今西康子のレビュー一覧

  • 文化がヒトを進化させた 人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉

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    厳しい環境に適応するために遺伝子が変化してきたというこれまでの典型的な進化論的アプローチとは異なり、生き残るために文化が形成され、それに適応してきた結果、ヒトが遺伝的にも進化してきたという新たな進化論を、様々な事例を挙げながら解説している本書。正直「卵が先か、ニワトリが先か」のような話かと思っていたが、読むと非常に説得力があり、大変興味深かった。

    人類が地球上でもっとも繁栄してきたのは、単に知能が高いからではない。他の動物との決定的な違いは「文化」があること。環境に適応していく中で文化(毒抜きや調理法、狩猟方法、道具の作り方、タブー、儀式、風習、ルールなど)が生じ、それに基づいて社会が形成さ

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    2024年01月11日
  • 文化がヒトを進化させた 人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉

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    人類を他の生物とは違った存在に進化させたのは集団脳による文化の蓄積が可能であったからであるようだ。卓越したモデルからその技術や知識を学ぶことで、人間社会は全体がレベルアップすることが可能となった。
    しかし、他者から学べるようになるためには(教えてもらえるようになるためには)常に信頼関係を保ち続けていなければならない。社会の嫌らわれ者は何も教えてもらえないのだ。
    人間の長い進化の歴史なかでは、他人からどのように思われているか(他者からの評価がいかなるものか)が優先すべきことであったのだ。

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    2023年10月28日
  • 蜂と蟻に刺されてみた 「痛さ」からわかった毒針昆虫のヒミツ

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    国立科学博物館の「毒展」から辿りついた一冊。
    自分で痛みを検証した、イグノーベル賞を受賞した著者はなんとも強者。
    虫の毒や針についてだけでなく、第4章ではオーストラリアのカンガルー島を学会で研究仲間と訪れた著者は、
    「何気なく誘って、みんなにも刺されてもらおう。ここに集っているのは、 社会性昆虫に造詣の深い研究者ばかり。格好の標的になってもらえる。」
    などの研究の過程も垣間見え、読み物としても楽しませてくれる。
    極めつけは、付録の「毒針をもつ昆虫に刺されたときの痛さ一覧」
    ・ウォーリアーワスプについてにて、
     「拷問以外の何物でもない。 (中略)それにしてもなぜ私はこんな一覧を作り始 めてしま

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    2023年09月14日
  • 文化がヒトを進化させた 人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉

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    人間とチンパンジーの何が違うか、から始まる本書。つかみから面白い。ちなみに違いは模倣力の高さが挙げられていたが、逆にその模倣癖が災いしランダム選択がしづらくなっているという知識も楽しい。
    人間は、共同体で模倣による知的ノウハウを積み重ねることで文化を作り、今や地球で1番強い生物になっている。共同体というのがミソで、孤立すると持っていたノウハウは失われる。個人が集まり重なって過ごせる能力の高さが、人間の強さの元とわかる。

    進化してきたこと全てが文化進化の働きと言われていることに全面同意はできないが、内容は概ね納得できるものが多い。心理実験から民族の話等、多岐に渡る内容のため、単純に様々な知識を

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    2023年07月11日
  • 蜂と蟻に刺されてみた 「痛さ」からわかった毒針昆虫のヒミツ

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    虫刺されの痛みの数値化でイグノーベル賞を受賞した、シュミット氏の著書。
    様々な種についての記述が専門的だけれど、著書の変態的とも思える昆虫愛が伝わり、初心者でも興味をもって読み進められる良書。

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    2022年11月27日
  • 家は生態系 あなたは20万種の生き物と暮らしている

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    なかなかインパクトのあるタイトル。原題は”Never Home Alone”。映画「ホーム・アローン」をもじったようなフレーズだが、直訳すれば「家で一人ぼっちなんてことは絶対ない」くらいの意味だろうか。
    ひとり暮らしの人も、家族と暮らす人も、自分の家は自分のものと思っているだろうが、実はそんなことはない。「家」に住んでいるのはヒトだけではなく、多種多様な生物もまた、自分たちの「家」として住んでいるのだ、というのがこの本の主眼。多種多様というのは文字通りの意味で、10や20、100ですらない、本書の著者らによれば、何と、20万種もの生き物がヒトとともに暮らしているのだという。
    まさに「生態系」と

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    2021年06月21日
  • 文化がヒトを進化させた 人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉

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    ヒトの進化について、言語より広い「文化」の影響を幅広く考察した書籍。幅広すぎてちょっと分かりにくい箇所も多いが、興味深い。

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    2020年08月23日
  • 蜂と蟻に刺されてみた 「痛さ」からわかった毒針昆虫のヒミツ

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    サシハリアリにスズメバチ、アシナガバチにヒアリ。
    刺すアリやハチは数々あるが、できたら刺されたくないと思うのが普通の反応だろう。
    ところが著者、ジャスティン・シュミットは違う。
    昆虫毒を専門とする生物学者である彼は、さまざまな毒針昆虫に自ら刺され、痛みを数値化したシュミット指数なるものを作り上げた。その功績で2015年にイグ・ノーベル賞を受賞している。

    その「成果」は、巻末付録としてついている、毒針昆虫に刺されたときの痛さ一覧表にまとめられている。
    数値スケールで1~4まで。種の名称と分布域、刺されたときの感じも記載される。
    「目がくらむほどの強烈な痛み。かかとに三寸釘が刺さったまま、燃え盛

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    2018年09月01日
  • 蜂と蟻に刺されてみた 「痛さ」からわかった毒針昆虫のヒミツ

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    蟻や蜂が子孫を残す(生き抜く)為の、進化や生態を知ることができました。
    自分は参考にする機会はまず無いと思うけど、巻末の痛みスケールは、解説を含めてとても興味深いものでした。

    この本を読んでいたら、人間の存在についてもぼんやりと考えてしまう…

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    2018年08月22日
  • WEIRD「現代人」の奇妙な心理 下 経済的繁栄、民主制、個人主義の起源

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    内容的には時代感も現代の我々に近い下巻の方がとっつきやすいかもしれない。市場・法・科学・宗教、ビッグワードになりがちな近代コンセプトがいかに私たちの心理や認識を形成し、社会を形作っているのか。内容は決して平易ではないけれど、「うお〜、なるほどな〜」と次から次へと目から鱗が。

    人間は良くも悪くも一回の人生しか生きれないので、通歴史・通文化で所与を根本から疑うことが難しい。だからこそ、ガチで書かれた本が与えてくれる視座は、重厚な読書ならでは。

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    2025年06月25日
  • WEIRD「現代人」の奇妙な心理 上 経済的繁栄、民主制、個人主義の起源

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    「現代人は、歴史上存在した社会や、人類進化の途上で存在した社会の人々とは、神経学的にも心理学的にも全く異なっている」と本書で語られるように、『サピエンス全史』にも似た学際的なアプローチから現代人【W:Western(西洋の)/ E:Educated(教育水準の高い)/ I: Industrialized(工業化された)/R:Rich(裕福な)/ D:Democratic(民主主義の)】の特異性を明らかにしていく。私たちが普遍と信じて疑わない心理的傾向や価値観も、歴史の過程で、着実に構築されてきたものであることが、実証的にわかる。

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    2025年05月31日
  • 家は生態系 あなたは20万種の生き物と暮らしている

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    レーウェンフックが身近に感じられた
    なんだかうまく感想にまとめられないけれど
    好奇心と時間さえあれば、わたしたちも家の中で研究ができるのでは?
    と思った

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    2025年04月02日
  • WEIRD「現代人」の奇妙な心理 下 経済的繁栄、民主制、個人主義の起源

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    視点がとても興味深かったです。著者も認めておられるようですが、広義にはマックス・ウェーバーの延長に位置付けられる論考だと感じます。
    ただものすごく冗長で、上下巻にわたる膨大なボリュームを書くのは確かに分析的思考に取り憑かれたウィアードな(奇妙な)人の習慣だろうとも思いました。

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    2024年08月17日
  • WEIRD「現代人」の奇妙な心理 上 経済的繁栄、民主制、個人主義の起源

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     WEIRD(ウィアード)。聞き慣れない略語である。西洋の(Western)、教育水準の高い(Educated)、工業化された(Industrialized)、裕福な(Rich)、民主主義の(Democratic)社会で生まれ育った、の頭文字を取った言葉である。上下巻にわたる大作であり、まず上巻を読んだ。個人主義的傾向が強い国ほど、裕福で、イノベーションが生まれやすく、経済的な生産活動も盛んであると力説している。それがWEIRDであると。詳細は下巻を読んだ後に述べることとする。

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    2024年04月13日
  • WEIRD「現代人」の奇妙な心理 上 経済的繁栄、民主制、個人主義の起源

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    原題は『The WEIRDest People in the World: How the West Became Psychologically Peculiar and Particularly Prosperous』で、WEIRD は Western, Educated, Industrialized, Rich and Democratic のそれぞれの単語の頭文字をとったものである。
    本書はいわゆる「現代人」の心理について書かれているのではなく、心理学の研究対象として偏ったサンプリングをされて「現代人」と見做されている特定の性質を持った人々について書かれている。

    従って、西洋の宗教

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    2024年04月01日
  • 文化がヒトを進化させた 人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉

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    感想
    自然選択の先にある学習。人類は模倣と学習を繰り返すことで他の種には手の届かない段階にまで到達した。

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    2023年07月04日
  • 蜂と蟻に刺されてみた 「痛さ」からわかった毒針昆虫のヒミツ

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    イグ・ノーベル賞を受賞した作者の、研究対象に対するアプローチは少し変わっている。

    蜂に刺され、噛まれ、蟻に噛まれ、刺される。
    そして、その噛むメカニズム、刺す習性、巣作り、狩の姿など研究対象に迫っていく。

    蜂や蟻の最大の武器を忌避せずに受け入れるレポートは、詳細でリアル。

    世の中には変わった学者がいるものだ。
    彼が、毒物のアレルギーでなくてよかった。

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    2023年04月08日
  • 家は生態系 あなたは20万種の生き物と暮らしている

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    【まとめ】
    0 まえがき
    複数の研究グループが家の中にいる生物種を調べ始めたところ、20万種を超える生物が発見された。脊椎動物、植物、昆虫、菌類などである。また、家屋に生息している生物種の多くは人間の役に立っており、場合によっては人間にとって不可欠な存在であることもわかった。
    しかし残念なことに、家の中にいる生物の多くは善良で、人間にとって不可欠でさえあることに科学者たちが気づき始めたちょうどそのころ、社会全体は、家の中を殺菌消毒することに精力を傾けるようになった。躍起になって屋内の生物を殺していくうちに、家の中を外部の世界から遮断しようとするだけでなく、殺虫剤や抗菌薬を使用すると、その矛先が

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    2022年05月07日
  • 家は生態系 あなたは20万種の生き物と暮らしている

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    米国の生態学者による家の中の生き物。多種多様な生物、その生き残り方、場面を想像しながら読むと背中がゾワゾワしてくる。期待以上の読み応えだった。
    地味なゴキブリの研究を、長く続けている日本人女性に感心!

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    2022年04月07日
  • 家は生態系 あなたは20万種の生き物と暮らしている

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    想像以上に、多くの生き物とわたしたちは自分の家に住んでいる。
    これも共生というのだろうか。
    多様性というのだろうか。
    見えない、知らないではすまされない。
    でも、知ったからといって、現在の環境を即座に変えるというのも難しそうだ。
    生物の世界は、人工物の中でも、常に複雑にできている。

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    2021年09月18日