内田貴のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【内容】
法律を改正するにはコストがかかる。コストがかかる以上、法律を改正するには、それに見合うだけの必要性が存在しなければならない。本書では、なぜ民法を改正する必要があるのか、について書かれています。
筆者は、大きく分けて2つ、改正を必要とする理由を挙げています。
1つ目は、民法が国民にとって分かりにくいことです。
民法が分かりやすければ、法務コストの削減につながる。国際取引において日本法を準拠法とすることが増える。契約法におけるグローバル・スタンダードの形成に影響を与えることができる。
2つ目は、時代に合わなくなったルールがあることです。
【感想】
世界に通用する民法典を作らなければ -
Posted by ブクログ
民法という日本の法体系の中心に位置する法律の中核部分が、制定以来100年余りを経て、初めて大きく改正されようとしている。
この民法改正について、実際に法務省参与として深く関わる内田貴氏がわかりやすく解説している。
本書は民法改正を中心にしながらも、民法全般について、歴史的な背景や諸外国の動向など、時間的にも空間的にも広がった、より大きな枠組みで解説がなされている。そのため、民法など法律について詳しくない人でも、書いてある内容を自然と無理なく理解できるだろう。
今回の改正の理念は、1896年の制定以来の社会的、経済的変化に対応する現代化を図ることと、国民一般にわかりやすいものにすることである -
Posted by ブクログ
現代に適した改訂が行われているという民法、そのねらいと実際の方針を確認したいために読んだ。
民法の内、契約法を中心にしているが、民法の思考枠組み(物権や債権を設定すること等)、世界の民法や、日本の民法の制定の歴史、それを受けての今の民法の問題点と新しい民法が目指すべき方向性を示して、具体例を挙げるような構成になっている。
民法(日本の法律)に触れながらも意識せずに生活していることを感じると共に、方向性がわかってよかった。改めて、いろいろな意味で世界が相互に近くなっているなあと思った。また、巻末の読めないテキストの権威(西洋における聖書の位置)を例に出しているところが、興味深かった。 -
Posted by ブクログ
民法改正のアウトラインは分かる本。ただし、内田先生は民法改正の舵を切っている張本人なので、当然のことながら民法改正の問題点は書かれていないことに注意する必要がある。
かく言う僕も不勉強で民法改正の問題点は把握していない。今更新しい民法を勉強するには頭がフレッシュさを失ったおじいちゃん弁護士にとっては、ともすると職を失いかねないピンチだが、改正に反対する正当な理由にはならない。
ただ、本書を読んで気になったことを一つ。改正の目的の一つは多国籍企業が日本で活動しやすいように民法をグローバル・スタンダードに合わせることらしい。つまり、民法改正もグローバリゼーションの一環として行われようとしているもの -
Posted by ブクログ
2011年11月の週刊東洋経済、特集「さらば!スキルアップ教」の中で、瀧本哲史氏が薦めていたので、読んでみました。
まず、タイトルが少し誤解を与えてしまうかなという印象。民法は現在でも拘束力を持つ日本の法律の中でもかなり古い方に位置しており、現状にそぐわなくなってしまっている。そこで、著者を含めたチームが改編作業を行っている。つまり、タイトルが意味しているような改正は、まだということだと思います。
そこにあるのは、裁判員制度やADRと言った制度により、日本人の法に対する意識の変化が生じており、それらに応える為にも改正が必要ということ。
初学者でいきなりこの本を読むのは、かなり分かりやすく