アレン・エスケンスのレビュー一覧
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アレン・エスケンスの「償いの雪が降る」シリーズが面白かったので、こちらも期待。この人の作品は、映像的でノスタルジック。今回は「償いの雪が降る」にも登場したボーディ・サンデンが主人公。って誰?覚えてなかったです。
15歳のボーディの、ひと夏を描いた小説。1970年代、今よりももっと深い差別主義がはびこるアメリカの町。そこへ工場長として黒人一家が、ボーディの向かいの家に引っ越してくる。ボーディは、工場長の息子トーマスと知り合いになるが・・・。
ボーディでさえ知らず知らず無意識にしてしまう差別、大声では立ち向かわず、でも決して屈しない黒人たち、町の有力者が集う白人至上主義のグループ。閉鎖的な町は、黒人女性の横領と行方不明事件から端を発し、息が詰まる緊張感に包まれる。
その事件を軸に話が進んでいくのだけれど、夏休みのボーディとトーマスのキャンプ生活、アルバイト、ちょっとした冒険の数々が生き生きと描かれ、友情を育む様子が本当に良かった。頭で分かっていても理解できず、心の底にある差別を拭うには、相手を良く知ることなんだと改めて感じた。
隣に住む、まるで保護者のようなホークが、ボーディを正しく導くよう会話を重ね、でも決して威圧的ではなく、少年2人を守り続けたことが心に沁みた。
最後はちょっと涙なしでは語れない終わり方でした。 -
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ネタバレ「償いの雪が降る」の続編だったので。
大学を卒業しAP通信社の記者となったジョー。
父親と同じ名を自分につけたと母親から聞いていたジョーは、
同姓同名の男性の不審死を知らされ、彼の写真が自分と似ているのを認めて、
父親ではないかと事件の起こった町へ向かう。
父親は殺されたと判るが、異母妹は事件の時から意識不明、
容疑者は異母妹の恋人らしい。
父親の兄も町を訪れ、遺産目当てで異母妹の後見人になろうとして、
ジョーを追い払おうとする。
ジョーは容疑者と接触して情報を聞き出そうとするが…。
前作は大学の課題のために知り合った元服役囚という、
いわば他人の事件だったが、
今回はジョーの父親が殺された事件で、
自分自身に関わる事件だった。
しかも、AP通信社の記者として書いた記事が訴えられ解雇寸前、
恋人ライラは司法試験直前、
弟は新しい職場にストレスを感じて不安定と、切迫感は高い。
とはいえ、早い段階から「遺産」というお金がちらついた点や
(最終的に受け取らないことになるだろうな、とは思っていたが)、
弟の後見をめぐって母親と争った過去の部分がちょっと長すぎると感じた点、
記事への訴訟があっさり解決した点、
前回の被害者の日記の暗号解読同様、遺言の真偽の判断が簡単すぎる点と、
不満もあったが、
母親が薬物中毒から更生して和解し、ライラとも仲直りができて良かった。
母親が更生会のミーティングで、
寒い日にジョーが弟にコートをとってきて着せた話をしていた場面が、
ちょっと感動的だった。 -
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ネタバレ『償いの雪が降る』に登場する弁護士ボーディ・サンデンの高校時代を描く青春ミステリ。
公民権法が制定されて間もない、まだ人々の意識に人種差別が色濃い時代。田舎町に住む少年ボーディの向かいに都会から越してきたのは、ボーディ家よりも裕福な黒人のエルギン家。一家の息子トーマスはボーディと同い年の少年で、彼よりも経験豊富で洗練されている。当初は衝突した二人だが次第に交友を深めていく。
ある日キャンプをしていた二人は、山林の中で行方不明になっていた女性の死体を見つけ、それが近頃話題になっていた横領事件の渦中にあった女性ということを知る。
時を同じくして、コープスと呼ばれる白人至上主義集団がエルギン家や彼らと親密なサンデン家を攻撃する事件も発生する。容疑者と思しき男を告発するも、その一族は地元の有力者ということもあり保安官はまともに取り合わない。
殺人事件の真相と憎悪犯罪が次第に重なり合っていく。
少年たちの青春の煌めきと人種差別の暗い影。他者を排斥することで纏まろうとする愚かしさや理不尽さ。ボーディ少年の視点で語られることで、様々な感情が綯い交ぜになる。自分の過ちに対する贖罪としてサンデン母子を見守るホークの生き様が胸を打つ。 -
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ボーディは田舎町で暮らす15歳の少年。父を亡くし母親と寂しい日々を送っている。高校に馴染めず、友達は一人もいない。静かすぎるその町で最近大事件が起きた。町最大の企業に勤める黒人女性が不審な失踪を遂げたのだ。捜査中の保安官が、ボーディが慕っている隣人のホークを訪ねてきた。女性はかつてホークの部下で、ふたりのあいだには噂があったという。思いがけない事件が、ボーディの日常に不穏な影を落とす――。現実に悩みながらも、少年は鮮やかに成長する。『償いの雪が降る』の著者による心震える青春ミステリ!
翻訳四作目。今回も良作。少年たちの一夏の冒険記かと思いきや、そうではありませんでした。 -
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苦労しながら大学を卒業したジョーは、AP通信社に記者として入社した。
上院議員のスキャンダルを記事にしたジョーは、議員から事実無根による名誉毀損で訴訟を起こされる。
会社からは法廷対策として情報源を明らかにするように要求されるが、秘密を守ると約束して情報を得たとの理由から明らかにすることは出来ないと、猪突猛進型のジョーはキッパリと断る。
職を失うかも知れない問題を抱えている時に、自分と同姓同名の男が殺されたとの情報を得る。
もしや会ったこともない実夫かも知れないとの興味が湧き、司法試験を直前に控えて勉強に励んでいるパートナーのライラに弟のジェレミーの世話を無理やり押し付け、殺人事件が起きた田舎の地へ向かう。
現地で殺された同姓同名の男は、多数の人々から恨まれたり嫌われていた問題の人物だった。
その男の情報を現地で集めていたところ、ジョーは警察から殺人の容疑者との疑念を持たれる。
そしてジョーはとんでもない状況に追い込まれ、ジェレミーとライラを失う事態になるかもしれないとの不安に駆られる。
とても複雑な人間関係が絡み合い、そこに突如湧いてきた大金の行方もジョーの意識を大きく動かし、生き方そのものを左右させるような状況が続く。
非常に困難な状況に嵌ったジョーだが、懸命に複数の殺人事件の解決に挑むことになる。 -
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ネタバレジョーの大学の課題は身近な誰かの伝記を書く事だが、彼には適当な身内がいないため介護施設で末期がん患者のカールを紹介される。
カールは30年前に少女暴行殺人で有罪となり、今は死の直前なので仮出所が許され施設で過ごしている。
カールはインタビューを了解し過去を語りだす。
以下 ネタバレです。
設定から見てカールは冤罪で、ジョーがその冤罪を晴らすストーリーなのは最初っから分かります。
真犯人も特に意外性はなく、かなり早い段階で推測できます。
カールの語りの中に真犯人や冤罪の証拠が有るのかと思いましたが、そこもチョット違う。
また幾つか引っかかる部分の内の一つで、カールが30年前に裁判を急がせた背景がスッキリしませんでした。
と、面白くなかったかのような感想を書きましたが、全般的には登場人物が皆個性的でストーリー展開も早く大変楽しめました。
原題 “The life we bury” の直訳ではなく、邦題の「償いの雪が降る」は雰囲気が良く出ていると思います。 -
Posted by ブクログ
アレン・エスケンスの邦訳2作目。
「償いの雪が降る」では普通の大学生ジョーが事件に巻き込まれて行きましたが、それを助けてくれた刑事と弁護士が主役です。
高級住宅街で事件が起きた。
刑事マックス・ルパートは、被害者の夫プルイットを逮捕する。
夫のほうは、ボーディ・サンデンに弁護を依頼。教授で弁護士でもあるボーディは、冤罪を巡ってジョーの力になってくれた人物であり、マックスの親友でもあるのだ。
親友同士の対決…
どちらも正義感が強く、ごまかしもしないが、譲りもしない。
マックスは妻ジェニの交通事故死が解明されていないことをいまだに引きずっています。
ボーディにも苦しみがある。
「たとえ天が墜ちようとも」というタイトルは、「正義を為せ」と続く。
1作目は長い時間をかけて熟成されたデビュー作で、若者の成長譚でもあるので、独特な厚みと細やかさがありました。
2作目の雰囲気は、プロ同士の話。
アメリカのミステリにある刑事もの弁護士ものの手堅いタイプという印象ですが、作者自身が25年もキャリアのある刑事弁護士だった裏打ちもあり、法廷の説得力がさすがです。
ジョーの恋人ライラも仕事に関わっていて、成長したジョーの姿も垣間見せてくれます。
こうした関係性が世界を膨らませていて、皆いい人たちばかりなために、嬉しさを倍加させてくれます。