内田貴のレビュー一覧

  • 弁護士不足 ――日本を支える法的インフラの危機

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    ふらっと読んでみた割には、今なお弁護士という職業を縁遠いものと思いつつも、社会の課題としてどう向き合うべきかという点で一つの参照点になった。
    具体的な民事・刑事等の弁護士役割(ドラマなどで描かれる)とは離れて、そもそも弁護士が活躍する領野と必要性を勘案したうえで、過疎地医療といった眼前の問題と同様に弁護士の不足が大きな社会問題となり得るということに得心がいった。日米における弁護士の立ち位置といった彼我の違いなどもわかりやすい。

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    2025年12月06日
  • 弁護士不足 ――日本を支える法的インフラの危機

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    日本において専門家は不足しているのか余っているのか、常に議論される問題である。
    少子化の中では、この議論はそもそもマーケット全体が縮小するならば常にあまり気味という議論になりがちである。既存の専門家からみても増員は困るということで増員には反対し、結果として増加に否定的な結論に導かれがちである。
    しかし、専門家が少なすぎて、専門家を使う事を考えずに何でも自分で行おうとするならば、常に専門家は余って見える。仮に士業が100人になったとしても、士業余りと見えるのだ
    相続や空き家問題、耕作放棄や里山荒廃などの分野は、日常テーマだけに専門家を入れずに自分で行うケースが多く、結果として壁にあたり中途で手続

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    2025年11月21日
  • 弁護士不足 ――日本を支える法的インフラの危機

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    総論とそれに修練していくような著者たちの所感がよく整理されており、論点もはっきりしている。これを読んで司法というインフラを機能させるために必要なことがわからない人はいないのではないか。
    そもそも日本では法教育が少なすぎる。ルールも知らず教えてくれる人もいなければゲームには参加できない。

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    2025年11月17日
  • 法学の誕生 ――近代日本にとって「法」とは何であったか

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    あるレポートを書くために必要に迫られて購入した本。
    法学に関する専門書で読みにくいのかと思いきや、「法学」という考えが生まれる日本の歴史に触れることができ、時空を超えて浪漫を感じることができる一冊。
    近代社会を築き上げた先人の気概も伝わってきて胸が熱くなった。そして、「法」というものが、文化としてそれぞれの社会に根付き、我々の生活に深く関わっていることを痛感する。
    社会人として是非一読しておきたい良書である。

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    2021年03月27日
  • 民法改正 ――契約のルールが百年ぶりに変わる

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    法律についてまったく知識がなかったけど、日本の民法の成立過程や問題点などが分かりやすく述べられていて、よかった。世界の民法を見ると色々と特色があることが分かる。

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    2018年10月20日
  • 民法改正 ――契約のルールが百年ぶりに変わる

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    ネタバレ

    読まなきゃ読まなきゃと思って、ずっと積読にしてしまっていた。もっと早く読めばよかった。
    民法改正の細かい内容の解説ではなく、なぜ改正すべきなのか、法制史や比較法等法学的見地から、前半で詳しく丁寧に説明されているところがよかった。さすが現在の民法学の第一人者の一人である内田先生の書かれた本だけのことはある。資格試験の勉強などではどうしても上っ面な知識だけをなめがちになるところ、改めて法学の根幹的な部分を認識させてもらったのがとてもよかった。
    そもそも出来の悪い学生ではあったけど、ただ、どうしてこんなことになってしまうんだろうと当時からモヤモヤしていた部分(例えば、細かすぎる消滅時効の規定は、フラ

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    2015年10月15日
  • 民法改正 ――契約のルールが百年ぶりに変わる

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    読みやすく新書らしい新書。企業の法務部あたりの人におすすめ。民法改正という最新の課題を説明するために民法の成り立ちから説明する

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    2015年09月27日
  • 民法改正 ――契約のルールが百年ぶりに変わる

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    初心者にも非常に分かりやすく民法とその改正の必要性について論じている。筆者の自信もうかがえ、今後の改正の展開について理解を深めることができた。

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    2014年03月04日
  • 民法改正 ――契約のルールが百年ぶりに変わる

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    積読になっていたのを第5章「国民に分かりやすい民法」以降読みだした。実に面白い。改正試案にも興味が湧く。そういえば法律の門外漢の私が始めて民法を身近に思えたのは内田民法の大著をかじりだしてからだった。

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    2013年03月12日
  • 民法改正 ――契約のルールが百年ぶりに変わる

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    ネタバレ

    法務省の民法改正作業に従事している内田貴先生による民法改正についての本です。内田先生は法学部生にとっては「内田民法」としておなじみですね。

     現行民法の問題点について指摘し、なぜ民法を改正すべきであるのかを述べています。

     とてもわかりやすく書かれており、法律に全く触れたことのない人であっても読みやすいはずです。また、法律が社会において果たす役割の重要性も感じて頂けると思います。

     普段普通に過ごしている分には感じにくいと思いますが、法律は社会を公正妥当に機能させる上でとても重要です (過剰規制などに見られるよう悪い効果が出てくることもありますが)。曲がりなりにも法律を勉強して約二年がた

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    2013年02月25日
  • 民法改正 ――契約のルールが百年ぶりに変わる

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    法律ってやっぱり知っておいた方がいいのかなーくらいの素人が、ふと目にした新書を手にした程度のきっかけで読んだのだけど、まあ非常に面白かった。
    日本の民法は難しいらしい。一つには、条文にない解釈が小さくない役割を担っているという事情があるらしい。解釈で回っている民法はふつうの人には理解し辛いものだという。こういう不透明な契約法は国際市場でスタンダードになりえない。かたや欧州では民法改正は繰り返されてきた。そこには自国の法の標準化によるメリットがインセンティブとして働いていたのである。こういう情勢の中にあって、我々もまた100年間わかり辛いままだった民法を改正して、法務コスト削減と国際競争力の強化

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    2012年09月28日
  • 民法改正 ――契約のルールが百年ぶりに変わる

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    ネタバレ

    かなり面白く興味深く読めた。民法の改正内容が分かると言うよりも、現在の民法の設計思想、そして改正後の設計思想がとても良く分かった。

    重要ポイント:

    現実があまりに複雑であるとき、人間はその複雑さを縮減したシステムを作り出して対応しようとするというのがルーマンの社会学が教えるところです。経済学は、財と財が需要と供給のバランスの中で交換されるという市場モデルを作り出して、現実を理解しようとしました。なぜなら、経済学は、価格決定のメカニズムに関心を集中したから

    これに対して、民法は、この複雑な取引社会の現実を権利と義務という概念によって表現しようとする

    経済学のもっとも単純な市場モデルには、

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    2012年06月06日
  • 債権法の新時代

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    中身は長いが、一番重要だと思われるフレーズは、
    「問題は、いま、世界的に共通化に向かって動いている債権法改正の流れの中で、舶来の民法といえすでに1世紀を超える運用実績をもつ日本がどのようなスタンスをとるのかである。すなわち、ヨーロッパで形成されつつある共通法のモデルができあがるのを待って19世紀末と同様にまた輸入するという態度をとるのか、それともグローバル・スタンダードを確立する前に共通法としての債権法のモデルの1つを発信しようというスタンスをとるのかが、問われている。」

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    2010年03月14日
  • 弁護士不足 ――日本を支える法的インフラの危機

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    身近に法曹界を志す人がいる身として、とても考えさせられる内容でした。
    弁護士の今、人材不足だけど人が集まらない状況。
    今の時代、稼ごうと思えば稼げる仕事や業種は以前よりあるから、あえてこんなに苦労して時間をかけて勉強して、合格率の低い司法試験を受けるなんて割に合わないと思う人が多いのも納得だな、と。
    なったらなったで、稼げる都会の弁護士事務所に集中、たくさん課題はあるなと感じています。
    でも、どんどん不祥事やトラブルなど訴訟になったりすることは増えているから、弁護士はもっと増えた方がいいはず。
    質の良い弁護士が増えるためには、まず志す人がたくさんいることが大切というところに共感しました。

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    2025年11月20日
  • 弁護士不足 ――日本を支える法的インフラの危機

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    書店で気になったもの。リーガルリテラシーはさておき、法曹の世界そのものについても知識が無いので、こういう内容も興味深いかな、と。医療界と相通ずる部分も多く、妙に納得できるところも多かった。考えてみれば、法の下の平等と謳う、まさにその世界の話だから、男女格差の少ない職業って言われると、さもありなんだな、と。本書のごとく、内部からの機運も高まり、司法試験の門戸がもっと広げられるようになるなら、かなり魅力的な学問分野では、と思えてしまった。今後の動向も要チェックや。

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    2025年10月15日
  • 民法改正 ――契約のルールが百年ぶりに変わる

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    2011年刊行の本で、その後実際に民法の改正作業が進んでいると思いますので、それは別途理解を補う必要があるとして、日本の民法の生い立ちや構成、主に議論となっている点についてコンパクトかつ分かりやすくまとめられている良書と感じました。

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    2025年07月20日
  • 民法改正 ――契約のルールが百年ぶりに変わる

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    契約法の改正の方針、改正に至るまでの利害調整等の経緯、改正内容を解説。そもそもの民法典の生い立ち、民法典の抽象度の高さの理由、ドイツとフランスの民法を参考にされた条文に、当時最先端であったドイツ法学の解釈を採り入れることになった歴史的な事情等がわかりやすく書かれている。現日本の民法の問題点にも触れ、産業のガラパゴス化だけではなく、法律の改正でさえも内向きで、世界的に遅れ始めている危機感も表明されている。

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    2024年08月22日
  • 法学の誕生 ――近代日本にとって「法」とは何であったか

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    西洋の法と法学の受容に成功したことが日本近代化の鍵であったという認識の下、ではどのようにして法学の受容が成し遂げられたのか、そして、どのようにして日本の法学が生み出されたのか、という課題について、日本が西洋の法と法学を受容しようとしていた最も初期の法学者である穂積陳重・八束という兄弟の歩みに焦点を当て、論じられている。本書での論述を通じて、穂積兄弟を通して受容された西洋法学とは、日本を近代化する手段であると同時に、日本の歴史や伝統を西洋の(つまり普遍性のある)土俵の上で正当化するための武器であったことが明らかにされている。
    近代日本における、単なる法典の受容ではない

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    2019年06月24日
  • 民法改正 ――契約のルールが百年ぶりに変わる

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    仕事のための読書。
    木村草太先生が、『キヨミズ准教授の法学入門』で、民法の入門書としてすすめていた本書。
    民法についての知識といえば、大学生のころに受けた短い授業のおぼろげな記憶のみという自分が、いきなり改正についての本を読んで大丈夫なんだろうか……という心配しつつ、読み始める。

    結論から言えば、その心配は杞憂に終わりました。
    いま国会で検討されている、民法の契約に関する部分の改正を糸口に、民法の扱っている内容、市民が日常生活の中でいかに民法と関わっているか、
    明治時代に日本で民法が成立した経緯、世界の経済情勢の中での立ち位置などが、順を追って説明されるので、まったく予備知識がなく読んでも、

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    2017年02月10日
  • 民法改正 ――契約のルールが百年ぶりに変わる

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    100年前の基本構造からほとんど変化していない民法は、経済活動の多様化、グローバル化に対応するため、改正を検討するべきである。このような信念に基づき、膨大な作業に没頭している法学権威としての矜持が、行間ににじみ出ている。
    民法とは、そもそも何か、どういう基本理念で何を規定しているのかについても、非常にわかりやすく、かつきっちりと記述されているのではないか、と思う。

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    2018年10月14日