那波かおりのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ雑誌「VERY」のシスターフッド特集の中で紹介されていた1冊。
読み始めたら止まらない。特に中盤からぐいぐいひきこまれる。1940年代のニューヨークを舞台に、自らが世界の中心であることを証明するように、嵐のような生活をするヴィヴィアン。若さゆえの自分本位の言動に居心地の悪さを感じる前半。しかし、あるスキャンダルにより二度と癒されない傷、取り戻せない信頼があることを知った彼女。自分を見つめなおし、彼女を愛する周囲の人々との生活のなかで培った、彼女らしい生き方考え方に元気づけられる。
ヴィヴィアンが、自分を責めるフランクに対して「あなたが役立たずだっていうのが事実だったら、それがなんだっていうの -
Posted by ブクログ
登場人物がもれなく全員素晴らしい。人間味にあふれていて魅力的で、1番好きな人を決められない。
私はもちろんこの時代を知らないし、NYという街も知らない。なんとなくSATCを思い出した。ちょっと違うけど。でももっとうんと前の時代の話ってことは、なんて前衛的なんだろう。
なによりも、世界は”ただそこにある”。
そのことを描いた作品に出会ったのはこれが2回目。私はそういう世界の捉え方をする物語が大好きなんだよな〜。
物語の大筋とは別に、日本の真珠湾攻撃がアメリカ側の視点で、しかも戦場の話ではなく一般市民の目線での戦争の影響が語られるのもなかなか考えさせられた。カミカゼについては描かれるが、 -
Posted by ブクログ
控えめに言っても最高な一冊。
どうして2021年になるまでこの本が存在しなかったのかと責めたくなるほど、これは女として生まれたからには避けては通れないバイブルのような一冊だ。
嫌悪する人もいるだろうし、うんざりする人もいるかもしれない。でも目を逸らせないだろう。
だって、ヴィヴはわたしたちが目を背けたものをすべてから目を逸らさず、そして思うままに生きている。
取り返しのつかない失敗を経て、彼女はようやく自分になれたのかもしれない。
あの時代にこんな風に生きた人がいるなら、それならば、21世紀に生きる私たちが日和ってる場合ではない。
曲がった世界で、自分を見つけて自分の人生を生きていかな -
Posted by ブクログ
ものすごくよかった。今年のベストワンかもっていうくらい。とっても好み!!
1940年代のニューヨーク、素行不良で女子大から追い出されたヴィヴィアンは、ニューヨークで劇場を営む叔母ペグのもとで暮らすことになり、衣装係をしながら、ショーガールたちなどと自由奔放に遊びまわり、やがて大女優エドナがやってきたことではじめた新しいショーが大当たり。前半のこのあたりは、ニューヨークの話で、ショービジネス界の話で、個人的に好きな要素がたくさんなのですごく楽しく読んだ。新作のショーがだんだんつくりあげられていく過程にわくわくして、いよいよ初日の幕が上がるとき、舞台裏で脚本家兼演出家のビリーがするスピーチに感動し -
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Posted by ブクログ
ネタバレ半分読んだくらいから面白くて止まらなくなった。
癖の強いプロフェッショナルが作り上げるショービジネスの世界。
Eat,Pray,Laveの作家の方の作品。テンポが良くて読みやすいが前半3分の2は人物描写や主人公の考察が浅くて重みがない。
衣装作りの才能と若さと美しさがあって多少問題を起こしても、太い家族の力でニューヨークに居場所を提供してもらえる、特権階級の甘えた子供。浅はかで未熟な彼女よやうな人間が失敗を起こす。
尊敬する大人の女性に、「あなたはひとかどの人間にはなれない。あなたの人生は特別に重要じゃない(あなたは永遠に雑魚)」と言われるところは、その通りなんだけどなんとも言えない(し -
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Posted by ブクログ
パワー・オブ・ザ・ドッグの凶悪な犬の力に続き、ブロークバック・マウンテンから吹きつきける荒々しい風が私の心をものすごい力で持ち去ってすっかりカラッポにしており、正直に言って今はニューヨークの気分なんかじゃ全然なかったのですが(もっとカウボーイくれ!という気分だった)、しかし他に読むものがなかったので、しぶしぶ気持ちを切り替えて読んだ。
でもこれも良かった!
★ひとつマイナスなのは、たぶんまだブロークバック・マウンテンの世界をちょっとだけ引きずっているせいで、ラストの方で主人公が長々と語る性衝動の「闇」に対する記述がいかにもこの著者らしく説明過多で嘘くさくてちょっとカンに触ったからで(この著者 -
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Posted by ブクログ
1940年代の米国、地方の裕福な家庭に育ち有名女子大に進んだヴィヴィアンは大学を退学になり、ニューヨークで劇場を経営するペグ叔母さんの元へ放り出される。売れないミュージカルを劇場に住み込むダンサーたちと上演しながら、自分たちの思うままに暮らす叔母さんたちと仲間たちに魅了されヴィヴィアンはニューヨークを奔放に遊び回る。祖母から受け継いだ裁縫の腕を活かし、舞台衣装を作成の才能も開花させる。裕福な劇場ではないが、仲間と愉快に華やかに過ごしていたが、英国に帰国できなくなった有名舞台女優が転がり込んできたことからペグ叔母さんの劇場は一変し、ヴィヴィアンはスキャンダラスな世界へ引き込まれていく。
全体は -