陳浩基のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ミステリ短編集。だけれど、本格ミステリありSFミステリありサスペンスありホラーっぽいのあり、と読み心地はかなりバラエティに富んでいます。
お気に入りは「カーラ星第九号事件」。SFミステリで、論理もきっちりとした固めのミステリだと思ったら。ラストで明かされる真実が!
「頭頂」と「霊視」もホラー好きとしてはかなり好みでした。怖いけれどどこかしらユーモラスな「頭頂」、でもこんなの……見たくないなあ。「霊視」はラストでぞくりとさせられます。
一番本格ミステリだったのは「見えないX」かな。ある意味の犯人捜しミステリだけれど、日常の謎としても最低レベルに魅力的ではないつまんない謎、だと思っていたのに。いやいやとんでもなく面白いじゃないですか! そして真相は見抜けませんでした。 -
Posted by ブクログ
ホラー、星新一風のSF、バカミス、バリバリの謎解きと、バラエティに満ちた作品集。いろいろな楽しみ方ができるけど反面、玉石混淆、ネタありきで広がりに欠ける作品も少なくない。しかし、作者があの陳浩基となると話が違ってくる。話題の華文ミステリの旗手にして、日本の新本格を引き継ぐ注目の作家なのだ。
著者あとがきを参照しつつ作品を読むと、彼がとても実験的にこれらの作品を仕上げていることがわかる。個人的にお薦めは、金銭で時間をやり取りできる世界を描いた「時は金なり」、後の『世界を売った男』を思わせる「珈琲と煙草」。そして何と言っても「見えないX」。これは読み返すと、作者のフェアネスがわかり、さらに面白い。 -
Posted by ブクログ
「自己犠牲を理由とした自殺(自死)」がもたらすものは……。
「私はみんなには不要なんだ…」「私が死んだ方がみんなのためになる…」
湊かなえや辻村深月の“本”によく出てくるタイプで、他人から見て自分はどう見えるかばかり意識していること、これは究極のジコチュウ、「他人を思いやる」ことの勘違い。
この物語では、バットマンのようなダークヒーローが香港の社会問題とITの闇を闇の中で成敗していく。珍しくはないが、描かれた謎解きや登場人物の心理解説、伏線の構成には驚くばかりで、作者がただものではないことはよく分かる。
ただ…
法律や公序など無視して次々IT技術や最新機器を駆使して謎を暴き、復讐する姿に、なぜか爽快感はなく、嫌な気持が続いてしまうこと(作者の狙いかも)。
「社長と秘書の怪しい関係」が語られたり、「汚い部屋に住む偏屈なオタク」「スマートでおしゃれなIT起業家」「デブでチビで唇が分厚く醜い人物」がそのままの役割で登場したり、ちょっと「ステレオタイプ」であることが興ざめすること。
…少し残念。
「SNSが絡むいじめ問題」「匿名・その他大勢による他者攻撃」
これらが「現代社会特有の問題」とされるのは、本質的に人間の持つ醜い“毒”の出方がITによって強化されて“猛毒”となったため。
無言でスマホを見ている人たちには、今まさに“猛毒”を仕掛けている、または浴びているひとがいる……これは「ホラー」かも。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2年程前にYahoo!ニュースで紹介されており、気になって購入しました。再読して改めて感じましたが、一言で言うと、いやあすごいミステリ小説だ、と思います。特に後半の展開には驚きっぱなしでした。まるで映画を見ているかのよう。
刑事の許友一は朝起きるて、気づくとなぜか記憶がない。署に戻ると丁度自分に来客で、6年前にすでに解決したはずの事件について記者の盧沁宜が取材したいという。。。なぜ記憶がないのか、そしてそもそもその事件の真相とは・・・!?あとはご自身でご確認ください笑
今回の小説のテーマの一つが記憶、です。記憶というのはかなり重要なアイデンティティだと思います。名前や所属団体にアイデンティティを感じることも多いと思いますが、記憶は中でも最も重要なアイデンティティの一つだと思います。そのアイデンティティを失ったとしたらそのインパクトはどのようなものでしょうか。
また、思い込みとか勘違いというは我々の日常にままあることですが、事実と異なる記憶を本物として思いこんだとすると人はどうなるのか。
これだけで大分ネタを明かしてしまったようで申し訳ないのですが、この記憶の妙を上手に使ったのは本作の面白さだと感じました。
また本作は筆者が日本文化に結構通じていることを思わせる部分(古畑任三郎や青島刑事等)が散見され、日本人としては筆者にちょっと親近感がわいてしまうところです。また、筆者が香港人ということであり、香港の様子が細々と記述されています。香港に行ったことのあるかた、住まわれたことのある方は懐かしみと共に楽しめると思います。
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まとめますと、非常に面白い推理小説でした。展開も良し、記憶など人間のアイデンティティにかかわる深いテーマも仕掛けられており物語に深みを与えています。香港という土地柄の描写も旅情を誘います。そして最後に大事なこと。アジアの推理小説という新しい世界に出会うことができます。題名が世界を売った男ですが、私には新しい世界がひらけました、おかげで笑