リチャード・パワーズのレビュー一覧
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『子供、女性、奴隷、先住民、病人、狂人、障碍者。驚いたことにそのすべてが、この数世紀の間に、法律上の人格を持つ存在に変わった。それならば、樹木や鷲、山や川が、自分たちに果てしない危害を加えて窃盗を働いた人間相手に訴訟を起こしてなならない理由があるだろうか?ー 話すことができないので当事者適格性が認め...続きを読むPosted by ブクログ
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リチャード・パワーズが紡ぐ物語の力に泣いた。
特に終章が本当に素晴らしく、本を読んで世界が変わると言う言葉は本当だったんだと思った。
人と人の道が交わり、また新しい道ができる。
そこで交差する人達の想いは読み手にも作用する。
地球のために、森林のために、私にできることは何か考えながら生きていきたい。...続きを読むPosted by ブクログ -
作者が書きたい放題書いたというだけあって、とびぬけている。本国の出版が1985年という古さがどこにも感じられない。もっと早く読めば良かった。Posted by ブクログ
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大傑作。あまりにおもしろくて半日で一気読みした。ちょっと動揺するくらいにso movedで、とりあえず今年のマイベストは決定した。極めて美しい無限の姿。Posted by ブクログ
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すごい本だった。
第一に、アメリカで天然林の伐採運動が、どのように盛り上がっていったのか、何人かの人の個人史の集合として読むことができる。
第二に、樹木の集合体としての森林に、別の次元の特性が備わっていることを、科学的知見も援用しながら示したこと。
第三に、それに関わる人間のあり方を示したこと。
と...続きを読むPosted by ブクログ -
切ない物語でした。適した大気があるから、我々は普通に生活できている。その大気を作ってくれている樹木。その樹木を伐採する人間。その伐採を食い止める人。レイの発した「正当防衛」がしっくりきた。不条理な世の中だなぁとつくづく思う。メルロポンティを思い出した。Posted by ブクログ
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人との出会い・人生は無数に枝分かれし、絡み合い、時に根幹に帰る様はまるで木のよう。
読み終えた後、木を見上げその樹皮に触れて名前を尋ねてしまったけど、伝わっただろうか。Posted by ブクログ -
昔、吉祥寺に知久寿焼のライブを観に行ったことがある。彼はMCで、吉祥寺の街中にあるとても古い木について話していた。その木は不思議なことに、つららのようにいくつもの「こぶ」が太い枝から下に向かって伸びているのだという。自分はその木を幼い頃から当然のように認知していたが、そんな形状が目に入ったことは一度...続きを読むPosted by ブクログ
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淡々と積み重なった冷静な言葉が描く、ゾクゾクするくらい緻密で壮大な営みに、ひたすら心を震わされる快感。こんな本にあと何回出逢えるんだろう。Posted by ブクログ
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【木々の描く物語を想像してみる】
世代を超えて存在する木と森林と生態系と、そこに異なる形で関わることになった人が想像する物語の話。
人は木材を生産する時、木を守ろうとするとき、木を学問する時、自然に対する自らの視点を示すのかもしれない。
木にまつわる神話や言い伝え、木材の伐採、森林占拠運動、...続きを読むPosted by ブクログ -
下巻に入り、読み方をつかんできたこともあってだいぶ物語を楽しめるスキーマが頭の中にできる。
展開的にも、結末へ向けてぐっと動いていくところなのでどの章にも躍動感が出てくる。
ただ、それでもやっぱりものすごい読み応え。この物語は、この写真を偶然デトロイトで見かけた「私」、写真の中に写る農夫たち、理系の...続きを読むPosted by ブクログ -
ボストンへ移動する途中、乗り換えのために下車したデトロイトで出会った一枚の写真。そこに写った3人の若者を見たところから始まる壮大な思索。
なんと言えばいいのだろうか。物語(そもそも物語なのか、これは)に登場する人物を、圧倒的な量の歴史的事実の中に編み込んでいくことで、何が虚で何が実なのかがわからな...続きを読むPosted by ブクログ -
現代アメリカ文学の作家、リチャード・パワーズのデビュー作。
最も信頼できる翻訳家、柴田先生が翻訳を担当され、そして私が近年に最も愛好するSF・ミステリー作家の小川哲が解説を書いているという点で手に取ったのだが、極めて奇妙で構築された現代小説であった。
この本は表紙にある3人の農夫を写した1枚の写...続きを読むPosted by ブクログ -
現代アメリカ文学の作家、リチャード・パワーズのデビュー作。
最も信頼できる翻訳家、柴田先生が翻訳を担当され、そして私が近年に最も愛好するSF・ミステリー作家の小川哲が解説を書いているという点で手に取ったのだが、極めて奇妙で構築された現代小説であった。
この本は表紙にある3人の農夫を写した1枚の写...続きを読むPosted by ブクログ -
題名と表紙に釣られてジャケ買い。
1914年に撮影された一枚の写真を元に、往時と現在(しかも現在の登場人物は二人)を話が錯綜する。
話の終着点が見えず、手探りで読み進める感覚は久しぶりであった。
作者のある種衒学的なところが多分に含まれているが、語られる、人から人へ伝えられる「物語」とはどのようにし...続きを読むPosted by ブクログ -
樹木と何らかの関わりを持ち、樹木をそれぞれのやり方で大事に思うようになる人々個別の物語が最初にある。短編集のようになっている。
中盤以降は、彼らの物語が一つに絡み合い大きな流れとなっていく。
木自体ですでに多くの生態系を抱える環境になっており、地球規模の視点で環境を見ても木は重要な役割を果たしてい...続きを読むPosted by ブクログ -
読みごたえあった。7月から約半年かかって読んだ。総じて言えば木と人間の話。壮大。壮大すぎて理解不能な文章が並ぶ。聖書のよう。よくもまぁこんなに脈略があるのかないのかわからない文章をツラツラ書けるな。しかし脈略がないようであるのが木で、あるようでないのが人間、なのかもしれない。Posted by ブクログ
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圧倒された。また時を経て読み返したい。読んだ後の世界が違って見えると訳者の後書きにも出ていたが、本当にそんな感じ。情報量も揺さぶられる感情の量も多い。じっくり噛み締めて咀嚼したい。
I felt a difference of 2 cultures. Due to Shintoism, Japa...続きを読むPosted by ブクログ -
まず、ジャケットが出色。巨木の根元に陽が指している写真の上にゴールドで大きく書かれた原語のタイトルがまるで洋書のよう。角度を変えるとタイトル文字だけが浮かび上がる。最近目にした本の中では最高の出来である。表紙、背、裏表紙を広げるとカリフォルニアの朝の森にいるような気がしてくる。そうなると、バーコード...続きを読むPosted by ブクログ
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なんらかの社会的な問題を小説で扱おうとすると、えてして、説明的になったり啓蒙になったり説教臭くなったりして、物語やうねりやスピードをそがれることが多い気がするが、これは始めの、木を巡る8人のストーリーからして面白く、ぐいぐい来る。
環境問題、森林伐採、エコロジーの運動などを取り込んで、こんな小説が出...続きを読むPosted by ブクログ