【感想・ネタバレ】法学の誕生 ――近代日本にとって「法」とは何であったかのレビュー

あらすじ

日本が、驚くほど短期間に近代化を果たしえたのは、西洋法の継受に成功したからである。だが、「法」を自らのものとして運用するには、それを支える法的思考様式、つまりは「法学」を受容することが不可欠だった。法学とは西洋社会に深く根差した思想であり、文化である。全く異質な文化的土壌をもった日本社会が、それまでにない思考様式を受容するのには幾多の困難があった。いったい日本人は、いかにしてそれを乗り越えたのか? 欧米列強と対等に伍するため、国を代表する俊英たちが競って法学を学び、近代国家としての骨格をつくり上げた明治日本。先人たちの苦闘の歴史をあざやかに描き出す。

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Posted by ブクログ

あるレポートを書くために必要に迫られて購入した本。
法学に関する専門書で読みにくいのかと思いきや、「法学」という考えが生まれる日本の歴史に触れることができ、時空を超えて浪漫を感じることができる一冊。
近代社会を築き上げた先人の気概も伝わってきて胸が熱くなった。そして、「法」というものが、文化としてそれぞれの社会に根付き、我々の生活に深く関わっていることを痛感する。
社会人として是非一読しておきたい良書である。

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2021年03月27日

Posted by ブクログ

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西洋の法と法学の受容に成功したことが日本近代化の鍵であったという認識の下、ではどのようにして法学の受容が成し遂げられたのか、そして、どのようにして日本の法学が生み出されたのか、という課題について、日本が西洋の法と法学を受容しようとしていた最も初期の法学者である穂積陳重・八束という兄弟の歩みに焦点を当て、論じられている。本書での論述を通じて、穂積兄弟を通して受容された西洋法学とは、日本を近代化する手段であると同時に、日本の歴史や伝統を西洋の(つまり普遍性のある)土俵の上で正当化するための武器であったことが明らかにされている。
近代日本における、単なる法典の受容ではない、(西洋の)法学の受容の過程について深く知ることができ、たいへん興味深い内容だった。特に、近代日本における初期の西洋法学の受容は、漢学というフィルターを通しての翻訳による受容であり、漢語によって表現されていた世界観と西洋の世界観という異なる世界観の接合によって達成されたという指摘が目から鱗であった。また、穂積八束については、極端な国家主義者で学者としては評価が低いというイメージを持っていたが、本書では日本における西洋法学受容のひとつのかたちとして再評価されており、その内容を十分に理解できたわけではないが、穂積八束に対する見方が変わった。本書全体を通して、著者の博覧強記ぶりにも感嘆した。

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2019年06月24日

Posted by ブクログ

通信制の大学で日本法制史を受講してあるので、参考に読みました。明治維新後の西洋法の受容に関しては大学の教科書より詳しく書かれていて、大変参考になりました。

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2021年09月25日

Posted by ブクログ

長文の読後感を書いたが、反映されなかったのでめげた。
東大民法系の教授連は、大村敦志を含め、実務の壁に圧倒されて明治法制史に逃げている感があることだけ記す。

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2018年11月11日

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