飯塚容のレビュー一覧

  • 中国では書けない中国の話

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    著者が話しているように、アメリカ、韓国についてのコラムはあるが、日本についてのものがないのは、残念です。

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    2021年02月20日
  • 武漢日記 封鎖下60日の魂の記録

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    コロナ発祥の武漢で封鎖時のリアルな生活。

    著者が日々ブログに更新した内容がまとめられている。

    至極真っ当かつ読者にも有益な内容だが、ネット検閲にあって大半が翌日には削除されるという状況が中国にはリアルに存在する。

    ただ引きこもっているだけでなく、友人の医師から入手した感染状況なども記され、そういう伝手がない人には大いに参考となっただろう。

    中国の体制に適応して暮らす中で、家族や友人とつながり、役人の不作為に憤るという当たり前の人々がここにはいる。

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    2021年02月09日
  • 武漢日記 封鎖下60日の魂の記録

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     新型コロナウイルスの世界最初の感染爆発が起こった武漢。武漢に住む小説家が1000万都市が封鎖されてから、解除が発表されるまでの60日間を克明に綴る。市民の生活、医療、行政・・・直接の観察、友人からの情報、ネットを飛び交う様々な情報から現状を記録していく。武漢市民の抑制されたそして我慢強い行動、医療従事者とエッセンシャルワーカーの献身が記される一方、特に初期の対応における行政や病院トップへの鋭い批判と責任の追及。多くの犠牲者のためにも、責任を明らかにし、責任を取らせなければならない、との追及はするどい。

     ここには、2021年1月の今から日本の大都市でおそらくなされるであろうロックダウンとそ

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    2021年01月03日
  • 武漢日記 封鎖下60日の魂の記録

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    方方(ファンファン)氏は、1955年に南京市に生まれ、2歳のときから武漢市に住む作家。本名は汪芳(ワンファン)。湖北省作家協会主席も務め、2010年に『琴断口』」が中国で最も名誉ある文学賞の一つ魯迅文学賞を受賞するなど、「新写実小説」の担い手として高い評価を受けている。
    本書は、武漢が封鎖された60日間に、著者が毎日発信したブログをまとめたものである。
    私は、歴史上例がないと言われる1,000万都市の完全封鎖が如何なるものであったかには、大いに関心を持っており、9月に相次いで出版された本書と郭晶氏の『武漢封城日記』は気にはなっていたが、徹底した情報・言論統制下にある中国において、どこまで真実が

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    2021年03月13日
  • 雨に呼ぶ声

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    貧しさゆえの理不尽,貧乏の連鎖や大人の身勝手さ,子供なりの知恵や思い,そして友情などが時系列を無視して思いの向かうところをあっちこっちと彷徨うように描き出されている.凍った父親の死体を質屋に入れようとして,そのあと死体を武器に暴れるというエピソードには度肝を抜かれた.中国の農村の貧しさが立ち上ってくるとともに子供の生き生きとした様子もあって頑張れと応援したくなる.訳もいいのだと思いますが面白かったです.

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    2020年12月07日
  • 武漢日記 封鎖下60日の魂の記録

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    一言で言えば、たくましい。
    65才、武漢で一人暮らしの女性作家が、コロナによるロックダウンの直後から、封鎖解除直前までネットに一日一編発表した記事の集成。
    コロナに対する理解も今ほどは無く、先も見えず、いきなりで準備もなく、嘆いたり不安になったりしてもいいところだが、冷静に判断し、自分を守り、前を向いている。
    武漢の人々もまた、たくましいのだ。外出が制限されて買物が難しければ、共同購入グループが作られ、代表が買い物に行き、分配が難しければ、時差やボランティアによる配布でなんとかする。多くがネットを駆使し、意見を交換し、行政府への批判もする。中国は、近現代の中では今が一番いい時期なのかも知れない

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    2020年11月21日
  • 武漢日記 封鎖下60日の魂の記録

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    圧巻のボリュームで武漢の60日間を追体験。大物作家ならではの引用やレトリックなども散りばめられているけど、丁寧な注釈のついた翻訳で助かる。初めて武漢がどんな感じだったのか、空気感を理解できた気がする。

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    2020年10月19日
  • 中国では書けない中国の話

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     本書は著者がニューヨーク・タイムズ等に寄稿したコラムを集めたものである。
     この著者のエッセイを初めて読んだが、品の良い皮肉やユーモアを混じえて事の本質に触れるなど気の利き方には感心した。
     「申し訳ありません、メッセージは削除されました」「五月三五日」等、そのままの中国に触れられている。
     他の著書も読んでみたい。

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    2019年03月30日
  • 父を想う

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    映画やドラマなどを見ていると、大躍進や文革の時期の描写を見かけることがある。大抵の場合、それは北京などの大都会が舞台になっていて、同じ時間の田舎の農村の様子というのは、自分はあまり目にする機会がなかったので、新鮮に感じた。

    父、伯父、叔父の人生を著者である阎连科の目を通じて描く回想記。
    当時の農村と都会の対比、農村に暮らした人々の人生を丁寧に書いていて、深い敬愛を感じます。しかし時に冷静に回顧し、欠点と失敗を美談に仕立て上げない著者の鋭くい眼差しは、真に自分と身の回りの人々の人生と向き合ったからに他ならないと思いました

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    2023年10月20日
  • 武漢日記 封鎖下60日の魂の記録

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    見えないものを定義し、制度化する事は難しい。多義的な解釈が働き、時に分断を起こす。物理的に見えない存在だけではなく、物理的に見えるが理解できないもの、見えない観念的な存在もそうだ。物理的に見えず、未知の存在である新型コロナウイルスに対し、観念的な社会制度で物理的な制限を決める。こうして封鎖された武漢における当事者の日記だ。凄惨な感じはないが、当時の混乱を思い出す。

    武漢から世界に蔓延した。真実はよく分からないが、我々は大方そのように認知し、武漢人に被害者ぶるなと思ってしまいがちだが、当然ながら、彼らも被害者である。人人感染はない、と言う誤報が感染を更に助長した事もこの日記で思い出す。至る所に

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    2023年09月29日
  • 雨に呼ぶ声

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    少し前の中国の農村の人々の生き様が少年の目を通して書かれている。国民性なのか共産党政権のせいか、あまりにも精一杯で体当たりで驚くばかりだった。素晴らしい本だと思うが、温かい気持ちにはなれなかったので星三つ。

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    2023年02月13日
  • 武漢日記 封鎖下60日の魂の記録

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    “非常時には、人間の善意と悪意がどちらも表に出てくる。まったく考えもしなかったことを目にする場合もある。人は驚き、悲しみ、怒り、そして慣れていくのだ。”(p.89)


    “ある国の文明度を測る唯一の基準は、弱者に対して国がどういう態度を取るかだ。”(p.141)


    “世間には心の温かい人もいれば、冷たい人もいる。いつの時代もそうだった。あきらめよう。自分がやるべきことをやるだけだ。”(p.199)


    “政府は考えてほしい。普通の人の立場から、問題を考えてほしい。”(p.256)

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    2021年05月16日
  • 武漢日記 封鎖下60日の魂の記録

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    一年前の武漢。そこに暮らした作家による記録。
    私たちは過去を振り返って読むわけだから、描かれていることの未来を知っている。日記の中の人たちは、先が見えない不安を抱えている。このタイムラグがタイムマシーンのようだ。
    読んだ時期がちょうど日記の日付に近いので、一年前の自分とも照らし合わせて、それでいながら、まだ足踏みしているような今に焦ったい。
    記録はこうやって、後々その意味を深めていく。もう何年か経ってから読む時に、この災いが過去のものとなっていますように。

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    2021年03月06日
  • 雨に呼ぶ声

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    ネタバレ

    お気に入りの小説家余華の比較的古い作品。
    翻訳がでたので読んでみた。
    兄弟や活きるの方が完成度は高いが。余華らしさは随所にみられる。
    主人公にふりかかる理不尽なできごと、決して高潔とは言えない登場人物達、そして日常の喜び、恐れ、青春の戦慄き、著者。余華の実体験に基づく様々な思い出がパッチワークのように結晶化した作品といったところか。
    小説の筋は盛り上がりがあるわkではなく、どちらかというと退屈な小説ではなるが、随所随所でみられる気のきいた表現、思いがけない展開、どうしようもない親族など余華の要素はいっぱいつまっている。
    そして、なんといっても中国っぽい。

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    2021年03月05日
  • 武漢日記 封鎖下60日の魂の記録

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    丁度一年前の武漢での新型コロナ禍発生とその際の完全なるロックアウトの市民の様子が窺える。既にコントロールされた中国と未だアンコントロールの日本の差はなんだろうか。強行的な施策とそれに準じざるを得ない中国国民。非常時に国民を守ることができるのは、反自由な世界かもしれない。

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    2021年03月02日
  • 武漢日記 封鎖下60日の魂の記録

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    ネタバレ

    ロックダウンした武漢内部で書かれた日記です。
    閉鎖された町の中でも多くの情報を得て、多くの情報を発信していることに驚きました。
    自分のイメージでは、もっともっともっと情報統制されていて、市民が本当のことを知るのは難しいのかと思っていました。
    著者が情報の正誤を熱心に確認し、事実だけを発信しようと努力している様子を読むと、自分が「努力しないで得た情報を信じ過ぎているのでは?」と思えてきます。
    日本のジャーナリストにも武漢のジャーナリストにも、権力におもねる人とおもねらない人がいるだろうと思います。きっといるでしょう。
    どの情報が正しいか見極める努力は、武漢でも、日本でも必要だと思いました。

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    2021年02月21日
  • 武漢日記 封鎖下60日の魂の記録

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    -2021/02/04
    話題の本ではあるが、なかなか読み進める事ができなかった。それは「自分の得た情報を真偽を問わずSNSに上げているだけ」と第三者を装っている事が気に障る。中国共産党に対するインテリとしての誇りからだろうが、情報拡散に対する無責任さが伺われる。

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    2021年02月04日
  • 武漢日記 封鎖下60日の魂の記録

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    世界を揺るがせている新型コロナウイルス禍は、2019年12月、中国・武漢に端を発する。原因不明の肺炎患者が発見されたのだ。コロナウイルスであるらしいとの情報が出てきたのはその月末だった。だが当局はこれをSNSで発信した医師らを処分した。加えて、当初は「ヒト-ヒト感染はない」とした。
    初動が遅れ、年をまたいでそれは野火のように広がっていった。1月上旬には政治集会が開かれ、中旬には春節が始まった。大勢の人が料理を持ち寄る伝統的な大宴会も催された。
    国家衛生健康委員会リーダーの医師が、当該疾患は「ヒト-ヒト感染する」と明言したのは1月20日のことだった。
    1年で最も多く人が動くといってもよい時期を経

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    2020年11月28日
  • 武漢日記 封鎖下60日の魂の記録

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    前半は武漢の街の様子,知人の状況,生活の様々なことと共に友人の医者からもたらされる情報などがいろいろ書かれていて,コロナ騒動がまだ終わってない私にも共感できるところが多かった.また,街が封鎖されるということも怖いことだと改めて思うことだった.後半になってさすが中国の作家の舌鋒鋭く,責任問題を鋭く追及するところ、ネット左翼の妨害にも負けず頑張っているところなど感服しました.

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    2020年11月01日
  • 武漢日記 封鎖下60日の魂の記録

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    新型コロナウィルスの大規模発生により、都市封鎖された武漢の60日間の様子が描かれている。 ネットの検疫で何回もブログが削除されたと言うことですが、それでも書き続けた彼女の精神に脱帽する。 このように一市民としての生活の様子を知れたことは貴重なことだと思う。

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    2020年10月01日