砂川文次のレビュー一覧
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ネタバレ読楽コーナーに1冊表紙が真っ黒な本があり、吸い込まれるように本を手に取りました。本について検索してみたところ、第166回芥川賞受賞作でした。主人公は自転車配達の仕事をしており、毎日同じことの繰り返しに飽き飽きしていたがこの先どうすることも無い人生だと諦めていた。ある日、ちょっとした事で刑務所に入ることになるというお話です。タイトルにあるブラックボックスというのは「毎日同じことを繰り返す人生だとしても明日はどうか分からない。」また、人が心の内に秘めている善か悪かは分かりませんがそういったことを表しているのだと思いました。主人公の感情の変化や社会構造への苛立ちが感じ取れる作品でした。
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ネタバレ『小隊』
文藝春秋の砂川さんと小泉悠さんの対談で兼ねてより読んでみたいと思っていた作品。
2022年にウクライナで戦争が始まったことはひどくショッキングでありセンセーショナルであったので、日々戦況や惨状を割とニュース等で追っていたが、そこで戦っている人の様子はなかなか想像がつかなかった。この作品を読んで、戦場での個人の目線を一つ与えてもらえたように感じた。
死が紙一重に隣接する戦闘の中で、頭中沸騰しながらも訓練で培われた戦闘所作はオートマティックに体を動かし、そして時々私生活のあれこれが思考に去来する。何日も風呂に入れず痒い全身、体を締め付ける重い装備、散らばった肉片のディティールや、集団内に -
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制度があったりルール強くある方が楽に生きる事ができそうだ。今風の会社で勤めることのトレンドとして自分の意思が会社の意思よりも反映されやすく、パワーバランスが昔と逆転している気がする。
(フレキシブルな働き方、週休3日、転職のハードルが低くなったり)
自由を求め、何にも縛られない生活が良いのかなぁと信じているのはムショに入る前のサクヤ。冒頭の
「信号なんかに足止めをくらいたくなかった。」
が分かりやすい。
自由であり、自分の意思で物事を決める事ができるようになった今の時代には、生活には溢れるように娯楽が転がっている(ネトフリ、YouTube、スマホゲーム等)。そのせいで、「このままじゃダメだ。」 -
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砂川文次『ブラックボックス』講談社文庫。
初読み作家と思っていたが、どうやら2作目のようだ。この作家の先に読んだ第164回芥川賞候補作『小隊』が面白くなかったことを思い出す。
元自衛官の作家による第166回芥川賞受賞作。
バブル崩壊後の失われた30年と言われる長い不景気、新型コロナによる社会に漂う閉塞感。いつの間にか不安定な非正規雇用が当たり前という時代になってしまった。そんな嫌な雰囲気の中で物語は展開する。
前半は読む限りでは、主人公のサクマが現代の非正規労働に苦しむ若者たちの姿と重なり、可哀想に思った。しかし、中盤過ぎの展開からサクマが何事にもだらしなく、直ぐにキレて暴力を振るうが -
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『臆病な都市』は、新型感染症に対する集団ヒステリーと官僚組織の不条理を描いた小説だ。
『臆病な都市』の中で描かれている新型感染症に対する集団ヒステリーや、大衆の行き過ぎた正義感は、現実世界のコロナ禍でも起こった出来事だ。コロナ禍をモデルにした小説かと思いきや、この小説はコロナ禍が深刻になる前に群像に掲載されている(2020年4月号)。中編小説なので、書かれた時期自体は新型コロナが話題になり始める時期よりも前のことだろう。『臆病な都市』はコロナ禍を予見した小説でもあるのだ。
『臆病な都市』が描いたのは新型感染症に対する大衆のヒステリーだけではない。東京都庁を舞台に組織の不条理を描き、システム -
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「ブラックボックス」で第166回芥川賞を受賞した、砂川文次氏のアクション&バイオレンス、エンタメ小説。
氏の著作「小隊」などを、特に「小隊」を文庫で読んだ人なら自衛隊モノ、北海道モノは、また来たか、と思うだろう。
元自衛官の経験を活かし描かれたその作品は、マンガ化もされている。
今までと異なる点は、物語自体が局地戦から、かなり壮大になっていること、最強の男が現れ、とにかく強い。強すぎる。1人でバッタバッタと平気で倒し、そして問題を解決していく一種のダークヒーローモノとも言える、など。
最強の男のバックボーンも描かれ、何故そこまで強くなったのかも明らかになる。
途中、映画「日本で一