【感想・ネタバレ】文化がヒトを進化させた 人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉のレビュー

あらすじ

:::::::生物学、人類学、心理学、社会学の世界的権威が絶賛:::::::


ヘンリックは進化の考え方に革命を起こした
ジョナサン・ハイト『社会はなぜ左と右にわかれるのか』著者


ヒトの進化と行動に関する主要な問題に、斬新かつ価値ある視座を提示する
アレックス・メスーディ『文化進化論』著者


生物学、人類学、経済学、心理学のはざまから、人類社会の繁栄を説明する新しいアプローチが登場した。……このパラダイムを俯瞰する出色の書
ジェイムズ・ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』著者


ヒトの集団脳はいかに誕生し進化したか? この問いに答える緻密な理論を物語を紡ぐように語る
マット・リドレー『進化は万能である』『繁栄』著者


革命が起きつつある社会科学で、ヘンリックは最前線を走る
ダロン・アセモグル『国家はなぜ衰退するのか』著者


ヒトを謎多き動物にした、遺伝子と文化の進化プロセスをめぐる魅力的な書
マイケル・トマセロ『ヒトはなぜ協力するのか』著者


人類の起源に関心のある人には必読の書
ロバート・ボイド『ヒトはどのように進化してきたか』著者


文化は長い年月をかけて人間をつくり変える進化的装置だ
ピーター・リチャーソン カリフォルニア大学デーヴィス校教授

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

面白かった!ヒトをヒトたらしめているのは文化であるということがよく分かった。ヒトはチンパンジーと比べて特別賢いわけでも生物として優れているわけでもない。すべては文化の蓄積のおかげなんだ。ヒトは文化と切り離されたら生きていけないが、それは現代人が退化したわけではなく、狩猟採集時代においても同じこと。樹上から降りて大きな集団を作り、集団内で文化を蓄積し、文化の進化とともにヒトの遺伝子も進化してきた。
また、一見不合理に思われるようなヒトの心理特性についても文化進化の面から考えると納得いくことも多かった。こうしたヒトの生得的心理に逆らうような規範が社会に根付くのは難しいだろうこともよく分かった。それならどうすればいいかは今後の社会において大きな課題になるだろう。
ヒトの集団脳を飛躍的に拡大させる可能性に満ちたインターネットについても、今や生成AIにより情報の屑まみれになりつつあるので、早急に制度や規範を整えたほうがいいだろうなという個人的な感想をもった。

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2025年10月03日

Posted by ブクログ

ヒトが向社会的な動物として進化したのは,文化習得に秀でた個人が自然選択において有利になったからであるという主張を膨大なエビデンスをもとに展開していく。
人類に文化的学習の淘汰圧がはたらき,文化進化がヒトの遺伝的進化の最大の駆動力となったのは200万年前と著者は主張する。
"文化的な進化は、遺伝的な進化ではなくとも、生物学的な進化の一種なのである。"

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2020年01月13日

Posted by ブクログ

厳しい環境に適応するために遺伝子が変化してきたというこれまでの典型的な進化論的アプローチとは異なり、生き残るために文化が形成され、それに適応してきた結果、ヒトが遺伝的にも進化してきたという新たな進化論を、様々な事例を挙げながら解説している本書。正直「卵が先か、ニワトリが先か」のような話かと思っていたが、読むと非常に説得力があり、大変興味深かった。

人類が地球上でもっとも繁栄してきたのは、単に知能が高いからではない。他の動物との決定的な違いは「文化」があること。環境に適応していく中で文化(毒抜きや調理法、狩猟方法、道具の作り方、タブー、儀式、風習、ルールなど)が生じ、それに基づいて社会が形成される。社会の中では規範や道義を守り、集団に属することが生存にかかわってくる。逸脱者は集団内に居場所がなくなる=生存できないが、逆に集団内でプレスティージを得ている者は、その利他的な行動で他者を感化し、良いモデルとして模倣の対象となる。結果、文化や道義を遵守する社会規範ができ、ヒトはより向社会的・協力的な生き物となった。

この社会規範という部分で特に印象に残ったのが、赤ん坊を対象として行われたパペットの道徳劇の実験。まだ言葉もわからないような赤ん坊が、反社会的な者に対してネガティブな反応を示しただけでなく、反社会的な者を罰する者を支持する傾向が見られたのは、ヒトが社会的な生き物であるということがDNAレベルで刻まれているという証であり、大変興味深く思う。

トウガラシの例と同じで、ルールに縛られることはおそらく生物としては不自然なのだが、逸脱者には制裁が加えられ、規範を守る者には報酬が与えられてきたことで、人間は規範順守を直感的に喜びと感じるようになった。つまり文化がヒトを進化させたのである。「人類の家畜化」という言葉に納得した。


これまでヒトが繁栄してきたのは、ヒトが模倣する生き物だからであるが、この模倣により、発明(インベンション)せずに革新(イノベーション)を生み出すことができるとのこと。つまり、模倣するヒトはさらに進化する可能性があるということだ。今後どのように変わっていくのだろう。人間は本当に面白い生き物だと改めて思う。

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2024年01月11日

Posted by ブクログ

人類を他の生物とは違った存在に進化させたのは集団脳による文化の蓄積が可能であったからであるようだ。卓越したモデルからその技術や知識を学ぶことで、人間社会は全体がレベルアップすることが可能となった。
しかし、他者から学べるようになるためには(教えてもらえるようになるためには)常に信頼関係を保ち続けていなければならない。社会の嫌らわれ者は何も教えてもらえないのだ。
人間の長い進化の歴史なかでは、他人からどのように思われているか(他者からの評価がいかなるものか)が優先すべきことであったのだ。

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2023年10月28日

Posted by ブクログ

人間とチンパンジーの何が違うか、から始まる本書。つかみから面白い。ちなみに違いは模倣力の高さが挙げられていたが、逆にその模倣癖が災いしランダム選択がしづらくなっているという知識も楽しい。
人間は、共同体で模倣による知的ノウハウを積み重ねることで文化を作り、今や地球で1番強い生物になっている。共同体というのがミソで、孤立すると持っていたノウハウは失われる。個人が集まり重なって過ごせる能力の高さが、人間の強さの元とわかる。

進化してきたこと全てが文化進化の働きと言われていることに全面同意はできないが、内容は概ね納得できるものが多い。心理実験から民族の話等、多岐に渡る内容のため、単純に様々な知識を得たい時にもおすすめしたい本。

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2023年07月11日

Posted by ブクログ

ヒトの進化について、言語より広い「文化」の影響を幅広く考察した書籍。幅広すぎてちょっと分かりにくい箇所も多いが、興味深い。

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2020年08月23日

Posted by ブクログ

感想
自然選択の先にある学習。人類は模倣と学習を繰り返すことで他の種には手の届かない段階にまで到達した。

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2023年07月04日

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