森史朗のレビュー一覧

  • 暁の珊瑚海

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    珊瑚海海戦について丹念に調べ上げられている書。太平洋戦争における空母VS空母による初の海戦。日米両軍とも手探り状態であったが、偵察の質の差、各空母周辺の天候の差も両軍の被害の差となった。この海戦を研究しておけばミッドウェー海戦において日本海軍の惨敗は無かったかもしれない(日本軍なら1か月後では活かせないと思うが)。米軍の空母復旧能力にも驚かされる。対空砲火や直掩戦闘機による攻撃をかいくぐり果敢に攻撃する艦上攻撃機の乗務員の苦労も目に浮かんでくる。そのような中で正確な戦果を報告するのも難しいのであろう。

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    2025年08月30日
  • 司馬遼太郎に日本人を学ぶ

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    歴史小説の大家、司馬遼太郎の膨大な作品群を通して、司馬遼太郎の本質に鋭く迫ったブックガイド。

    司馬遼太郎の担当者であった著者が、維新史に関する司馬作品の読む順番や司馬作品の魅力、司馬遼太郎が昭和前期の戦争を描かなかった背景などを書いています。

    司馬遼太郎の作品を読みたいが、どれから読めばいいのかと悩んでいる人は、本書が紹介している作品や読む順番を参考してみてはいかがでしょうか。

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    2021年02月12日
  • ミッドウェー海戦―第二部 運命の日―

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    日米の人事の差も大きく感じる海戦の結果となった。
    山本五十六→南雲忠一&草鹿龍之介へ作戦の目的・趣旨が正確に伝達されていなかった。
    太平洋戦争開戦以来の戦勝気分からぬけておらず、またその後の敗戦の研究もされなかった。
    少しでも研究分析をしていれば、この後の戦闘も幾分違ったはずである。
    また、艦艇の沈没とともに司令官や艦長が沈んでいくのは理解しがたい。
    兵士や幹部一人一人を育てるのにどれだけ時間とお金がかかるのかという根本も理解していないようである。
    今まで知らなかった真実も知ることができたのが良かった。
    「運命の5分間」などまったくなかった。
    この敗戦の根本的な責任は山本長官も含め幹部全体にあ

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    2020年09月26日
  • 松本清張への召集令状

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    清張の兵隊へのとられ方は、大岡昇平のそれとよく似ている。30歳代、妻子持ち。恣意的であることをうかがわせる人選。生きて還ることが期待できず、遺された家族の苦痛や苦労がまじまじと想起される状況。絶望の大きさは計り知れない。
    ひとの欲にまみれた描写の多い社会派作品を今に読むとき、清張の軍隊経験やサラリーマン体験がそれら作品のバックグランドにチラ見えする。清張をとりまく世界にとって、個々人において悪意は確かに存在し、世間において陰謀は確かに存在している。

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    2019年03月02日
  • 暁の珊瑚海

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    <ガダルカナルとは>

    ラバウルからガダルカナルまでは、東京から下関くらいの距離がある。

    <薄暮攻撃(夕方に攻撃出発)の緊張感>

    レーダー、GPSがない当時、母艦に戻るのも一苦労である。限られた燃料で、母艦を探すのも一苦労、ましてや夜の闇の中では・・・・。

    母艦が見つからない場合、海中の藻屑となるほかない。また、敵空母が発見できず母艦に戻るにしても、魚雷を抱いたまま、着艦するのは母艦側にも緊張が高まる。一つ間違えれば、自爆攻撃のような効果が起きるからである。

    <珊瑚海海戦>

    空母対空母の歴史最初の戦いである。過去に例のない戦いであるため、指揮官の経験は何の役にも立たない。

    すべてが

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    2016年10月24日
  • 司馬遼太郎に日本人を学ぶ

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    日本陸軍の不条理に立ち向かい、指揮命令した参謀の非道さを糾弾する司馬さんの小説が読みたい。

    とりあえず「この国のかたち」を読もうと。

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    2016年04月20日
  • 司馬遼太郎に日本人を学ぶ

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    司馬さんの事が書かれている。深く日本と日本人の事を司馬さんが考えていた事に真摯に感動した。今サラリーマンとして働いてるが働く人も歴史を考えながら未来を考えながら働いていかないとダメではないか?教養がサラリーマンも大切だなと、それが働く姿勢に繋がる事に自分で実感しつつある事に、自分で気付いた事に少しだけだが手を掛けたかな。

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    2016年03月04日
  • 松本清張への召集令状

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     清張という人の本や映画を同時代で読んだり見たりした人間と、かつての有名な作家として読む人の差は、司馬遼太郎等々他の人気作家の作品以上に落差が大きいように思う。
     同時代に生きた読者にとっての清張の本の不気味さは主人公そっくりな人間が気が付いたら読者の身の回りのあちこちにいたというところにあり、また映画やテレビ番組になった映像にしてもその時代を生き抜いたアクの強い役者がいくらでもいたところから、息を呑むような絵作りができたというところにあったのであろう。この絵空事で終わらせない点が他の追随を許さない清張の作品の迫力となっていると思われるのだが、本書は長年身近で清張の制作現場に立ち会っていた編集

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    2014年07月03日
  • ミッドウェー海戦―第一部 知略と驕慢―

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    戦争は人間がするものであり、人間がするからこそ、そこには過誤がつきもので、それが実際の戦闘では勝敗を分ける決定的な要素として作用してしまうこともあるということがよく分かる。
    大規模な作戦になればなるほど、実際の戦闘に至るまでの戦略的要素は重要で、人事を含めたいかにも日本的な処置は、この海戦が負けるべくして負けた戦いであったことを証しているように思われる。
    それに追い打ちをかけたのが、作戦参謀も含めた実戦部隊の開戦初頭の勝利による驕慢ぶりであった。
    いよいよ下巻では戦闘に入る。敗戦記を読むのは心苦しいところもあるのだが、失敗から学ぶことは多い。

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    2014年03月26日
  • 暁の珊瑚海

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    すぐれた戦記です。この本を読んで、井上成美に興味を持ちました。
    珊瑚海海戦について思ったこと。
    米艦は既に対空レーダーを装備していた。実際に5月7日の夜、日本機が旋回して消えた、すなわち着艦までが見えていた。
    米艦隊は輪型陣を組み艦攻の進入が困難であったが、日本艦隊は、空母と重巡が数キロも離れていた。
    魚雷を抱えた艦攻の生存率が低い。97式は「艦攻としては」速いが、戦闘機、対空砲火に弱い。戦術としては艦攻より艦爆による爆撃の方が機能的だったのでは。
    航空母艦戦では発艦、収容の決断が明暗を分ける。指揮官は夜間に母艦のそばまで戻った機体を見殺しにした。同様の事例はハワイでも、セイロンでもあったがこ

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    2013年05月26日
  • 暁の珊瑚海

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    太平洋戦争中の珊瑚海海戦の一部始終がよくわかる戦記。
    限られた情報の中で、人間がどのように判断し、行動するのかということが丁寧に描かれている。

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    2012年07月21日
  • 特攻とは何か

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    世に名高い神風特別攻撃隊の創設・命令者側にスポットを当てた作品。巷間では大西瀧治郎海軍中将が航空兵力が潰滅したフィリッピン戦線で苦肉の策として命じ、関行雄海軍大尉が志願してその先陣を承ったというのが特攻神話の始まりとされているが、事実は昭和17〜18年の激戦期において海軍中枢(陸軍でも同様)にて計画されていた。つまり第一線の機転で始まったどころか軍組織上部からの正式な命令であり、突っ込む若いパイロット達は志願でなく軍命令として事実上強制されて絶望的な戦闘に臨まねばならなかったことが分かれば十分だと思う。そして命じた側はみな命を全うし、のうのうと戦後の世界を生き延びたのである。源田実しかり。若者

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    2009年10月04日
  • 零戦の誕生

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    零式艦上戦闘機が開発される前の中国大陸での航空隊の話と、デビュー直後の話がメイン。中国戦線で待ち望まれていた新型戦闘機が零式艦上戦闘機。96式艦上戦闘機では航続距離が短く、陸上爆撃隊の援護もままならず苦労がしのばれます。航続距離の長い戦闘機が誕生したものの、逆にそれがパイロットたちの疲労を蓄積させていただろうと思うと・・・

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    2025年09月15日
  • ミッドウェー海戦―第一部 知略と驕慢―

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    ミッドウェー海戦の双方攻撃開始直前まで。 なんとも日本軍の情けないことか。 この時点ですでに勝てない海戦だったことがわかります。 結果から言えることでもあるのですが、すべてが甘すぎました。こんな状況では長い戦争に勝てるわけがありません。 映画「ミッドウェイ」を見てから読みました。

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    2020年09月24日
  • 司馬遼太郎に日本人を学ぶ

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    2017/7/1流し読み。一番「燃えよ剣(土方)」だそうな。「坂の上の雲」のイントロになるか。★4の下

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    2019年09月02日
  • 司馬遼太郎に日本人を学ぶ

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    司馬遼太郎の作品は長編・短編あわせて67篇におよぶ。さらにエッセイ・評論などを加えると無限に近い。
    しかも一つの長編は文庫本にすると3巻~10巻ものボリュームがある。
    かなり以前に司馬作品を100冊読破したので、もう読む作品も少ないだろうと思って調べたら、読んでいない作品がまだまだあったのに驚いた記憶がある。

    著者は「私たち昭和世代は、司馬さんがつむぎ出す作品世界を刊行されるごとにむさぼり読み、この作家が年齢とともに広く、深くさせていくさまを身近で知る贅沢を味わうことができた。しかし司馬さん没後に生を享けた若い世代は、一から司馬作品と取り組まなければならない。豊饒だが、未知の膨大な作品世界に

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    2019年06月29日
  • 暁の珊瑚海

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    珊瑚海海戦を井上成美の第四艦隊赴任から丁寧に追った力作。歴史上初の空母海戦において繰り返された錯誤とミスの応酬。
    真珠湾攻撃をせずに最初から艦隊戦で雌雄を決していた方が良かったはず論が的外れなのもよく理解出来る。日本海軍は航空戦で全然米国の先いけてなかった。

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    2019年06月14日
  • ミッドウェー海戦―第二部 運命の日―

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    この選書シリーズには珍しいノンフィクション小説。いよいよ後編にあたる本書では、具体的な戦闘の内容に入る。米軍機襲来がもう五分遅ければ、戦闘機の準備が整えられて適切な反撃も出来たとする「運命の五分間」という俗説を暗に全否定。そして戦後処理の「甘さ」を痛烈に批判している。いずれも共感できるところが多く、とても興味深く読んだ。

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    2017年10月15日
  • ミッドウェー海戦―第一部 知略と驕慢―

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    この選書シリーズには珍しいノンフィクション小説。日米双方の主だった将兵たちの人物像にも迫る内容は興味深い。日本海軍は戦う前から勝った気になっていて、暗号解読されていることすら気づかず、軍事機密保持の意識も希薄だったらしい。さらに「どうせ米軍空母なんて来ない」という根拠ゼロの思い込みから、索敵も粗雑なものだった。これでは負けて当たり前である。

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    2017年10月09日
  • ミッドウェー海戦―第二部 運命の日―

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    歴史は繰り返されるのだと改めて思った。ミッドウェー海戦は今から70年前の惨劇であった。この海戦敗北の事実を公表するかどうかで三日三晩対策にあけくれ、その結果大本営発表は虚偽に満ちたものになった。以降もミッドウェー海戦敗北の真相は軍関係者達によって、意図的かつ徹底的に隠蔽され続けたのである。同じことが2011年東日本大震災による福島第一原子力発電所事故における真相解明についても言えるのではないのだろうか。日本国の人(政治家)や組織(特に役人や企業)はいったい歴史から何を学んで来たのであろう。あまりに悲しい。

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    2012年07月24日