禅之助のレビュー一覧
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ネタバレ下巻を読んで、最後にかけての展開と伏線回収がすごいなと思った。物語の中で感じていた違和感が終盤で一気につながり、「時代が違う」ということは予想できたが、それ以上に思いもよらない展開もあった。
それぞれの「つらさ」や「弱さ」が否定されるのではなく、受け入れられたうえで前に進んでいく形になっていたことにも感動した。「逃げてもいい」「居場所は一つではない」というメッセージは個人に向けてではなく、一人一人を救おうとかけた言葉だった。
鏡の中の城という非日常と、学校や家庭といった現実が、最初は分断されていたが、最後には一つにつながっていく構成で印象的だった。ファンタジーの世界が現実から目を背けるた -
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ネタバレあらすじを知らずに読み始めたため、想像していた以上に現実的で重いテーマが描かれている作品だと感じた。ファンタジー要素のある物語だが、不登校の中学生の心情がリアルに描かれていて、読んでいて胸が苦しくなる場面も多かった。
特に印象的だったのは、主人公のこころが周囲の何気ない言葉によって少しずつ追い詰められていく場面である。悪気のない言葉であっても、受け取る側にとっては大きな負担になることがあり、その積み重ねによって人を孤立させてしまうなと感じた。また、本来安心できるはずの家という場所でさえ、辛い記憶や逃げ場の無さから、完全には心が休まらない様子が描かれていた点も印象に残った。
ただ、同 -
Posted by ブクログ
ネタバレわたしたちは、助け合える。という上巻の終わりから一転、会えるはずだった学校でお互いに会うことができず、パラレルワールド説が飛び出すなど、一気にミステリ感もある前半だった。助け合えないことを感じて絶望的な空気が広がるなか、助け合えないわけでも、会えないわけでもないと言うオオカミさま。残された時間を大切に過ごそうとするこころたちの姿は、切なくもあり、また後半の展開がどうなるのか、大きく期待させるものだった。
アキの暴走から始まる後半は、今までの伏線が回収され、全ての謎が明らかとなった。生きている時間がずれていることは何となく想像していたところもあったが、それまでのお互いの実生活の描写などにヒント -
Posted by ブクログ
辻村深月氏の本屋大賞受賞のSFファンタジー。 下巻。
SFファンタジーというより叙述トリックミステリーといったほうがいいかもしれない。下巻冒頭に味わう絶望感からの発見。そこから様々なことに気づき、関係を深めていく仲間たち。切なさがありつつも絆は人を強くする。度々登場する人物のエピローグの種明かしはやっぱり感動してしまう。
本作品に登場する不登校の子供たちはもしかするといま独りかもしれない。だけど誰かが勇気をもって立ち上がれば誰かの助けになり、その誰かが誰かを助けて繋がっている。誰も気にしない独りの人なんていない。だからその「最初の人」になって欲しいと強く思わせてくれる本。思春期の子どもたち、そ