辰巳芳子のレビュー一覧
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加賀前田藩に仕えた武士の家系で、料理家、随筆家の辰巳芳子さん(1924.12.1~)の「美といのちのために」、2017.12発行です。日本の美についての雑誌「和楽」連載をまとめたものです。あたりまえのことを、丁寧に、繰り返しきちんとやる。美を求める感性は、そこから育まれる。本当に何でもないこと、日常の中に美がある。日本の景色の中でいちばん美しいのは黄金色に実った水田。米づくりには全部で135もの手順(段取り)がある。日本人の美徳。昔、日本を訪れた英人が、日本の稲作はガーデニングだと。
「無私」でなければ「美」にはならない。「我」のあるものはダメ。
その美しさが日本から急激に消滅しようとしている -
Posted by ブクログ
わたしたちが食べるものは、すべからく他の何かの「命」だ。
そしてわたしたちの体はすべて食べたものでできている。
生きることは食べること。そして食べることは本来、命と向き合う行為なのだ。
食べること、そして命そのものと向き合い続けることで獲得された著者の哲学。とても興味深く拝読した。
著者はこれから食べようとするもの=命を畏れ敬う。なるべく最大限にその命を活かすよう料理するときにもその心を忘れない。
そして食べる人間に対しても命を与えて生かそうとする。
命を繋げるための栄養を与えられればいい、という発想にはならない。「やさしさ」が必要なのだと。
できあいのものが悪いとは思わないけど、命と向 -
Posted by ブクログ
著者の辰巳芳子(1924年~)は、家庭料理・西洋料理の料理研究家にして、多数の著書を持つ随筆家。母は、料理研究家の草分け的な存在である辰巳浜子。2012年には、その活動がドキュメンタリー映画『天のしずく 辰巳芳子“いのちのスープ”』で紹介された。
私は自ら料理をすることはなく、(幸いにして自らの“いのち”を差し迫ったものとして意識するに至ったことのない)現状健康な、50余歳の会社員であるが、著者のような(料理に限らない)一道を極めた人の言葉からは、思いもよらない気付きを得ることが多く、本書を手に取った。
そして、本書を読み終えて、物心がついてからでも40年を超える自らの「食」に対する認識は、(