砂川文次のレビュー一覧

  • ブラックボックス

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    芥川賞私小説読むシリーズ。なかなか好き。生きづらい人間が沈んでいくなかに何かを見出す話は古今東西ハズレがない。

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    2024年09月20日
  • 越境

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    ネタバレ

    『ブラックボックス』、『小隊』と作者の小説を読んできたがいつも通りの内省的な文章と独りよがりの社会分析が心地よかった。基本的に私も同じような思考回路なんだろう。
    今回の舞台は『小隊』の10年後。ロシア反乱勢力、自衛隊くずれ、分類不可能な反社などが入り乱れてのカオス状態になった北海道。カオスは最後までつづき救われない未来が現在の北海道のほんの少し先に待っている。
    ただ、死なないスーパーマンが主人公以外にもいるのが何でもありに思えて不満だった。

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    2024年08月24日
  • ブラックボックス

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    主人公の「このままでいいのか」と焦りや不安がひしひしと伝わる作品でした。コロナがピークだった時は、給料が安定しない会社で働くことに不安を感じる人も多かったと思います。

    前半後半で大きく場面が変わり、後半に入ったときは『なぜ、刑務所にいるのか』と困惑したけど、徐々にその経緯がわかっていきました。

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    2024年07月03日
  • ブラックボックス

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    砂川文次『ブラックボックス』講談社文庫。

    初読み作家と思っていたが、どうやら2作目のようだ。この作家の先に読んだ第164回芥川賞候補作『小隊』が面白くなかったことを思い出す。

    元自衛官の作家による第166回芥川賞受賞作。

    バブル崩壊後の失われた30年と言われる長い不景気、新型コロナによる社会に漂う閉塞感。いつの間にか不安定な非正規雇用が当たり前という時代になってしまった。そんな嫌な雰囲気の中で物語は展開する。

    前半は読む限りでは、主人公のサクマが現代の非正規労働に苦しむ若者たちの姿と重なり、可哀想に思った。しかし、中盤過ぎの展開からサクマが何事にもだらしなく、直ぐにキレて暴力を振るうが

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    2024年02月28日
  • 小隊

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    北海道へロシアが軍事侵攻してきて自衛隊が食い止めなくてはならなくなった日本。戦争が始まるという実感がなく戦闘が始まる瞬間まで現実逃避をするリアリティとか、頭は上の空なのに訓練で作られた身体が勝手に動く緊迫感とか元自衛隊員の著者だから書けた話で圧倒された。

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    2023年04月18日
  • 小隊

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    何を見て、この小説にたどり着いたかは覚えていないのですが、
    近未来に、ロシアが日本に上陸。攻めてきた話。
    戦闘シーンの描写もすごいですが、著者ならではの自陣内でのやり取りの重きを置いた流れです。
    読み終わって、
    自分も、汗と泥を洗い流したいと思うような疲労感が得られます。

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    2022年12月24日
  • 臆病な都市

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    うわっ!すっげぇ。

    それが、この本を読み終わった時の印象ですね。中身を読みかえれば、いまの新型コロナウイルス感染症にまつわる騒動の事を書いていると思えなくも無いですが、本書の中では事態はより深刻になっていきます。

    いや、新型コロナウイルス感染症の話だけではないかもしれませんね。一部の行政手続きに関する、強烈な皮肉かもしれません。

    そのくらい既視感があるのは気のせいでしょうか?

    なんかめっちゃ考えさせられる作品でした。

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    2022年06月20日
  • 小隊

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    芥川賞を取った作家の戦争小説でした。

    元幹部自衛官という経験を活かし、味方と敵、日常と非日常、生と死、そしてそれらの狭間について、専門的な用語をとことんを使って物語を書いていました。

    読者に忖度せず、自衛官という主人公の視点で語ることで、今までの小説にない臨場感と緊張感が伝わってきました。

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    2022年06月04日
  • 小隊

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     表題作を含む短編集。主人公を極限状況に置きつつ、しかし平和な日常生活と地続きであることを自覚させつつ、人間の存在とは何か、生きるとは何かを問い続ける。文学的価値は非常に高い。内容が重くて娯楽性は低く、簡単には読み進められないけれど。

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    2025年12月07日
  • 小隊

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    この小説が雑誌に掲載された2020年、書籍として出版された2021年、ロシアが2022年にウクライナに侵攻すると、一体誰が思っただろうか。してみると、ロシア軍が北海道の道東に上陸し、局地的に戦争が始まるというこの小説が、全くあり得ない話ではないと思えてくる。いきなり戦争の最前線に押し出されることになった時、日本の自衛隊員は、本当に戦えるのか。「不撓不屈の精神でも高邁な使命感でも崇高な愛国心でもなく、ただ一個の義務」だという主人公、恐怖で震える自衛隊員たちが、決して職業軍人ではない自衛隊員の姿としてリアル。

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    2022年04月06日
  • 小隊

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    ネタバレ

    とにかく鬱!内容はロシア軍が北海道に攻めて来るという、タイムリーな内容。ロシア軍の圧倒的な兵器の前に日本軍はなす術無くジリジリと敗北していく様が描かれている。グロい表現が今でも頭にこびりついてるほど生々しくて気持ち悪かった。作者が元自衛隊という事もあって、戦争描写もリアルで読み応えがあった。

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    2022年03月03日
  • 臆病な都市

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    地方公務員(区役所の人とか)ってやっぱこんななんだ・・・
    市役所に勤めていた友人も、9時5時でお気楽な感じだったもんな・・・
    コロナ渦の今だと、下界(私のいる医療業界とか)はてんやわんやなのに、保身第一で働いているのか・・・
    お役所のへんな理屈で税金の無駄使いをジャブジャブしているのか・・・

    フィクションだけど、誇張されているんだろうけど、きっと都庁とか区役所勤務の公務員ってこんななんだろうな、って思ってしまうわねー。

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    2022年02月06日
  • 臆病な都市

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    『臆病な都市』は、新型感染症に対する集団ヒステリーと官僚組織の不条理を描いた小説だ。

    『臆病な都市』の中で描かれている新型感染症に対する集団ヒステリーや、大衆の行き過ぎた正義感は、現実世界のコロナ禍でも起こった出来事だ。コロナ禍をモデルにした小説かと思いきや、この小説はコロナ禍が深刻になる前に群像に掲載されている(2020年4月号)。中編小説なので、書かれた時期自体は新型コロナが話題になり始める時期よりも前のことだろう。『臆病な都市』はコロナ禍を予見した小説でもあるのだ。

    『臆病な都市』が描いたのは新型感染症に対する大衆のヒステリーだけではない。東京都庁を舞台に組織の不条理を描き、システム

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    2021年04月14日
  • ブラックボックス

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    物語だと終わりがあって、それが主人公又は読み手にとって収まりの良くないものであれば、バッドエンドと呼ばれる。しかし、現実はそうではない。多くの場合、突然人生が暗転したとて、まだ幕切れというわけには行かない。再び明かりがついたりつかなかったりする。そんな人生を生きていくために大切なことが何かを考えさせられたと感じた。

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    2025年11月02日
  • ブラックボックス

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    始終、陰鬱とした空気で物語は進む。
    このままじゃいけないと頭の隅で思いながらも、日々生活する為のルーティンに追われることで、枯渇していく未来をふわっと遠くに押しやり、思考に蓋をする主人公に共感した。
    恐らくADHDであろう主人公から見た社会は、ブラックボックスのように分かりにくい世界で、だから順応出来ずセーフティーネットからもこぼれてしまう。
    そして、社会からみた彼自身も、ブラックボックスの中でもがいているから救われない。
    自己中心的で人の気持ちに寄り添うことも出来ない彼だが、最後、自分の得意とすることで社会に通じるドアを開けることが出来たラストは、静かだが良かった。
    どんな形であろうと、人間

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    2025年09月09日
  • 小隊

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    小説『小隊』のマンガ版。内容は小説をしっかり踏襲した内容となっていた。

    戦闘描写の迫力を期待して読んだが、マンガの技法がそこまでうまいわけではなく、まあ及第点か。絵であることでイメージはある程度わいたけれど、期待を超える感じではなかった。

    小説を読んだのは確かウクライナ戦争以前だが、ウクライナ戦争後に改めて読むと、北海道が舞台というだけで単なる正規戦の話であり、凄惨さはない。理不尽なインフラや都市への攻撃も、前線での膠着も、民間人や捕虜の殺害も、子どもの連れ去りも、それらが起こる前の話。

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    2025年08月12日
  • ブラックボックス

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    ある種俯瞰的な表現で語られるのが特徴的。タイトルは外形と中身の話と理解したが、中盤の展開はその点からも印象深い。

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    2025年07月07日
  • 小隊

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    原作のとっつきにくさは漫画になることでかなり軽減されている。
    文字情報を基に頭の中で膨らんでいたイメージとのギャップはどうしてもあるが、原作の迫力は失われていないと感じた。
    版を重ねているようなので結構話題作なのかな?

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    2025年06月26日
  • 小隊

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    小説版は高評価⭐5 としていたので、コミックにも期待、頭の中で思い画いていた配置や様相などの答え合わせ?の意味も込めて読んでみた。
    やはり機微な心情などは表現しきれず、一般大衆向けを想定したのだろうからしょうがない点でもあるが、説明的なセリフが増えた分、小説で感じられた、常にそこにある不快感や理不尽さが薄れ、リアルなアクションコミックのようになった。これをきっかけに小説版を読んでみたいと思う読者が増えることを期待した導入版と考えるべきか。

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    2025年05月13日
  • 小隊

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    著者のバックグラウンドを全面に押し出した短編集。経験に基づく「戦場」の雰囲気は十分。日常と非日常の境目がテーマの1つ。中東やウ戦のことを考えつつ自身のGWを過ごす我々に、善悪や是非を問うのではなく、そういうものであることをありのまま伝えているものと理解。

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    2025年05月02日