アレン・エスケンスのレビュー一覧
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ネタバレ『償いの雪が降る』に登場する弁護士ボーディ・サンデンの高校時代を描く青春ミステリ。
公民権法が制定されて間もない、まだ人々の意識に人種差別が色濃い時代。田舎町に住む少年ボーディの向かいに都会から越してきたのは、ボーディ家よりも裕福な黒人のエルギン家。一家の息子トーマスはボーディと同い年の少年で、彼よりも経験豊富で洗練されている。当初は衝突した二人だが次第に交友を深めていく。
ある日キャンプをしていた二人は、山林の中で行方不明になっていた女性の死体を見つけ、それが近頃話題になっていた横領事件の渦中にあった女性ということを知る。
時を同じくして、コープスと呼ばれる白人至上主義集団がエルギン家や彼ら -
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ボーディは田舎町で暮らす15歳の少年。父を亡くし母親と寂しい日々を送っている。高校に馴染めず、友達は一人もいない。静かすぎるその町で最近大事件が起きた。町最大の企業に勤める黒人女性が不審な失踪を遂げたのだ。捜査中の保安官が、ボーディが慕っている隣人のホークを訪ねてきた。女性はかつてホークの部下で、ふたりのあいだには噂があったという。思いがけない事件が、ボーディの日常に不穏な影を落とす――。現実に悩みながらも、少年は鮮やかに成長する。『償いの雪が降る』の著者による心震える青春ミステリ!
翻訳四作目。今回も良作。少年たちの一夏の冒険記かと思いきや、そうではありませんでした。 -
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苦労しながら大学を卒業したジョーは、AP通信社に記者として入社した。
上院議員のスキャンダルを記事にしたジョーは、議員から事実無根による名誉毀損で訴訟を起こされる。
会社からは法廷対策として情報源を明らかにするように要求されるが、秘密を守ると約束して情報を得たとの理由から明らかにすることは出来ないと、猪突猛進型のジョーはキッパリと断る。
職を失うかも知れない問題を抱えている時に、自分と同姓同名の男が殺されたとの情報を得る。
もしや会ったこともない実夫かも知れないとの興味が湧き、司法試験を直前に控えて勉強に励んでいるパートナーのライラに弟のジェレミーの世話を無理やり押し付け、殺人事件が起きた田舎 -
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ネタバレジョーの大学の課題は身近な誰かの伝記を書く事だが、彼には適当な身内がいないため介護施設で末期がん患者のカールを紹介される。
カールは30年前に少女暴行殺人で有罪となり、今は死の直前なので仮出所が許され施設で過ごしている。
カールはインタビューを了解し過去を語りだす。
以下 ネタバレです。
設定から見てカールは冤罪で、ジョーがその冤罪を晴らすストーリーなのは最初っから分かります。
真犯人も特に意外性はなく、かなり早い段階で推測できます。
カールの語りの中に真犯人や冤罪の証拠が有るのかと思いましたが、そこもチョット違う。
また幾つか引っかかる部分の内の一つで、カールが30年前に裁判を急がせた背 -
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アレン・エスケンスの邦訳2作目。
「償いの雪が降る」では普通の大学生ジョーが事件に巻き込まれて行きましたが、それを助けてくれた刑事と弁護士が主役です。
高級住宅街で事件が起きた。
刑事マックス・ルパートは、被害者の夫プルイットを逮捕する。
夫のほうは、ボーディ・サンデンに弁護を依頼。教授で弁護士でもあるボーディは、冤罪を巡ってジョーの力になってくれた人物であり、マックスの親友でもあるのだ。
親友同士の対決…
どちらも正義感が強く、ごまかしもしないが、譲りもしない。
マックスは妻ジェニの交通事故死が解明されていないことをいまだに引きずっています。
ボーディにも苦しみがある。
「たとえ天が墜ち -
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初読み作家。筆者の元職業は刑事弁護士、して題名からすると、展開は概ね読めそうなだけに、同調理されるかが期待し、満足の行く展開だった。
ボーディVsマックス、マックスVsベン、ベンVsボーディ
何れとっても信頼がもととなる人間関係であった。
刑事マックス、刑事弁護士ベン、元弁護士で、現在はロースクール教授のボーディが職においての立ち位置のあって各々の正義を貫こうとすると「誰かが嘘をついている」状況が見えてくる。前半、刑事の妻ジェニの交通事故死と未解決の真相に足元が揺らぐ心情が細かく描かれている‥そこへ加わる形で弁護士の妻殺害事件の操作が同時進行の形となって行く。
主に心情がダイナミックに、或 -
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『償いの雪が降る』に出てきた刑事と教授(弁護士)が主人公。
読んでいなくてもまったく支障はないけど、彼らがどちらも信頼のおける人物で、いい友人同士ということがわかっているとより一層、その二人が対立しなければならない状況のつらさが浮き彫りになる。
女性が殺害され、その夫が疑われる。なんとか犯行を証明しようとする担当刑事と、依頼人の無罪を証明しようとする弁護士、その両側からの視点で描かれる。
どちらも正義のために力を尽くしているのがわかるだけに、片方に有利な事実が判明すればもう片方には不利ということになり、読んでいるこちらはとても複雑だ。ただ、どちらかというと弁護側に肩入れしたくなるかもしれない -
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アメリカの作家アレン・エスケンスの長篇ミステリ小説『償いの雪が降る(原題:The Life We Bury)』を読みました。
ここのところ、アメリカの作家の作品が続いています。
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余命わずかな殺人者に、僕は雪を見せたかった。
バリー賞ほか3冠! 心揺さぶるミステリ
授業で身近な年長者の伝記を書くことになった大学生のジョーは、訪れた介護施設で、末期がん患者のカールを紹介される。
カールは三十数年前に少女暴行殺人で有罪となった男で、仮釈放され施設で最後の時を過ごしていた。
カールは臨終の供述をしたいとインタビューに応じる。
話を聴いてジョーは事件に