アレン・エスケンスのレビュー一覧

  • たとえ天が墜ちようとも

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    『償いの雪が降る』に出てきた刑事と教授(弁護士)が主人公。
    読んでいなくてもまったく支障はないけど、彼らがどちらも信頼のおける人物で、いい友人同士ということがわかっているとより一層、その二人が対立しなければならない状況のつらさが浮き彫りになる。

    女性が殺害され、その夫が疑われる。なんとか犯行を証明しようとする担当刑事と、依頼人の無罪を証明しようとする弁護士、その両側からの視点で描かれる。
    どちらも正義のために力を尽くしているのがわかるだけに、片方に有利な事実が判明すればもう片方には不利ということになり、読んでいるこちらはとても複雑だ。ただ、どちらかというと弁護側に肩入れしたくなるかもしれない。
    刑事は数年前の妻の死を引きずっており、その危うさは本人も自覚していて、思い込みで間違った方向に舵を切ってしまうのではないか、という不安がつきまとう。違法に証拠をでっちあげるとは思わないけれど、どこか信用しきれない。
    一方、弁護士の方も過去に苦しめられているが、それはむしろ「絶対に罪のない人を有罪にしない」という信念を強固にしていて、有利に働いているように思う。

    リーガル・サスペンスが面白いのは、真相さえわかればいいわけではないところ。起訴して有罪にできるか、あるいは無罪にできるか。そこには政治的な思惑も絡んできて一筋縄ではいかない。
    どちらの主人公も人の道に反することはしないと信じられるので、その点ではストレスなく読むことができた。

    翻訳ではこれが2作目だが、実際はこの前にマックスの弟の事件が、そしてこの後にジェニの事件についての話もあるらしい。できれば刊行順に訳してほしかったなあ。
    ひとまず翻訳3作目を早く読みたい。こちらは『償い〜』と同じくジョーが主人公とのこと。

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    2022年07月19日
  • 過ちの雨が止む

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    AP通信の記者ジョー・タルボット。一度も会ったことのない父親が死んだらしいと聞いて、その街にやって来ると、トラブルの嵐。父親は殺された可能性大、彼の妻は自殺、娘は意識不明。遺産相続問題も絡んで・・・

    読むのに時間がかかったがそれだけの意味はあった。

    正義とか悪とか、愛とか嫌悪とか、人間のあれやこれやについて考えさせてくれる。

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    2022年07月10日
  • 過ちの雨が止む

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    前作「償いの雪が降る」に続きジョー・タルバートが主人公 劣悪な家庭環境から抜け出し 自閉症の弟をも助け出して 恋人も記者の職も得たジョーは 本作で 生まれる前に母を捨てた父親の死亡記事を見つける。その死は事件性があり 自分には腹違いの妹がいることを知ったジョーは一度も会ったことのない父が死んだ町に向かう。人は変われるか、人は変わらないのか 両方の例がここにある。本を読んで泣くことは求めてないが 戸棚のメープルシロップでちょっと泣いた。

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    2022年07月04日
  • 過ちの雨が止む

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    大学を卒業し、AP通信社の記者になったジョーは、ある日、自分と同姓同名の男の不審死を知らされる。死んだ男は、名前が同じだとしか知らない実父なのかもしれない――。凶行の疑いがあるというその事件に興味を抱いて、ジョーは現場の田舎町へ向かう。多数の人々から恨まれていた男の死の謎に挑むが……。

    「償いの雪が降る」の続編。
    「うちというのは場所じゃないこともある。それは人なんだ」ある登場人物の台詞が心に残る。

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    2022年06月20日
  • 過ちの雨が止む

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    自分と同じ名前の男が不審死。その男は実の父親なのか。記者をしているジョーは事件を調べに行く。謎解きミステリーの趣と家族の物語でもある。著者の他の作品もそうだけれど人の内面を静かに濃く描くのが上手い。だからミステリーということを忘れそうになるときがある。人と人との間にある微妙な揺らぎのようなものが感じれてそれがとても好み。

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    2022年05月15日
  • 償いの雪が降る

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    良い作品です。丁寧に描かれています。
    人物描写が良く、特に主人公には感情移入してしまいます。
    展開は、まあ、ベタですが個人的には好きです。
    終わり方がイマイチで、消化不良的後味ですね。最後の最後でタイトルに還る描写にして欲しかったな。
    五十嵐貴久先生とか、太田愛先生ならきっと最後のフィニッシュにもっと神経使っただろうな。
    たぶん、訳者の方が上手で、それに助けられていると感じました。
    ー

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    2021年08月23日
  • 償いの雪が降る

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    面白かった。希望を感じさせつつもほろ苦いラストがいい。
    序盤の30ページくらいはなかなか頁が進まなかったけど、裁判の資料を取り寄せたあたりからぐんぐん勢いがついてきて、そこからは一気に読んでしまった。
    事件の真相はすぐに想像がつく(実際ほぼその通りだった)。だが本書の見所はそこではない。
    何故そうなったのか?真相をいかに証明するか?その過程でこれでもかと発生するトラブルの数々…。
    事件絡みを抜きにしても、主人公ジョーの人生は苦難の連続だ。時には逃げ出したり、見て見ぬふりをしながらも、少しずつ前進していく。

    苦学生、死期がせまった人との交流、というのでなんとなく本多孝好の「MOMENT」を思い出した。

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    2021年08月22日
  • たとえ天が墜ちようとも

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    『償いの雪が降る』につづき2冊目。前作では主役を助ける2人が主役に。面白かった。犯人は想定がつくが、最後の展開は予想外だった。この作家の作品は他に4作もあるそう。次の作品を心待ちにする作家がまた一人加わった。

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    2021年07月03日
  • たとえ天が墜ちようとも

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    高級住宅街での殺人。被害者の夫ブルイットに疑いをかける刑事マックス。一方マックスの友人弁護士ボーディはブルイットの潔白を証明するため弁護を引き受ける。話はこの二人が法廷で対峙するところから始まり回想へと続く。一章でマックス側に十分思い入れをしたのち、二章でボーディにも寄り添ってしまい、その後は何が真実なのか本当にヤキモキしながら読み進めることになった。タイトル通りの彼らの誠実さがわかるだけに、真実がわかり犯人の狙いが明らかになったときはもう‼こんなラストとは思いもしなかった。人物の重なる次の1冊にも期待。

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    2020年11月03日
  • たとえ天が墜ちようとも

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    ネタバレ

    前作は教養小説の色合いが強く、未熟な登場人物にじれったさを感じ、情緒的なトーンに今ひとつ乗り切れなかったが、今回は大人の話で格段に面白い。

    突然妻を失った夫の悲しみに満ちた回想シーンは胸を打つ。

    刑事弁護士としての経験が生きる法廷の場面は、一気読み。

    タイトルが示す「正義」への強い意志が根底にあるので、悪意に満ちた世の中に惓んだこころに心地よかった。

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    2020年10月25日
  • あの夏が教えてくれた

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    後の敏腕弁護士ボーディ・サンデン、青春の物語

    誰にでも覚えのある思春期特有の現実逃避と未来への希望
    小さな町に蠢く悪意、人種差別、暴力、過去の後悔や痛みに囚われている人々、無邪気な正義感
    ある人物の失踪を発端に、ボーディ15歳の夏がはじまる
    鮮やかなミズーリ州の描写と鬱屈した少年ボーディ、レイシストの不良たち、相棒トーマス、可憐な少女ダイアナ、寡黙な母親、そして謎深き隣人ホーク…

    登場人物たちの心の機微がボーディの一人称で丁寧に描かれ、ストーリーは緊張感漂ようなか進んでいく

    無知で無垢な少年ボーディの一夏の成長譚

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    2026年09月28日
  • 償いの雪が降る

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    先が読めてしまうストーリー展開で、多少物足りなさはあったが、楽しめた。
    犯人はもちろん、主人公ジョーの母親など不愉快なキャラクターも多いが、悲惨な家庭環境にも関わらず強く優しく穏やかなジョーは魅力的。
    自閉症の弟を守り続ける姿も心温まる。

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    2025年08月28日
  • 償いの雪が降る

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    ネタバレ

    ストーリーは面白くて一気に読んだ。
    けど、住所バレてるのにライラとジェレミーを連れて家に戻ってくるのは解せない。

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    2025年05月16日
  • 償いの雪が降る

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    大学生のジョーは課題で身近な年長者の伝記を書くことになった。
    祖父母、父親はおらず母親はアル中という家庭環境のため題材探しのために訪れた先の介護施設で14歳の少女の強姦殺人の罪で服役していたカールを紹介される。
    カールは膵癌のため余命宣告を受けていた。
    カールにインタビューをする中でカールが無実ではないかと疑いを抱いたジョーは独自に調査を開始する。

    ・感想
    定番、王道な展開だった。
    王道は嫌いじゃないけどもうちょっと何かが足りない。
    面白くない訳ではないんだけど…キャラクターの味付けも事件も全部ありふれてる感じがした。
    ミステリーというよりサスペンスかも。
    サスペンスにしても起こる出来事が全部予定調和っていうか終始予測可能な範囲内で展開してた。

    ボーディの子供時代である4作目を1番最初に読んだからボーディが出てきたの嬉しかった。

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    2024年09月13日
  • あの夏が教えてくれた

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    ネタバレ

    CL 2024.9.1-2024.9.3
    1970年代、いまだ人種差別が色濃く残るアメリカの田舎町が舞台。作者の他の作品にも登場するボーディが少年の頃のひと夏の成長譚。
    終盤、一気に多くの人が死んでしまうのが重すぎる。

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    2024年09月03日
  • あの夏が教えてくれた

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    田舎町に暮らす少年ボーディ。その街で一人の女性が失踪する事件が起きる。そして近所に黒人一家が越してきて、その家には同い年の少年トーマスが。
    あらすじが難しい。失踪事件があり、トーマスとの友情譚があり、隣人ホークの過去話がいろいろと絡み合って・・・なかなかに興味深い。いや面白いんですけどね。黒人差別的なものがそこかしこにでてくる。白人至上主義の過激団体とか。そして差別的な人物はことごとく悲惨な末路をたどるわけで。なんだろうな、説教臭さみたいなものを感じてしまった。この手の差別問題とか、あと環境問題とかを物語に持ち出すとものすごくわかりやすく単純に善悪がはっきりするのであんまり好きじゃない。「面白い」お話じゃなくて「正しい」お話をしないといけないみたいな窮屈さを感じる。特に最近の海外文学では。

    いやまあそれを抜きにしても面白い話ではあったんですけどね。なんでもこの作品の主人公ボーディくんは別の作品では成長した姿でまた主人公を務めているんだそうで。機会があったら是非読んでみたいと思います。

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    2024年08月15日
  • あの夏が教えてくれた

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    地方の保安官が自分の管轄区内で起きている集団による人種差別を放置し、みずからも助長するような言動で差別に反対する人々を苦しめている。C.J.ボックスのジョー・ピケットシリーズの初めに出て来る悪徳保安官もそうだったけど選挙でえらばれる公務員っていったん悪いほうに行くと歯止めが利かなくなるのかな?
    ミステリではなく追想の青春小説だった。

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    2024年07月28日
  • あの夏が教えてくれた

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    アレン・エスケンスじゃん!
    新作じゃん!

    すぐさま借りました
    この作家さん大好きなんです

    『償いの雪が降る』『たとえ天が堕ちようとも』『過ちの雨が止む』と、これまで三作品が訳されています

    エスケンスの作品群は、作者自身はシリーズではないと語っているそうですが登場人物を通してつながっています
    ある作品の主人公が他の作品では脇役として登場し、その作品に登場した人物がまた別の作品では主役を務めるといった形で主な登場人物たちは作品間で重なり合っている

    そして、人々が困難な事態に真摯に向き合う姿に心を打たれるのがアレン・エスケンスの作品の魅力のひとつだろう


    本作は『償いの雪が降る』『たとえ天が堕ちようとも』に登場したボーディ・サンデンの少年時代の物語である
    元弁護士で、ロースクールの教授のボーディが成熟した大人ではなく、まだ十代の若者で非凡な経験を通じて成長する姿が描かれている

    本作と他の作品を併せて読むことで、少年の頃のボーディと、後の成長した姿を並べてその思いを馳せることができるだろう
    また、複数の作品が重なり合うことでさらに深い感動をもたらしてくれるでしょう!


    今後の作品も楽しみです

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    2024年04月28日
  • 償いの雪が降る

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    余命幾許もない元受刑者の老人と知り合った青年が約30年前の殺人事件の真相を追う縦軸に、躁鬱病の母親と自閉症の弟を抱える彼の家族問題、アパートの隣に住む女子大生とのロマンスという横軸が絡み合う豊潤なミステリー小説。海外ミステリーを読み慣れていれば中盤で真犯人の予想がつくだろうし、その後の展開も決して目新しくはない。しかしながら、不完全なヒーロー像を体現する主人公・ジョーの奮闘ぶりや爽快感溢れるラストシーンといい、実直かつ熱量のある作風が魅力的だ。ジョーが主人公の正式続編があるようなので、そちらも読むつもり。

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    2024年02月19日
  • たとえ天が墜ちようとも

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    CL 2023.11.23-2023.11.25
    「償いの雪が降る」のスピンオフ。
    今頃この作品の存在を知って遅ればせながら読む。
    殺人事件をめぐって警察官と弁護人という敵対する二人が主人公。
    なので単なる警察小説ではなく、法廷小説というだけでもない。どちらもが正義を為すために力を尽くす。敵対する立場でもどちらにも感情移入できて気持ちよく読めた。

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    2023年11月25日