アレン・エスケンスのレビュー一覧
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『償いの雪が降る』に続くジョー・タルバートのシリーズ第二作。前作では少女暴行殺人罪で有罪となった過去を持つ末期がん患者をインタビューする大学生として、過去の事件の真相に取り組む姿を見せていた主人公ジョーだが、彼を取り巻く過酷で特殊な家族環境は、作品に重厚感と心震わせるヒューマニティを与える独特なスパイスであった。
本書でもそれら家族の問題を取り上げるばかりか、見知らぬ父が被害者となった殺人事件を息子が追う、しかも家族の過去を掘り出しつつ、現在の再生を願うというタルバートの第二の決定的な時期と事件と取り上げて、家族と言う問題、差別や欲といった部分にまで詰めてゆく非常に厳しい物語となっている -
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弁護士は辞めロースクールの教授をしているボーディ・サンデスに弁護の依頼が。旧知の弁護士ベン・プルイットが妻ジェネヴィエヴ殺害の嫌疑をかけられている。本人はシカゴにいてアリバイがあると主張するが、夜から朝までホテルにずっといたとは証明できない。しかし検察側も強引に起訴しようとする。被害者遺族は大金持ちで検事は次期判事になるための支援が欲しいのだ。また担当刑事マックスは妻を轢き逃げされ失意の日々。そこへ彼女を轢いた車の情報が入って来る・・息詰まる法廷戦術の行方は・・・
むむむ。これは面白かった。マックスの妻の件と本筋と繋がる様が素晴らしい。弁護士、刑事交互に事件を描写するのもいい。深夜に被告を目 -
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状況設定が凄い。前作『償いの雪が降る』では、若き大学生ジョー・タルバートの眼を通して、ヴェトナム戦争を引きずる余命幾ばくもない三十年前の殺人事件の容疑者の真実を探るという作業のさなか、ジョー自身やそのガールフレンドであるライラ・ナッシュを襲うハードな運命と歴史の闇が彼らに試練と経験を与えることになった。
前作でも登場の刑事マックス・ルパートと弁護士ボーディ・サンデンは、彼らがダブル主人公として実に印象深い活躍をする本作に限らず、その後のアレン・エスケンス作品にはおなじみのメンバーともどもそれぞれレギュラーやセミレギュラーとなって登場するらしい。本書では姿を見せない前作の主人公ジョーも、今 -
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ジェレミーに再び会いたい*( ᵕ̤ᴗᵕ̤ )*
と思って、先日「償いの雪が降る」を読んで即ポチした作品。
続きの作品なのかと思ったら、やんわり続いているけれど、今回はリーガル小説と言っていいんじゃないかな?
舞台は法廷でした。
高級住宅街で女性ジェネヴィエヴが殺害される。容疑者は夫で弁護士の ベン・プルイット。
プルイットは潔白を訴え、旧友で大学教授に転じていた弁護士 ボーディ・サンデスに弁護を依頼。
前回も出てきた刑事マックスと、マックスの友人である弁護士のボーディが、互いの正義の為に陪審裁判に臨む。
翻訳本なのに、この作者様の本は滅茶苦茶読みやすい!私が続けて読めるのだから(笑) -
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エスケンス3冊目。
本作は『償いの雪が降る』に登場したマックス・ルパード刑事と、ボーディ・サンデン教授が主役である。
警官と弁護士でありながら厚い友情で結ばれていた2人が、刑事裁判において敵同士となる。
注目すべきは、どちらもそれぞれが信じる正義のために戦っているということ。著者の作品はどれも、登場人物達が正義のためにどこまで自分を犠牲にして向き合えるのか、彼らがどう成長していくのかといったことがテーマとなっている気がする。
心が抉られるような事実が明かされたとしても、マックスとボーディが苦しみながらも奮闘し、自身が納得できる結末を迎えた姿に、読後は清々しい気持ちになれた。 -
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私にとっては4作目だが、アレン・エスケンスの翻訳2作目に当たる。と、後書きを見て気付いた。
主人公は2人。マックス・ルパート刑事と、ボーディ・サンデン弁護士。友人でもある2人が、ある殺人事件で対立する。今までは若者が主人公だった分、爽やかで初々しい気持ちになったが、今回は、中年の彼らがそれぞれ背負ってしまった人生の重みが読んでいて苦しい。特にマックスは最愛の家族を亡くして立ち直れず、その隙をボーディに突かれ、どんどん追い込まれていく。
2人が全力でそれぞれの正義で戦っているのだが、アメリカの法律の理不尽さ(規則ともいう)もやるせなく、一体この話はどういう風に決着するのか、先が全く読めなかった。 -
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アレン・エスケンスの「償いの雪が降る」シリーズが面白かったので、こちらも期待。この人の作品は、映像的でノスタルジック。今回は「償いの雪が降る」にも登場したボーディ・サンデンが主人公。って誰?覚えてなかったです。
15歳のボーディの、ひと夏を描いた小説。1970年代、今よりももっと深い差別主義がはびこるアメリカの町。そこへ工場長として黒人一家が、ボーディの向かいの家に引っ越してくる。ボーディは、工場長の息子トーマスと知り合いになるが・・・。
ボーディでさえ知らず知らず無意識にしてしまう差別、大声では立ち向かわず、でも決して屈しない黒人たち、町の有力者が集う白人至上主義のグループ。閉鎖的な町は、 -
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ネタバレ「償いの雪が降る」の続編だったので。
大学を卒業しAP通信社の記者となったジョー。
父親と同じ名を自分につけたと母親から聞いていたジョーは、
同姓同名の男性の不審死を知らされ、彼の写真が自分と似ているのを認めて、
父親ではないかと事件の起こった町へ向かう。
父親は殺されたと判るが、異母妹は事件の時から意識不明、
容疑者は異母妹の恋人らしい。
父親の兄も町を訪れ、遺産目当てで異母妹の後見人になろうとして、
ジョーを追い払おうとする。
ジョーは容疑者と接触して情報を聞き出そうとするが…。
前作は大学の課題のために知り合った元服役囚という、
いわば他人の事件だったが、
今回はジョーの父親が殺され