栗原俊秀のレビュー一覧
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物理学を築き上げてきた人々の物語。ニュートン力学からループ量子重力理論まで。
今なお人類が到達していない、現在進行形の知の先端を覗く。直観と異なる世界を理解する難しさ。
無知を受け入れること。
◯特殊相対性理論
「今」は「ここ」にしか存在していない。過去と未来のあいだの中間的な領域である「拡張された現在」が、あらゆる観察者にとって存在。地球上では知覚できない時間だが宇宙では有意な幅を持つ。
→時間と空間が時空間というひとつの概念に統合
→電場と磁場が電磁場というひとつの概念に統合
→質量とエネルギーはひとつの保存則E=mc^2
◯量子力学が発見した世界の三つの側面
1粒性:ある物理学的な系 -
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現代科学に最も貢献した人物は、ニュートンでもアインシュタインでもなく、アナクシマンドロスらしい。
彼は、地球を「なにもない空間に浮かぶ円柱」であると予想し、雨は海の水が蒸発したものであると予想し、すべての生き物は魚のようなものから派生したと予想した。
彼の生きた紀元前5世紀では、まだ世界の理解には神が必要不可欠であったが、「自然」にその解答を見出そうとした。(しかもかなり真実に近い)
これは当時にしてはかなりの発想の飛躍であり、常識を疑うという科学の本質を、初めて実践した人物らしい。
こういった予想を立てることができた背景には、彼の天才的な才能だけでなく、当時のギリシャ(のミレトスという都 -
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良かったことは、相対性理論に初めて面と向かったこと。残念だったことは、本書の主題はループ量子重力理論であって、相対性理論ではなかったこと。つまり、これはワタシが本書の序盤戦(に出てくる相対性理論)で苦戦し、本丸(ループ量子重力理論)までたどり着けなかったということ。
それでも、投げ出さずに最後まで読めたのは、物理学と哲学には共通するものがあるという著者の指摘に共感できたから。時間と空間に関する議論は物理学のものだけではなく、古くから哲学者が取り上げてきた。その事実をデモクリトス、ダンテからプルーストまで引用して語っている。
第9章には「科学とは、「技術」を提示するより前に、まずもって「見方」を -
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よく耳にする移民難民のニュース、迫害されたり、自国にいられないそれぞれの理由があるんだろう…くらいだったけど、その背景、集団墓場に漕ぎ出さざるをえない決死の選択を思い知った。
国籍も何もわからない移民の、しかも海難事故…確かに、ちょっと考えただけでも、どの国の誰が?どの予算で?引き揚げたとして、どこに遺体安置?どうやって引き取り手を探すの?…って難しすぎる。
サクサクと描かれているけど、並大抵の努力や交渉ではなかったはず。でも、人として国として、見過ごすことができないほど、この手の事故が増え続けている背景もあるんだろう。
様々なプロフェッショナルの仕事ぶりにも感銘を受けた。 -
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本書のテーマは「科学的思考の歴史」。
著者のカルロ·ロヴェッリはその科学的思考の一大転機を、古代ギリシャの都市国家ミレトスのアナクシマンドロス(BC610生まれ)とする。
その時代は、あらゆる事象はギリシャ神話に出てくる神々の意思と結びつけられてていたが、彼は
1.雨水は元々海や川の水で、それが太陽の熱で蒸発して降ってくる。地震は酷暑や豪雨が引き金。
2.大地は有限で宙に浮遊し、落下しない理由は落下さる特定の方向わ持たない=他の物体に支配されていないから。
3.太陽、月、星は地球の周りを完全な円を描いて回っている。
4.自然を形づくる事物の多様性は、全て唯一の起源(アペイロン)から生じている。 -
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カルロ・ロヴェッリさんの言えば「時間は存在しない」の著者
何か読んでみたいと前々から思っていた
たまたま書店で目についたのでこちらが1冊目のカルロ・ロヴェッリ氏
アナクシマンドロス
紀元前610年、ミレトス出身の古代ギリシアの哲学者
著者によれば、科学史における、最初の概念上の革命を実現し、物理学、地理学、気象学、生物学の先駆けとなった人物とのこと
さらには世界像を捉え直すことへの道を切り開いた科学的思考の源流に立つ思想家とする
そのアナクシマドロスの今もなお影響が生きている革命について語られるのが本書だ
アナクシマドロスの時代は巨大な宮殿も、半神のような王の存在も、組織化された宗教的権 -
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<上下巻合わせての評です>
これは、戦後イタリアではじめて真正面からファシズムを描いた小説である。では、今までなぜそれができなかったのか。それは、偏にムッソリーニという人物のキャラクターにある。ある種の能力に恵まれてはいても、等身大の彼はどこにでもいるイタリアの大衆の一人に過ぎない。こんな人間を真正面から取り上げれば、いくら反ファシズムの思いで書かれたとしても、読者がムッソリーニに、ひいてはファシズムの荒々しい魅力に魅了される危険性がある。現にこの小説が評判になると、そういう批判が起きたという。
ベニート・ムッソリーニが、戦闘ファッショを立ち上げ、ファシスト党独裁政権を樹立するまでを描く全