加藤巧のレビュー一覧
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ネタバレP&G出身の著者が、マーケティングについてさまざまな観点から、事例や経験を交えて、勘に頼らず、ファクト・調査ベースにどのように実践するかについて説く。さすがP&G出身というだけあって、調査やその結果をどのように整理するかなど感心させられる。原書は2007年で生成AIはもちろん、スマホについての言及もないが今でも通じることが多く、これが今もP&Gに生きているのかなあと思った。昨今、コトラー派、シャープ派でどちらを選ぶかみたいな議論もある。が、著者はコトラー信者でSTPなどがベースになっているが、20年前でもファクトベースに基づいたエビデンスに基づいている。この本の初版の2007年の3年後の2010年にシャープの『ブランディングの科学』が出版されるのだが、シャープは本書を参考にしたのではないかと思ってくらい。
あと、日本語にする苦労はわかるが、読者にはNIkeの「Just do it」を「やってみよう」と訳したり、「Everiday Low Price」を「いつでも低価格」にしたりする必要はなかったかなあと・・・(笑) -
Posted by ブクログ
マーケティング計画の出発点:まずは「現在地」を把握する
1. 前提:現在地がわからなければ、目的地への道筋は描けない
多くの企業では、計画的な意思決定に必要な情報を十分に持っていないことがよくあります。
ただし、大企業であれば、たとえ断片的で古いものであっても、何らかのデータを保有しているのが普通です。
今回例示されている運輸企業のように、必要な情報がほとんどないケースは例外的です。
通常、多くの企業は何らかの形で情報を収集しています。
しかし、自社が今どこにいるのかを把握できていなければ、目的地に向かうための道筋を見つけることは困難です。
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2. まずは「現在地」を把握する
すべてのマーケティング計画や戦略は、まず現在の市場環境を理解することから始まります。
優れた企業は、以下の3つの監査を実施しています。
1. マーケティング・パフォーマンス監査
2. ベストプラクティス・ベンチマーキング監査
3. マーケティング能力監査
呼び方が違っていても、これらはいずれも、いわば**「バックミラーを覗いて現在地を確認する」ためのもの**です。
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3. マーケティング・パフォーマンス監査とは
マーケティング・パフォーマンス監査とは、マーケティング部門にとっての財務監査のようなものです。
企業の以下の要素を包括的にレビューします。
* マーケティング環境
* 目標
* 戦略
* 活動
この監査の目的は、業務上の強みと弱みを明らかにし、マーケティング計画やプログラムの改善点を提案することです。
マーケティング・パフォーマンス監査では、以下の10項目を評価すべきとされています。
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4. マーケティング・パフォーマンス監査で評価すべき10項目
1. 過去1年間にビジネスへ影響を与えた主要な環境変化
過去1年間に、ビジネスに影響を与えた主要な「環境変化」を確認します。
対象となる変化には、以下が含まれます。
* 経済
* 人口動態
* 競争状況
* マーケティング環境
* 技術
* 環境要因
また、予期せぬ競合の動きや市場環境の変化によって、マーケティング施策の成果に影響が出た場合は、それも含めて評価します。
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2. マーケティング・ミックスの意思決定が収益性を踏まえて行われたか
以下のようなマーケティング・ミックス上の意思決定について、収益性に関する複数の選択肢を評価したうえで行われたかを確認します。
* ターゲティング
* ポジショニング
* 価格設定
* 広告
つまり、単なる感覚や慣習ではなく、収益性の観点から選択肢を比較・検討したかどうかを評価します。
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3. 主要なマーケティング意思決定を支える調査が実施されたか
主要なマーケティング意思決定を支えるために、どのような調査が実施されたかを確認します。
特に、以下の点を評価します。
* 過去3年間に大規模な市場セグメンテーション調査が行われたか
* ターゲティング調査が行われたか
* 営業チームが主要ターゲットにアプローチするためのスクリプト作成に向けて、どのような支援が行われたか
マーケティング戦略が、調査に基づいて設計されているかどうかが重要になります。
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4. マーケティング計画がどのように策定されたか
マーケティング計画が、どのようなプロセスで策定されたかを確認します。
特に、経営陣が以下のマーケティング投資と収益との過去の関係性を活用して、戦略や戦術を固めたかを評価します。
* 営業
* 広告
* ダイレクトメール
* スポンサーシップ
過去の投資対効果を踏まえて、次の計画が立てられているかがポイントです。
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5. マーケティングプログラムが社内で受け入れられたか
マーケティングプログラムが、社内でどの程度「マーケティング」されたかを確認します。
評価対象は、主に以下です。
* 経営陣に受け入れられたか
* 非マーケティング部門の幹部に理解・支持されたか
* 社内で実行に必要な合意形成ができていたか
マーケティング施策は、マーケティング部門だけで完結するものではないため、社内浸透度も重要な評価項目です。
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6. プランの実行を監視・管理する仕組みが導入されたか
マーケティングプランの実行を監視・管理するために、どのようなプログラムが導入されたかを確認します。
単に計画を立てるだけでなく、実行状況をモニタリングし、必要に応じて修正できる仕組みがあったかを評価します。
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7. 市場における主要な成功指標に基づく現在のパフォーマンス
企業またはブランドの現在のパフォーマンスを、市場での主要な成功指標に基づいて評価します。
具体的には、以下のような指標です。
* ブランド認知度
* ブランドイメージの各側面
* 購買意欲
* 顧客満足度
* 購入者
* 流通業者
* ベンダーなど
さらに、以下に対して、マーケティング・ミックスの各要素がどのように影響しているかも分析に含める必要があります。
* ブランド・エクイティ
* 売上
* 利益
* 最終的な投資収益率、ROI
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8. マーケティング計画が目標を達成したか
マーケティング計画が、財務的・非財務的な目標を達成したかどうかを確認します。
財務的目標には、売上・利益・ROIなどが含まれます。
非財務的目標には、ブランド認知、顧客満足度、購買意向、ブランドイメージなどが含まれます。
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9. 目標未達部分と翌年への改善提言
計画の中で目標未達となった部分を明らかにします。
そのうえで、翌年のパフォーマンス改善に向けた具体的な提言を行います。
ここでは、単なる反省ではなく、次年度の改善アクションにつながる示唆が求められます。
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10. ブランド・エクイティおよびカスタマー・エクイティの価値
製品ポートフォリオ内の各ブランドについて、現在の以下の価値を評価します。
* ブランド・エクイティ
* カスタマー・エクイティ
つまり、各ブランドがどの程度の資産価値を持っているのか、また顧客基盤としてどれだけの将来価値を持っているのかを把握します。
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5. 全体の要点
この内容の核心は、マーケティング戦略を立てる前に、まず自社の「現在地」を正しく把握する必要があるという点です。
特に重要なのは、以下の3点です。
1. 市場環境の変化を把握すること
経済、競争、技術、顧客、流通などの変化が、過去の成果にどう影響したかを見る。
2. マーケティング活動の成果を監査すること
戦略、施策、投資、実行管理、社内浸透、KPI達成状況を体系的にレビューする。
3. 次年度の改善につながる示唆を出すこと
監査は単なる振り返りではなく、翌年のマーケティング計画を改善するための材料にする。
つまり、マーケティング・パフォーマンス監査は、
「過去の活動を振り返り、現在地を確認し、次の戦略をより正確に設計するための診断プロセス」
だと整理できます。
マーケターにとって重要なのは、ある製品カテゴリーにおける「低・中・高関与」の購入者の分布を把握することです。なぜなら、それぞれのタイプには異なるマーケティング戦略が求められるからです。関与度は、セグメンテーションの基準として有効であり、購買行動の予測や収益性の可能性を示す指標となり得ます。しかし、関与度だけをもとに、どのような質問をすべきか、消費者が何を気にするか、どんなセグメンテーション基準を使うべきかを決定するのは適切ではありません。
この議論は、「直感よりも理性を倍じるべきだ」という次のポイントにつながります。市場をどうセグメントすべきかしその最適な方法を事前に知ることは誰にもできません。ヤンケロビッチとミーアも述べているように、セグメンテーションが有効であるためには、「企業の財務パフォーマンスに影響を与えるグループを特定することが必要だ」という条件を満たす必要があります。しかし、行動や収益性を予測する要因が何かを、データを一切収集せず、分析もせずに知ることは不可能です。マーケターは、あらかじめ決められた分類法に頼るのではなく、何百通りもの市場の分け方を検討すべきです。そうすることで、競合他社が存在すら知らないような、情報密度の高い独自のセグメントを構築することができます。これこそが、市場セグメンテーション調査を「棚に飾るだけの報告書」ではなく、戦略的資産に変える方法なのです。
ターゲティングは、マーケティング計画の中でもっとも重要な要素です。
「戦争に勝つには、どこを攻撃すべきかを知らなければならない」と、ドワイト・アイゼンハワーが経営者向けの講演で語ったとしても不思議ではありません。「もし連合軍がノルマンディーではなくカレーに上陸していたら、ナチスを打ち負かすことはできなかっただろう」と。セグメンテーションの取り組みは、企業がどの購買者グループ(あるいは複数のグループ)を狙うことで、長期的に売上と利益を伸ばすことができるかーつまり、ターゲティングの意思決定をくだすための情報を提供するものであるべきです。
このような取り組みは、企業の経営陣に対して、各セグメントがどれほどの価値を持つか、どのようなメッセージを伝えるべきか、そしてそのセグメントの態度的・人口統計的・社会的なプロファイルを明らかにするものであるべきです。そうすることで、広告に登場させる人物像が適切になり、広告のトーンも的確に定まります。そして、「このセグメントに効率的にリーチできるテレビ番組、ラジオ番組、新聞、雑誌、さらには非伝統的なメディアはこれです」と示すことができるようになります。
一方、BtoB向けの製品やサービスの場合、酒費者向けのようなシンジケートデータは存在しません。そのため、マーケターは、組織の規模、成長率、意思決定者の属性などのデータを活用する必要があります。業種分類(SICコード)、工場や施設の屋根面積、売上高、従業員数などの指標を用いてセグメンテーションを行うことも可能です。
市場セグメンテーションは、単に「企業戦略を反映するもの」ではありません。ヤンケロビッチとミーアが主張するように、それは戦略そのものを推進するものなのです。
マーケティングの課題は、ターゲット市場にいるすべての潜在顧客を0~
100のスケールで評価し、マーケティング施策によって動かせる可能性を数値化することです。片方の極には、何をしても効果がない人々がいます。
もう一方の極には、熱心なファンや口コミによってブランドを広めてくれる人々がいます。したがって、ブランドへの反応性は、直感ではなく測定すべき重要な指標なのです。 -
Posted by ブクログ
売上(シェア)は顧客数×平均購入回数に分解できるが、マーケッターとして目指すべきことはシンプルだ。
①ダブルジョパティの法則
・シェアを上げるためには顧客数を増やさないといけない。
その際に離反率を下げようとするのは間違いだ。
また平均購入回数も増やそうとするのもうまくいかない。
CRMなどのロイヤルティプログラムは効果が薄い。
そんなことをするよりも未購入顧客を増やすようにする方が正しい。
購入回数(ロイヤルティ)は顧客数が増えることで少し上がっていくが、トップブランドとビリのブランドでロイヤルティが大きくことなるかというとそんなことはない。 -
Posted by ブクログ
> 示唆されるのは、消費者の購買行動やマーケティング指標を測定する重要な科学的法則─本書ではその法則についてこれから解説していく─が無視されているということだ。(あなたならどう答えるか?)
マーケティングのベストプラクティスとされている事の誤りを指摘し、実際の数値を示しながら論を展開していく。
常識を疑うことは常に大切ではあるが、本書で提示されている新しい法則が科学的に正しいかどうかの判断はできないし、おそらく再現性の観点では既存の法則が正しくない程度には正しくない。本書は一般的な法則を見つけたと主張するが、今までも同様の営みがされてきたのだろう。
常識に対して批判的な指摘は勉強になるものの、本書を読んだ結果読者が身につけないといけない能力は法則を鵜呑みにせずに実際の数値から結論を導ける能力だろうし、本書ではそれは提供されていない。 -
Posted by ブクログ
今までのマーケティングという学問では、エビデンスが少な過ぎた。
個人としては、なんかマーケティングって胡散臭いなと思ってたのですが、その要因の一つかと思います。「なんか当たり前のこと言ってない?」とか「うーん、そう言われればそうだけど、全部が全部当てはまらないよな」みたいなことが多々ありました。
ただ、胡散臭いと思うけど、上手く言語化ができていなかった。
そういう面では、この本はエビデンスを提示して、今までの学説に異議を唱えている。ある程度は納得はしました。
ちょっと言葉の定義を説明せずに突き進むので読みにくさはあります。
この本を読んで面白かったのは、「カテゴリー内では各ブランドの顧客基盤はあまり変わりない」「ブランドの想起させることが大事」
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Posted by ブクログ
「マーケティングの科学的法則の集約という初めての試み」だそうである。やや誇張気味に言い換えると、フィリップ・コトラーのマーケティング理論はエビデンスを欠いた妄想だとする意欲作。
「支配的なブランドはこうなっている」ことの説明が多く、それは突き詰めれば「シェアを持っていると強い」ということで、割と身も蓋もない。
ターゲットを絞って商品を差別化することには意味はないという主張で、弱小ブランドへのコンサル業務で稼ぐ人々から「余計なことを言うな」と怒られそうな記述が続く。
そういう意味では「呪縛を解く」もので、有意義である。
でも、弱小ブランドがのし上がるために何をしたらよいのか、という点では直接的に役立ちそうな印象を受けなかった。 -
Posted by ブクログ
記憶を引き出す可能性を押し上げているものはフレッシュネス(新鮮さ)とコンシステンシー(一貫性)だ。
◾️重要な広告メッセージに錨を下ろす
広告の重要な役割の1つが、購買環境下でブランドのメンタルアベイラビリティが発揮される可能性を拡大させる意識構造を購買客の心の中に構築することだ(Ehrenberg et al,2002)。購買環境下でメンタルアベイラビリティ(セイリアンスともいう)が発揮されるためには、購買客がその環境下でブランドを買うときのきっかけとなる潜在記憶と広告メッセージがリンクしていなければならない。これらの記憶とのリンクを刷新することで、ブランドのメンタルアベイラビリティが強化されていく。
これらのきっかけは《カテゴリーエントリーポイント》(CEP)と呼ばれている(Romaniuk,2016a)。たとえば、1人の女性ケイティがただの購買客から洗濯洗剤の購買客ケイティというホットゾーンにシフトするとき、その思考はカテゴリーエントリーポイントの影響を受ける。私はコーヒーを飲むのでコーヒーカテゴリーの購買客だが、午後1時の私はコーヒーカテゴリーのホットゾーンにはいない。カフェインで目が覚めてしまうからだ。しかし午前1時では状況が異なる。私は毎日この時間、ただのジェニーからコーヒーを買うジェニーへとシフトする(コーヒーを飲まない私は話し相手としては最悪のジェニーにシフトする)。
午前11時のホットゾーンへ入るときの私の心の状態には、そのときの状況に応じていくつかのパターンがある。自宅で働いているときは、スエットパンツ姿で気楽に行ける近場のコーヒーショップがありがたい。職場に向かっているときは、通勤途中で時間をかけずにコーヒーを買えるところを探す。十分な睡眠が取れなかったときは、濃いコーヒーが、飲めるところはないかと考える。状況に応じてこのようなパターンがあり、それぞれの状況でメンタルアベイラビリティを獲得するブランドが異なっている(Desai & Hoyer, 2000,Holden, 1993)。
CEPは無数の情報を発信する。受容された情報は〈きっかけ情報〉として該当する記憶領域に送られる。〈きつかけ情報〉が受容されたブランドはメンタルアベイラビリティを強化する機会を得る。そしてこれらのCEPを基にしてそのブランドが獲得すべき価値のある意識構造が構築される。CEPはブランドそのものとリンクしているが、ブランド の周辺情報とはリンクしていない。この差は単なる言葉の表面的な意味の違いによるもの と思えるかもしれないが、ブランドの戦略と研究に重要な意味を持つ。
まず、戦略面の意味を考えてみよう。ブランドのCEPが多いほど、ブランド記憶の引き出しが増えていく。これは、従来のブランド戦略のように1つの属性(あるいは1つのCEP2)を持つことを目的にするよりも、CEPネットワークを拡大充実させることを目的にするブランド戦略のほうが効果的であることを意味する。たとえば、航空会社であれば、自社がビジネス出張に便利であること、家族旅行に便利であること、マイレージの獲得にお得であること、格安旅行客にお得であることなどを知ってもらいたいと思うはずだ。航空会社が1つのCEPだけ(例えばビジネス出張)に着目していては、たとえビジネス出張のニーズの高まりがあったとしても、成功することはない(Calder,2016)。その理由の1つとして、ビジネスで出張する人は、家族旅行に行くこともあれば、私のようにアフリカにバックパッキングに行くこともあるかもしれないからだ。
多くのCEPにリンクすべきであることのエビデンスが、大小さまざまなブランドのCEPネットワークを比較した調査から明らかになった。この調査では、市場シェアの大きいブランドと小さいブランドの間では、購買客が各ブランドに持つCEPの数の差が大きいことが明らかになった(Romaniuk,2016a)。各属性の関連を分析し、これを選択されたブランドの総ネットワークサイズと比較したところ「3」、総ネットワークサイズは購買者の将来の行動とより強い関連を持つことがわかった。(Romaniuk,2003;Romaniuk&Sharp,2003a,b)
次に、研究面での意味合いについて考えてみよう。前述したような関連性が存在しているということから、CEPを発見するためには、ブランドそのものに目を向けるよりも、カテゴリー購買客を含めたユーザーのブランドにまつわる体験を調査する必要があることが示唆される。従って、CEP調査の質問内容は、購買客やユーザーがブランド体験をしたのは、いつ、どこで、誰と一緒だったか、そのときどう感じたか、それはブランド体験の前か、最中か、後か、なぜブランドを体験することになったのか、などに集中している(Romaniuk,2016a)。特定のブランドについて尋ねるのは、カテゴリー購買客が特定のブランド体験を検索して過去の記憶にうまくアクセスするのにそれが役立つ場合とした。表4-1に、2016年7月に米国のシャンパンカテゴリーの購買客を対象に実施された調査で発見されたCEPをまとめた。この表から、CEPには、お祝い、個人的楽しみ、天気の良い午後の楽しみ、といったニーズまでさまざまなシーンに対応する幅広い可能性があることが示唆される。しかし、購買客がこれらのCEPに遭遇する可能性はすべて均等ではない。次の段階の調査を行って、どのCEPに遭遇する可能性が高いかを理解し、そこでの売り上げを伸ばすための施策を増強する必要がある。どのCEPもブランドタッチポイントになれる可能性を秘めている。
『ブランディングの科学新市場開拓篇』の第8章でフィジカルアベイラビリティの3つの構成要素、プレゼンス(存在感があるか)、プロミネンス(目立っているか)、レレバンス(自分にとって重要か)について考察した(Nenycz-Thiel,Romaniuk&Sharp,2016)。独自のブランド資産はプロミネンスに貢献し、その結果、ブランドが購買環境の中で目につきやすくなる。
◾️パッケージ資産タイプ別の効果比較
・知名度
キャラクター、クロージャー、ブランドロゴ、パッケージデザイン、パッケージ形状、イメージ画像、ワード、文字のフォント、パッケージカラー
・独自性
キャラクター、ブランドロゴ、クロージャー、ワード、イメージ画像、文字のフォント、パッケージデザイン、パッケージ形状、パッケージカラー
◾️カラー資産を守る
ブランドカラーとして希望する色と実際に採用される色の間には、明らかに乖離が存在する。カラー資産はブランドとして所有したい資産だが、エビデンスによれば、マーケターはカラー資産の開発が上手ではないことは明らかだ。もしあなたのブランドがカラー資産を所有していたら、そのうち社内から、あるいは広告代理店から、そろそろ消費者がブランドカラーに飽きてきているので変えどきだという声が上がるかもしれない。そのときは何があってもそのカラー 資産を守らなければならない。
そのような声が上がるということはありがたいことだ。しかし色を変えてはならない。その色はあなたのブランドが所有できる価値の高いブランド資産の1つであり、守らなけ ればならない。第18章では、ブランドのアイデンティティを刷新または更新すべきだとい う声や圧力への対処法について解説する。
エルフゲンらの研究によると、セレブリティがブランドの想起に効果を発揮するのは、ブランドとセレブリティの間のリンクが強いときだけだった。つまり、バンパイヤ効果は、セレブリティとブランドのリンクが弱いときに生じると考えられる。逆にリンクが強ければ、セレブリティが認識されるとブランドも認識または想起される可能性が高くなる。私たちはこの現象を私たちの調査でも確認することができた。その調査では、カテゴリー購買客がセレブリティの名前を知っているときは、ブランドとセレブリティの間のリンクは4.5倍強かった。
◾️強い独自のブランド資産を構築するための4つ戒め
その1:賢明な選択
・そのブランド資産は、他の資産には真似のできないものをもたらすことができるか?
・そのブランド資産を構築した後も、既存の資産を守るための十分なリソースは残るか?
その2:正しい優先順位づけ
その3:質の高いエグゼキューション
その4:変化のための変化を避ける -
Posted by ブクログ
マスマーケティングに携わる者として必読の書だと思ったし、P&Gマーケの方にとってバイブルともなっているのうなづける。
盲目的にCRMに取組、流行りの、顧客ID統合によるセグメンテーションした1to1マーケに対して、データに基づく懐疑的な視点がとても勉強になる。
電通博報堂をはじめ、TVCMを中心としたマスマーケのプロフェッショナル集団は、いまいちど、じぶんたちのマスマーケの力を客観的に評価をし、自信と誇りをもってもいいのでは、と。顧客基盤構築によるDXマーケにゆらぐ業界にあって、いまいちど、現時点の立ち位置をデータから冷静にみつめる必要があると感じました。