室橋裕和のレビュー一覧
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今やどの町にもあると言っても過言でないくらいたくさんあるインド料理の店。しかし、そこではたいている人の多くはネパール人である。そんなお店は「インネパ」とも呼ばれる。
で、どうしてネパール人なのか。なんでこんなに店がたくさんあるのかなどがよくわかる。
また、ネパール人同士の攻防やカレー屋の彼らが日本に呼び寄せる家族、特に子供についての現状などそこにある様々な問題についても書かれており、単なるインネパレストランの話にとどまらない。
日本に移住する彼らの地元バグルンでも、彼らが日本に来ることより、過疎化が進んでいるという事態には大変驚いた。何とも皮肉な話である。
また、ネパール人とインド人の違いもよくわかって興味深い。例えば「インド人は男性が稼いで女性を養う。でもネパール人は奥さんも、家族で働く。みんなで商売をする。インド人は男ひとりだから、日本でビジネスが広がらなかったんじゃないかな」(p82)や「「たとえばインドのコックさん、自分の仕事しかやらない。カレーだったらカレーだけ。タンドールだったらタンドールだけ。洗い場だったら洗い場だけ」それはインドのカースト制度の意識が影響した、伝統的な分業制だ。カーストは階層でもあり、また細分化されて職業とも密接に結びついている。このカーストはこの職業、というように仕事と身分が固定化・世襲化されているのだが、だから同じ厨房で働いていても自分の仕事しかやらない人がほとんどだ」「ましてや店の掃除や、お客の対応なんかは全く異なる仕事と認識される。兼務するものではないのだ」(p109)
これらの理由から、インド人よりもネパール人の方が重宝されるのだろう。
また逆に、儲かっているお店のコピペばかりして創意工夫をしなかったり、と教育レベルの問題で失敗してしまうといった側面もある。
インネパを通して、移民の問題やネパールの現状を知ることが出来て、とても有意義だった。読みごたえのある一冊だった。
執筆時期のタイミングからか、本書では言及されていないが、「経営・管理」のビザ要件が厳しくなるようで、それが彼らに与える影響も心配である。 -
Posted by ブクログ
面白かった!街中にたくさんあるインドカレー屋(インネパ)の実態に迫った本。ネパール国内は産業が少なく海外出稼ぎに行く人も多い、人口の1割は出稼ぎに行くというのは驚いた。ネパール人がインドカレー屋を始めるようになった歴史から、成功した先人達を真似して(何ならメニューも丸パクリしたりして)、現在のように街中に溢れるようになった経緯まで載っていて面白かった。昔は高級路線だったけど、乱立する中でランチなど安価で提供するようになり、そのイメージが定着している。でも、この本を読んで、その苦労とか手間を考えるともっと高い値段をとってもいいように感じた(しかし日本は不景気なのでそれだと売れないジレンマ…)また、カレー屋を始めた親を持つ子の問題というのも興味深かった。激務から愛情不足だったり、いきなり日本に来て適切な教育が受けられなかったり、そのせいでグレてしまったりと中々ダークな一面もあるようだった。でも親もお金を稼いで子どもにいい暮らしをさせたい故なんだろうなとは感じた。そういう意味で、夜間中学に通い日本語を覚え、うまんぱさるを経営したラジーヴさんの話は希望が持てた。また、ビザの問題も中々大変そうで、ビザが一年しかなく先が見通せなかったり、家族滞在故の問題があったりと皆苦労が伝わってきた。よく近くのインドカレー屋さんがチラシを配っていたが、あれは宣伝もあるが、そういうことをするとちゃんと経営実態があると入管に判断してもらいやすいから(曖昧)と聞いて納得した。最近は英語圏への流出が増えているらしいが、不景気といい言語といい、ビザの問題といい、ネパール人がわざわざ日本にいたい理由もないよなと思う。北米圏に行けば給料倍らしいし。そういう意味でも街中のインドカレー屋はどんどん減っていってしまうのかもしれない。とにかく、途中からどんどんインドカレーを食べたくなってきて、近隣のインドカレー屋(インネパ)を調べてながら読んでいた。初めて食べてみようと思う。
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自宅の近くにアジア人が営むインドカレー屋さんがある。
客はいつ行っても私ぐらいしか居らず、私が通うのをやめたら潰れてしまうのでは?といつも心配している。
「ナンを焼く窯を世界に広めるために店を出してるらしく、窯があれば国から補助金が出るから潰れないらしい」とかいう噂を聞いた。なるほど、だからあの店はいつもガラガラだけど潰れないわけね、と本当か嘘かわからない噂に妙に納得していた。
が、どうやらそういったことではないようだ。自分達の店に客が来ようが来まいが関係ない、ここ日本で楽して金を稼いでいるとばかり思い込んでいたが、それは大きな勘違いで「インネパ」界隈には負の面が多数存在している。「楽して金を稼いでいる」どころか、搾取的とも言える労働環境に身を置きながら、日本での成功を目指さざるを得ない立場にあった。
アメリカンドリームならぬジャパンドリームを夢見てやってきたネパール人。
馬車馬のように働きネパールの家族の元に送金するも、彼らの故郷に還元されるどころか過疎化・高齢化は著しく進む。ネパールでは国内産業が「海外への出稼ぎ」に依存していることからも、この悪循環から脱却することは個人の意志ではどうにもできず、なかなか難しいのかもしれない。
自宅近くのインドカレー屋にはつい先日も訪れたばかりだ。いつ訪れてもガラガラなのに何年も潰れてないあの店...本当のところは私には何もわからないが、あの店の見方が以前とは変わってしまった。 -
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audibleで聴いて、日本で頑張っている彼らを応援したくなり、早速お気に入りのインドカレー店に行ってきた。
人が人を呼び、コピペしたようなインドカレー屋が増えていった背景を知った今、改めてその店の内装や豊富なメニューを見るとインネパのカレー屋の中では拘り派なことがわかった。
ネパール人は、自国には仕事がなく、内戦もあったことから出稼ぎ率がとても多い。
おもしろいのは、日本に行く前にインドで働く、インド経由パターンが多いという。
インド人はカースト制に根差した考え方からの風習として1つの仕事しかやらない特性があるのに対して、ネパール人は柔軟性がありなんでもやるし、宗教上の食材のタブーがなく、給与も安く、インド人と言葉も通じるからインドで重宝されるらしい。
そこからインド人に連れられて日本に行ったり、日本の飲食店からのオファーを受けたりするという。
前半はなるほどと思える内容でとてもおもしろい。
ところが後半はインドカレー屋の闇に迫っていき、家族の抱える問題を知ると切なくなり、まさかのインドカレー屋の本で泣いてしまい自分でもびっくり。
もちろん日本人の飲食店だってみんな必死に経営していると思うけど、外国で逞しく働く彼らに敬意を感じた。
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Posted by ブクログ
ポットキャスト「知らなくても困らない日本」で老舗食堂めぐりの相川さんが紹介していました。
日本にはネパール人によるインドカレーの店が増えている。どこも判で押したようにメインはバターチキンカレー、ナン、タンドリーを中心にしている。
しかしこれはインドカレーでも、ネパール料理ではない。本書ではこのようなネパール人経営のインド料理天、本物のインド料理でもネパール料理でもない物を出すお店を「インネパ」として、なぜ日本で増えたのかを探ってゆく。
すると日本の法律の変化や、インド人ネパール人の生活や国民性がみえてきた!
●ネパールには産業が育たず、国民の1割が外国で働く。
●日本で馴染となっているインドカレー店メニューのバターチキン、ナン、タンドリーは、もともとはムグライ(16世紀から19世紀にインド亜大陸の大帝国ムガル帝国のこと)の宮廷料理だった。
●インド人はカースト制度のため仕事の役割が「カレー担当」「タンドリー担当」「掃除担当」「ホール担当」ときっちり決まっている。それに対してネパール人は何でもやる。そこでネパール人が雇われた。しかしこれは一人のネパール人を低賃金でなんでもやらせる労働体系にも繋がってしまう。
●日本でレストランを出すネパール人が少なかった頃は日本人の好みを聞いたりもしたが、「日本にくれば稼げる。とにかくバターチキンカレー、ナン、タンドリーという自分たちが食べたことのない料理を作れば良い」という世代は、もともとの学もないこともあって日本でも違うやり方を探るとかはしない。「あの店がバターチキン、ナン、タンドリーでやってるんだからうちもやる」しかなくて撤退する店も多い…
●コックとして来日したネパール人は、成り立っている店でコックとして働き、数年後に全く同じメニューを出す。美味しさとか個性よりも稼ぐこと!集合したお店の真似をすることが堅実!!そこでメニューも元の店のものをコピーしたり(文字通りのコピーです)、店構えをそっくり真似て、お店も前の店の近くに出す。そこで競合してしまったり、個性がなかったり、美味しくなくて潰れることもあるけど、冒険よりも元の店の真似が確実!!
●インネパレストラン増加の原因として、外国人が日本で起業する場合の日本の法律の変化についても書かれています。
●なんか世間で言われている「タンドリー窯を作ったら、4人までは就労ビザが取れる」は、嘘。(すみません、私も聞いたことありましたが、嘘だったんですね(^_^;)
たしかに企業や経営状況を判断するのにタンドリー窯があれば「本気でカレー屋やる気なんだな」と見られて許可が出やすいのかも知れない。ネパール人が「許可が出る可能性が高くなるかも」という希望のためタンドリー窯を設置してるってだけ。
●ネパール人が増えると、仲介・斡旋者が増える。その人たちのほうが料理を出す人たちよりも稼ぐ。このあたりの話は、貧しく学がなく失敗する人と、そんな人達からお金を取って成功する人の差が如実に出ていて読んでいていたたまれなくなった…
最初にレストラン開業のときに、ネパール人からお金を集めるとか、コックの資格で就労ビザを取っておいて工場に回すとか。
残念ながらカレーやがネパール人の貧困を固定化させてしまっている面がある。
●日本のインドカレー店、インネパ店の歴史や、日本にレストランを出した元祖のお店の話も出てきました。
そんなお店では、インド料理の素晴らしさを日本に紹介しようとしたけれど、同じメニューで安くて簡単に作ったインネパが増えることによりインド料理の格が下がってしまったと諦めの声も。
●著者はネパールにも取材に行っている。日本で稼いだお金でカレー御殿を建てた人もいる。しかし外国出稼ぎにより、親子が離れて暮らしたり、若者が村からいなくなり村がどんどん過疎化している。
(これは世界中で、国内労働でもある話だ)
●日本はやっすい労働者としての外国人労働者を望んでいるけれど、日本は「ホスト国」としての制度も自覚も足りないので持ってほしいなあ、という希望が書かれる。
就労ビザで来日した父親に着いてきた子供たちは言葉もわからず、学校でも馴染めず、語学学校は料金も高い。(語学学校がある地域にネパール人が集まる側面もある)そして父親の滞在期間がいつ切れるか安定しない生活。
日本は労働者として外国人を入れるなら制度も整える必要がある!日本がハードルの高い制度だけ決めているので、ネパール人がネパール人を搾取するような日本にとっても悪い方向にしかならない方向になっている!
●そんななかでも、日本に馴染んで、あとから来る同国人たちの世話人になるインド人、ネパール人もいます。
うちの家族は外食するとインドカレー(インネパカレー)の店に行く確率はかなり高いです。家では絶対にできないからです。するとたしかに「…あまり美味しくない…」って店も結構あるんですよね。 -
Posted by ブクログ
1980年代神戸のゲイロードや名古屋のキャッスルプラザホテルのアクバルはおしゃれして行く高級料理店でした。
ガラス越しにインド人コックがタンドール窯で焼く巨大ナンにワクワクし、カシューナッツなどが入ったカレーに舌鼓を打ったものです。
いつの間にか近所にもいくつかインド料理店が出来、風の噂にあれはインドではなくネパール人家族でやっていると聞くようになりました。
その移り変わりからネパール人の実情まで丹念な取材で解き明かしてくれました。
おまけに偽造テレフォンカードやクスリの密売で有名だったイラン人がVISAなし渡航の不法残留者として日本にいたことなど本編と関係ない所でも昔からの疑問が解けて非常に参考になりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの本はロードムービーの体裁をとりながら地域の外国人の中に入ってメシを共にし、暮らしを考察しています。
日本の中古車を途上国に売るビジネスを始めたのはパキスタン人で近隣のイスラム教国民に広がっていったが、昨今日本人も中古車を買うようになって値が上がり儲からなくなっているそうです。
北関東在住時たくさんの外国人を見ましたがどの国の方かどんな暮らしをしているのか全く分かりませんでした。
この本で袖を擦れ合った外国人たちがどんな人たちのか朧げながら分かってきました。
景気や政治に振り回される立場の弱い非正規雇用の外国人たちがトランプ関税によってこれからどう影響を受けるのか心配でなりません。 -
Posted by ブクログ
副題に「絶滅メシとリアルな日本」とあるので、
ちょっと変わった雰囲気の街を巡るガイド本か
な、と思ってしまいまたが全然違います。
国道354線は群馬県高崎市から栃木県の南を通
って、茨城県の霞ヶ浦へ抜けていく北関東を横
断する道です。
この沿道に共通するキーワードは「移民の街」
です。
もちろん日本は表向きは移民を受け入れていな
いですが、バブルの頃の不法滞在者や最近では
技能研修生など、形や名称を変えて日本人の人
手不足を補ってきた歴史があります。
そのような人たちがそのまま日本に住み着いて
いる場所がこの沿道なのです。
その国籍は、イラン、バングラディシュ、パキ
スタンそしてベトナムなど多岐にわたります。
それらの街を訪れ、歴史と日本来訪の実態を余
すことなくルポするノンフィクションです。
訪れる街で共通して聞かれる言葉は「日本は人
手不足と言うけれど、日本の若者は働かない。
ブラブラしているだけ」です。
「大丈夫か?ニッポン」と心配になってしまう
一冊です。 -
Posted by ブクログ
日本の中にいる外国人労働者が、なぜか関東のある国道沿いに集まっている…パキスタン人の中古車ビジネスや、在日タイ人がお寺を建てていることは他の本で読んで知っていたが、この本はそれをどんどん深掘りする。
茨城の農業が技能実習生の存在なしにはもうたち行かないほどであること、入国管理の基準がコロナ禍の中で状況に合わせて労働力を確保するために調整されたようであること、パワフルな若いベトナム人は労働力として頼もしい一面、トラブルもよく起こること、日本人農家側にも人を雇うためのルールがよくわかっていないところもあるなど、双方の状況をものすごく考察されている。
どれが正解で間違いで、どれが良いもんで悪もんで、というのは単純にはつけられないけれど、
茨城に住むタイの人々が自分達のお寺でお祭りを行うに当たって、回りの家に1軒1軒挨拶に回って、地域の人もお祭りに来てください、少し人が集まってうるさくなるけどすみません、と言って回っているのは穏便に付き合っていくためのひとつの解決策ではないかと思う。
すぐにそれで打ち解けるわけではないけれど、少なくとも相手が普通の人だと思うのと、訳のわからない奴らがわらわら集まって騒いでる、と思うのでは全く気持ちが違うのだ。
日本人が働かない仕事がそこにあるから、外国人労働者がそこに集まるのだ、と書いてあった。
いま、外国人労働者は身の回りでも多く見るようになった。彼ら彼女らも、日本に夢を抱いて来ているはず。それを信じずに、人間として扱わなければ、彼らが非行に走るのも無理はないだろう。
外国人からの日本的アプローチも地域社会に溶け込むために必要な一面で、日本人が外国人を人として受け入れることも必要なことだろう。 -
Posted by ブクログ
室橋裕和『ルポ新大久保 移民最前線都市を歩く』角川文庫。
2020年に刊行された単行本を加筆修正の上、追加取材をもとに書下ろした新章を追加収録。
なかなか興味深いルポルタージュであった。やはり東南アジアを始めとする外国人たちのバイタリティには感服する。日本人が様々な分野で世界からどんどん置き去りにされていくのも理解出来る。
日本を代表するコリアンタウンである新大久保には様々な国の人びとが集まり、多国籍化が進行し、様変わりしていた。著者は新大久保の多国籍化の理由や外国人と日本人の暮らしぶりに興味を持ち、新大久保に移り住む。
人口の35パーセントが外国人という新大久保。移り住んでみれば、韓国人や中国人だけでなく、ベトナム、ミャンマー、ネパールや東南アジア、インド、中東など様々な国の人びとが暮らしていた。外国人が集まれば、外国人向けのインフラが揃い、各国の料理を提供する店が集まり、さらに多国籍化が進んでいく。
そんな新大久保も東日本大震災の福島第一原発事故で韓国人と中国人が国に帰り、代わってベトナム人、ミャンマー人、ネパール人などが流入して来たと言う。さらには新型コロナにより、新大久保の街は新陳代謝が進み、ますますカオス化が加速しているようだ。
確かに東京に行くと外国人の多いことに驚く。街を歩いている外国人も多いが、留学生やワーキングホリデーの利用者なのだろうか外国人がコンビニや食堂などで働いている姿もよく見る。
ひと昔前の地方では、外国人といえばフィリピンパブのお姉ちゃんくらいしか居なかったが、最近では地方でもコンビニで働く外国人の姿をちらほらと見掛けるようになった。そして、彼らはオタクっぽい日本人バイトよりも優秀なのだ。
また、地方では技能実習生という名目で来日したアジア系の外国人が数人並んで歩いたり、自転車に乗ったりして買物に行く姿をよく見掛ける。勿論、激安スーパーなどで数人で相談しながら、様々な食材を購入している姿も目撃する。
正直に言って日本の地方にこれだけの外国人が流入して来るとは思わなかった。もしかしたら、新大久保は将来の日本の姿なのかも知れない。
本体価格880円
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