BtoBマーケティングについて、BtoCマーケティングとの比較からそのポイントを考えることができる。
STP、4P、ブランディングなどその両者に本質的なマーケティング戦略の違いはないと考えるが、自身の視点・経験において比較視点から言うと、
○選択に際して感情的な側面の影響を受けやすい消費財の購買
...続きを読む行動に対して、より合理的で客観的な意思決定がなされる。とはいえ、特定の局面においては、売り手企業に対する印象を参照した主観的な判断がしばしば行われる。
○顧客の購買プロセスを理解し、そのステージに応じた適切な施策が必要がある。
○いわゆる”成分ブランド”が注目されている!が、ブランド化する技術や素材が最終商品の基幹機能を果たすことが多いので、業種特化型ではセットメーカーからの何らかの抵抗があることを想定する必要がある。
○提案型営業が利益に関して最も有効な営業タイプ。一方、売上の最も寄与する営業タイプは奉仕型営業。つまり、買い手企業から提示される要望に応えるだけでは、売り上げは伸びるだろうが、利益に結びつくことはない。
○「本年は利益を高め、顧客満足を高めて乗り切ろう」ということは間違い。短期的にはその両者は二律背反であるから。効果と効率は二律背反である。
○顧客に苦情を「言わせる」工夫が必要。しかし、苦情への対応が直接満足へと結びつくわけではない。
という傾向があるということである。
そして、その判断基準や重要性の要素の分析が具体的に在るので理解がしやすい。
また、ネットによるBtoBマーケティングの現状と戦略のポイント、さらには、マーケティング組織構造について適応性があり、具体的な企業の事例を交えて戦略が機能する組織を知ることができる。
私的な感覚であるが、BtoBマーケティングは、BtoCマーケティングよりも共創的マーケティングへの進化が先にあるように感じる。それは、経営というプロフェッショナルな視点での購買という関係であるからと考える。よって、BtoCマーケティングをより考えるという視点としても面白く読める一冊。