も、自分では上質のモノ、と断言できるんですが、これと比較してしまうと、どうしたって、霞んでしまう気がします。
それほどまでに、この言葉は、『ゴルゴ13』そのものなんですよ。
ゴルゴ13の生き様、自身の“仕事”に対する矜持、特別である女性への愛情表現と別れ方の流儀、そして、これら全てをひっくるめた覚悟が視えます。
繰り返すのも恥ずかしい話ですけど、ほんと、これは読んでいる人間にしか伝わらないので、もどかしい、と言うか、自分のレビュー力の低さが嘆かわしい、と言うか。
私の自己嫌悪はさておき、改めて確信しました、人間力を上げたかったら、『ゴルゴ13』は読まなきゃだめだな、と。
「でも・・・偶然、また、再会できて・・・うれしかったわ・・・」
「いや・・・偶然じゃあない!・・・」
「え? ?? ・・・・・・」
「・・・・・・じゃあな・・・・・・エバ・・・・・・」
(わたしの・・・・・・名前を・・・・・・さようなら・・・・・・わたしの・・・・・・男・・・・・・)(byエバ、ゴルゴ13) -
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デイヴあってのゴルゴ
ゴルゴ13シリーズでのデイヴの存在を知ったのは、「軌道上狙撃」をたまたま読んだからだ。(ゴルゴシリーズは記憶する限り10本程度しか読んでいないのだが…)
史上最強のスナイパーも、銃がヘボならただのスナイパー。芸術的狙撃は完成しない。
ゴルゴが成功させた数多の狙撃も、デイヴあってのものが数多く含まれていたはずだ。
その点、スピンオフシリーズの最初の主役が、デイヴというのは、モノ作りの世界の住人としては、大いに納得がいく。
2022.10.5 有料版購入。
特に第五話は、ガンマニアには面白いのではないか。 -
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平蔵の神対応
そろばん音之助
忠吾のある行動に平蔵の神対応。鬼平の判断はいつも気持ちがいい。
もぐらとやもり
外食文化、これはある事件がきっかけだった。読みたいという読者の心理を見事についた書き出しは素晴らしい。
七人隠居
狂歌を盗みにつなげた作品。ちょっと強引なところもあるが、一応丸く収めている。
闇からの誘い
人間、境遇が悪ければ誘惑には勝てぬもの。でも、さすが鬼平名裁き、読んだ後ほのぼのとした気分にさせてくれる。
この巻では、一番良かった。
鬼の取り立て屋
この盗みのカラクリ、よく気が付いたと思う。
法印の惣七
平蔵に恨みを持つ盗賊は、一人二人では無いだろう。逆恨みを買う平蔵。
冤罪
江戸時代にも冤罪はあったのだ。これも平蔵の神対応。
忘れ形見
忠吾が珍しく大活躍をする?
天狗の壮助
意図せずに盗賊の一人を捕らえる手助けをした格好となった壮助だが、その事が思わぬ方向へ転がり出す。