飯島裕子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
一歩間違えればそれは私の物語だったかもしれないし、これからも一歩間違えば、それは私の物語になり得る。
世の中は決して、全ての人に優しくはつくられていない。男性にも女性にもだ。しかし、確かに女性ならではの困難さもある。特に子供についてのことは、決して男性にはわからないと思う。男性は産めない。女性は産める。ひとつの命を誕生させるかさせないか、それは遡って、その命を世に出したいと思える人に出会えるか、恋愛関係になれるか、といった別の分岐点を作り出す。男性にももちろん同じ分岐点はあるけれど、女性のそれとは違う。
この本に出てくる女性たちの最初のつまづきは、ほとんどの場合仕事で、みんなもっと世の中に必要 -
Posted by ブクログ
アラフォー、非正規、シングル…
「一億総活躍社会」の掛け声の陰で、困難を抱えてひっそりと生き抜こうともがく女性たち。〝貧困にすらなれない女性たち〟を可視化させる。
男女不平等が当たり前で女性は結婚すると仕事をやめて出産する、という時代ではなくなった。結婚するか、専業主婦になるか、子どもを持つか、フルタイムかパートタイムか。現代の女性にはたくさんの選択肢が用意されていて、自らの意思で自由にそれを選べるようになったかのように見える。
でもその選択肢の多くは結婚を前提にしたものであるし、苦しい立場に置かれた女性たちほど選択肢は少なくなる。
格差の壁には阻まれてやむなく選んだ状況を、自らの意思で選ん -
Posted by ブクログ
20代前後から40代の若年層女性における貧困について、構造的な問題が存在するのではないかと検証する本。筆者が出会った貧困女子たちからのインタビューを中心に話が展開される。数年が経ち、当事者たちはどのように過ごしているだろうか。継続的に検証、取り組みがなされるべき問題が多い。
非正規雇用、ブラック企業、虐待などの問題は、見出しだけが耳に入ってきがち。その実態となると、個別の問題だからと避けたり、ひとくくりにして見えない場所に押し込めているかもしれない。一つ一つのケースごとに丹念に検証して、誰にでも起こりうる問題として、意識させてもらえたのが良かった。 -
Posted by ブクログ
一体、今の社会は、誰にとって生きやすい社会なのだろうか?"ダメ人間"のレッテル貼りをしてバッシングする人もまた、生きづらさを感じているように思われてならない。(p223)
最終的にタイトルを「貧困女子」としたのは、やはり"貧困にすらなれない女性たち"を可視化させることから始めなければならないと考えたからだ。それは同時に"空気のように漂う生きづらさ"を可視化させることであると思っている。満足な仕事もしていないくせに、まともに税金も払っていないくせに、結婚していないくせに、子どもがいないくせに……といった"空気のように漂う生きづらさ"と自己責任のループに絡め取られてはならない。(p224) -