桃戸ハルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ショートショートが100話。
「賢さの証明」、「愛はお金では買えない」、「最後の一言」はブラックジョークが効いていて面白い。
比較的本書はブラックな結末を辿るが、それは心の中にある己の闇を引き出すのに持ってこいだ。
自分の心の闇を知れば対処ができる。
インフルエンザと同じで、かかった、とわかれば対処もできるが、わからなければ対処できない。
私は清廉潔白、真っ白なのだ、素晴らしい人間であらねば、と思うからうまくいかなくなる。
かといって私はダメな人間で最低最悪だ、と思いこみすぎるのもまた極端に卑下していてうまくいかない。
大事なことは、認めて、微修正を繰り返すこと。
それが難しいのはわかっている -
Posted by ブクログ
100話のショートショート。
全て関係ないわけではなく、物によっては話が続いているものも。
ストーカーの話、科学者の話、魔神の話などはつながっていて面白い。
特に魔神の話はお気に入りだ。
騙し、騙され、改心し、で、結局搾取される。
ここだけ読むと特殊詐欺、いわゆる「母さん助けて詐欺・オレオレ詐欺」のようだ。
簡単にできる、誰からも指示されない楽に稼げる方法は、と思うけれど、結局詐欺グループも「会社」みたいな構造。
結局人間は社会のピラミッドから逃れられない。
第83話のサッカー選手の話は実際の話を翻案したものだそうだ。
日本では奉仕活動というのが弱かったり、胡散臭いものとして扱われがちだ(欧 -
Posted by ブクログ
30編のショートショート。
幽霊屋敷は、住人が発狂しそうになっているが、それを別の箇所から覗いている誰かがいる。
人の苦しみを面白がっていることが果たして倫理的にどうか…?
そのあとの見物人たちの言葉が怖い。
でも、我々もやっては、いまいか?
誰かが苦しんでいるのが面白くてたまらない。
だって、苦しむのは私じゃないから。
『会えるのは一度だけ』
ドラえもんに同じような話があったなと既視感を覚えた。
翻案と言えるのかもしれないが。
『理想の恋人』
本当に理想の恋人で、私も欲しい。
でも、それを追求しすぎると、なんだか人の心を失いそうだ。
中にはどこかで見たことのあるものもあるし、昔話を翻 -
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これまでのシリーズとは違っているところは、イラストがいつもよりずっと多いところ。
そしてはじめは短い話であるが途中ページから、漫画になる。
読みやすい!
しかし、内容はダークネス!
一瞬で100万円稼げるバイト(簡単にお金が手に入るということは、それなりの対価があるということ!)、
海外旅行に行くためにすべり台やブランコを使う話、「最高の状態」、「ぼくときみ」、とにかく、夏にふさわしく、ゾッとする。かわいい絵柄でごまかされているが、これ、グロい話ってやつじゃないですかね?!
なにはともあれ、物語は壮大になり、そして、なぜピグマリオンが副題なのかについて読者は理解する。
私たちは、所詮彫像な -
Posted by ブクログ
本書に収められている、「オトナバー」は、第15回坊ちゃん文学賞ショートショート部門の大賞受賞作とのこと。
昔はバーに出かけることもあった。
しかし今ではキッチンで缶チューハイを飲む生活。
雰囲気もなにもなく、どたばたとうるさい子供たちを見ながら夕飯を作る。
ひたすら目の前のことを片付け続ける毎日。
その隙間を縫ってやってくる悩みは尽きない。
そんな時、こんなバーがあれば。
少し心が軽くなるかもしれない。
大人になってわかる。
大人って、意外と大人じゃない。
変わらないけれど、変わったように見せているだけなのだ、と。
「使えない部下」
これは、仕事をしている人ならきっとわかるはずだ。
酒の肴 -
Posted by ブクログ
いつの間にかこんなにシリーズが増えていたとは。
読書が苦手という人、学校で「朝の○分間読書」がある人、恋をしている人、10代。
そんな人にオススメだ。
もちろんどれにも当てはまらない人にも。
10代を思い出して、胸がときめく。
ま、残念ながら女子校で、先輩を見てときめくこともなかったし、学校があまり好きではなかったので、妄想も多分に含まれるが。
「自慢の彼氏」は、やっちまったな(笑)と意地悪な気持ちが満たされる。
ざ ま あ
的なね。
そんな気持ちを恥ずかしくなんて思わないでよい。
綺麗な心ばかりではないことを自覚するか、現実世界では「いい人」で居続けられるのだ。
「ゲームの行方」秀逸!