石塚裕子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ピップが善良過ぎないのがリアルでよい。
臆病だけれど、自分の心に正直な子供だ。
ジェントルマンに憧れ、自分の境遇を恥ずかしく思う気持ちが芽生える。
自由に使える金が手に入ると、見栄に心が染まってしまう。
エステラへの恋慕は募るが、重要な友人たちは思いを断ち切った方がいい旨の助言をする。
心に弱いところがある主人公だ。
金を持っていることがジェントルマンなのではない。
私の目には、ジョーは素晴らしいジェントルマンに見える。
下巻では、ピップがそのことに気づくことを期待して、読み進めて行こうと思う。
そして、遺産相続人はハヴィシャムさんではないだろうな。
第一部 全19章
第二部 1~12章まで -
Posted by ブクログ
小説ってやっぱり面白いんだな~と安心する。
作中、コパフィールドが昔馴染みから「あんたの小説は眠くならない」と評されて、それは大切なことだって再認識する箇所があるが、その通りこんなにも長大な小説なのにいっぺんも眠くなるような難所はなかった。
それはどうしてか、考えるにつけて。
ひとつには非常にドラマチックな点。一人称で描かれたコパフィールド少年の有為転変の物語なんかハラハラドキドキが止まらない。
ひとつには、とてもフラットに描かれている点。実母の命を奪ったダーシー姉弟や体罰校長のクリークルといった同じ人間とはとても思えない冷血漢が続々出てくるけれども、そういった時の感情にはあまり深入りしな -
Posted by ブクログ
ネタバレ■『デイビッド・コパフィールド』(1~5) チャールズ・ディケンズ著 岩波文庫
【後編 メシヤ再降臨準備時代】
英国の文豪、チャールズ・ディケンズの自伝的小説。個人的には特別敬愛している作家です。作品はどれも大衆小説に分類されます。芥川賞じゃなくて、直木賞のジャンルです。これは岩波文庫でも1巻400ページの5巻からなる小説なので、最後まで読むのは結構根気がいりますが、文章の巧さとプロットの上手さで最後まで読ませます。善悪二極化の構図はアメリカ的ですけど、ルーツから言えばこちらが元であって、ピューリタン的なんでしょうね。
ディケンズの味は人物描写ですが、原理の理解という面から言えば、時代背