アレン・エスケンスのレビュー一覧

  • あの夏が教えてくれた

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    ネタバレ

    『償いの雪が降る』に登場する弁護士ボーディ・サンデンの高校時代を描く青春ミステリ。
    公民権法が制定されて間もない、まだ人々の意識に人種差別が色濃い時代。田舎町に住む少年ボーディの向かいに都会から越してきたのは、ボーディ家よりも裕福な黒人のエルギン家。一家の息子トーマスはボーディと同い年の少年で、彼よりも経験豊富で洗練されている。当初は衝突した二人だが次第に交友を深めていく。
    ある日キャンプをしていた二人は、山林の中で行方不明になっていた女性の死体を見つけ、それが近頃話題になっていた横領事件の渦中にあった女性ということを知る。
    時を同じくして、コープスと呼ばれる白人至上主義集団がエルギン家や彼ら

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    2024年05月19日
  • あの夏が教えてくれた

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    これまで読んできた作品に比べ、甘め。ミステリ要素よりも、少年の夏がじわじわ滲みる青春小説の側面が強いです。彼らが聴く音楽とか過ごし方とか、そうだよなと思わせるものばかりでこちらも郷愁に浸りました。大人へと歩みを進める少年の足跡が目に見えるよう。そしてホーク、、、泣けちゃうよ。また、ブラックの方々が置かれている状況のあまりの厳しさに目を覆いたくなります。カントリーサイドの話だとはいえ、これは酷すぎる。小説を読まなければ知ることができない現実、まだ今もあるのでしょう。

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    2024年05月13日
  • たとえ天が墜ちようとも

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    マックス・ルパート刑事と親友のボーディ・サンデン弁護士(教授)が、妻殺しの事件の訴追側と弁護側で対決、という要約をもとに読み始める。
    法廷ミステリは苦手なので躊躇してたが、そんなにガチの白熱対決でなくてよかった(ふっー)
    友情と正義、どちらも大切に扱われてます。
    それにしてもこの作者、終盤のたたみかける展開とどんでん返し的なケリのつけ方が凄まじい。お気に入りです。

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    2024年05月08日
  • あの夏が教えてくれた

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    ボーディは田舎町で暮らす15歳の少年。父を亡くし母親と寂しい日々を送っている。高校に馴染めず、友達は一人もいない。静かすぎるその町で最近大事件が起きた。町最大の企業に勤める黒人女性が不審な失踪を遂げたのだ。捜査中の保安官が、ボーディが慕っている隣人のホークを訪ねてきた。女性はかつてホークの部下で、ふたりのあいだには噂があったという。思いがけない事件が、ボーディの日常に不穏な影を落とす――。現実に悩みながらも、少年は鮮やかに成長する。『償いの雪が降る』の著者による心震える青春ミステリ!

    翻訳四作目。今回も良作。少年たちの一夏の冒険記かと思いきや、そうではありませんでした。

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    2024年04月04日
  • 過ちの雨が止む

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    苦労しながら大学を卒業したジョーは、AP通信社に記者として入社した。
    上院議員のスキャンダルを記事にしたジョーは、議員から事実無根による名誉毀損で訴訟を起こされる。
    会社からは法廷対策として情報源を明らかにするように要求されるが、秘密を守ると約束して情報を得たとの理由から明らかにすることは出来ないと、猪突猛進型のジョーはキッパリと断る。
    職を失うかも知れない問題を抱えている時に、自分と同姓同名の男が殺されたとの情報を得る。
    もしや会ったこともない実夫かも知れないとの興味が湧き、司法試験を直前に控えて勉強に励んでいるパートナーのライラに弟のジェレミーの世話を無理やり押し付け、殺人事件が起きた田舎

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    2023年08月14日
  • 償いの雪が降る

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    ネタバレ

    カールもジョーもいい人やん。
    こういうのを久しぶりに読むと、なんか安心する。
    ミステリ読後の安心感というか、小さな希望はやっぱ必要じゃないだろうか。
    ジョーのオカンは、なんとかせな、な。

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    2023年06月05日
  • 過ちの雨が止む

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    自分の父親について知りたい!そんな生半可なストーリーではなくジョーを、取り巻く肉親や、恋人らを、巻き込み正義感だけで日夜葛藤する彼を応援しつつ読み進めました。後半に連れて展開していくストーリーは、読み応えあり!

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    2023年05月01日
  • 償いの雪が降る

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    ネタバレ

    ジョーの大学の課題は身近な誰かの伝記を書く事だが、彼には適当な身内がいないため介護施設で末期がん患者のカールを紹介される。
    カールは30年前に少女暴行殺人で有罪となり、今は死の直前なので仮出所が許され施設で過ごしている。
    カールはインタビューを了解し過去を語りだす。

    以下 ネタバレです。
    設定から見てカールは冤罪で、ジョーがその冤罪を晴らすストーリーなのは最初っから分かります。

    真犯人も特に意外性はなく、かなり早い段階で推測できます。
    カールの語りの中に真犯人や冤罪の証拠が有るのかと思いましたが、そこもチョット違う。
    また幾つか引っかかる部分の内の一つで、カールが30年前に裁判を急がせた背

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    2023年02月27日
  • たとえ天が墜ちようとも

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    ネタバレ

    最後がちょっと走りすぎた印象。もっといい終わりかたはなかったのかなー
    ライラやジョー、ニキとマックス、ジェニとアレクサンダー、娘のエマどれでもいいので
    最後に出してほしかった
    ただ、序盤から終盤まで目が離せず、二転三転していく物語は圧巻だったし、同じものを二つの視点から見る物語は両者に理解が出来て読んでいて楽しかった

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    2022年10月29日
  • たとえ天が墜ちようとも

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    アレン・エスケンスの邦訳2作目。
    「償いの雪が降る」では普通の大学生ジョーが事件に巻き込まれて行きましたが、それを助けてくれた刑事と弁護士が主役です。

    高級住宅街で事件が起きた。
    刑事マックス・ルパートは、被害者の夫プルイットを逮捕する。
    夫のほうは、ボーディ・サンデンに弁護を依頼。教授で弁護士でもあるボーディは、冤罪を巡ってジョーの力になってくれた人物であり、マックスの親友でもあるのだ。
    親友同士の対決…
    どちらも正義感が強く、ごまかしもしないが、譲りもしない。

    マックスは妻ジェニの交通事故死が解明されていないことをいまだに引きずっています。
    ボーディにも苦しみがある。
    「たとえ天が墜ち

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    2022年10月08日
  • たとえ天が墜ちようとも

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    初読み作家。筆者の元職業は刑事弁護士、して題名からすると、展開は概ね読めそうなだけに、同調理されるかが期待し、満足の行く展開だった。

    ボーディVsマックス、マックスVsベン、ベンVsボーディ
    何れとっても信頼がもととなる人間関係であった。
    刑事マックス、刑事弁護士ベン、元弁護士で、現在はロースクール教授のボーディが職においての立ち位置のあって各々の正義を貫こうとすると「誰かが嘘をついている」状況が見えてくる。前半、刑事の妻ジェニの交通事故死と未解決の真相に足元が揺らぐ心情が細かく描かれている‥そこへ加わる形で弁護士の妻殺害事件の操作が同時進行の形となって行く。

    主に心情がダイナミックに、或

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    2022年09月14日
  • 償いの雪が降る

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    彼を応援したくなったとの声に同意の挙手を。
    私なら家族の問題だけでお手上げだったかも。
    そのことに悩み振り回されながらも、同時に事件解明への意思も徐々に固くしてゆく。
    蘇る苦い記憶。迫る死。ただの授業の課題だったはずなのに…。
    過去のくさびを持つカール、穢れを知らないようなジェレミー。それぞれそこいるだけで、周囲の空気の色合いが違って見えるような気がした。
    後半は、エキサイティングなシーンが畳み掛け盛り上げる。
    ジョーとカール、よくぞ出会ってくれたと思う。

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    2022年08月25日
  • 過ちの雨が止む

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    大学生だったジョー・タルバートがシリーズ第二作では若手の記者となって、一緒に暮らす彼女と弟を支える大人ぶりだが、思い込みの激しさと後先考えずに突っ込んでいくところは相変わらずで、消息を絶っていた父親にまつわる愛憎劇に巻き込まれる。ろくでなしだったと母から言い聞かされていた男がやっぱりそうだったんだと明らかにした息子に最後に贈られたものがなかなかのものだったというオチは素敵でした。

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    2022年07月22日
  • たとえ天が墜ちようとも

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    『償いの雪が降る』に出てきた刑事と教授(弁護士)が主人公。
    読んでいなくてもまったく支障はないけど、彼らがどちらも信頼のおける人物で、いい友人同士ということがわかっているとより一層、その二人が対立しなければならない状況のつらさが浮き彫りになる。

    女性が殺害され、その夫が疑われる。なんとか犯行を証明しようとする担当刑事と、依頼人の無罪を証明しようとする弁護士、その両側からの視点で描かれる。
    どちらも正義のために力を尽くしているのがわかるだけに、片方に有利な事実が判明すればもう片方には不利ということになり、読んでいるこちらはとても複雑だ。ただ、どちらかというと弁護側に肩入れしたくなるかもしれない

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    2022年07月19日
  • 過ちの雨が止む

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    AP通信の記者ジョー・タルボット。一度も会ったことのない父親が死んだらしいと聞いて、その街にやって来ると、トラブルの嵐。父親は殺された可能性大、彼の妻は自殺、娘は意識不明。遺産相続問題も絡んで・・・

    読むのに時間がかかったがそれだけの意味はあった。

    正義とか悪とか、愛とか嫌悪とか、人間のあれやこれやについて考えさせてくれる。

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    2022年07月10日
  • 過ちの雨が止む

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    前作「償いの雪が降る」に続きジョー・タルバートが主人公 劣悪な家庭環境から抜け出し 自閉症の弟をも助け出して 恋人も記者の職も得たジョーは 本作で 生まれる前に母を捨てた父親の死亡記事を見つける。その死は事件性があり 自分には腹違いの妹がいることを知ったジョーは一度も会ったことのない父が死んだ町に向かう。人は変われるか、人は変わらないのか 両方の例がここにある。本を読んで泣くことは求めてないが 戸棚のメープルシロップでちょっと泣いた。

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    2022年07月04日
  • 過ちの雨が止む

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    大学を卒業し、AP通信社の記者になったジョーは、ある日、自分と同姓同名の男の不審死を知らされる。死んだ男は、名前が同じだとしか知らない実父なのかもしれない――。凶行の疑いがあるというその事件に興味を抱いて、ジョーは現場の田舎町へ向かう。多数の人々から恨まれていた男の死の謎に挑むが……。

    「償いの雪が降る」の続編。
    「うちというのは場所じゃないこともある。それは人なんだ」ある登場人物の台詞が心に残る。

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    2022年06月20日
  • 償いの雪が降る

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    アメリカの作家アレン・エスケンスの長篇ミステリ小説『償いの雪が降る(原題:The Life We Bury)』を読みました。
    ここのところ、アメリカの作家の作品が続いています。

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    余命わずかな殺人者に、僕は雪を見せたかった。
    バリー賞ほか3冠! 心揺さぶるミステリ

    授業で身近な年長者の伝記を書くことになった大学生のジョーは、訪れた介護施設で、末期がん患者のカールを紹介される。
    カールは三十数年前に少女暴行殺人で有罪となった男で、仮釈放され施設で最後の時を過ごしていた。
    カールは臨終の供述をしたいとインタビューに応じる。
    話を聴いてジョーは事件に

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    2022年06月09日
  • 償いの雪が降る

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    大学生のジョーは授業の課題として、伝記を書くことになった。身近に年長者がいないジョーは介護施設で元服役囚のカールを紹介される。カールは少女暴行殺人で有罪になり、癌で余命わずかのため釈放された。裁判の過程に疑問を持ったジョーは三十数年前の事件を調べ直し始める。

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    2022年05月29日
  • 過ちの雨が止む

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    自分と同じ名前の男が不審死。その男は実の父親なのか。記者をしているジョーは事件を調べに行く。謎解きミステリーの趣と家族の物語でもある。著者の他の作品もそうだけれど人の内面を静かに濃く描くのが上手い。だからミステリーということを忘れそうになるときがある。人と人との間にある微妙な揺らぎのようなものが感じれてそれがとても好み。

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    2022年05月15日