今西康子のレビュー一覧
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厳しい環境に適応するために遺伝子が変化してきたというこれまでの典型的な進化論的アプローチとは異なり、生き残るために文化が形成され、それに適応してきた結果、ヒトが遺伝的にも進化してきたという新たな進化論を、様々な事例を挙げながら解説している本書。正直「卵が先か、ニワトリが先か」のような話かと思っていたが、読むと非常に説得力があり、大変興味深かった。
人類が地球上でもっとも繁栄してきたのは、単に知能が高いからではない。他の動物との決定的な違いは「文化」があること。環境に適応していく中で文化(毒抜きや調理法、狩猟方法、道具の作り方、タブー、儀式、風習、ルールなど)が生じ、それに基づいて社会が形成さ -
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国立科学博物館の「毒展」から辿りついた一冊。
自分で痛みを検証した、イグノーベル賞を受賞した著者はなんとも強者。
虫の毒や針についてだけでなく、第4章ではオーストラリアのカンガルー島を学会で研究仲間と訪れた著者は、
「何気なく誘って、みんなにも刺されてもらおう。ここに集っているのは、 社会性昆虫に造詣の深い研究者ばかり。格好の標的になってもらえる。」
などの研究の過程も垣間見え、読み物としても楽しませてくれる。
極めつけは、付録の「毒針をもつ昆虫に刺されたときの痛さ一覧」
・ウォーリアーワスプについてにて、
「拷問以外の何物でもない。 (中略)それにしてもなぜ私はこんな一覧を作り始 めてしま -
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人間とチンパンジーの何が違うか、から始まる本書。つかみから面白い。ちなみに違いは模倣力の高さが挙げられていたが、逆にその模倣癖が災いしランダム選択がしづらくなっているという知識も楽しい。
人間は、共同体で模倣による知的ノウハウを積み重ねることで文化を作り、今や地球で1番強い生物になっている。共同体というのがミソで、孤立すると持っていたノウハウは失われる。個人が集まり重なって過ごせる能力の高さが、人間の強さの元とわかる。
進化してきたこと全てが文化進化の働きと言われていることに全面同意はできないが、内容は概ね納得できるものが多い。心理実験から民族の話等、多岐に渡る内容のため、単純に様々な知識を -
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なかなかインパクトのあるタイトル。原題は”Never Home Alone”。映画「ホーム・アローン」をもじったようなフレーズだが、直訳すれば「家で一人ぼっちなんてことは絶対ない」くらいの意味だろうか。
ひとり暮らしの人も、家族と暮らす人も、自分の家は自分のものと思っているだろうが、実はそんなことはない。「家」に住んでいるのはヒトだけではなく、多種多様な生物もまた、自分たちの「家」として住んでいるのだ、というのがこの本の主眼。多種多様というのは文字通りの意味で、10や20、100ですらない、本書の著者らによれば、何と、20万種もの生き物がヒトとともに暮らしているのだという。
まさに「生態系」と -
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サシハリアリにスズメバチ、アシナガバチにヒアリ。
刺すアリやハチは数々あるが、できたら刺されたくないと思うのが普通の反応だろう。
ところが著者、ジャスティン・シュミットは違う。
昆虫毒を専門とする生物学者である彼は、さまざまな毒針昆虫に自ら刺され、痛みを数値化したシュミット指数なるものを作り上げた。その功績で2015年にイグ・ノーベル賞を受賞している。
その「成果」は、巻末付録としてついている、毒針昆虫に刺されたときの痛さ一覧表にまとめられている。
数値スケールで1~4まで。種の名称と分布域、刺されたときの感じも記載される。
「目がくらむほどの強烈な痛み。かかとに三寸釘が刺さったまま、燃え盛 -
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原題は『The WEIRDest People in the World: How the West Became Psychologically Peculiar and Particularly Prosperous』で、WEIRD は Western, Educated, Industrialized, Rich and Democratic のそれぞれの単語の頭文字をとったものである。
本書はいわゆる「現代人」の心理について書かれているのではなく、心理学の研究対象として偏ったサンプリングをされて「現代人」と見做されている特定の性質を持った人々について書かれている。
従って、西洋の宗教 -
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【まとめ】
0 まえがき
複数の研究グループが家の中にいる生物種を調べ始めたところ、20万種を超える生物が発見された。脊椎動物、植物、昆虫、菌類などである。また、家屋に生息している生物種の多くは人間の役に立っており、場合によっては人間にとって不可欠な存在であることもわかった。
しかし残念なことに、家の中にいる生物の多くは善良で、人間にとって不可欠でさえあることに科学者たちが気づき始めたちょうどそのころ、社会全体は、家の中を殺菌消毒することに精力を傾けるようになった。躍起になって屋内の生物を殺していくうちに、家の中を外部の世界から遮断しようとするだけでなく、殺虫剤や抗菌薬を使用すると、その矛先が