あらすじ
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「高い技術力」「優れた製品」だけでは、生き残れない!
「下請け業者」から脱却し、グローバル競争を勝ち抜くための処方箋はここにある。
日本の競争力の源泉は、素材や部品などのBtoB企業によるところが大きく、日本の成長はこうしたBtoB産業や企業に依存している。日本企業の部品や素材にかかわる技術力は、世界で高い評価を受けており、高いシェアを有している企業も数多く存在している。しかし、それに見合った利益率を確保できているとはいえない。技術力があっても、それを十分な利益に結びつけることには失敗しているのだ。
BtoB企業の産業財(ビジネス財・生産財)のマーケティング(つまり、法人営業)は、日本がこれから生き残っていくためにもニーズの高い領域である。とりわけ、近年の市場のグローバル化の中で、部品や素材メーカーは欧米企業と中国をはじめとする新興国企業との狭間に立たされて、苦戦する企業も少なくない。
本書では、そうした企業に対して、今後の成長シナリオを策定する際の道標をマーケティングの視点で提供することをねらいとする。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
なぜ今までBtoB(特に"日本の"製造業)では、マーケティングが発展しなかったのか?なぜそれで今までやってこれたのか?なぜ今マーケティングが必要なのか、、なんとなく理解しているようで理解できていなかった事が繰り返し書かれていて、非常にスッキリ!
また、序章から2章までは、BtoBビジネス、BtoBマーケティングとはなんたるやを丁寧に書かれているので、初心者も読み進めやすい内容になっています。
前著のBtoBブランディングとあわせて読むのがおすすめです。
Posted by ブクログ
いろいろ書いてあるが、『BtoBでもブランド戦略は大事ですよ』というのがメインメッセージ。Intel insideの戦略が通用するのは部材としての圧倒的な製品力と最終顧客にとっての価値が認められた場合だけであり、どの企業にもできることではないことはよく理解できた。
また顧客満足と短期利益は二律背反であり、『顧客満足を上げて利益を最大化しよう』という経営者の指示(訓示?)は無責任、というのも大いに納得。確かにそれらの優先順を選択し、顧客満足度を上げる具体的な活動の仕組みを構築するのが経営者の役割であり責任だ。
欲を言えばブランディング以外のBtoBマーケティング戦略についての内容がもう少し欲しいところ。
Posted by ブクログ
BtoBマーケティングについて、BtoCマーケティングとの比較からそのポイントを考えることができる。
STP、4P、ブランディングなどその両者に本質的なマーケティング戦略の違いはないと考えるが、自身の視点・経験において比較視点から言うと、
○選択に際して感情的な側面の影響を受けやすい消費財の購買行動に対して、より合理的で客観的な意思決定がなされる。とはいえ、特定の局面においては、売り手企業に対する印象を参照した主観的な判断がしばしば行われる。
○顧客の購買プロセスを理解し、そのステージに応じた適切な施策が必要がある。
○いわゆる”成分ブランド”が注目されている!が、ブランド化する技術や素材が最終商品の基幹機能を果たすことが多いので、業種特化型ではセットメーカーからの何らかの抵抗があることを想定する必要がある。
○提案型営業が利益に関して最も有効な営業タイプ。一方、売上の最も寄与する営業タイプは奉仕型営業。つまり、買い手企業から提示される要望に応えるだけでは、売り上げは伸びるだろうが、利益に結びつくことはない。
○「本年は利益を高め、顧客満足を高めて乗り切ろう」ということは間違い。短期的にはその両者は二律背反であるから。効果と効率は二律背反である。
○顧客に苦情を「言わせる」工夫が必要。しかし、苦情への対応が直接満足へと結びつくわけではない。
という傾向があるということである。
そして、その判断基準や重要性の要素の分析が具体的に在るので理解がしやすい。
また、ネットによるBtoBマーケティングの現状と戦略のポイント、さらには、マーケティング組織構造について適応性があり、具体的な企業の事例を交えて戦略が機能する組織を知ることができる。
私的な感覚であるが、BtoBマーケティングは、BtoCマーケティングよりも共創的マーケティングへの進化が先にあるように感じる。それは、経営というプロフェッショナルな視点での購買という関係であるからと考える。よって、BtoCマーケティングをより考えるという視点としても面白く読める一冊。