尾崎英子のレビュー一覧
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不登校から全寮制のフリースクールに入所することにした中学2年生の主人公がの1年半にわたる生活を描いた小説です。
「学校に通う」ということだけがすべてではない。相手がどのように感じ、考えているかは決してわからないのだから、思い悩んで苦しむのではなく、自分の気持ちに正直に生きればいい。他人から指示されたことや望まれることに従うのではなく、自分が何をしたいのか、自分はどう考えたいのかということにじっくりと向き合うことがよい。
そんな、「ありのままでいること」の価値を改めて感じさせてくれる物語でした。
ぎくしゃくしていたり、どうしてもわかり合えずに反発している家族であっても、しばらく距離を置いて -
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読みやすさ★★★★★
誰かにあげたくなる★★★★★
満足度★★★★★
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うつのみやこども賞の作品をいつか全制覇するぞ!と決め、一番最新の令和5年度第40回にて受賞された『きみの鐘が鳴る』を読みました。
児童書だからって甘く見てました。登場人物の子供たちの心情にリンクするように、まさかこんなに自分の心までぎゅっと締め付けられるなんて……。
中学受験に挑む小学6年生子供たちが主人公のお話ですが、中学受験を経験したことがない人、もしくはこれから自分の子供が中学受験を経験するという場面になった時こそ、親が読んで欲しい一冊だと思います。 -
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こちらも、子どもが四年生くらいになったら読ませたい。
成績の上下、合否判定、塾のクラス移動、
この年代の子どもたち特有の、クラスの友人との関係悪化や、教育虐待の毒親(私立小学生…)、保健室登校、いじめ。
中受の模様もさることながら、そういった環境面で辛いことがあった時のケアが何より親には重要なんだなと。
★家庭を安心できる場所にすること。
★友人や兄弟と比べないこと。
★子ども自身の意思で行きたい学校を目標とすること。(少なくとも強制ではなく)
息抜きの時間を尊重すること。
転塾を選択肢に入れること。
★模試やテストの結果に一喜一憂しないこと(無理かも)
★未来を見据えること。幸せな未来 -
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ネタバレ自由奔放に生きてきた母仁子が末期ガンに罹患していることが分かってから、亡くなるまでの数か月を過ごす家族たちの物語。
周囲の人々の優しさとか、死にたいする心構えとかが感銘深くて良い。優兄ちゃんの優柔不断さ、ミカ姉ちゃんの緩和医療に携わる者の覚悟、文子の愛情深さ。こんないい人たちを育てた親、すごくいい人だろうと思いきや。
本当の主人公ともいえる、彼らの母仁子がとにかく奔放すぎる。俺の親がこんなだったらどうだろう?彼ら兄妹のように優しく(勿論けんかやもめ事はあるのだが)接することができるのだろうか?少なくとも配偶者の親だったり兄妹だったりの関係なら、縁切りしてるだろうなぁ。父親もなんとも頼りない -
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中学受験に挑む少年少女の姿を描いた青春小説でした。
『青春小説』というと、青春時代を描いた作品=中高生〜青年の作品というイメージがありました。小学生が主役の話をあまり青春ものとして捉えたことがありませんでしたが、こちらの話は中学受験というものに挑む彼らの、ともすれば早すぎると思うほどに濃い青春の話だと思いました。
中学受験。どこも受験せずとも、どこがいいと自分で選ばずとも、住んでいる地域で自動的に振り分けられた学校に通うことができる中学校であるのに、あえて小学生のうちから必死に勉強に取り組んで、身も心も追い詰めて、そこまでする必要があるのだろうかと私などは思っていたものですが、読んで -
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ネタバレ主人公は40代のシングルマザー、息子は不登校、夫はがんにかかり死別。日々必死に生活する中で、偶然に高校時代の恋敵に再会する。
主人公の人生にとっては少し波立つ日々を描いているが、それでも大事件みたいなことは一切起こらない。それでも波の一つ一つの描写がなんとなく良くて、ついつい読みふけってしまう。
特に、恋敵の旧友を自宅に招いて食事するシーンは、ドキドキしてワクワクした。本当に何気ない、どこにでもありそうな女性2人の食事と会話の中、主人公は旧友にあることを謝罪するのだが、ここがすごくすごく良い。今まで読んできた会食シーンの中でも屈指の良さで、思わず何度か読み返してしまった。
あと、旧 -
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ネタバレ騙されやすく、夫の稼いだお金を湯水のように遣い、人に貸したりして家族に迷惑をかけつつ、その奔放さゆえか、憎み切れない母が癌になった。
頑固なうえマイペースなので、突然治療をやめたりもする。この病気では死なないと信じている、この天真爛漫さが私には羨ましい。家族は、この人らしい死に方のサポートに徹するのだ。
在宅専門の看取り医である長女の言葉
「死は負けじゃなくて、ゴールです。病気になったことで結果的に亡くなったからといって、負けたというのはおかしいじゃないですか。その人らしく生きてきたように、その人らしい亡くなり方があるんだと思うんです」
人間は致死率100%
産まれたその日から、逃れら -
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有村家の母仁子さんが余命宣告を受けた。
自由奔放で頑固な仁子は、自分の信じる方法で最後の時間を過ごすことを望んだ。
夫照夫、長男優、長女美香子、二女文子、嫁の真弓、それぞれの目線で見る仁子の終末期。
自分勝手で奔放な仁子に振り回された家族ではあっても、深い愛情で皆仁子の最期を見届けていました。
自分の親だったら大変かもしれないけれど、よそから見るととてもチャーミングな仁子さん。
そんな彼女だったから、亡くなった後の各人の思いに涙が止まりませんでした。
医者である美香子の、亡くなる人は本人の意思でその時を選んでいる、という話が印象的でした。
自分の家族にも伝えていきたいと思います。 -
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中学2年生の夏、学校に行けなくなってから引きこもり気味だった主人公の少年が、東京の山の中にある寮制のフリースクールに入る話。小中学生向けかな。
そこにいる子供たちは、皆心のどこかに傷を抱えている。
最初は心を開けず、ぶつかり合っていた子供たちが、そこで共に過ごすことによって心の内を打ち明け合うことが出来るようになり、少しずつ心の傷を癒していく。
主人公の抱えていた傷が痛くて、スタバで涙してしまい、慌てて読むのを止めた。そして家に帰って続きを読んで号泣した…。
スタンド・バイ・ミー(そばにいて)より、スタンド・バイ・ユー(そばにいるよ)。
とても心に響いた。
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中学受験に挑む4人の子どもの群像劇。
登場する4人の子どもたちは、それぞれに問題を抱えている。学校での人間関係であったり、家庭環境であったり。
そして、彼らの親もまた、未熟な一人の人間として、中学受験という魔物を前に狼狽え、迷いながら対峙し、乗り越えていく。(乗り越えない人もいる)
そんな4人にとって、塾はもう一つの居場所であり、受験勉強は彼らを結び付ける共通言語となる。
傷つき、迷いながらも、自分が掲げた目標に向かって突き進む。まるで、その努力が彼らの迷い、悩みを浄化していくようである。
もちろん、受験というものは合否が伴うもので、時に残酷な結末を寄越す。しかし、合否を超えたところに、中学 -
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ネタバレ数年前、母が倒れた。幸いにも大きく後遺症などが残ることはなく、今は(こちらから見る限りは)元気にしているけれども、うっすらと介護とか、その先を意識させられた出来事だったのは間違いない。
さらに、ものすごいバイタリティで、何歳になっても自転車で爆走してそうだと思っていた祖母が、ある時を境に一気に小さく小さくなってしまって、今は施設にお世話になっているけれども、たぶんそろそろお別れを意識しないといけないのは間違いない。
祖母の身の回りは、母と叔父(母の弟)がいろいろ動いているのだけれど、どうも母の方が、「祖母がどんどんなにもできなくなっていく」のをなかなか受け入れられずにいる様子で、そういうも