今西康子のレビュー一覧
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人類は、協力し合う事で地球上の他の生き物よりも繁栄する事ができた。家族での支え合いと、更に他の集団との競争に打ち勝っていくために、親族集団の規模を拡大する必要があり、その手段として親族内での婚姻等を中心に集団の規模の拡大、そして他の集団に対する優位性を目指してきた。しかし、ヨーロッパ、特に西欧の世界ではある時期から、これとは逆の社会が築かれる方向を進めらていく事になる。カトリック教会となるキリスト教の一派が4世紀ごろから、親族間の婚姻の規制を強化する支持命令を出し続け、ヨーロッパでは親密な親族関係が解体されたからである。それにより人々は個として生きていくことが出来る社会に適合する必要性を強める
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世界は主に西欧とアメリカ合衆国が中心に動かして来た。これにより、西欧をスタンダードに考えがちだが。ここに大きな落とし穴がある。それら地域の居住者を著者は「WEIRD」と呼び、実は彼らの心性が世界のスタンダードからすると逆に特殊である事が考えられる。「WEIRD」とは西洋の(W)、教育水準の高い(E)、工業化された(I)、民主主義の(D)という特長を持つ人々。彼は独立心が強く、同調性が低く、分析的に物事を見、公平性を重視する。今まで、学問的に様々な実験、アンケートを行う際に学者は「WEIRD」の大学生を中心に対象として行なって来たが、これが人間の示すスタンダードな結果ではなく、世界全体的に見て、
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フォン・フリッシュがミツバチの色覚やコミュニケーションを研究してノーベル賞を授与されたのは1973年。ミツバチの賢さと社会性はそれでお墨付きを得たようなものだったが、さらにその先の先があった。本書の原著は2022年刊。フリッシュ以降、半世紀の研究の展開。
実験をしてみると、道具も使えるし、観察学習もできる。遅延見本合わせの課題もクリアするし、(チンパンジーにも難しい)紐引き推理課題も解ける。仲間の個体識別もできるし、やらせてみると、ヒトの顔の識別もできる。喜怒哀楽もあるし、仲間への共感もあるようだ。個性もある。自意識ももっているかもしれない。まるで人間みたい。動物の行動や能力を「擬人化」しちゃ -
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面白かった!ヒトをヒトたらしめているのは文化であるということがよく分かった。ヒトはチンパンジーと比べて特別賢いわけでも生物として優れているわけでもない。すべては文化の蓄積のおかげなんだ。ヒトは文化と切り離されたら生きていけないが、それは現代人が退化したわけではなく、狩猟採集時代においても同じこと。樹上から降りて大きな集団を作り、集団内で文化を蓄積し、文化の進化とともにヒトの遺伝子も進化してきた。
また、一見不合理に思われるようなヒトの心理特性についても文化進化の面から考えると納得いくことも多かった。こうしたヒトの生得的心理に逆らうような規範が社会に根付くのは難しいだろうこともよく分かった。それ -
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著者のジャスティン・シュミットは、2015年にイグ・ノーベル賞を受賞。授賞理由は、苦痛に耐えての虫刺されの痛みの尺度の作成。まさに体を張った研究。本書の原著は、タイムリーにも、受賞直後の刊行。
子ども向けの授業では、ミツバチが何匹も飛び回っている広口瓶に手を入れてみせる。刺されると思いきや、大丈夫。実は中にいるのはオス。オスは刺さない。進化的には、ハチの産卵管の先端が刺針に変化した。つまり、刺針をもつのはメス。
刺針や毒液がどう進化したか、防御のためにどう刺針を使うか、どんな毒虫の擬態をするか(ベイツ型とミューラー型)が、体験談も交え、かなり詳しく解説されている。トリビアも満載。
巻末には、毒 -
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原題のほうが内容をよく表している。「バイアス」というと行動経済的な印象があるが、狭い内容ではなく、「経験」がいかに意思決定を間違わせるかとそれに対してどう修正するかを幅広く考察した本。
THE MYTH OF EXPERIENCE
Why We Learn the Wrong Lessons, and Ways to Correct Them
【目次】
序章 経験はすばらしい教師だ――が、そうではないこともある
経験―それは頼れる教師
学習になじまない環境―見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?
経験からの教訓―いったん学んでしまうと、忘れるのは難しい
経験幻想を捨てる
第1章 -
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山の中に住んだら健康的になるかも。というようなことが書かれた本。普段人間が生活している屋内には、見えないサイズの数多の生物が生息しており、野外と比べても特別な生物相が形成されている。特殊な環境でしか見つからない菌が、普段使っている給湯器から見つかってしまったなどの例も書かれており色々面白い。
細菌などを含めた生物の多様性を維持することで人にとって悪い菌が増えるのを防ぐ話や、薬物耐性菌を野に放つと従来の耐性のない菌にリソースの問題で負けてしまう辺りの話も興味深かった。あとはコロナで話題になったPCR検査は本来こう使うのかなどと思った。
とりあえず今日から窓をちゃんと開けて換気するようにしたい -
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生態学者の著者は、これまで、生態学は外の世界を見てきたという。人類は含まれるものの、人類を取り巻く「自然」における多様な生物からなる生態系及び生態系サービスを見てきたという。だから、家の中にどれぐらい新生物がいるかをしらなかったという。それに対して、本書が取り上げるのは一軒の家にいる生き物すべてを総ざらえしようというのである。そして、その生き物たちが生態系をなしていて、微妙なバランスで成り立っているというのである。なお、本書ではウィルスは登場せず、細菌や原生動物といった微生物、昆虫、ペット、そして、人間が登場する。
たとえば、花粉症などのアレルギーは、多様な環境に暴露されなかったから、身体の -
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ネタバレ蟻と蜂が刺針をどのような目的で発達させてきたかを、その生態、社会生活を営むのか、単独性なのか、餌との関係なのか、捕食者との関係などに触れながら記述していく。
社会性の高い種ほど、その失うモノ(蜜や幼虫など)が大きいため、外敵に対する刺針とその毒を発達させ、単独性の昆虫は餌を麻痺させる目的で発達させているようだ。特にオオベッコウバチがタランチュラを麻痺させ、巣に運び、卵を産み付ける。孵った幼虫がタランチュラの血や筋肉、脂肪、消化器系などを食べられ、最後まで動いていた心臓を食べられて死ぬという。この部分を読んだ時は、タランチュラが少しだけ愛おしく感じた。
他にもヒアリが拡大した理由に人間とその -
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昆虫刺されの痛さを1−4スケールで示し、イグノーベル賞を取った著者の渾身の一作。
蜂と蟻がどうやって毒針を持つに至ったか。もともとは産卵管が発達して刺す機能を持ったので、メスしか刺せない!どういう蜂や蟻が刺すのかというと、失うものが大きい種類。高度な社会性を持つ場合、コロニーを大型哺乳類から守るには自らを犠牲にしてでも捕食者をすから遠ざけなくてはならない。そのため、ミツバチは毒針を自切し毒液を捕食者に対して全部注入する。またありバチは社会性はないが、メスは翅もなく長生きであるため捕食されるリスクも高い。そのため、硬い体、柔軟な針、痛い毒液を備える。痛さ最高に君臨するサシハリアリは、主に植物性の -
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下巻は特にオスによるメスの獲得、つまり「子孫を残す」という行動原理から人類の成り立ちが紐解かれていく。日本では一夫一婦制が当たり前だが、歴史的に見てもそれが必ずしも正しいとは言い切れない。しかし、長い時間をかけて、そのような秩序が形成されていったのだ。そこには宗教的な理由や男女それぞれの合理的な思惑も反映されていった。
結果として種が続いているという事を考えれば、狡猾な戦略がそこにはあるのだ。女性は、優れたハンターを独占できる方が、食に満たされ、自らの子孫を残す確実性が高まる。しかし、一夫一婦制だと「優秀なハンター」は別の誰かに独占されてしまい、「狩りの下手糞な夫」とつがいになる可能性もある