砂川文次のレビュー一覧

  • 小隊

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    ◼️ 砂川文次「小隊」

    ロシア軍が北海道に上陸・交戦。凄惨な戦闘に訓練しか知らない自衛官たちは・・

    著者は元自衛隊員。「ブラックボックス」で3年前に芥川賞を受賞している。

    冒頭の表題作ではすでにロシア軍が上陸して攻めてくる前提で、釧路付近で迎え撃つ自衛隊、その大卒中隊長が主人公。敵は地形が変わるほどの圧倒的火力で自衛隊の陣を攻撃し、砲撃や撃ち合いで大勢の兵士が死ぬ。初めての、訓練ではない戦闘、命のやりとりにさらされた隊員たちの姿と、その前夜の、まだ訓練の名残りがあるかのような雰囲気とのギャップが生々しい。

    次の作品はイラクでの傭兵たち。こちらは自爆攻撃はあるものの本格的な戦闘はない。

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    2025年04月24日
  • 越境

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    なかなか難渋な文体で、迫力ありつつダラダラと
    凄まじい場面が展開してゆく。
    あるかもしれない北海道を舞台に、自衛隊の内実に沿ながら、墜落後、帯広釧路標別旭川に辿りつき、
    最後落ち着くかと思いきや、札幌で、最終決戦へ。

    これも諦めず最後まで読んで満足。

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    2025年03月25日
  • 小隊

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    最近戦争ものの小説を読んだせいか、おススメされたので読んでみた一冊。元自衛官が描く戦場のリアル…という惹句なのだが、こういうエグいのが読みたかったわけじゃないんだよなぁ…。

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    2025年02月11日
  • 越境

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    ネタバレ

    何かの紹介をざっと読んで、ロシアが北海道に突然攻め込んで来るという話を元自衛隊員の作者が描いたものという事で、戦時の戦略やら国家間の攻防、戦場のリアルな描写とかを勝手に期待して読み始めたが、そうではなかった。
    舞台は、ロシアが攻め込んで10年程経過した北海道で、ロシア軍、自衛隊、機動隊、マフィア、民兵組織等が入り乱れたまさに混沌の世界。主人公イリキが副操縦士として乗る自衛隊ヘリが撃ち落とされてから、釧路、旭川、滝川、札幌と移動する中で関わる戦闘も、色々な立場によるものらしいが、どの立場がどの立場と何故戦っているのか、札幌での核爆破に至る背景、目的も分かり難く、480頁で改行少なく文字量絶大を読

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    2025年02月08日
  • ブラックボックス

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     稍平凡に感じたが、純文系は最近読んでいなかったのでそれなりに楽しめた。

     コロナ禍真っ最中に芥川賞を受賞した作品。それを踏まえて読むと、成る程当時の気分とか風潮のようなものの手触りがそこはかとなく感じられる。

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    2025年02月04日
  • ブラックボックス

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    主人公・サクマの向こう見ずで暴力的な行動に辟易するものの、彼の抱える鬱屈や虚無感、将来不安から目を逸らすための現実逃避など、否応なしに共感出来る部分もあり、彼を『自分とは程遠い存在』と思うか否かで没入度は違うはず。それまでの不穏さに比べ、ラストは些か素直過ぎる気もするが【自由=不安】と【不自由=安心】を天秤に掛けることで、自身と向き合う機会を得たのは怪我の功名と言えようか。アンコントローラブルなものに溢れた現代社会の中で、コントローラブルであろう己自身の感情の機微を注視せよ、というメッセージを感じ取った。

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    2025年01月16日
  • 小隊

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    「小隊」
     北海道に攻め込んできたロシアにボコボコにされる陸自の話。彼らが前線で酷い目に遭いながらも、ラジオからは音楽番組が流れてくる。住民に避難を勧めに行けば、こっちには生活があるんだとつれない返事が返ってくる。
     現に戦争が始まったのだから、自衛隊以外の国民も戦争とは地続きになるはずなのだが、そんな実感は沸かないのがリアルな戦争なのだろう。物語の中で人が死んでいくのだが、悲しさとか敵への怒りみたいなものは湧いて来ず、なんというか、なんでこの人たちはこんなことをしなくちゃいけないんだろうという直観的な疑問が浮かんでくる。そりゃもちろん、敵が攻めてきたら戦わなきゃいけないのだから、疑問に思うこ

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    2025年01月13日
  • 越境

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    ネタバレ

    本の雑誌・年間ベスト。本作なんて、完全なエンタメ作だと思うんだけど、芥川賞作家なんですね。意外。とはいえ、特に導入部分の、改行や会話文が殆ど無い、びっしり埋め尽くされた字とか見ると、なるほど、文学だなって思えたりもする。舞台は、ロシアが進行し、無政府状態になった北海道。当然、ウクライナの被害が頭を掠めるんだけど、ひょっとしたらあり得たパラレルワールドを垣間見るみたいで、何とも不気味。最終、闘争の原因は核であることが判明し、なんと、その炸裂をもって物語が閉じられる。同部の描写は”はだしのゲン”そのもの。あな恐ろしや…。戦争反対。

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    2025年01月08日
  • 越境

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    戦闘や壮絶な描写が延々と続き読んでると大変疲れます。これは北海道の騒乱というより、仮想近未来の日本人や極東を取り巻く思想の戦いを描きたかったのかなと。危機感と国民に対する誠実な政治がどこまでも重要である、と言うのが主題かもね。H県とか米とかホンマに大丈夫なん?

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    2024年11月28日
  • 小隊

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    小隊、最前線で戦う人達。
    終わりの見えない、そもそも終わりが自分達の役割にあるのかどうか。

    少しも光を感じさせてくれない。意地でも見せない感じ。リアルを投げつけられた感じ。

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    2024年11月25日
  • 越境

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    ネタバレ

    越境

    著者:砂川文次
    発行:2024年7月30日
    文藝春秋
    初出:「文學界」2023年1月号~2024年3月号

    砂川文次の小説を読んだのは、芥川賞作品(2021年下期)「ブラックボックス」以来の2作目。その前年に「小隊」という戦争小説を出していて、それは読んでないけれど、ロシア軍が北海道に上陸、小隊を率いて任務についた自衛隊3慰の話だそうなので、この「越境」は続編的な意味があるのかもしれない。なお、今回は主人公が2慰なので出世していることになる。

    文字のぎっしりつまった480ページ、長すぎる、無駄が多い、分かりにくい、正直言って描写がうまくない、という第一印象だった。芥川賞の選評でも、吉

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    2024年08月27日
  • ブラックボックス

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    ずっと前に買って積読してたもの。
    前半はメッセンジャーについて詳細に書かれていて、ずっとその話なのかな?と思っていると、突然場面が変わりました。
    うーん…サクマはけっこうメッセンジャーに向いている感じなのだけど、それで満足しているでもなく…
    でも、キレて暴力に訴えるともうその時点で、やっぱりそれは駄目でしょう、と。
    世の中は不公平で、お金持ち、成功者といっても運によるもの…もちろん個々の努力もあるでしょうが、それすら生まれ持った才能があったからこそで…
    人は人!偉いも偉くないもないんだよ、と。好きなように生きれば良いんだよ、とサクマに誰か教えてあげればね、良かったよね、と思いました。
    そういう

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    2024年07月23日
  • ブラックボックス

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    そういう気持ちで生きている人がいるのか?と不思議だったけど、賞をとったのだから共感を得ていると思う。自分には考えられない視点を学べて良かった。感動という感じはまったくない。

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    2024年06月16日
  • ブラックボックス

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    ネタバレ

    他人の人生はブラックボックスで、どんなに憧れていてもそうなるまでの過程がどうなっているのかわからない、というのはたしかにそうだなあと思いました。
    サクマが自分の能力の中で人の役に立てること(本の中だと工具いじり)を感じ、希望を少し見出したところで本作は終わりですが、報われて欲しい思いました。

    ゴールがあらかじめ用意されている環境は安心で楽だけど、どれをとっても全く同じ日がないように、毎日何かが変わっていくことの方で生きている実感を味わえるというメッセージを感じました。

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    2024年05月10日
  • ブラックボックス

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    サクマの衝動的な言動の数々が、単調な日常から生じる将来への不安や、社会不信からくるものなのか、それとも先天的な性質なのか、、
    とにかく、彼の極度に自制心を欠いた行動には驚かされた。

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    2024年04月24日
  • 小隊

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    「小隊」はよかったけど、後の2作は刺さらなかった。
    戦争に至る背景とかもっと詳しく書いてほしかったかも…

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    2024年03月05日
  • 小隊

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    芥川賞受賞作
    「ブラックボックス」 を読む前に。
    非日常を日常とした若者の一人語り。
    といった感覚。
    たぶん再読はしないです。

    3篇収録されていて
    表題の「小隊」 は非常に読みやすく、
    デビュー作である 「市街戦」はもうろうとした意識の中の 展開のため少々読みにくさはある。
    とはいえ1冊通読するのに5時間程度。
    ふむ。

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    2024年02月23日
  • 臆病な都市

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    ネタバレ

    ⚫︎受け取ったメッセージ
    わからないものに対する畏怖が
    人々のパニックを作り出す

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)

    新型コロナ感染拡大の前に書かれた、新鋭による問題作。

    鳥の不審死から始まった新型感染症流行の噂。
    その渦中に首都庁に勤めるKは巻き込まれていく……。
    組織の論理と不条理、怖れと善意の暴走を生々しく描く傑作。

    組織の内部を描くという点で、物凄い洞察力を持った作家だ。
    ――亀山郁夫

    コロナがこうなる前に書かれているというのに凄みを感じる。
    ――安藤礼二

    まったく、なんだってあんな根拠のないものにそうすぐ振り回されてしまうのだろう。
    それとも本当に、ただ自分のあずかり知らぬと

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    2023年11月14日
  • 小隊

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    題名:「小隊」他二編の短編集。

    「小隊」は北海道にロシア軍が上陸し、釧路付近で地上戦になる話。
    この話が全編続くと思っていたら、すんなりあっけなく終わる。

    土地勘があるので、物語は生々しく思える。

    「戦場のレビヤタン」、「市街戦」はKが一人称で登場する。

    「市街戦」からの「戦場のレビヤタン」 なのかと邪推してしまう。

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    2023年02月03日
  • 小隊

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    自衛隊というか軍事に関して今まで触れたことがなかったので、知らない専門用語か多く多少読みにくく感じましたが、この作品を通じて「実際の戦争って、こんなものなのかもしれないなぁ」と感じた部分が235ページにわかりやすく書いてありました。

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    2023年01月26日