大河内直彦のレビュー一覧
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地球が誕生してから今日までの46憶年におよぶ地球の歴史を解説する自然科学書というのは数多く出版されています。ただ、私自身もそうですが、地学に興味がないとなかなか手に取ってまで読んでみようという気持ちになれないケースも多いのではないか、と思います。
本書は人類が地球の生い立ちを理解するプロセスを、いろいろなサイドストーリーを交えて解説しているので、読者を飽きさせません。恐竜を絶滅させた隕石の衝突だったり、地球を寒冷化させた巨大噴火、氷期-間氷期にまたがる100m以上に及ぶ海面高度の変動、南極点発到達までの探検家たちのドラマ、アフリカのニオス湖で発生した謎の住民大量死亡事件など…。また2015年初 -
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大河内直彦(1966年~)氏は、東大大学院博士課程修了、京大、北大、米国ウッズホール海洋研究所などを経て、海洋研究開発機構生物地球化学研究分野・分野長。
本書は、季刊誌「考える人」の2013年春号~2015年冬号の連載をまとめ、2015年に出版されたものである。
著者は「まえがき」で、本書について、「紆余曲折を経て発展を遂げてきた科学を通して、私たちの暮らす星を覗いた短編を集めたものである。地球上の珍奇な場所や驚くべき出来事について、科学の視点を交えながら紹介する八つのストーリーである」と語っており、初出の連載の性格から、体系だった地球の地理・地形や歴史とはなっていないのだが、取り上げられた「 -
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地球の気候変動の謎、氷河期と間氷期が繰り返す仕組みや地球温暖化について、そして多くの謎の解明を果たした科学者たちの物語。
現代の科学では、過去数十万年レベルで地球の気温の変動がわかるらしい。それは深海の海底に沈殿したプランクトンの化石や、極地の氷床から採取したアイスコアに含まれる酸素同位体の比率で、温かい時期と寒い時期ではその比率が異なるのだそうだ。
地球規模の気候変動については、地球の公転軌道が楕円形である事、公転軌道の中心から太陽がズレている事、地軸の傾きが変化している事などなど、複合的な要因によって起こるらしい。この理論は発見したセルビアの気象学者の名に因んで、「ミランコビッチ・フォ -
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昨年の原発事故以来、原発の危険性が叫ばれる一方、代替エネルギーの供給に関するバランスのとれた議論は途絶えて久しい。そんな時代だからこそ、エネルギーが地球をどのように循環しているかを知ることの意味は大きいだろう。
例えば、窒素。肥料として非常に重要なこの物質は、大気中に豊富に含まれるにも関わらず、化学的に安定であるが故に、自然界では容易には土壌に固定されない。工業化以前の社会では、事実上、この窒素固定のプロセスが、地球の”定員”を制限していた。20世紀の人口爆発は、人工的な窒素固定法の発見に端を発する。裏を返せば、エネルギーを人為的に投入しない限り、地球は今日の人口を支えることができないのである -
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石油・石炭・天然ガス・原子力と、今では多くのエネルギー源を使っている人間ですが、これらはすべて地球が誕生してから長い年月を経て生成されたことをどれほど意識しているでしょうか。少なくとも日本では昨年(2011)の震災以来、原子力以外の発電方法が見直されてきている中で、石油・石炭・天然ガスの重要性が増してくることでしょう。
この本では、化石燃料がどのように形成されたか、及び日本近海に多くあると言われている「メタンハイドレード」や、原子力エネルギー等が詳しく解説されています。類書を読んできたつもりですが、この本が一番わかりやすかったです。
また、この本で「赤潮」の発生の仕組み、なぜ赤潮が問題なの