内田貴のレビュー一覧
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日本において専門家は不足しているのか余っているのか、常に議論される問題である。
少子化の中では、この議論はそもそもマーケット全体が縮小するならば常にあまり気味という議論になりがちである。既存の専門家からみても増員は困るということで増員には反対し、結果として増加に否定的な結論に導かれがちである。
しかし、専門家が少なすぎて、専門家を使う事を考えずに何でも自分で行おうとするならば、常に専門家は余って見える。仮に士業が100人になったとしても、士業余りと見えるのだ
相続や空き家問題、耕作放棄や里山荒廃などの分野は、日常テーマだけに専門家を入れずに自分で行うケースが多く、結果として壁にあたり中途で手続 -
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ネタバレ読まなきゃ読まなきゃと思って、ずっと積読にしてしまっていた。もっと早く読めばよかった。
民法改正の細かい内容の解説ではなく、なぜ改正すべきなのか、法制史や比較法等法学的見地から、前半で詳しく丁寧に説明されているところがよかった。さすが現在の民法学の第一人者の一人である内田先生の書かれた本だけのことはある。資格試験の勉強などではどうしても上っ面な知識だけをなめがちになるところ、改めて法学の根幹的な部分を認識させてもらったのがとてもよかった。
そもそも出来の悪い学生ではあったけど、ただ、どうしてこんなことになってしまうんだろうと当時からモヤモヤしていた部分(例えば、細かすぎる消滅時効の規定は、フラ -
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ネタバレ法務省の民法改正作業に従事している内田貴先生による民法改正についての本です。内田先生は法学部生にとっては「内田民法」としておなじみですね。
現行民法の問題点について指摘し、なぜ民法を改正すべきであるのかを述べています。
とてもわかりやすく書かれており、法律に全く触れたことのない人であっても読みやすいはずです。また、法律が社会において果たす役割の重要性も感じて頂けると思います。
普段普通に過ごしている分には感じにくいと思いますが、法律は社会を公正妥当に機能させる上でとても重要です (過剰規制などに見られるよう悪い効果が出てくることもありますが)。曲がりなりにも法律を勉強して約二年がた -
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法律ってやっぱり知っておいた方がいいのかなーくらいの素人が、ふと目にした新書を手にした程度のきっかけで読んだのだけど、まあ非常に面白かった。
日本の民法は難しいらしい。一つには、条文にない解釈が小さくない役割を担っているという事情があるらしい。解釈で回っている民法はふつうの人には理解し辛いものだという。こういう不透明な契約法は国際市場でスタンダードになりえない。かたや欧州では民法改正は繰り返されてきた。そこには自国の法の標準化によるメリットがインセンティブとして働いていたのである。こういう情勢の中にあって、我々もまた100年間わかり辛いままだった民法を改正して、法務コスト削減と国際競争力の強化 -
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ネタバレかなり面白く興味深く読めた。民法の改正内容が分かると言うよりも、現在の民法の設計思想、そして改正後の設計思想がとても良く分かった。
重要ポイント:
現実があまりに複雑であるとき、人間はその複雑さを縮減したシステムを作り出して対応しようとするというのがルーマンの社会学が教えるところです。経済学は、財と財が需要と供給のバランスの中で交換されるという市場モデルを作り出して、現実を理解しようとしました。なぜなら、経済学は、価格決定のメカニズムに関心を集中したから
これに対して、民法は、この複雑な取引社会の現実を権利と義務という概念によって表現しようとする
経済学のもっとも単純な市場モデルには、 -
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身近に法曹界を志す人がいる身として、とても考えさせられる内容でした。
弁護士の今、人材不足だけど人が集まらない状況。
今の時代、稼ごうと思えば稼げる仕事や業種は以前よりあるから、あえてこんなに苦労して時間をかけて勉強して、合格率の低い司法試験を受けるなんて割に合わないと思う人が多いのも納得だな、と。
なったらなったで、稼げる都会の弁護士事務所に集中、たくさん課題はあるなと感じています。
でも、どんどん不祥事やトラブルなど訴訟になったりすることは増えているから、弁護士はもっと増えた方がいいはず。
質の良い弁護士が増えるためには、まず志す人がたくさんいることが大切というところに共感しました。
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Posted by ブクログ
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西洋の法と法学の受容に成功したことが日本近代化の鍵であったという認識の下、ではどのようにして法学の受容が成し遂げられたのか、そして、どのようにして日本の法学が生み出されたのか、という課題について、日本が西洋の法と法学を受容しようとしていた最も初期の法学者である穂積陳重・八束という兄弟の歩みに焦点を当て、論じられている。本書での論述を通じて、穂積兄弟を通して受容された西洋法学とは、日本を近代化する手段であると同時に、日本の歴史や伝統を西洋の(つまり普遍性のある)土俵の上で正当化するための武器であったことが明らかにされている。
近代日本における、単なる法典の受容ではない -
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仕事のための読書。
木村草太先生が、『キヨミズ准教授の法学入門』で、民法の入門書としてすすめていた本書。
民法についての知識といえば、大学生のころに受けた短い授業のおぼろげな記憶のみという自分が、いきなり改正についての本を読んで大丈夫なんだろうか……という心配しつつ、読み始める。
結論から言えば、その心配は杞憂に終わりました。
いま国会で検討されている、民法の契約に関する部分の改正を糸口に、民法の扱っている内容、市民が日常生活の中でいかに民法と関わっているか、
明治時代に日本で民法が成立した経緯、世界の経済情勢の中での立ち位置などが、順を追って説明されるので、まったく予備知識がなく読んでも、