篠田謙一のレビュー一覧
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科博内部の研究者から初めて館長職に就任した著者が語る、
博物館とは。科学系博物館とは。そして、国立科学博物館の
足跡と未来の展望について。
・はじめに
PART1 文化としての科学
PART2 博物館の役割
PART3 科博の実践――「リアル」の価値を問い直す
・あとがき
コラム、写真出典一覧有り。
科博の歩み、実情と未来への展望を伝える内容です。
技術開発と科学の進歩は、ホモサピエンスの進化と
ゲノム研究。古代ゲノムの解析での人類の進歩の研究へ。
それは、自然科学と人文科学の関係性。
自然科学も文化の一部として社会に定着させる重要性がある。
国立科学博物館の歴史は、理工系と自然史。
5つの -
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本書は、DNA分析を駆使する自然人類学の研究により、江戸時代の切支丹屋敷跡から出土した人骨が、18世紀に新井白石と対話したことで日本史の教科書にも名を刻むイタリア人宣教師ジョヴァンニ・シドッチのものであることを解明したことのドキュメンタリー的な記録である。
遺跡から出土した人骨が誰のものかを科学の力で特定するという内容で、読んでいてとてもワクワクした。(詳しく説明されてはいたのだが)DNA分析の原理などについて十分に理解できたとは言い難いけれども、自然人類学をはじめとする科学研究の面白さは、十分に感じることができた。
また、発掘調査の主体であった文京区に対する様々な不満も赤裸々に記されていて、 -
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いま話題の国立科学博物館・篠田館長のご専門は分子人類学であり、DNAなど遺伝子分析から人類の進化史を探る研究をされてきた。昨年のノーベル医学賞ではOISTのぺーポ博士が選ばれたように、遺伝子シークエンスによる我々のルーツ研究は日進月歩で発展している分野だ。
驚くべきなのは、ネアンデルタール人やデニソワ人といった絶滅人類とも交配し、現在の我々の遺伝子にもその数%の痕跡が認められることだ。そしてホモ・サピエンスには約30万年前と約10万年前の二度、出アフリカしたと考えられ、初期拡散は約20万年前には失敗に終わった。つまり最初は、他の人類との競争に敗れたのだ!
この辺りの研究成果と、ハラリ氏の『 -
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ネタバレ新書大賞第2位ということで手に取ってみた。
以前は古人骨からミトコンドリアを取り出し分析することしかできなかった(十分すごいと思う)。しかし科学の進歩に伴い、21世紀になってから古代ゲノム解析が可能になった。古代ゲノム解析によって古人骨のかけらや便などからも多くのことがわかるようになった。それは性別や性別だけではなく食生活から集団の規模まで。それらの情報を集めることで人類の起源(どういった流れでホモサピエンスが世界展開を成し得たか)を読み解くのが本書である。
古代ゲノム解析によって非常に多くのことが解明できるというのは衝撃だった。特に遺伝的特徴を共有している集団と言語的集団が相関関係にあると -
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書店で見かけて気になってはいたんだけど、直接のきっかけはどこかの書評から。科博、行きたいな~。一度だけ立ち寄った時も、短時間しか滞在できず、不全感しか残ってないからな~。本書を読んで、そういえばクラファンの話題で見かけたときにも、凄くいきたい気分が盛り上がったんだったと思い出した。それにしても、国立なのに国からの救済措置はろくに得られず、更には内部留保も許されんって、えらい厳しい条件だな。一般企業だと考えられんことだけど、こういうところにも、利潤企業最優先、公の部分については、自分たちが太ることしか考えん、っていう国の本質が垣間見えて嫌だな。本筋とは逸れるけど、そんなことが印象に残っちゃう。