砂川文次のレビュー一覧

  • ブラックボックス

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    始終、陰鬱とした空気で物語は進む。
    このままじゃいけないと頭の隅で思いながらも、日々生活する為のルーティンに追われることで、枯渇していく未来をふわっと遠くに押しやり、思考に蓋をする主人公に共感した。
    恐らくADHDであろう主人公から見た社会は、ブラックボックスのように分かりにくい世界で、だから順応出来ずセーフティーネットからもこぼれてしまう。
    そして、社会からみた彼自身も、ブラックボックスの中でもがいているから救われない。
    自己中心的で人の気持ちに寄り添うことも出来ない彼だが、最後、自分の得意とすることで社会に通じるドアを開けることが出来たラストは、静かだが良かった。
    どんな形であろうと、人間

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    2025年09月09日
  • 小隊

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    小説『小隊』のマンガ版。内容は小説をしっかり踏襲した内容となっていた。

    戦闘描写の迫力を期待して読んだが、マンガの技法がそこまでうまいわけではなく、まあ及第点か。絵であることでイメージはある程度わいたけれど、期待を超える感じではなかった。

    小説を読んだのは確かウクライナ戦争以前だが、ウクライナ戦争後に改めて読むと、北海道が舞台というだけで単なる正規戦の話であり、凄惨さはない。理不尽なインフラや都市への攻撃も、前線での膠着も、民間人や捕虜の殺害も、子どもの連れ去りも、それらが起こる前の話。

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    2025年08月12日
  • ブラックボックス

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    ある種俯瞰的な表現で語られるのが特徴的。タイトルは外形と中身の話と理解したが、中盤の展開はその点からも印象深い。

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    2025年07月07日
  • 小隊

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    原作のとっつきにくさは漫画になることでかなり軽減されている。
    文字情報を基に頭の中で膨らんでいたイメージとのギャップはどうしてもあるが、原作の迫力は失われていないと感じた。
    版を重ねているようなので結構話題作なのかな?

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    2025年06月26日
  • 小隊

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    小説版は高評価⭐5 としていたので、コミックにも期待、頭の中で思い画いていた配置や様相などの答え合わせ?の意味も込めて読んでみた。
    やはり機微な心情などは表現しきれず、一般大衆向けを想定したのだろうからしょうがない点でもあるが、説明的なセリフが増えた分、小説で感じられた、常にそこにある不快感や理不尽さが薄れ、リアルなアクションコミックのようになった。これをきっかけに小説版を読んでみたいと思う読者が増えることを期待した導入版と考えるべきか。

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    2025年05月13日
  • 小隊

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    著者のバックグラウンドを全面に押し出した短編集。経験に基づく「戦場」の雰囲気は十分。日常と非日常の境目がテーマの1つ。中東やウ戦のことを考えつつ自身のGWを過ごす我々に、善悪や是非を問うのではなく、そういうものであることをありのまま伝えているものと理解。

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    2025年05月02日
  • 小隊

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    ◼️ 砂川文次「小隊」

    ロシア軍が北海道に上陸・交戦。凄惨な戦闘に訓練しか知らない自衛官たちは・・

    著者は元自衛隊員。「ブラックボックス」で3年前に芥川賞を受賞している。

    冒頭の表題作ではすでにロシア軍が上陸して攻めてくる前提で、釧路付近で迎え撃つ自衛隊、その大卒中隊長が主人公。敵は地形が変わるほどの圧倒的火力で自衛隊の陣を攻撃し、砲撃や撃ち合いで大勢の兵士が死ぬ。初めての、訓練ではない戦闘、命のやりとりにさらされた隊員たちの姿と、その前夜の、まだ訓練の名残りがあるかのような雰囲気とのギャップが生々しい。

    次の作品はイラクでの傭兵たち。こちらは自爆攻撃はあるものの本格的な戦闘はない。

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    2025年04月24日
  • 越境

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    なかなか難渋な文体で、迫力ありつつダラダラと
    凄まじい場面が展開してゆく。
    あるかもしれない北海道を舞台に、自衛隊の内実に沿ながら、墜落後、帯広釧路標別旭川に辿りつき、
    最後落ち着くかと思いきや、札幌で、最終決戦へ。

    これも諦めず最後まで読んで満足。

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    2025年03月25日
  • 小隊

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    最近戦争ものの小説を読んだせいか、おススメされたので読んでみた一冊。元自衛官が描く戦場のリアル…という惹句なのだが、こういうエグいのが読みたかったわけじゃないんだよなぁ…。

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    2025年02月11日
  • 越境

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    ネタバレ

    何かの紹介をざっと読んで、ロシアが北海道に突然攻め込んで来るという話を元自衛隊員の作者が描いたものという事で、戦時の戦略やら国家間の攻防、戦場のリアルな描写とかを勝手に期待して読み始めたが、そうではなかった。
    舞台は、ロシアが攻め込んで10年程経過した北海道で、ロシア軍、自衛隊、機動隊、マフィア、民兵組織等が入り乱れたまさに混沌の世界。主人公イリキが副操縦士として乗る自衛隊ヘリが撃ち落とされてから、釧路、旭川、滝川、札幌と移動する中で関わる戦闘も、色々な立場によるものらしいが、どの立場がどの立場と何故戦っているのか、札幌での核爆破に至る背景、目的も分かり難く、480頁で改行少なく文字量絶大を読

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    2025年02月08日
  • ブラックボックス

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     稍平凡に感じたが、純文系は最近読んでいなかったのでそれなりに楽しめた。

     コロナ禍真っ最中に芥川賞を受賞した作品。それを踏まえて読むと、成る程当時の気分とか風潮のようなものの手触りがそこはかとなく感じられる。

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    2025年02月04日
  • ブラックボックス

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    主人公・サクマの向こう見ずで暴力的な行動に辟易するものの、彼の抱える鬱屈や虚無感、将来不安から目を逸らすための現実逃避など、否応なしに共感出来る部分もあり、彼を『自分とは程遠い存在』と思うか否かで没入度は違うはず。それまでの不穏さに比べ、ラストは些か素直過ぎる気もするが【自由=不安】と【不自由=安心】を天秤に掛けることで、自身と向き合う機会を得たのは怪我の功名と言えようか。アンコントローラブルなものに溢れた現代社会の中で、コントローラブルであろう己自身の感情の機微を注視せよ、というメッセージを感じ取った。

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    2025年01月16日
  • 小隊

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    「小隊」
     北海道に攻め込んできたロシアにボコボコにされる陸自の話。彼らが前線で酷い目に遭いながらも、ラジオからは音楽番組が流れてくる。住民に避難を勧めに行けば、こっちには生活があるんだとつれない返事が返ってくる。
     現に戦争が始まったのだから、自衛隊以外の国民も戦争とは地続きになるはずなのだが、そんな実感は沸かないのがリアルな戦争なのだろう。物語の中で人が死んでいくのだが、悲しさとか敵への怒りみたいなものは湧いて来ず、なんというか、なんでこの人たちはこんなことをしなくちゃいけないんだろうという直観的な疑問が浮かんでくる。そりゃもちろん、敵が攻めてきたら戦わなきゃいけないのだから、疑問に思うこ

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    2025年01月13日
  • 越境

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    ネタバレ

    本の雑誌・年間ベスト。本作なんて、完全なエンタメ作だと思うんだけど、芥川賞作家なんですね。意外。とはいえ、特に導入部分の、改行や会話文が殆ど無い、びっしり埋め尽くされた字とか見ると、なるほど、文学だなって思えたりもする。舞台は、ロシアが進行し、無政府状態になった北海道。当然、ウクライナの被害が頭を掠めるんだけど、ひょっとしたらあり得たパラレルワールドを垣間見るみたいで、何とも不気味。最終、闘争の原因は核であることが判明し、なんと、その炸裂をもって物語が閉じられる。同部の描写は”はだしのゲン”そのもの。あな恐ろしや…。戦争反対。

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    2025年01月08日
  • 越境

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    戦闘や壮絶な描写が延々と続き読んでると大変疲れます。これは北海道の騒乱というより、仮想近未来の日本人や極東を取り巻く思想の戦いを描きたかったのかなと。危機感と国民に対する誠実な政治がどこまでも重要である、と言うのが主題かもね。H県とか米とかホンマに大丈夫なん?

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    2024年11月28日
  • 小隊

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    小隊、最前線で戦う人達。
    終わりの見えない、そもそも終わりが自分達の役割にあるのかどうか。

    少しも光を感じさせてくれない。意地でも見せない感じ。リアルを投げつけられた感じ。

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    2024年11月25日
  • 越境

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    ネタバレ

    越境

    著者:砂川文次
    発行:2024年7月30日
    文藝春秋
    初出:「文學界」2023年1月号~2024年3月号

    砂川文次の小説を読んだのは、芥川賞作品(2021年下期)「ブラックボックス」以来の2作目。その前年に「小隊」という戦争小説を出していて、それは読んでないけれど、ロシア軍が北海道に上陸、小隊を率いて任務についた自衛隊3慰の話だそうなので、この「越境」は続編的な意味があるのかもしれない。なお、今回は主人公が2慰なので出世していることになる。

    文字のぎっしりつまった480ページ、長すぎる、無駄が多い、分かりにくい、正直言って描写がうまくない、という第一印象だった。芥川賞の選評でも、吉

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    2024年08月27日
  • ブラックボックス

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    ずっと前に買って積読してたもの。
    前半はメッセンジャーについて詳細に書かれていて、ずっとその話なのかな?と思っていると、突然場面が変わりました。
    うーん…サクマはけっこうメッセンジャーに向いている感じなのだけど、それで満足しているでもなく…
    でも、キレて暴力に訴えるともうその時点で、やっぱりそれは駄目でしょう、と。
    世の中は不公平で、お金持ち、成功者といっても運によるもの…もちろん個々の努力もあるでしょうが、それすら生まれ持った才能があったからこそで…
    人は人!偉いも偉くないもないんだよ、と。好きなように生きれば良いんだよ、とサクマに誰か教えてあげればね、良かったよね、と思いました。
    そういう

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    2024年07月23日
  • ブラックボックス

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    そういう気持ちで生きている人がいるのか?と不思議だったけど、賞をとったのだから共感を得ていると思う。自分には考えられない視点を学べて良かった。感動という感じはまったくない。

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    2024年06月16日
  • ブラックボックス

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    ネタバレ

    他人の人生はブラックボックスで、どんなに憧れていてもそうなるまでの過程がどうなっているのかわからない、というのはたしかにそうだなあと思いました。
    サクマが自分の能力の中で人の役に立てること(本の中だと工具いじり)を感じ、希望を少し見出したところで本作は終わりですが、報われて欲しい思いました。

    ゴールがあらかじめ用意されている環境は安心で楽だけど、どれをとっても全く同じ日がないように、毎日何かが変わっていくことの方で生きている実感を味わえるというメッセージを感じました。

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    2024年05月10日