砂川文次のレビュー一覧

  • ブラックボックス

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    ネタバレ

    読楽コーナーに1冊表紙が真っ黒な本があり、吸い込まれるように本を手に取りました。本について検索してみたところ、第166回芥川賞受賞作でした。主人公は自転車配達の仕事をしており、毎日同じことの繰り返しに飽き飽きしていたがこの先どうすることも無い人生だと諦めていた。ある日、ちょっとした事で刑務所に入ることになるというお話です。タイトルにあるブラックボックスというのは「毎日同じことを繰り返す人生だとしても明日はどうか分からない。」また、人が心の内に秘めている善か悪かは分かりませんがそういったことを表しているのだと思いました。主人公の感情の変化や社会構造への苛立ちが感じ取れる作品でした。

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    2025年05月02日
  • 小隊

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    ネタバレ

    『小隊』
    文藝春秋の砂川さんと小泉悠さんの対談で兼ねてより読んでみたいと思っていた作品。
    2022年にウクライナで戦争が始まったことはひどくショッキングでありセンセーショナルであったので、日々戦況や惨状を割とニュース等で追っていたが、そこで戦っている人の様子はなかなか想像がつかなかった。この作品を読んで、戦場での個人の目線を一つ与えてもらえたように感じた。
    死が紙一重に隣接する戦闘の中で、頭中沸騰しながらも訓練で培われた戦闘所作はオートマティックに体を動かし、そして時々私生活のあれこれが思考に去来する。何日も風呂に入れず痒い全身、体を締め付ける重い装備、散らばった肉片のディティールや、集団内に

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    2025年03月02日
  • ブラックボックス

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    人生に対するぼやっとした不安 同じ氷河期世代なのだろうか、日頃感じている表現しにくい不安をうまく表現している。どんな仕事も長く続かず、メッセンジャーボーイをしている主人公。いつまでも続けられないと感じつつ、かといって正社員になる行動もとれない。それどころか、家に訪ねてきた税務署員を殴り、どんどん廃退するのだった。

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    2026年01月01日
  • ブラックボックス

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    制度があったりルール強くある方が楽に生きる事ができそうだ。今風の会社で勤めることのトレンドとして自分の意思が会社の意思よりも反映されやすく、パワーバランスが昔と逆転している気がする。
    (フレキシブルな働き方、週休3日、転職のハードルが低くなったり)
    自由を求め、何にも縛られない生活が良いのかなぁと信じているのはムショに入る前のサクヤ。冒頭の
    「信号なんかに足止めをくらいたくなかった。」
    が分かりやすい。
    自由であり、自分の意思で物事を決める事ができるようになった今の時代には、生活には溢れるように娯楽が転がっている(ネトフリ、YouTube、スマホゲーム等)。そのせいで、「このままじゃダメだ。」

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    2024年10月30日
  • ブラックボックス

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    芥川賞私小説読むシリーズ。なかなか好き。生きづらい人間が沈んでいくなかに何かを見出す話は古今東西ハズレがない。

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    2024年09月20日
  • 越境

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    ネタバレ

    『ブラックボックス』、『小隊』と作者の小説を読んできたがいつも通りの内省的な文章と独りよがりの社会分析が心地よかった。基本的に私も同じような思考回路なんだろう。
    今回の舞台は『小隊』の10年後。ロシア反乱勢力、自衛隊くずれ、分類不可能な反社などが入り乱れてのカオス状態になった北海道。カオスは最後までつづき救われない未来が現在の北海道のほんの少し先に待っている。
    ただ、死なないスーパーマンが主人公以外にもいるのが何でもありに思えて不満だった。

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    2024年08月24日
  • ブラックボックス

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    主人公の「このままでいいのか」と焦りや不安がひしひしと伝わる作品でした。コロナがピークだった時は、給料が安定しない会社で働くことに不安を感じる人も多かったと思います。

    前半後半で大きく場面が変わり、後半に入ったときは『なぜ、刑務所にいるのか』と困惑したけど、徐々にその経緯がわかっていきました。

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    2024年07月03日
  • ブラックボックス

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    砂川文次『ブラックボックス』講談社文庫。

    初読み作家と思っていたが、どうやら2作目のようだ。この作家の先に読んだ第164回芥川賞候補作『小隊』が面白くなかったことを思い出す。

    元自衛官の作家による第166回芥川賞受賞作。

    バブル崩壊後の失われた30年と言われる長い不景気、新型コロナによる社会に漂う閉塞感。いつの間にか不安定な非正規雇用が当たり前という時代になってしまった。そんな嫌な雰囲気の中で物語は展開する。

    前半は読む限りでは、主人公のサクマが現代の非正規労働に苦しむ若者たちの姿と重なり、可哀想に思った。しかし、中盤過ぎの展開からサクマが何事にもだらしなく、直ぐにキレて暴力を振るうが

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    2024年02月28日
  • 小隊

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    北海道へロシアが軍事侵攻してきて自衛隊が食い止めなくてはならなくなった日本。戦争が始まるという実感がなく戦闘が始まる瞬間まで現実逃避をするリアリティとか、頭は上の空なのに訓練で作られた身体が勝手に動く緊迫感とか元自衛隊員の著者だから書けた話で圧倒された。

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    2023年04月18日
  • 小隊

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    何を見て、この小説にたどり着いたかは覚えていないのですが、
    近未来に、ロシアが日本に上陸。攻めてきた話。
    戦闘シーンの描写もすごいですが、著者ならではの自陣内でのやり取りの重きを置いた流れです。
    読み終わって、
    自分も、汗と泥を洗い流したいと思うような疲労感が得られます。

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    2022年12月24日
  • 臆病な都市

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    うわっ!すっげぇ。

    それが、この本を読み終わった時の印象ですね。中身を読みかえれば、いまの新型コロナウイルス感染症にまつわる騒動の事を書いていると思えなくも無いですが、本書の中では事態はより深刻になっていきます。

    いや、新型コロナウイルス感染症の話だけではないかもしれませんね。一部の行政手続きに関する、強烈な皮肉かもしれません。

    そのくらい既視感があるのは気のせいでしょうか?

    なんかめっちゃ考えさせられる作品でした。

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    2022年06月20日
  • 小隊

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    芥川賞を取った作家の戦争小説でした。

    元幹部自衛官という経験を活かし、味方と敵、日常と非日常、生と死、そしてそれらの狭間について、専門的な用語をとことんを使って物語を書いていました。

    読者に忖度せず、自衛官という主人公の視点で語ることで、今までの小説にない臨場感と緊張感が伝わってきました。

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    2022年06月04日
  • 小隊

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     表題作を含む短編集。主人公を極限状況に置きつつ、しかし平和な日常生活と地続きであることを自覚させつつ、人間の存在とは何か、生きるとは何かを問い続ける。文学的価値は非常に高い。内容が重くて娯楽性は低く、簡単には読み進められないけれど。

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    2025年12月07日
  • 小隊

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    この小説が雑誌に掲載された2020年、書籍として出版された2021年、ロシアが2022年にウクライナに侵攻すると、一体誰が思っただろうか。してみると、ロシア軍が北海道の道東に上陸し、局地的に戦争が始まるというこの小説が、全くあり得ない話ではないと思えてくる。いきなり戦争の最前線に押し出されることになった時、日本の自衛隊員は、本当に戦えるのか。「不撓不屈の精神でも高邁な使命感でも崇高な愛国心でもなく、ただ一個の義務」だという主人公、恐怖で震える自衛隊員たちが、決して職業軍人ではない自衛隊員の姿としてリアル。

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    2022年04月06日
  • 小隊

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    ネタバレ

    とにかく鬱!内容はロシア軍が北海道に攻めて来るという、タイムリーな内容。ロシア軍の圧倒的な兵器の前に日本軍はなす術無くジリジリと敗北していく様が描かれている。グロい表現が今でも頭にこびりついてるほど生々しくて気持ち悪かった。作者が元自衛隊という事もあって、戦争描写もリアルで読み応えがあった。

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    2022年03月03日
  • 臆病な都市

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    地方公務員(区役所の人とか)ってやっぱこんななんだ・・・
    市役所に勤めていた友人も、9時5時でお気楽な感じだったもんな・・・
    コロナ渦の今だと、下界(私のいる医療業界とか)はてんやわんやなのに、保身第一で働いているのか・・・
    お役所のへんな理屈で税金の無駄使いをジャブジャブしているのか・・・

    フィクションだけど、誇張されているんだろうけど、きっと都庁とか区役所勤務の公務員ってこんななんだろうな、って思ってしまうわねー。

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    2022年02月06日
  • 臆病な都市

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    『臆病な都市』は、新型感染症に対する集団ヒステリーと官僚組織の不条理を描いた小説だ。

    『臆病な都市』の中で描かれている新型感染症に対する集団ヒステリーや、大衆の行き過ぎた正義感は、現実世界のコロナ禍でも起こった出来事だ。コロナ禍をモデルにした小説かと思いきや、この小説はコロナ禍が深刻になる前に群像に掲載されている(2020年4月号)。中編小説なので、書かれた時期自体は新型コロナが話題になり始める時期よりも前のことだろう。『臆病な都市』はコロナ禍を予見した小説でもあるのだ。

    『臆病な都市』が描いたのは新型感染症に対する大衆のヒステリーだけではない。東京都庁を舞台に組織の不条理を描き、システム

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    2021年04月14日
  • 臆病な都市

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    「ブレイクダウン」が殊の外面白かったので、砂川氏の著作を遡って拝読。新型コロナ感染拡大前に書かれたからか、新型感染症が枕詞みたいになって問題作と言われているようだが、主題はそんなことではなく、お役所仕事に代表される、組織論理の不条理さと、その善意の無責任さが生み出す悪意の暴走が淡々と描かれている。そこまでの傑作とも思えないが、まあ普通に面白かった。

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    2026年01月12日
  • ブレイクダウン

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    「ブラックボックス」で第166回芥川賞を受賞した、砂川文次氏のアクション&バイオレンス、エンタメ小説。

    氏の著作「小隊」などを、特に「小隊」を文庫で読んだ人なら自衛隊モノ、北海道モノは、また来たか、と思うだろう。
    元自衛官の経験を活かし描かれたその作品は、マンガ化もされている。

    今までと異なる点は、物語自体が局地戦から、かなり壮大になっていること、最強の男が現れ、とにかく強い。強すぎる。1人でバッタバッタと平気で倒し、そして問題を解決していく一種のダークヒーローモノとも言える、など。
    最強の男のバックボーンも描かれ、何故そこまで強くなったのかも明らかになる。

    途中、映画「日本で一

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    2025年12月24日
  • ブラックボックス

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    物語だと終わりがあって、それが主人公又は読み手にとって収まりの良くないものであれば、バッドエンドと呼ばれる。しかし、現実はそうではない。多くの場合、突然人生が暗転したとて、まだ幕切れというわけには行かない。再び明かりがついたりつかなかったりする。そんな人生を生きていくために大切なことが何かを考えさせられたと感じた。

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    2025年11月02日