中町信のレビュー一覧
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「中町信」の長篇ミステリ小説『天啓の殺意(英題:The Apocalyptic Fugue)』を読みました。
『模倣の殺意』、『追憶の殺意』に続き、「中町信」の作品です。
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「柳生照彦」から持ち込まれた犯人当てリレー小説――「柳生」の問題編に対し、タレント作家の「尾道由起子」に解決編を書いてもらい、その後に自分の解決編を載せる――要するに作家同士の知恵比べをしよう、という企画は順調に進行するかに見えたが……。
問題編を渡したまま、「柳生」は逗留先から姿を消し、しかもその小説は半年前の実在事件を赤裸々に綴ったものだった。
『散歩する死者』の全面改稿 -
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ネタバレミステリーの問題編と解答編とを別々の作家が描く。 推理作家・柳生照彦から提案された企画は順調に進んでいくかと思われたが提出された問題編は半年前の事件をそのまま告発したものだった。 そして失踪する柳生照彦と殺されてゆく事件関係者。 問題編から犯人は「あの人物」しか成しえないと結論づけられるが・・・。
作中作の終わりを誤認させる壮大なプロットトリックである。 一章の「事件」が作中作で二章の「追及」から明日子による捜査が始まってるように見えるが実際は「追及」も柳生氏による原稿で作中作である。 これにより明日子を探偵役として偽装する強烈なトリックである。 -
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ネタバレ日本脳外科医の第一人者・堂上に届いたのは、妻が田沢湖で遺体で発見されたという知らせ。彼女は15年前のある事件の真相を追って同窓会に参加していた。15年前に殺されたある男とその事件の容疑者、そして壊された家族、妻の死の動機は一体どこにあるのか。過去の事件に口を閉ざす関係者は次々と殺されていく、残された手掛かりは妻が最期に残した手紙、そこに宛てられたタンちゃん呼ばれた人物・・・。
1983年刊行の田沢湖殺人事件の改題および徳間文庫からの復刊ですね。死の湖畔三部作ということでこの後に二作出るようですが内容的な繋がりはなかったはず。新本格以前の作品であり、携帯電話は無し、時刻表有りといった80年 -
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ネタバレ徳間文庫による故・中町信氏の復刊企画、「死の湖畔三部作」の第2弾が刊行された。第1弾に当たる『田沢湖殺人事件』の復刊から約1年が経過。今回は『十和田湖殺人事件』だそうです。もっと早く出るものだと思っていたが、早速読んでみる。
騙しの派手さという点では『田沢湖殺人事件』が上かもしれないが、本作もある意味十分派手だろう。とにかく事件関係者が死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ。容疑者候補がことごとく死ぬのだから、その度に推理のやり直しとなり、苦笑せざるを得ない。
オープニングから凄い。釧路発の航空機に同乗していた関係者たちが、墜落によっていきなり死ぬ。笑うに笑えん。初版刊行は日航機墜落事故の翌年であり、よく -
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昔ながらの旅情トラベル本格ミステリー復刊。現在と15年前の事件が交錯していき… #死の湖畔 #追憶
■あらすじ
脳外科医である主人公は、田沢湖で妻が亡くなったとの連絡を受ける。同窓会に出席していた妻だったが、どうやら学生時代の殺人事件の真相を追っていたようだ。過去と現在の事件が重なり合っていくうちに、連鎖的に事件が発生していき…
■きっと読みたくなるレビュー
いいですね~ 昔ながらの火曜サスペンス劇場を見ているようです。
残念ながら作者は他界されているようで、本作は復刊とのこと。かつての隠れた傑作をじっくりと堪能させていただきました。
本作なによりも、しっとりとした昔ながらのミステリー観 -
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ネタバレ故・中町信氏は、多数の著作を残したものの、現在ほとんどが絶版である。一部作品が、改題の上創元推理文庫から復刊され、ミステリ好きの間ではちょっとした話題となったが、徳間文庫からも復刊が進んでいるらしい。
本作は1983年に『田沢湖殺人事件』として刊行され、今年1月に改題の上徳間文庫から復刊された。今後「死の湖畔三部作」として刊行予定だそうで、徳間書店としても力を入れているようだ。何だかどこかで見たようなカバーイラストだな。
他作品同様に、本作も過度な期待はせずに読み始めた。意外や意外と言ったら故人に大変失礼かもしれないが、自分が読んだ数少ない中町信作品の中では最も面白かった。内容は明解 -
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昭和40年の12月、雪に降り籠められた尾瀬沼の湖畔にある山小屋の離れで日田原という男が殺害された。山小屋には複数の泊まり客がいたが皆日田原と因縁があり誰が犯人でもおかしくない。客の一人、刑事の津村が中心になって聞き込みが始まるが犯行時刻がまず曖昧で皆のアリバイだけでは犯人が絞れない。真相は?泊まり客毎に視点が次々切り替わりながら話が進んでいくのでもしかして地の文で嘘つかれているのでは?と疑っていたけどきちんとフェアでした。今回は謎の男の正体や犯人やトリックはあー成程、位だったけど最後の三行の締め方が黒く鮮やか。嫌なニヤニヤ笑いが目に浮かぶわー。
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ネタバレ故・中町信氏は、多数の著作を残したものの、現在ほとんどが絶版である。一部作品が、改題の上創元推理文庫に収録されている。
1982年に『散歩する死者』という題で刊行された本作も、そんな数少ない作品の1つ。書店で平積みされていたのを見つけて、手に取った。自分が中町氏の作品を読むのは初めてではないし、それほど高く買っていない。過大な期待は最初から抱いていなかった。
本作を含め、数作品を読んだのみであるが、お世辞にも文章がうまい作家ではない。それでもカルト的に支持されるのは、「騙し」の部分だろう。人物が多すぎる上に、次々と死んでしまい、おいおいどう収拾させるんだこれと思いながら読んでいたが…