【感想・ネタバレ】13・67 下のレビュー

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Posted by ブクログ

文句なしの★5つ。
チャイナ小説は初めて読みましたが、おもしろかった、いや、おもしろすぎました。

香港を舞台にしたミステリーなのですが、
最初の「黒と白のあいだの真実」で死亡するクワン刑事が主人公。
2013年の事件を皮切りに、天眼とも言われる名推理を行う彼が若い警察官だった1967年まで順を追って遡る形式が取られています。

どれも精度の高いミステリーとして楽しめますが、1967年の事件の最後の4行には驚かされました。
こんな風に繋げるの!?と。

イギリスの植民地だった時代まで遡るため、香港の歴史を知ることもでき、とても興味深く読むことができました。

このおもしろさは、作者の腕だけではなく翻訳の上手さも理由の1つだと思います。
翻訳されたミステリーってちょっと苦手だったのですが、イメージが覆りました。

人におすすめしたい一冊です。
出会えてよかった。

2018年12冊目

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2022年09月13日

Posted by ブクログ

これは面白かった。

香港を舞台にした警察小説。
6つの短編が収録され、全体で一つの物語となっている。
最初は、シャーロックホームズの劣化コピーかと思われたんだけど、いやいや、読み進めていくうちにどんどん面白くなってくる。
また、ストーリーも現代から過去に遡っていくという展開で、なかなか意表をつく。

主人公は香港警察の伝説の刑事『クアン』。
彼を主人公として彼が携わった6つ事件を解決していくというものだ。

ちなみに、この本の題名『13.67』ってなんなんだろうと思っていたのだが、読み進めていってやっと分かった。
   「13」は「2013年」
   「67」は「1967年」
を意味しているんだね。そして2013年から1967年に遡っていくという意味の題名なのだ。

香港がイギリスから中国に返還されるという香港の激動の時代を見事に描き切り、そこに香港警察の一警察官の人生を投影させながらストーリーを展開させていく。

香港の歴史や地理をもっとよく知っていればさらに楽しめるのだけれど、僕のようなあまり香港の歴史を知らない人間にも十分に楽しめたり、本格推理小説としても及第点以上だろう。

中華文学はいままで読んできたことはなかったが、『三体』や本書などを読むと、今後チェックすべき作家が結構いるのだと思い知らされる。

いやはや、読書人の世界は深くて広すぎるなぁ(笑)。

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2020年10月04日

Posted by ブクログ

上巻からどんどん時代を遡っていく。それによって香港を取り巻く環境がどれだけ複雑なのか、警察官の立ち位置がどう変化していったのか、わかってきたところで、最後の章。いやーまいったこれまた上巻から読み返さないとならない。めちゃくちゃ面白かった!

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2023年08月06日

Posted by ブクログ

2013年は、雨傘運動の前年
2003年は、国家安全条例反対デモ
1997年は、香港返還
1989年は、天安門事件
1977年は、文化大革命終結
1967年は、文化大革命

香港にとって大きな事件があり、香港警察も変わらざるを得なかったであろう状況ので中で、市民を守るため、体制に背いてでも、犯罪者を追い詰めるため知恵を絞る。名探偵クワンの警察人生と香港の反政府運動の歴史が重ねられる。

最後に明かされたことは、安易な予想を裏切り、それぞれが激動の香港を知恵と努力で生きたのだと知らされる。

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2021年08月29日

Posted by ブクログ

このミス海外編2018年版2位、本屋大賞翻訳小説部門2018年2位。連作中編集。日本の売れ筋警察小説っぽい。香港警察の生ける伝説、クワン警視が死ぬときに始まって、駆け出しの刑事の時まで時代をさかのぼりながらの6作が入ってる。論理的に推理とあっと言わせる意外な展開が心地良い。最後のやつは主役の人が前作にも関係してるみたいだけど、読み直すの面倒なのでイマイチわかってません。とても良くできた小説なんだけど、残念なことに、漢字の人名や地名がとても分かりにくく、読み進めるのはとてもしんどかった。ジャッキー・チェンの映画のような派手なカーチェイスとかもあって飽きさせない作りにはなってると思います。

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2021年07月19日

Posted by ブクログ

警察の腐敗、横暴がはびこる時代を遡る下巻。最終話最後の数行で(未来の)第1話につなげる構成は見事です。「逆年代記」にした意味はここにあったのかと納得。今大きく揺れ動く香港を知るのにもちょうど良い。この作家の他作品も読んでみたくなりました。ウォン・カーウァイによる映画化も期待が膨らみます。

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2020年10月25日

Posted by ブクログ

著者の後書きにもあるが、本格派と社会派の結合や、短編と時代の遡りから浮かび上がってくるところの効果など、技がとにかく噛み合っている。
そしてもちろん最後のカタルシスが素晴らしい。

民衆の敵が守護者に代わり、かつての友が敵になる。面白かったし、興味深かった。

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2020年09月22日

Posted by ブクログ

第一章の安楽椅子探偵モノから一転、最後に香港映画ばりのカースタント、バイクアクションまで飛び出すとは想像し得なかった。終盤に来て、今作の肝は香港警察が社会変革と共に歩んだ歴史であることを再認識させられる。最終章ではクアンが正義の執行者となった理由が判明し、著者は民衆の為に警察が如何なる存在であるべきかを説く。クアンの生き様は香港史と共に『借りた時間に』というサブタイトルに集約されているかのよう。ロジックにどっぷり浸かった濃密な読書時間だったが、出来ればフロアの見取り図や大縮尺の地図を掲載して欲しかった…。

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2020年12月11日

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