禅之助のレビュー一覧
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ネタバレ
前半は不登校になった主人公の心理描写や、城に集まったメンバー同士の交流が中心で、正直やや冗長に感じた。特に上巻は大きく話が動かないため、上下巻に分けるほどか?と思いながら読んでいた。
一方で、下巻から物語が大きく動き始め、それまで何となく感じていた違和感が一気に回収されていくところはかなり面白かった。7人が城に集められた理由や、それぞれの時間軸に関する仕掛けが判明すると、過去の会話の意味も変わって見える。この辺りの伏線回収は非常に綺麗。
不登校というテーマについても、単純に「学校へ行こう」という結論にしなかったところは良かった。それぞれが自分なりの形で現実に戻っていく終わり方も綺麗。
ただ、ミステリとして見るとファンタジー設定による解決も多く、個人的には『告白』ほどの衝撃はなかった。前半をもう少し圧縮してくれればさらに好みだったと思う。 -
Posted by ブクログ
現実世界と鏡の中のファンタジー要素が良い具合に絡み合っていて、とても好みの作品でした。学校生活で感じる不安や人間関係の怖さ、相手はどう思っているんだろうと考えてしまうこと……心情がとても丁寧に書かれているため、思わず感情移入をして涙を流してしまうシーンもあり、読み応えがありました。
自身が体験したことのない感情も、描写の細かさから情景が目の前に浮かびあがり、嬉しさも恐怖も主人公たちと一緒に体験している気持ちになりました。
物語の中盤になってくると、登場人物それぞれの個性が分かってきたことで、出会った頃の緊張感が解れつつありますが、抱えているものが大きいせいもあってか、物語としてはゆったりとした、停滞のような時間が続いているような印象を受けました。
それでも登場人物の事を考えると、駆け足になるよりも1歩ずつ進んでいく方が彼ららしいなと思ってしまいます。
後半になるにつれて明らかになることが増え、下巻への大きな期待を持たせて終わるようになっています。
ここから彼らがどのように動いていくのか、このまま下巻まで一気読みしたいと思わされてしまう作品でした。 -
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何気ない一言にハッとさせられる。大人の心にも深く刺さる大傑作
子供たちが抱える生きづらさや葛藤が本当にリアルで、途中で本を置くのが惜しくなるほど没頭してしまいました。ファンタジーのような設定でありながら、描かれている感情の機微があまりにも生々しく、何度も胸が締めつけられます。
特に印象的だったのが、ウレシノが自分の名前(ハルカ)を恥ずかしがって苗字で自己紹介していた場面です。自分自身、将来子供を授かったら男女どちらでも使える中性的な名前にしたいと思っていたのですが、「子供側からしたら、そうやって悩むこともあるのか」とハッとさせられました。小説の物語として面白いだけでなく、自分の価値観や将来のことまで深く考えさせられるきっかけになりました。
不登校や居場所のなさをテーマにしつつも、最後には温かい光が差し込むような素晴らしいストーリーです。
子供はもちろんですが、かつて子供だったすべての大人の心に寄り添ってくれる、生涯大切にしたい一冊になりました。 -
Posted by ブクログ
何気ない一言にハッとさせられる。大人の心にも深く刺さる大傑作
子供たちが抱える生きづらさや葛藤が本当にリアルで、途中で本を置くのが惜しくなるほど没頭してしまいました。ファンタジーのような設定でありながら、描かれている感情の機微があまりにも生々しく、何度も胸が締めつけられます。
特に印象的だったのが、ウレシノが自分の名前(ハルカ)を恥ずかしがって苗字で自己紹介していた場面です。自分自身、将来子供を授かったら男女どちらでも使える中性的な名前にしたいと思っていたのですが、「子供側からしたら、そうやって悩むこともあるのか」とハッとさせられました。小説の物語として面白いだけでなく、自分の価値観や将来のことまで深く考えさせられるきっかけになりました。
不登校や居場所のなさをテーマにしつつも、最後には温かい光が差し込むような素晴らしいストーリーです。
子供はもちろんですが、かつて子供だったすべての大人の心に寄り添ってくれる、生涯大切にしたい一冊になりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレかなりの文量が主人公の心情描写に割かれているため、序盤は展開が遅いように感じた。しかし、中盤で主人公のつらい過去が明らかになり、感情移入できるようになってからは、スラスラ読めた。自分も中学生の頃、学校に行きたくないと何度も思っていた。もしあのとき、いじめまで受けていたら、まさにこんな気持ちになっていたのだろうと想像できた。
こういう話では、親が頼りにならないのが王道の展開だと思っていたが、本書の母親は、娘にきちんと向き合い、一緒に闘ってくれる、まさに親の鑑だった。先生との話し合いを終えた後、二人でフードコートに行くシーンでは泣いた。どんな恋愛小説にも勝る、これが本当の愛だよ。
出身中学校が明かされる場面にも驚いた。「お前、どこ中?」という話題から生まれる展開としては最高な「え、お前も同じ中学校なん?」という赤文字の激アツ演出を何度も繰り返されたら、そりゃ脳汁が止まらない。リオンがハワイから来たこともあって、ほかの登場人物も日本各地から集まっているのだろうと、たかをくくっていた。完全にやられた。
いよいよ物語は3学期へ。下巻を読むのが非常に楽しみです! -
Posted by ブクログ
ネタバレ鏡の世界に集められた7人が、それぞれ異なる時代を生きていたということに驚かされた。さらに、リオンのお姉ちゃんを中心に7人が繋がっていたことが明らかになり、とても綺麗な終わり方だと感じた。
この本を読んで、人を表面的な部分だけで判断してはいけないと改めて感じた。その人が表には出さない辛い経験や置かれている状況を察することは難しい。しかし、相手のことを知ろうとしたり、親身になって関わったりするだけでも、その人の助けになることがある。自分も相手の見えている部分だけで判断せず、相手の気持ちや背景を考えながら人と関わっていきたいと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレお城や、グリム童話の設定が小中学生の頃、よく読んでいた本みたいだ〜と思いながら読んでいたら。
どんどんどんどん、暗く重くなっていく。
こころちゃんの学校の狭い空間に苦しめられている感じが、学生時代を思い出してとにかく苦しかった。
用事があって、読むのを一時中断したときは、なんだか気持ちがズンと重くなってしまう感じだった。
はやく、みんな助かって欲しい。それだけの思いで読むのを止められなかった。
恋愛至上主義で女子を侍らしてめちゃくちゃなことをする女子とか、嘘をついてしまう男子とか、なんかお兄ちゃんの影響でませちゃってる子とか、とにかく色んな子供が出てきて、懐かしい古傷をえぐられてる感覚だった。
子供たちのいた時代が違うことと、狼ちゃんの正体は早々に気づいてしまっていたけれど、喜多嶋先生がアキちゃんなのは、気が付かなかったし、ちゃんと大人になっててすごく嬉しかった。鏡に逃げて帰れなくなってしまった理由を知ったあと、そうなったのはしょうがないと思った。子供に手を出そうとする大人はタヒねばいいのにと心から思ったし、彼女の苦しさを考えると泣いてしまった。私も彼女を助けたいと心の底から思った。だから、仕事でのやりがいを見つけられて、優しい穏やかな旦那さんと結婚できて幸せになれて本当に良かった。
みんなそれぞれの地獄があって、誰しもきっともう生きていたくないと思う瞬間は絶対あるけれど、生きればきっとその先の未来で何かが待っている。
だから、生きていずれ起こりうる出来事を経験してっていうメッセージが良い。中学生の時に、もしくは大人になる前に読みたかったな。でも、大人になっても響くいい作品だと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻途中で喜多嶋先生の正体や、それってつまりこういうことだよね?ってのは気付いてしまって、ミスリードかとも思ったけどそのままの真相だったので、もっと上手く隠して欲しかったのは正直ある。
でもオオカミさまの方は驚いたし、ちゃんとヒントがあったことも示されて、どんでん返しされる快感も味わうことが出来た。
そしてそういう仕掛けを仕込むことで上手くエンタメとして仕上げてるけど、中身の人間描写だったり現実を生きる子どもたちへのメッセージの部分が何よりもこの作品の核であり、そこの描写が素晴らしいと思った。
こういう悩める子供が主人公だと「大人は信用出来ない」という話にされることが多いけど、今作では信用出来ない大人も出しつつ大人に頼ることの大切さもきちんと描いている。
助けてくれる大人はきっといるはずで、今悩んでいる君に必要なのは立ち向かう勇気でも逃げない強さでもなく、そういう頼るべき大人の援助を受け入れることなのだ、と。
なぜならその大人だって、かつては君のように悩んだ子どもだったかもしれない、同じ年頃で出会っていれば親友になれたかもしれないひとりの人間なのだから、と。
現実にかがみの城はないけれど、どこかの時代で悩める子どもだった人が大人になり今の君を助けようとしてくれる。そして君もいつかそんな大人になれるんだ、と。
だから生きよう、と。
このメッセージこそ、この作品の一番大事なところであり、全ての子どもに届いて欲しいと強く思う部分だった。
それぞれの過去をしっかり描く終盤の展開も良く、特に良いのがアキがちょっといじめる側に回ってそのせいで周りから嫌われてしまったような描写。
もしかしたらアキは真田美織やその取り巻きタイプで、普通にこころと出会ってたら敵対してたかもしれない、と思わせる。
でもそんな子にももしかしたら事情があって、救われるべき子どものひとりかもしれない、というところまで描いている。
あと、何気にマサムネとスバルの最後のやり取りが一番ぐっと来たなあ。
都合良くイケメンのリオンとは年がいっしょで最後に会える、というのは失礼ながら女子の読者を想定した少女マンガチックな描写に感じてしまった(笑) -
Posted by ブクログ
心理描写が丁寧で、自分も学生時代にこんなこと考えたことあったなーなんなら今でも考えるなーと思いながら読んでいた。
同時にこころの親の気持ちもよく分かり、冒頭の方はこころの母に感情移入して何度か目頭が熱くなった。
ストーリーの方は、初めて城が登場するあたりはファンタジーが始まったっぽいのに、結局はこういう施設に集まってなんとなく過ごす子供たちという感じでファンタジー要素は薄く、自分にとってはそこは期待外れだった。
ただつまらないというほどではなく、こころに起こる出来事はすべて興味深いし第一印象があまり良くなかったこころ以外の子供たちにも自然と愛着が湧いてくる。
上巻の終わりに近付くとストーリーの動き出しそうな気配があり、しかもこのストーリーに隠された仕掛けにもしかして気付いちゃった?あえてヒントを仕組んだ?それともミスリード?という箇所もあり、早く下巻を読んで確認したくなる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレそれぞれの理由あって学校に通えない7人の中学生が、自宅の鏡を入口とした不思議な空間で出会い、心を通わせあいながら、前に進んでいくお話。共に歩む人の存在の大切さを描いた作品だと思った。
学校に通えていない主人公たちの心理描写は素晴らしかった。彼らがなぜ学校に行けなくなったか、自分の状況に何をどう感じているのか、彼らの精神的な不安定さを精細に描いている。
物語として注目したいのは、主人公こころと母の関係である。こころが最終的に前に進んだのは、彼女が母親に自分が学校に通えなくなった理由を伝え、それを聞いた母親が共に戦う決意を新たにしてくれたことだ。実際のところ、母は最初からこころに寄り添っていた。それを拒絶していたのはこころ自身であったともいえる。こころは孤独ではなかったが、自らを孤独にして停滞してしまっていたように思う。共に歩んでくれている人をきちんと認識し、素直になる事。これは、人が停滞せずに生きていくために大事な術であるといわれたようだ。
また、本作には随所に伏線が張り巡らされた”ミステリー要素”がある。ただ、そこには読者を何としても騙すというようなくどさは感じず、シンプルに伏線を楽しんでほしい、というさわやかさを感じた。本作の結末で回収されるこの”ミステリー”の解答は、目の前にはなくても、同じ世界に「共に歩む人」が存在することを強調する。