浅生鴨のレビュー一覧
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筆者は、何かいわれるたびに意見をコロコロ変えてしまうので、「あ、そうかも」という口ぐせをペンネーム(浅生鴨)にしてしまったらしい。ばかばかしい人は好きだ。この人がどう仕事について書くのか、俄然興味が湧いてくる。
感想を書こうとすると、どうがんばってもネタバレになるので、自分に置き換え考えたことを綴ろうと思う。ワークをしてみた。この本に基づいてQを立ててみた。
Q1.お金をもらっていないけれど、仕事といえそうなことはなにかな?
詩を書くこと、旅行記をかくこと、楽器を演奏すること、エッセイをかくこと
Q2.お金をもらっていた仕事で、ただの作業から「仕事」に変化した瞬間はある?
工作のおね -
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意外と良かった
すらすら読める
印象に残った文は何個かあった。というか、たくさんあった。
◇「社会人」とは
「役割を持った人」
どんな役割を持ちたいか
◇できることをできる限りやるのがプロ
◇仕事とは世界に何かを付け加えること
ほんの少し世界を変えること
その過程でつながりが生まれる
◇仕事は社会とつながるための手段
◇お金は勝手に払われるもの
◇迷ったら、数が少ない方を選ぶ
そのたった3つがほかの20とバランスをとっているから(やりたい理由、やりたくない理由の)
◇仕事をおもしろがること
やってきた仕事はとりあえずやる
おもしろさを見つけていく
おもしろがること
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購入済み
視覚障害者のスポーツ
ストーリーのテーマが「視覚障害者のスポーツ」というあまり取り上げられないテーマで、それだけでも興味深いのに、それ以外の読みどころがたくさんあった。この作者の作品を初めて読んだが、構成の巧みさ 登場人物のキャラクターの鮮やかさ 細部に至るまでの表現の切れ味に圧倒された。
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全体の何割が嘘なのか、読んでいるうちにわからなくなるが、読めば読むほどそんなことどうでもよくなる。
浅生鴨氏が(草河文世氏が?)言うように、事実が事実のまま表現することが不可能である以上、事実を伝えるために嘘は必要不可欠なのだ。
嘘というと人を騙しているようだが、それは嘘に対する狭い解釈のさらに一部でしかない。
どうせ嘘しかないのだから、私たちはもっと気楽に他者や世界と繋がっていいのではないか。
この本文の結びがコロコロと変わる(常体、敬体、べらんめえ)ように、その場その場でコロコロ変わりながらいけばいいのだ。
という感想を、本当にこの本を読んで得たのかどうか、嘘か誠か、もうよくわか -
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ネタバレ「けれども強いから最強なんじゃない。たくさんの弱さを知っているから世界最強なんだ」(315ページ)
「『弱さのない人は強くなれない』
そうだ。弱さが俺たちを強くする。弱さを知る者だけが、その弱さを克服できる。たった一つの感覚の代わりに、多くの感覚に頼る力が晴の強さだ。頼れること。それが本当の強さなのだ」(同)
目が見えない世界で、感覚だけでスキーをするのがどんなに怖いことか。でも、目が見えないはずの晴は怯えない。
晴と伴走者の涼介が一緒に街を歩いているシーンで、些細な段差で晴がつまずく。一人で歩いているときは気を張っているけれど、助けてくれる人がいるときは、油断してしまうと言う。
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ネタバレ視覚障害者のパラスポーツを描く。
夏編:ブラインドマラソンと冬編:ブラインドスキーの2編からなる。
夏編のランナー・内田は事故による中途失明者。
冬編のスキーヤー・晴は先天性の視覚障害。
二人とも全盲光覚なしという、視覚障害としては最重度だが、作中、特に視覚支援学校(盲学校)が描かれる冬編では、視覚障害にもグラデーションがあることがそっと触れられている。
そしてそれぞれの伴走者には、それぞれの競技に屈折した関わりをもち、かつそれぞれのパートナーと出会うまでパラスポーツにも視覚障害者にも関わりがなかったという共通点がある。
正直、両編とも半分過ぎくらいで何となく先を予想していて、両編と -
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「嘘=事実ではないこと」と定義すると、人間は外界の事実情報の100%を自分の中に取り込むことができないので全ての記憶や認識は嘘になる。そして取り込む際に100%のうちそぎ落とされる情報は人によって全くと言っていいほど異なる。そのため人の数だけ嘘があり、その嘘から認識しているその人にとっての真実もまた異なる。というところから本書の論は始まる。
そして私たちがつく嘘は、個々人が持っている異なる世界観の共通認識同士を繋ぐための変換ツールである。と、僕は解釈しました。
少し脳科学っぽい要素もありながら全体的に哲学チックな内容でしたが、文章が面白くて非常にとっつきやすく読みやすかったです。後半になる