内田貴のレビュー一覧
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西洋の法と法学の受容に成功したことが日本近代化の鍵であったという認識の下、ではどのようにして法学の受容が成し遂げられたのか、そして、どのようにして日本の法学が生み出されたのか、という課題について、日本が西洋の法と法学を受容しようとしていた最も初期の法学者である穂積陳重・八束という兄弟の歩みに焦点を当て、論じられている。本書での論述を通じて、穂積兄弟を通して受容された西洋法学とは、日本を近代化する手段であると同時に、日本の歴史や伝統を西洋の(つまり普遍性のある)土俵の上で正当化するための武器であったことが明らかにされている。
近代日本における、単なる法典の受容ではない、(西洋の)法学の受容の過程について深く知ることができ、たいへん興味深い内容だった。特に、近代日本における初期の西洋法学の受容は、漢学というフィルターを通しての翻訳による受容であり、漢語によって表現されていた世界観と西洋の世界観という異なる世界観の接合によって達成されたという指摘が目から鱗であった。また、穂積八束については、極端な国家主義者で学者としては評価が低いというイメージを持っていたが、本書では日本における西洋法学受容のひとつのかたちとして再評価されており、その内容を十分に理解できたわけではないが、穂積八束に対する見方が変わった。本書全体を通して、著者の博覧強記ぶりにも感嘆した。 -
Posted by ブクログ
仕事のための読書。
木村草太先生が、『キヨミズ准教授の法学入門』で、民法の入門書としてすすめていた本書。
民法についての知識といえば、大学生のころに受けた短い授業のおぼろげな記憶のみという自分が、いきなり改正についての本を読んで大丈夫なんだろうか……という心配しつつ、読み始める。
結論から言えば、その心配は杞憂に終わりました。
いま国会で検討されている、民法の契約に関する部分の改正を糸口に、民法の扱っている内容、市民が日常生活の中でいかに民法と関わっているか、
明治時代に日本で民法が成立した経緯、世界の経済情勢の中での立ち位置などが、順を追って説明されるので、まったく予備知識がなく読んでも、おおよそ民法というものが何のためにあり、世の中でどう機能しているのか、その全体像がつかめるようになると思います。
やや専門的な言葉や考え方が出るたびに、簡単な説明が付されているのも好印象。
こういう読み手への気遣いって、実際に本を書いているときには、なかなか難しかったりすると思うんだけど。
すごいなあ。
個人的に好きなのは、第4章「日本民法の生い立ち」。
いつもなら立法の歴史なんて難しいしと読み流してしまいそうなところなのですが、すっかり予想を裏切られる面白さ!
著者の筆の力なのか、早く諸外国に追いつかなければという明治政府の焦り、集められた精鋭陣の若さと挑戦、解釈論の激しいぶつかり合いや挫折などがまるでドラマのようで、夢中になって読んでしまいました。
この部分、我妻栄を主人公に、大河ドラマにしたらいいのになあ……などと妄想も膨らみます。
今まで、改正法案が通るか、通らないか、という視点でみていたニュース。
本書を読んだことで、本書が刊行された2011年の後の経過も含めて、どのような改正になって、社会がどう変わるのかという点に、今よりも少しだけ自分なりの興味を持って接することができるように思います。 -
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【内容】
法律を改正するにはコストがかかる。コストがかかる以上、法律を改正するには、それに見合うだけの必要性が存在しなければならない。本書では、なぜ民法を改正する必要があるのか、について書かれています。
筆者は、大きく分けて2つ、改正を必要とする理由を挙げています。
1つ目は、民法が国民にとって分かりにくいことです。
民法が分かりやすければ、法務コストの削減につながる。国際取引において日本法を準拠法とすることが増える。契約法におけるグローバル・スタンダードの形成に影響を与えることができる。
2つ目は、時代に合わなくなったルールがあることです。
【感想】
世界に通用する民法典を作らなければ国際競争では勝てない!という筆者の思いを感じました。説得力があります。私は、解釈で回ってるんだから改正の必要はないと考えていましたが、考えを改めました。
ただ、本書は一般向けに書かれたらしいのですが、ある程度の専門知識がなければ読みこなすのは難しいのではないかと感じました。なので評価は★4つ。 -
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民法という日本の法体系の中心に位置する法律の中核部分が、制定以来100年余りを経て、初めて大きく改正されようとしている。
この民法改正について、実際に法務省参与として深く関わる内田貴氏がわかりやすく解説している。
本書は民法改正を中心にしながらも、民法全般について、歴史的な背景や諸外国の動向など、時間的にも空間的にも広がった、より大きな枠組みで解説がなされている。そのため、民法など法律について詳しくない人でも、書いてある内容を自然と無理なく理解できるだろう。
今回の改正の理念は、1896年の制定以来の社会的、経済的変化に対応する現代化を図ることと、国民一般にわかりやすいものにすることである。
時代に即した改正を行うことで、日本民法を国境を越えた取引で準拠法として使ってもらう。グローバル化の進行により市場が統一されていく中で、自国の法律が準拠法となることの経済的利益は計り知れない。
条文が少なく解釈中心の今の日本民法を理解できるのは、限られた一部の人だけである。裁判員制度が始まり、法化社会へ進み始めた現状において、一般市民と深く関わる民法をわかりやすく改めるのは当然だと思われる。また、これにより、法務部を持たない中小企業の法務コストは削減されるだろう。
今回の改正について実務家から批判もなされているが、大局的な目線に立った改良が行われてほしいと思った。 -
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現代に適した改訂が行われているという民法、そのねらいと実際の方針を確認したいために読んだ。
民法の内、契約法を中心にしているが、民法の思考枠組み(物権や債権を設定すること等)、世界の民法や、日本の民法の制定の歴史、それを受けての今の民法の問題点と新しい民法が目指すべき方向性を示して、具体例を挙げるような構成になっている。
民法(日本の法律)に触れながらも意識せずに生活していることを感じると共に、方向性がわかってよかった。改めて、いろいろな意味で世界が相互に近くなっているなあと思った。また、巻末の読めないテキストの権威(西洋における聖書の位置)を例に出しているところが、興味深かった。 -
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民法改正のアウトラインは分かる本。ただし、内田先生は民法改正の舵を切っている張本人なので、当然のことながら民法改正の問題点は書かれていないことに注意する必要がある。
かく言う僕も不勉強で民法改正の問題点は把握していない。今更新しい民法を勉強するには頭がフレッシュさを失ったおじいちゃん弁護士にとっては、ともすると職を失いかねないピンチだが、改正に反対する正当な理由にはならない。
ただ、本書を読んで気になったことを一つ。改正の目的の一つは多国籍企業が日本で活動しやすいように民法をグローバル・スタンダードに合わせることらしい。つまり、民法改正もグローバリゼーションの一環として行われようとしているものである。とすれば、世界をまたにかける多国籍企業、とりわけ大企業の都合のいいように改正される可能性があり、そこは注視しなければならない。 -
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2011年11月の週刊東洋経済、特集「さらば!スキルアップ教」の中で、瀧本哲史氏が薦めていたので、読んでみました。
まず、タイトルが少し誤解を与えてしまうかなという印象。民法は現在でも拘束力を持つ日本の法律の中でもかなり古い方に位置しており、現状にそぐわなくなってしまっている。そこで、著者を含めたチームが改編作業を行っている。つまり、タイトルが意味しているような改正は、まだということだと思います。
そこにあるのは、裁判員制度やADRと言った制度により、日本人の法に対する意識の変化が生じており、それらに応える為にも改正が必要ということ。
初学者でいきなりこの本を読むのは、かなり分かりやすく書かれてはいるが、ちょっと大変かもしれません。