小野正嗣のレビュー一覧

  • ファミリー・ライフ

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    ネタバレ

    父が外傷により一夜にして脳障害を負った身として、「他人事ではない」という心持ちで手に取った本。読んでみると純粋に主人公の体験を追っていた。分かりやすく公正な文章で、瞬間ごとの主人公の心の動きを丁寧に描写している。ドラマに酔うこともないが冷淡でもない、冷静なわけでもない、主観にも客観にも偏らない作者の描写における距離が、この小説に親しみと好感を抱かせた。
    私小説、ということで書くのに相当な年月がかかったということだが、この短さにまとめた技術は凄い。
    主人公のガールフレンドへの想いが印象的だった。どんなに他を圧するような出来事が起ころうとも、私たちの人生の「他の部分」は引き続きあり続ける。それが大

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    2025年01月13日
  • 歓待する文学

    購入済み

    世界文学への軽妙な案内

    普段読まない世界文学の案内書として購入しました。NHKラジオでの講座を書籍化したものなので、語り口も柔らかく、とても読みやすい一冊です。世界文学と言っても欧米ばかりでなく、アジア系の現代文学も取り上げています。

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    2022年06月26日
  • 歓待する文学

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    ネタバレ

    よかった。読んだ物もそうでない物もあるが、どちらもフムフム、なるほどーと楽しめた。どの作品もとても丁寧に開かれていく。

    『ヌヌ』はちょっと意外な選書だなと思ったけれど、この小説の怖さも充分なほど伝わってくるし、”歓待”の視点でなぜこれが取り上げられたかも、なるほどーと思う。

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    2022年01月10日
  • 九年前の祈り

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    文体は美しく、情景が湧き上がる。
    短編4つの話の重なり方がとても良い。
    読後に子供の頃の記憶を辿ったような感覚になる。

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    2021年08月13日
  • 九年前の祈り

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    九州の片田舎、離島、カナダ、結婚、離婚というさまざまなキーワードが絡み合いながら、今と9年前の記憶が交錯する。何度読んでもその都度楽しめる。でもちょっと複雑で、読めば読むほど面白くなる作品だと感じた。再読することになりそうだ。

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    2019年08月17日
  • ファミリー・ライフ

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    20180304朝日新聞掲載


    おかしなやつにならないと周りの人は気にも留めてくれない
    、グサッときた。

    最後の一文がどう続いていくのか

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    2018年08月28日
  • にぎやかな湾に背負われた船

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    何なんだろう、この感じは。どう形容していいのかわからないが、とても良かった。特に併録されている『水に埋もれる墓』は深く印象に残った。

    その人間と不可分な「土地」というものの残酷さと滑稽さ。ことさらに否定するわけでもなく肯定するわけでもなく。悲しさと優しさ。

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    2016年04月11日
  • 残された者たち

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    読み終えて、「え・・なんで?」って思う。そして何とも表現しがたい何色ともわからない渦がもやもやと広がってくる。そのもやもやの広がりに抵抗したくて、何かを掴みたい思いで後戻りしページをめくる。

    外の世界と遮断されてしまったかのような小さな小さな集落で、そこに居るのは村最後の生き残りとも言える校長先生、村でただ一人の子ども かおる、肌の色が違う兄 純、兄妹の父であるトビタカ先生、そしてかおるを教えている杏奈先生。

    みんな血が繋がっていないし年代もバラバラで、肌の色さえ違っていたりするのだけれど、それぞれ心に何か暗いものを抱えていて、それ故に善良で優しく明るい。

    かおるが連れてきたガイコツジン

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    2015年06月28日
  • ファミリー・ライフ

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    ネタバレ

    インドからアメリカに家族で移住した著者の実体験に基づく小説。

    夏のプールでの事故により要介護状態となった兄。
    父はお酒に溺れて依存症に、母は何かすがりつくものを求めたりしている。
    主人公は現状を受け入れなければと思い、もがいている。

    どうなるのかはらはらしたが、最終的には良い方向になってホッとした。

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    2025年05月12日
  • あわいに開かれて

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    詩的で素敵な表現がたくさん。
    とても短い短編集で、どれも基本的に淡くぼかしたようなラスト。
    考える余地が多め。詩人や戦争の話はよく出てきた。
    ただやはりなんだか淡く夢の中のような感覚があるので、読んでいると眠くなる〜
    3日くらいかけて読んだが、何度か寝落ちした…。
    それもまた良い体験で、改めて少しずつ寝る前などに読み返したいなと思えるお話だった。

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    2024年01月17日
  • 九年前の祈り

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    NHK日曜美術館で朴訥としゃべる小野正嗣さんの芥川賞受賞作「9年前の祈り」とその続編。妻が面白かったと読み終えた後に手に取った小説。大分県の南部、過疎の集落に息づく人々と異人まれびととの交流を描く。そこに小野さんの兄おそらく軽度の知的障害がある方を「タイコー」として織り込んでいく。人が住まなくなっていく地域を今現在として描いていくローカルでありながら、地域を超えた私の生きる今につながる空間として実感させる作品であった。今後も小野さんの作品を読み続けていこうと思った。

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    2021年11月25日
  • ファミリー・ライフ

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    著者の実体験をもとにした半自伝的小説。プールの事故で寝たきりになってしまった成績優秀だった兄。介護のリアルが淡々と、粛々と物語は進む。表紙の絵も味わい深い。

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    2021年11月02日
  • 九年前の祈り

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    読書開始日:2021年8月29日
    読書終了日:2021年9月1日
    所感
    内容や構成は、視点が頻繁に変わるためかなり難解ではあったが、
    怒哀表現が完璧だと感じた。
    自分が感じたことのある心情が、包み隠さず詳細に描かれていた。
    本書は題別で話が進行していくと思っていたが、全てがつながっていくという自分好みの構成。
    ただやはり純文学ということもあり複雑で、しっかりとした繋がりは見せてくれない。
    ただ人間関係なんてそんなもので、実はつながっていても知らない、気づかない、思い出さないなんてざらだ。
    リアルに即していると思う。
    ここからは個人的な解釈だが、
    さなえは、過去のみっちゃん姉に救いを求めた。

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    2021年09月01日
  • 九年前の祈り

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    小野正嗣さんは、『水に埋もれる墓』『にぎやかな湾に背負われた船』と読んで、興味のある作家となった。どの作品も郷里である大分県のリアス式海岸にある小さな集落に根ざした物語だ。一方で小野さん自身はフランスに長く住んでいてインテリのイメージがある。そのギャップに興味がわく。いまの時代はグローバル化とローカルの再発見が同時進行していると思うのだが、小野さんの小説はローカルに徹底し、血の繋がりならぬ地の繋がりを見据えた先に、人間の悲しさや愛しさが描かれている。特にこの小説は、他界したお兄さんに捧げられている。付録に収録された芥川賞のスピーチが心を打った。

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    2018年07月28日
  • ファミリー・ライフ

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    同じようなありふれた不幸を経験したものとしては、心から共感できるものだった。

    子どもに突然訪れた不幸は、もちろん人生を変えるが、その変わり方は親ときょうだいでは違う。親はとことん悲しみ、必死に状況を良くしようと努力する。生きることの中心が不幸な子どものことになる。が、きょうだいはどこか客観的に見てしまう。学校に行ってその不幸を一瞬忘れ、楽しく感じたりもする。親がすがるまじない師を滑稽だと思ってしまう。しかし、いつも100%楽しめるということはないし、自分が普通に生きることについての違和感を抱えながら生きることになる。
    そのあたりが、本当にリアルに描かれている。
     物語にカタルシスを求める人に

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    2018年06月30日
  • ファミリー・ライフ

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    たかが3分。されど3分。その3分で少年の生活は
    一変してしまう。

    1970年代に家族でインドからアメリカにわたり
    生活が軌道に乗り兄が有名な高校に合格した後に
    兄は悲劇に見舞われ、一家はその兄の介護に
    奔走することになる。

    異国の地で差別を受けながらきょうだい児として
    育っていく著者、崩壊するギリギリのところで
    踏みとどまる家族、ガールフレンドとのやり取り。
    なぜか一家を訪れるたくさんの人々
    著者を成長させてくれるヘミングウェイの書物。
    淡々と進んでしまう人生。

    私も淡々とした中で強くありたいと思いました。

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    2018年05月29日
  • ファミリー・ライフ

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    胸が苦しくなった。著者の実体験に基くとわかっているからなおさら。後書きを読んで、著者も翻訳者も私と同い年であることを知り、さらに苦しくなった。ここに描かれていることが、私が生きてきたのと同じ時に起こった真実の出来事であるということ。何の前触れもなく、その日、その時が来てしまい、そこから一家の人生が暗転してしまったこと。毎朝、新たな一日を迎えても、絶望的な状況が変わらないこと。それを負っているのは、特別ではない一家だということ。この作品を書き起こすこと自体にも、どれほどの心の痛みが伴ったのだろうと思う。今年一番心に響く本に出会ってしまったかもしれない。

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    2018年05月05日
  • 獅子渡り鼻

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    映画「誰も知らない」を彷彿とさせる都会の子捨ての話を背景に、だが作家は人と社会の温かさを信じている人だ。
    何があったか、詳細はわからぬまま、厳しい経験を経た10歳の尊はいま、消息の知れない母の故郷、南の小さな漁村にいる。
    いつまでも続くかのような夏休み、掃き清められてしんと静かな神社、老人が毎日参る墓、縁側で食べるスイカ、遠慮なく出入りする近所の人たち。
    都会に暮らし外国でも暮らした作者が故郷を思う時の風景はこういうものなのだろうか。
    そして、母がつぶやいていた「こんなところ、早く出て行きたかった」という言葉もまた作者の言葉か。
    幻を見る尊の目から彼らが消える日はくるのか。
    なまなましい暗さを

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    2017年12月28日
  • 九年前の祈り

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    まさかの地元が同じで驚きました。内容的にも苦しいのに、自分の地元の方言で描かれているので余計苦しかったです。

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    2025年02月05日
  • 森のはずれで

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    ネタバレ

    言い回しが独特で難しい。
    ただ、母親をいつまでも想う息子、それに応えたいけれどどうもできない父親の葛藤が不思議な現象とともに描かれているのは感じ取れた。まさか母子が失われてしまうとは。
    近畿などの言葉が出てきているから日本人親子の話だが、 舞台は海外になるのかな。

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    2024年11月10日