あらすじ
古人骨に残されたDNAを解読し、ゲノム(遺伝情報)を手がかりに人類の足跡を辿る古代DNA研究。近年、分析技術の向上によって飛躍的に進展を遂げている。30万年前にアフリカで誕生したホモ・サピエンスは、どのように全世界に広がったのか。旧人であるネアンデルタール人やデニソワ人との血のつながりはあるのか。アジア集団の遺伝的多様性の理由とは――。人類学の第一人者が、最新の研究成果から起源の謎を解き明かす。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
おもしろかった!!!!
専門的な内容ですが平易な文章でかかれていて毎晩すこしずつ、たのしくよみました。
超俯瞰的な規模で人類をみてみるとほんとうに人種なんて些細なものだなとかんじました。
ただ興味深くおもしろいだけの本ではなく、ただあたらしい知識を得られるだけの本でもなく。
人類間にいまだ根強くある差別について、人類の起源をたどるという形で一石を投じるような意義のある本だったと思います。
よむことができてよかったです。
Posted by ブクログ
2023/1/8 ジュンク堂神戸住吉店にて購入。
2024/5/16〜5/21
2022年のノーベル医学・生理学賞を受賞したペーボ博士の研究で有名になった古代人のDNA解析。そこからわかる我々人類の進化の過程のお話。いやあ、非常に面白い。今ではこんなこともできるようになってるんだ。
Posted by ブクログ
新書大賞第2位ということで手に取ってみた。
以前は古人骨からミトコンドリアを取り出し分析することしかできなかった(十分すごいと思う)。しかし科学の進歩に伴い、21世紀になってから古代ゲノム解析が可能になった。古代ゲノム解析によって古人骨のかけらや便などからも多くのことがわかるようになった。それは性別や性別だけではなく食生活から集団の規模まで。それらの情報を集めることで人類の起源(どういった流れでホモサピエンスが世界展開を成し得たか)を読み解くのが本書である。
古代ゲノム解析によって非常に多くのことが解明できるというのは衝撃だった。特に遺伝的特徴を共有している集団と言語的集団が相関関係にあるというのは私にとって新しい発見だった。現代のグローバル社会ならいざ知らず、太古の昔であれば言語や文化を共有していると婚姻するのは当たり前といえば当たり前なのだが。
種の定義として「自由に交配し、生殖能力のある子孫を残す集団」とある。私もこの理解だったが、ではホモ・サピエンスとネアンデルタール人が別種である根拠は何なのだろう?交配は限定的だったから別種ということなのだろうか?また、アメリカ大陸に農耕が伝わった方法に関してもよくわからなかった。ベーリング陸峡を経てアメリカに渡ったのは狩猟採集民だよね?
内容は非常に濃密で興味深かったのだが、正直なところ私には少し難しかった。難解な内容が簡潔にまとめられているのだろうが、淡々と根拠と結論が提示されていくだけで、教科書を読んでいるような感覚になった。さすがは中公新書というべきか。予備知識があったりすればもっと楽しめるのだろう。
終章には古代ゲノム解析の結果を悪用し、人種や民族を差別することに対する警鐘を鳴らしていた。ここ最近読んだ『なぜ事実は人の意見を変えられないのか』でも人の行動の80%以上は共通しているとあった。人は皆そんなに変わらない。仲良くしていけばいいのにな。