あらすじ
2014年7月24日.東京都指定の史跡「切支丹屋敷跡」で三体の人骨が発見された.その一体は,新井白石が尋問し,藤沢周平が『市塵』に描いた江戸中期の宣教師(1668─1714)ではないか? 300年の時を経た鑑定が,国立科学博物館ではじまった.最先端の科学をもってすればこの謎は解明できるのか? スリリングな2年数カ月を克明に描く.
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Posted by ブクログ
考古学好きの人にはお勧めです.加えて科学者としての研究に対する取り組み方を読み取ることができて大いに感銘を受けました.最新のDNA解析で埋もれた骨が誰だったかを突き止める,という推理小説的楽しさもあります
Posted by ブクログ
本書は、DNA分析を駆使する自然人類学の研究により、江戸時代の切支丹屋敷跡から出土した人骨が、18世紀に新井白石と対話したことで日本史の教科書にも名を刻むイタリア人宣教師ジョヴァンニ・シドッチのものであることを解明したことのドキュメンタリー的な記録である。
遺跡から出土した人骨が誰のものかを科学の力で特定するという内容で、読んでいてとてもワクワクした。(詳しく説明されてはいたのだが)DNA分析の原理などについて十分に理解できたとは言い難いけれども、自然人類学をはじめとする科学研究の面白さは、十分に感じることができた。
また、発掘調査の主体であった文京区に対する様々な不満も赤裸々に記されていて、行政における発掘調査や、その中での他機関との連携という点においても、教訓的な内容であった。