内澤旬子のレビュー一覧
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数人からオススメされた屠畜の本。いきものがお肉になるまでを描いた(本当に詳細なスケッチもある)一冊。各国の美味しく食べるための技や、衛生管理や効率化するための職人的技術はすごい。動物愛護のことや職業差別の意識についても各国でインタビューされてて、自分はどう思うだろう、どこの国のどの宗教のどの人の考えに近いだろうといろいろな視点があり面白い。モンゴルの平原のように空間だけでなく動物と人間と自然と、全てのものが平行、水平で真っ直ぐだというのは、わたしでは現地に行っても体感できない気がする。お肉は美味しく食べてるし、山羊皮の財布気に入って使ってるから、いろんな人に感謝感謝の、読んで良かった一冊です。
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Posted by ブクログ
多くの人が日常的に肉を食べているにも関わらず、それがおいしいお肉になるまでの過程をビュジュアル的に思い浮かべることはできない。豚や牛、鶏、馬、鯨、鹿や羊、などなど。お肉になる動物は数知れず。魚をおろす人はまあまあいるが、俺、自分で鶏を絞めるよ、なんて人には出会ったことがないし、いたらなんでそんな話すんだよ、と白い目で見るかもしれない。
「屠畜」の現場は未知の世界だ。かつ食文化の盲点だ。
豚がどう解体されるのか知らなかったし、牛がどう解体されるのかも知らなかった。日本では電気ショックで気絶させて、気絶しているうちに解体していしまう。たぶん当の本人(本豚、本牛)は死んでるのに気づいてないん -
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千葉県旭市に車の免許も持たずに乗り込み、人に乗せてもらって取材するって甘えすぎ。。と少し怒りながら読む。でもこの人を巻き込むパワーが持ち味なのか。これだけ色々な人に感謝して最後豚を食べるときには300人が参加、豚肉料理は無事完食され、良かった良かったとこちらも嬉しくなる。テーマ的にしょうがないのかもしれないが、残酷な描写は不快。「乳房の肉を切ってもらってミルクが流れるステーキ食べた」とか。人間だっておっぱいで子供育てるのに同じ哺乳類によくそこまで冷徹に悪趣味になれるな。さらに睾丸を取って去勢する場面。「目玉の親父が取れない」って敬意が無さすぎないか。もういい、というまでにリアルな描写。意外と元
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前著「着せる女」がとっても楽しかったせいか、これも明るい遍路道中もの(タマキングの「だいたい四国八十八カ所」みたいな)だろうと思って読み始めたのだが…。うーん、ちょっとヘビーな読後感だ。考えてみれば、これが書かれたのはストーカーとの戦いのすぐ後であるし、だいたい女性が一人でお遍路をしようというのは、あんまり幸せいっぱいという状況ではないことが多かろう。私の思いこみが浅はかだったわけだけど。
早朝に起きてヤギの世話をし、軽トラでその日の最初のお寺まで行き、しょっちゅう道に迷いながらいくつかの札所を拝み、夕方には帰宅する。そうやって(イメージよりはずいぶん大きい)小豆島を1年以上かけて歩き遍路し -
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二日で読み切った。彼女の屠畜フェチっぷり全開って感じで旅が貫かれてる。これと言った心境の変化が著者の中であるわけではない。いちいち気にしてしまうナイーブさを持っていたらこんなには回れなかったんだろうけど、これだけ回り切ることに何の意味があるのかというとよく分からない。好きだから回ったんだなーってことはわかったけども。まあ、旅なんてモノはその程度のモノ。それは「僕の見た「大日本帝国」の旅も同じ。回りが評価をすると、なんだか高尚なことをしてきたかのようなパブリックイメージがつき、そのイメージに旅してきた本人も感化されちゃったりするんだけど。
僕自身、屠畜の様子をこうしてまとめて読むのは初めてだった -
Posted by ブクログ
世界各国で生き物が食べ物になる過程をまとめた本。品川に行くとSONYの目の前に食肉処理場があることにずっと物凄く違和感を感じていたが、この本を読んで、さらに、そんなに莫大な量の食べ物が作りている事にも驚いた。
肉を作る人達の事を差別する歴史があることは知識として知っていたが、実感値としては全くわからない。お百姓さんありがとうというのとほぼ同じ感覚だな。よくいう話ではあるし、巻末で佐野真一も書いているが、生と死が遠くにありすぎる事はいいことのようには思えない。なんで生きていられるのか、理解するべきだと思う。残酷なんてナンセンスで、動物愛護という考え方やそういう人に対しての忌避感には人間のエゴを強