あらすじ
古人骨に残されたDNAを解読し、ゲノム(遺伝情報)を手がかりに人類の足跡を辿る古代DNA研究。近年、分析技術の向上によって飛躍的に進展を遂げている。30万年前にアフリカで誕生したホモ・サピエンスは、どのように全世界に広がったのか。旧人であるネアンデルタール人やデニソワ人との血のつながりはあるのか。アジア集団の遺伝的多様性の理由とは――。人類学の第一人者が、最新の研究成果から起源の謎を解き明かす。
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Posted by ブクログ
著しい発展が日進月歩で進む人類の進化史は、今最も注目を浴びている学術分野の一つと言って差し支えないだろう。本書はホモ・サピエンスがいかに拡がり、そしてどのような集団を形成したのかを詳述している。
DNA配列の変異を追い、集団の近縁を知ることができるということを、多くの具体例やルートと共に検証していく過程にワクワクする気持ちを抑えられないほどに知的好奇心を刺激させられる。
日本史や世界史においての文明やクニの興りは、集団の移動の歴史とも捉えることができることは、いかに断片的な歴史認識をしていたかと考えさせられる記述が多く、科学と歴史の融合が非常に心地よく文に編まれている。
文理融合型の学びという例えが正しいのかは分からないが、双方からの知的欲求に耐え得る素晴らしい一冊である。
Posted by ブクログ
おもしろかった!!!!
専門的な内容ですが平易な文章でかかれていて毎晩すこしずつ、たのしくよみました。
超俯瞰的な規模で人類をみてみるとほんとうに人種なんて些細なものだなとかんじました。
ただ興味深くおもしろいだけの本ではなく、ただあたらしい知識を得られるだけの本でもなく。
人類間にいまだ根強くある差別について、人類の起源をたどるという形で一石を投じるような意義のある本だったと思います。
よむことができてよかったです。
Posted by ブクログ
2022年のノーベル医学・生理学賞を受賞者したのは古遺伝子学の創始者、スバンテ・ペーボさんだったことは記憶に新しい。ペーボさんの研究はシベリアのデニソワ洞窟で見つかった古人骨のDNA分析から、未知の古人類「デニソワ人」を「発見」した。
そんな、今最もホットな科学分野である人類史の最新情報を、本書はできるだけわかりやすく(少なくともこういった分野に関心がある人たちに対して)、嚙み砕いた言葉で丁寧に伝えてくれる。刊行から1年が経ち、時の流れとともに更新される情報も少なくないであろうことを差し引いても、今すぐに、手っ取り早く読める、「人類の誕生から拡散の過程、そして、DNA遺伝子学が描く未来」までを解説した入門書としては、現時点では最良の本ではないか。こんな内容の濃い本を1000円ちょっとで買えるなんて、本当にありがたい。著者の言葉の選び方一つにしても、そのお人柄と卓越した知性をうかがい知ることができる。まだまだこれからの科学分野、過去の定説がいくつも覆り、これから先も、新発見や研究結果が発表されて人類史がどんどん書き換えられていくことだろう。なんと、わくわくする未来だろうか。
宇宙の秘密を解き明かす量子力学と、我々人類の足元を照らす古代ゲノム研究、我々はどこから来て、どこへ行くのか。2つの科学分野の最新情報をこれからも刮目して見守っていきたい。
Posted by ブクログ
2023/1/8 ジュンク堂神戸住吉店にて購入。
2024/5/16〜5/21
2022年のノーベル医学・生理学賞を受賞したペーボ博士の研究で有名になった古代人のDNA解析。そこからわかる我々人類の進化の過程のお話。いやあ、非常に面白い。今ではこんなこともできるようになってるんだ。
Posted by ブクログ
今世紀の初め頃までは、古人骨はミトコンドリアDNAしか分析できなかったが、2006年に次世代シーケンサーによって核DNAの解析ができるようになった。
Posted by ブクログ
大学生の時に教養科目の中で考古学関連の講義を受講し、非常に面白かったことを覚えている。当時は2006年発売の書籍を基に講義をしていたが、そこからどれくらい研究が進んだかを知りたく、この書籍を読み始めた。
当時はネアンデルタール人はホモサピエンスと交雑することなく絶滅した、が有力であったが、それが覆されていることを知り、また、デニソワ人という、遺伝情報を基に定義されている人類が登場していることも驚いた。
書籍の中では人類の進化の概要を大きく説明したあとに、各大陸内の移動や交雑の状況を説明しているが、昔考えられていた内容とは比べ物にならないほど複雑な動きがあったことが説明されており、まだ発展途中の分野だと改めて感じることが出来た。
また、これまで人種(この言葉の使い方は怪しいがあえて記載する)の移動、文化の遍歴というのは、大体重なるモノと決めつけていたが、どうも「農業」という大きな括りでさえそうとは限らない、ということがわかりつつあるようで、今後の研究が面白そうだと感じた。
Posted by ブクログ
ネアンデルタール人の研究で成果を挙げた科学者が、2022年のノーベル生理学・医学賞を受賞したというニュースがありました。
DNA解析技術が、古代人さらには人類の起源についての研究に、大きな革命をもたらしていると聞いて、興味を持っていました。
そんな中、日本人著者が書いたこの新書が出版されていることを知り、アウトラインでも理解できればと思い、読むことにしました。
本書は第一章から第七章、および終章で構成されています。
序盤の第一章、第二章は、現代人:ホモ・サピエンスが、どのような進化の経路をたどって誕生したかの説明
古代人の骨がなくても、その古代人が住んでいた場所の土壌で、DNA解析できる場合があると知って、驚いてしまいました。
これらの技術によって、(まだまだ分からないことが多いながらも)従来の説を覆す新発見が続いているのだと、理解しました。
第三章は誕生の地、アフリカ大陸で、第四章はヨーロッパで、ホモ・サピエンスがどのように、広がっていったのかについて。
アフリカ大陸の中にいた間に、複数の系統が生まれ、離散と集合を繰り返していたのですね。
それだけ、アフリカ大陸以外に進出する前に、長い年月がかかったのだと理解しました。
ヨーロッパにおいても同様で、進化が一方向に直線的に進むのではないということを学びました。
第五章は、アジアさらには南太平洋への進出について。
第六章は”日本人“の起源について。
日本人集団の成立については、従来から言われていた通り、農耕文化の伝播が大きく影響している。
しかしその経路は、考えられていたよりも複雑なのだと、理解しました。
沖縄と北海道の文化の変遷も、興味深く読みました。
第七章は、アメリカへの進出について。
終章は、これまでの研究から何が見出されたか、それをどう活かすかについて。
アメリカ大陸へのホモ・サピエンスの進出は、従来考えられていたよりも前に始まっていた。
しかしその後、地球の気温変化により停滞を余儀なくされていた。
ここでも、進化が一方向には進んでいかないこと、時間がかかるのだということを、学びました。
読み終えてまず、新しい技術によって新たな知見が見出されていること、その中には、これまでの常識や定説を覆すものが含まれているということに、大きな可能性を感じました。
著者も書いているように、まだ発展途上の研究なので、さらにわかってくることも多くありそうですね。
まだ、古代人のデータ解析が進んでいない地域のデータも多いようなので、この分野の本は今後もチェックして、最新の知識を得ていきたいと思います。
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Posted by ブクログ
現世人類(ホモサピエンス)がいつ発生して、どの様に地球上に広がったかを最新の研究に基づいて説明した本です。
元々興味があった分野の最先端の情報が紹介されており、時間を忘れて読み耽るほど面白かったです。出アフリカ後の人類は様々に枝分かれして、現在の形質を獲得したという漠然としたイメージを持っていましたが、集散離合を繰り返して現人類が形成されたという話は、今まで持っていた知識が如何に単純化されすぎたものなのか思い知りました。
また、本書に記載されてることが広く知られることは、社会的な意義も大きいと考えています。特に以下の事実についてより広く世の中に認知されるべきではないかと強く思いました。
■現代人類は全員、遺伝的に99.9%同じである。
■遺伝的な距離(差異)は、異なる民族間よりも、同じ民族内の個人間の方が大きい。
■そもそも「民族」や「人種」といった概念は、科学的に定義できない。
民族や人種に自身のアイデンティティを求めるのは全く悪いことではないと思います。ただ、それは科学的な定義ができない曖昧な概念であると知ることは、民族や人種という考えがもたらす社会的な対立を避ける為に重要だと思います。決して大げさではなく、本書の内容が世に広まることはそういった社会の中の軋轢を緩和する一助となるのではないでしょうか。
Posted by ブクログ
安宅先生(慶応大教授)お勧めの本。
次世代シーケンサーによってゲノム解析は、急速に発達している。2020年代の最新の研究に言及されている点、これからの展望にも触れられている点など、とても興味深く良かった。
我々ホモ・サピエンスは単独で存在してきた訳ではなく、今までに様々に他の種を取り込みながらここまで来たのだと分かった。
また、ゲノム解析が進むことでどのように人類が移動してきたのかが分かってきて、歴史学や言語学、考古学など、様々な分野に影響が出てくるであろうとこは明白であり、非常に興味深い。
Posted by ブクログ
最新のDNA解析で古代人のゲノムを解析し、人類の進化をよりクリアに紐解きます。ホモサピエンスは一本道で進化したのではなく、ネアンデルタール人と交雑したり、たまたま出会った遺伝子ミックスが異なる人類と交ざったりと紆余曲折を経て進化してきたのです。
Posted by ブクログ
古代ゲノム解析にもとづく人類の進化史とホモサピエンスの拡散と集団の成立史。
ホモサピエンスという視点から民族を考察した場合、そもそも民族集団の成立が数千年前と人類史から見たらごく最近であり、また、その集団内の遺伝的な性格はそれぞれに違い、遺伝的な性格を変化させていることから何々民族が優秀だとか劣っているとかはナンセンスであり、将来は他集団との混合で民族が生物学的な実態を失っていくとの指摘はなるほどと思いました。
ホモサピエンスのゲノムは99.%が共通で0.1%に姿形や能力の違いの原因となっている変異があることからだが、その大部分は交配集団の中に生まれるランダムな変化であるとの指摘にもそうかと納得でした。
ゲノム分析により人類、文明や民族の認識が広く変わっていくのだろうと思いました。
Posted by ブクログ
現代の人間の起源をゲノム解析から明らかにしようとしている研究の成果がよく解り、驚かされます。ただ、この研究の最も価値ある成果とは、民族や人種に優劣はなく、もとを辿れば皆1つだ、ということ。それは世界平和に科学でアプローチしようとしている、と私は感じました。是非、この研究がさらに進歩するとこを祈ります。
Posted by ブクログ
遺伝子から人類の起源を追うだけではなく今の私達というのはあらゆる場所、時代の人間の遺伝子が複雑に絡み合っている。
それを通じて今の人種という区分け、生じる差別には少なくとも長期スパンで見ると全く意味の無いものだということを伝えてくれる大事な本だと感じた。
残念ながら私はこういう方面の知識が詳しく無いので理解せずに読んでた部分もあるけど、それを通しても今の差別問題に対して新たな方法を提示してくれるのかもって希望が見えた気がした。
できるなら読める人は読んだ方がいいかもしれない…それくらい新しい視点を与えてくれる本。
Posted by ブクログ
何が衝撃かって、おそらく歴史学とか言語学とか(はたまた文化学かも)は根本から覆ることになるだろうってことです、DNA解析みたいなことは。それくらいの物的証拠を見出せるんですから。例えば昔よく聞いた縄文・弥生の人たちの違いに関する考察って最早素朴な素人的意見としか思えませんもの。
しかし、いやぁ、ヒトって太古からはるか遠くに動いているんですねぇ。
Posted by ブクログ
DNAをたよりに、まだ人類アフリカから世界へ拡散した時代の事が分かるなんて、本当に科学の進歩のおかげです。しかも、超昔なのに骨が無くてもかつて住んでいた土壌からゲノムが採取できるって心底驚きでした。
それにしても、ネアンデルタール人ってどんな人たちだったのでしょうか。脳容量が人類より大きかったらしいですが、発達していたのは視覚に関わる後頭葉部分で、思考や創造性を担う前頭葉が発達した人類とは異なっていたそうです。興味が尽きないですね。
Posted by ブクログ
そもそも化石からゲノム分析が出来るというのに驚き。しかしあまりにも複雑すぎて読むのに時間がかかったわ。
「それぞれの個人はホモサピエンスという巨大なネットを構成する結び目の一つ」という表現、腑に落ちました。宇宙からものが見えている方の言葉ですね。
ちょっと違うかもしれないけど、福岡伸一さんの動的平衡、水の渦の例えを思い出しました。
分子生物学触ってるとこうなるのかな?
Posted by ブクログ
いま話題の国立科学博物館・篠田館長のご専門は分子人類学であり、DNAなど遺伝子分析から人類の進化史を探る研究をされてきた。昨年のノーベル医学賞ではOISTのぺーポ博士が選ばれたように、遺伝子シークエンスによる我々のルーツ研究は日進月歩で発展している分野だ。
驚くべきなのは、ネアンデルタール人やデニソワ人といった絶滅人類とも交配し、現在の我々の遺伝子にもその数%の痕跡が認められることだ。そしてホモ・サピエンスには約30万年前と約10万年前の二度、出アフリカしたと考えられ、初期拡散は約20万年前には失敗に終わった。つまり最初は、他の人類との競争に敗れたのだ!
この辺りの研究成果と、ハラリ氏の『サピエンス全史』等の考察を組み合せると、出アフリカ後の中央アジア地域の重要性に気づく。いわゆる肥沃な三日月地帯と呼ばれる、メソポタミア〜エジプト文明に至る農耕や牧畜の起源とされる人類社会揺籃の地において、ホモ・サピエンスが人口を増加させていった。それが他の人類を吸収・根絶させながら拡散する原動力となった仮説が浮かんでくる。
翻って現代の国際社会においても、この中東やウクライナを含むユーラシア大陸中央部は、食糧やエネルギー等の人類社会における最重要地域である。そして残念なことに、度重なる戦争によってこれら人類の進化史を記すような貴重な遺跡や化石資料が失われている状況でもある。人類はどこから来たのか、そしてどこに向かうのか。世界の中心はいまも混迷している。
Posted by ブクログ
2025-01-01
Youtubeで著者のインタビューを見て読む
DNA解析で判明したことは多いが
まだまだわからないことは多い
人種間の差より個体差の方が大きい
Posted by ブクログ
近年のDNA検査の充実を基に、アフリカで生まれた人類がどのように移動し交雑していったか、日本人とは何か、など、最新情報が平易に語られ非常に分かり易い。
Posted by ブクログ
新書大賞第2位ということで手に取ってみた。
以前は古人骨からミトコンドリアを取り出し分析することしかできなかった(十分すごいと思う)。しかし科学の進歩に伴い、21世紀になってから古代ゲノム解析が可能になった。古代ゲノム解析によって古人骨のかけらや便などからも多くのことがわかるようになった。それは性別や性別だけではなく食生活から集団の規模まで。それらの情報を集めることで人類の起源(どういった流れでホモサピエンスが世界展開を成し得たか)を読み解くのが本書である。
古代ゲノム解析によって非常に多くのことが解明できるというのは衝撃だった。特に遺伝的特徴を共有している集団と言語的集団が相関関係にあるというのは私にとって新しい発見だった。現代のグローバル社会ならいざ知らず、太古の昔であれば言語や文化を共有していると婚姻するのは当たり前といえば当たり前なのだが。
種の定義として「自由に交配し、生殖能力のある子孫を残す集団」とある。私もこの理解だったが、ではホモ・サピエンスとネアンデルタール人が別種である根拠は何なのだろう?交配は限定的だったから別種ということなのだろうか?また、アメリカ大陸に農耕が伝わった方法に関してもよくわからなかった。ベーリング陸峡を経てアメリカに渡ったのは狩猟採集民だよね?
内容は非常に濃密で興味深かったのだが、正直なところ私には少し難しかった。難解な内容が簡潔にまとめられているのだろうが、淡々と根拠と結論が提示されていくだけで、教科書を読んでいるような感覚になった。さすがは中公新書というべきか。予備知識があったりすればもっと楽しめるのだろう。
終章には古代ゲノム解析の結果を悪用し、人種や民族を差別することに対する警鐘を鳴らしていた。ここ最近読んだ『なぜ事実は人の意見を変えられないのか』でも人の行動の80%以上は共通しているとあった。人は皆そんなに変わらない。仲良くしていけばいいのにな。
Posted by ブクログ
アフリカでホモ・サピエンスが誕生し、生物の進化みたいに、直線的に世界に広がっていったというイメージでしたが、そうではなく、各地に発生したホモ属との交雑を経て、滅んだ種族もある中で今日のホモ・サピエンスが世界に広がったとのこと。そう言われれば、その方が自然。交雑の中で一番残っている遺伝子がホモ・サピエンスということなのでしょう。研究が進むにつれどんどん真実がアップデートされていく分野なんですね。世の通説はあまりに単純化されている気がします。本書は学術度が高く素人には多少しんどかったです。
Posted by ブクログ
人類の起源や移動について、化石の骨格や年代から推定する20世紀の手法に変わり、近年のDNA解析によりわかってきた事実を詳細に書き記している。
のだが、ゲノムからわかる人類の交配・進化・移動が複雑すぎて頭がこんがらがった。しかもサンプルがまだ足りないときているので、研究はまだまだ続く。
ものすごい研究であるのはわかるが、ちょっとした興味本位で読んだためカウンターパンチを食らってしまった。
現代人のゲノム解析をして、ルーツを見ていたのは面白かった。
Posted by ブクログ
人類の起源をDNA解析による研究をわかりやすくまとめている内容
PCR法などが進み DNA解析が進んできており
恥ずかしながら 私が学生時代に学習した内容は古くなっている
サヘラントロプス・チャデンシスはなんとなく知っている程度である
デニソワ人とネアンデルタール人の関係は面白そう
また、その中で交雑が行われているということは驚きだった
Posted by ブクログ
ゲノム解析など新しい技術のおかげでこの10年でだいぶ様相が変わってきている。5年後はもっと新しいことがわかるのだろう。長生きするのが楽しみになる。
Posted by ブクログ
最近のDNA分析によって人類の起源や日本人の起源、成立の過程について、これまでの定説が覆されるケースも出てきていることがわかった。
この著者の方は、断定せずにこうこうこういう理由でそうじゃない可能性もあるよと正直に書かれているところに好感。結局まだ何にも分かってないのねと残念ではあるが、サンプルの少ないにも関わらず、とても偏った見方で自説を言い切っている本もあるから、ちゃんと事実だけから判断してそう解釈できるのか見極められているのか怖くなる。言い切ってくれたほうがわかりやすいのだろうけど。
それから、この本にも新たな文化とかが自然的に産まれたと解釈するより渡来した人がもたらしたと考えるほうが正確という記述があったが、何故なんでも渡来した人がもたらしたと考えるのか不思議でならない。最初に生まれた地域はあるのだし、交流関係なく同時に生まれることもあるだろうし。昔からそこが疑問。
Posted by ブクログ
面白いけど,興味と基礎知識がないとちょっと読みにくいかも。
絶滅した人類の話、現代人の各集団の近さなど、テーマ自体は興味のある人が多いだろうけど、今解明されていることから判りやすく現生人類の形成史を説明、、、という一般向けな読み物によくあるパターンとはちょっと違う。
むしろ、どういう研究の結果から今の定説に至ったかを丁寧に解説している感じで、学問史に近いかもしれない。この分野の最先端の研究手法など知りたい人にはすごく良いと思う。
Posted by ブクログ
小中でかつて習った人類の歴史が、今や覆されてる、とは聞いていたが、こういうことだったかとわかった。
サルからヒトへ、一直線というか枝分かれしながら進化してきたイメージだが、ネアンデルタール人と、分岐後も交雑してきたとのこと。ゲノム解析がいかに強力か。
内容自体は、科学用語も多く、流し読みは難しい。新書なので、一般向けに解説されている。
Posted by ブクログ
DNA解析によって人類の古代史研究は進歩を遂げている。ミトコンドリアDNAを中心した研究があったのは昔から知っていたが、核のDNAの解析が2010年代から行われるようになり、人類史の常識は大きく変わっていった。その成果の一つが現生人類はネアンデルタール人等の別種の人類と交雑していて、その遺伝子の一部を引き継いでいること。
日本人の起源として語られる縄文人と弥生人の二層構造モデルについても、縄文人や弥生人の遺伝的多様性を単純化し過ぎているということが分かった。
ただ、本書を読んでも、人類の進化の全体像を理解するのは難しかった。
Posted by ブクログ
化石からゲノムの分析が可能になり、人の起源は10年前とは全く違ったことになっている。
ミトコンドリアDNA、Y染色体の分析などにより、文化や文明の伝播まで推測することが可能になっている。もちろん全てが明らかになったわけではなく、未解明なところもたくさんあるのだが。
いやもう、圧倒。子供の頃勉強した教科書の知識なんか、それにしがみ付いていては寧ろ誤解しか生まないのかあ。
具体的に、どこからどう進化してとか、詳細は殆ど頭に残っていないが。
亡くなった後に化石で見つかるのもあれなんだが、数千年、数百万年後に、どこどこで交雑したとか、何喰ってたとか、近親婚だったとか、噂されると思うと恥ずかしゅうて堪らん。
Posted by ブクログ
原人、旧人、そして、現生人類、すなわち、ホモ・サピエンスがどのような系統や経緯を経て産まれてきたのか、あるいは、ホモ・サピエンスがどのように世界中に散らばっていったのか、といったようなことについては、少し前までは発掘される遺跡や人骨の形態的特徴をもとに行われていたが、人骨を含む発掘物のDNA鑑定・ゲノム解析をすることによって、より正確に、より詳細に、物事が分かるようになってきた。すなわち、DNA・ゲノムを調べるという技術が確立されてから、学問の方法論が大きく変わったのである。
本書は、古代DNA研究により明らかになりつつある、人類の足跡を、明らかになっている範囲で説明したものである。テーマとしては壮大で興味深い。ただ、説明が詳細に渡り、また、学問的な正確さをも確保しようとした記述なので、なかなか、簡単に筋が頭に入りにくい(要するに読みにくいということ)。もう少し、「かいつまんだ解説」「素人に分かりやすい説明」があると、もっと面白いのにと思った。
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ここからは、全く別の話
ブグログには、いくつかの統計的機能が備わっているが、それによると、私の書いた感想数は、いつのまにか2000を超えたことになっていた。我ながら、よく書いたものだと思う。
ダッシュボードによれば、私の「ブグログ歴」は、今日(2024年1月20日)で、4564日となっている。12年と180日程度なので、「ブグログ歴」が始まったのは、2011年の半ばという計算になる。ただ、私は、既にないブログ「たなぞう」から「ブグログ」への移転者なので、実際に感想をブログに書き始めたのは、もう少し前のことになる。最初に書いた(あるいは、少なくとも初期に書いた)感想は、関川夏央の「汽車旅放浪記」だったような気がする。それの出版は2006年6月、私が感想を書いたのは2007年1月6日のことだという記録が「ブグログ」に残っていた。すなわち、今から17年前のことになる。
17年かけて2000冊の感想を書いたということは、1年間に約120冊弱の感想を書いたことになる。これも、我ながら、よく続いたものだと思う。
以前はメモ書き程度の感想しか書いていなかったが、最近は、少し時間をとって丁寧な感想が書ければ良いな、と思っている。感想を書くために、メモをとったり、少し読み返したりすることで、そうしない時よりも、本をよく読めたような気になったりもする。
1冊の本を読む時間は、本の長さによって全く異なるが、仮に感想を書いている時間を含めて1冊読むのに4時間かかっているとすると、2000冊で8000時間。8000時間を24時間で割ると、約333日。1日眠らずに24時間本を読んでいたと仮定して(そんな仮定は実際には成り立たないが)この17年間のうちの1年間程度は、朝から晩まで本を読んでいたことになる。それは、自分にとっては、とても大切で楽しい時間だったわけであり、あらためて、本を読むことが好きで良かったなと感じる。