陳浩基のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ある朝目覚めたら、自分の中では昨日まで2003年だったはずなのに、現実は2009年になっている。しかも、その6年間の記憶だけがすっぽり抜け落ちているという始まりに、一気に引き込まれました。
昨日まで追っていたつもりの夫婦惨殺事件が、すでに解決済みだと知らされるところでは、何を信じればいいのか分からない主人公の混乱がよく伝わってきました。
読み進めるほど、失われた6年間と事件の真相が少しずつ重なっていき、自分なりに組み立てていた前提が終盤で何度も崩されます。
「あれもそういう意味だったのか」と気付く瞬間が気持ちよく、完全に作者に振り回されました。
記憶や人物関係、事件の背景が複雑なので、途中は少し頭の中を整理しながら読む必要がありましたが、事件の真相以上に、「自分が信じている記憶や自分自身まで、本当に正しいのだろうか」と考えてしまいました。
読み終えた後、タイトルの意味まで含めて、もう一度最初から確認したくなる一冊でした。 -
Posted by ブクログ
「自己犠牲を理由とした自殺(自死)」がもたらすものは……。
「私はみんなには不要なんだ…」「私が死んだ方がみんなのためになる…」
湊かなえや辻村深月の“本”によく出てくるタイプで、他人から見て自分はどう見えるかばかり意識していること、これは究極のジコチュウ、「他人を思いやる」ことの勘違い。
この物語では、バットマンのようなダークヒーローが香港の社会問題とITの闇を闇の中で成敗していく。珍しくはないが、描かれた謎解きや登場人物の心理解説、伏線の構成には驚くばかりで、作者がただものではないことはよく分かる。
ただ…
法律や公序など無視して次々IT技術や最新機器を駆使して謎を暴き、復讐する姿に、なぜか爽快感はなく、嫌な気持が続いてしまうこと(作者の狙いかも)。
「社長と秘書の怪しい関係」が語られたり、「汚い部屋に住む偏屈なオタク」「スマートでおしゃれなIT起業家」「デブでチビで唇が分厚く醜い人物」がそのままの役割で登場したり、ちょっと「ステレオタイプ」であることが興ざめすること。
…少し残念。
「SNSが絡むいじめ問題」「匿名・その他大勢による他者攻撃」
これらが「現代社会特有の問題」とされるのは、本質的に人間の持つ醜い“毒”の出方がITによって強化されて“猛毒”となったため。
無言でスマホを見ている人たちには、今まさに“猛毒”を仕掛けている、または浴びているひとがいる……これは「ホラー」かも。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2年程前にYahoo!ニュースで紹介されており、気になって購入しました。再読して改めて感じましたが、一言で言うと、いやあすごいミステリ小説だ、と思います。特に後半の展開には驚きっぱなしでした。まるで映画を見ているかのよう。
刑事の許友一は朝起きるて、気づくとなぜか記憶がない。署に戻ると丁度自分に来客で、6年前にすでに解決したはずの事件について記者の盧沁宜が取材したいという。。。なぜ記憶がないのか、そしてそもそもその事件の真相とは・・・!?あとはご自身でご確認ください笑
今回の小説のテーマの一つが記憶、です。記憶というのはかなり重要なアイデンティティだと思います。名前や所属団体にアイデンティティを感じることも多いと思いますが、記憶は中でも最も重要なアイデンティティの一つだと思います。そのアイデンティティを失ったとしたらそのインパクトはどのようなものでしょうか。
また、思い込みとか勘違いというは我々の日常にままあることですが、事実と異なる記憶を本物として思いこんだとすると人はどうなるのか。
これだけで大分ネタを明かしてしまったようで申し訳ないのですが、この記憶の妙を上手に使ったのは本作の面白さだと感じました。
また本作は筆者が日本文化に結構通じていることを思わせる部分(古畑任三郎や青島刑事等)が散見され、日本人としては筆者にちょっと親近感がわいてしまうところです。また、筆者が香港人ということであり、香港の様子が細々と記述されています。香港に行ったことのあるかた、住まわれたことのある方は懐かしみと共に楽しめると思います。
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まとめますと、非常に面白い推理小説でした。展開も良し、記憶など人間のアイデンティティにかかわる深いテーマも仕掛けられており物語に深みを与えています。香港という土地柄の描写も旅情を誘います。そして最後に大事なこと。アジアの推理小説という新しい世界に出会うことができます。題名が世界を売った男ですが、私には新しい世界がひらけました、おかげで笑 -
Posted by ブクログ
藍を見つめる藍★★★★
サンタクロース殺し★★★
頭頂★★
時は金なり★★
習作 一★
作家デビュー殺人事件★★★
沈黙は必要だ★★
今年の大晦日は、ひときわ寒かった★
カーラ星第九号事件★★
いとしのエリー★★
習作 二★
珈琲と煙草★
姉妹★
悪魔団殺(怪)人事件★★
霊視★
習作 三★
見えないX★★★★★
王道かつトリッキーな本格推理小説集だと思って読んでみたら、ホラーやSF、幻想小説。また、ミステリの中でもメタミステリや、ややバカミス的な味わいの作品が多かったです。
本格を期待して読んだ感想として、個人的に一番面白かったのは、ラストの「見えないX」でした。