今井キラのレビュー一覧

  • 乙女の本棚 女生徒

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    「太宰治の作品を初めて読んだのは、多分、現代文でやった『羅生門』だと思う。
    ロングスリーパーな私にとっては、ほとんど子守唄のような時間だったけれど、なんとなく、太宰治特有の人間のドロドロした部分を描いていたような気がする。

    そう思っていたからなのか、今回の作品を太宰治らしくないかも?と思った。
    でも、女生徒が毎日、何を思い何を見て何を感じ、悩み傷つき、悶々とひとりで考えているのか。そしてその一連の思考が、私も同じように感じていたことがあったことに懐かしく感じた。

    10代だからといって、侮るなかれ。
    彼女たち、現代ならば彼らたちは、我々大人より遥かに重く、解決しがたい悩みや葛藤を抱えている。

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    2025年11月19日
  • 乙女の本棚 女生徒

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    2025/11/04
    p.23
     この雑誌にも、「若い女の欠点」という見出しで、いろんな人が書いて在る。読んでいるうちに、自分のことを言われたような気がして恥ずかしい気にもなる。それに書く人、人によって、ふだんばかだと思っている人は、そのとおりに、ばかの感じがするようなことを言っているし、写真で見て、おしゃれの感じのする人は、おしゃれの言葉遣いをしているので、可笑しくて、ときどきくすくす笑いながら読んで行く。宗教家は、すぐに信仰を持ち出すし、教育家は、始めから終りまで恩、恩、と書いてある。政治家は、漢詩を持ち出す。作家は、気取って、おしゃれな言葉を使っている。しょっている。

    2025/11/

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    2025年11月05日
  • 乙女の本棚 女生徒

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    こんな女の子が、昔にもいたんだと思うとなんだか嬉し。家庭環境も、考えることやることなすこと、わたしとそっくりなのだもの。このおはなしは、淑、という少女の日記を太宰が小説にしたもの。そして、私以外のたくさんのひとが、私のことがかかれてある、と思うのだろう。なんて、おかしいんだろう。にんげんには、なにかしら、ひとにはいえないことがあり、じつはそれはどこか似通っていて、万巻の書の片隅で文学になっていたりするのかもしれない。

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    2025年08月26日
  • 乙女の本棚 女生徒

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    太宰治の『女生徒』と素敵なイラストがコラボする、乙女の本棚シリーズ第1段2冊中の2巻です。
    14歳の女生徒の起床から就寝までが日記のような散文として綴られる小説です。
    思春期の女の子ならではの不安定な内面が描き出されています。
    その世代の女性らしく思いや考えが二転三転しますので、読者が大人の男性であると共感するのが難しいのではと思います(私がそうでした)。
    そこで驚くのが、これを書いたのが太宰治という大人の男性であることです。
    本シリーズは表紙や挿絵のイラストが秀逸で、今作は様々な情報や知識に染まりやすく安定しない年頃の女の子の儚さが表現されています。
    美しい純文学を美しいイラストが彩り、世界

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    2025年07月12日
  • 待つ(乙女の本棚)

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    「ああ、私は一体、何を待っているのでしょう」。大戦争が始まってからというもの、少女は毎日、駅の冷たいベンチで誰かを待っている。身を粉にして働くこともできず、家を出てもどこも行くところなどなくて、ベンチで人の行き交いをただ眺める。誰かを待っている、誰かに見つけられるのを待っている、世界をただみつめ夢想する。二十歳の少女は、そうやって、戦争というものをやり過ごしていたのだと思った。そんな娘が今もどこかにいるかもしれません、このひどい世界の片隅に。

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    2025年05月04日
  • 杯(乙女の本棚)

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    とても読みやすくなによりイラストが可愛い!娘たちが集合している所がなんとも可愛らしい。ふわふわしてる感じのイラストで好きでした。

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    2025年04月27日
  • 乙女の本棚 女生徒

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    無邪気に転げ回る子猫のように思考が右往左往する若い女学生の日常を描いた名著。子供の世界から、大人の世界に半歩踏み込んだ自分や環境への戸惑いと嫌悪や、でもワガママなままの子供っぽさも同居する混沌とした内面の描写が素晴らしかった。

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    2025年03月01日
  • 乙女の本棚 女生徒

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    太宰治はこんな文も書いたのか、乙女そのものだと驚愕した。自分も周囲もなんだかわからないけれど醜く見えていやらしいと思ってしまったり、さっきまで憎くて仕方がない感情がどこかにいってやっぱり好きだと思ってみたり、いきものにですら優劣をつけて自分の感情を大きく汚す感じ。たたみかけるような女生徒の心情の流れに身を任せていると、「あ、自分もこうだったかも」と思えてくる。浮き沈みのおおきな得体の知れない感情に翻弄されつつ自分の【ほんとうのきもち】には気が付かない、辿り着けない。
    まだまだ子どもなのだ。
    イラストの今井キラ氏がまた文に彩りを添えている。美麗で耽美なイラストがとても良い。本棚に一冊あると素敵だ

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    2024年11月25日
  • 待つ(乙女の本棚)

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    太宰治の女の子視点のお話って、なんかかなり乙女な感じがしてかなり好き。これも不安定な乙女な雰囲気でよかった。

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    2024年10月13日
  • 待つ(乙女の本棚)

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    太宰治の精神的な脆さが伝わってくる気がする。女生徒より読みやすいが20歳の女性が何するわけではなくただ何かを駅舎で待つ。
    結末が気になる。

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    2024年08月14日
  • 乙女の本棚 女生徒

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    どこかであらすじを見知って、ずっと読みたいと思っていた一冊。
    なぜか、女生徒と教師の恋愛話だと思っていて、期待して読み進めていったが、全然二人に大したつながりはなく、ある女生徒の思春期独特の心の内を淡々と語ってゆくだけで終わってしまった。
    あれ?と思って少しがっかりしたものの、この女生徒が抱えている生きづらさは、私自身に重なるところが多々あり、もう一度読みたい作品の一つになった。

    太宰は男であるのに、なぜ、こんなにも女の苦しみがわかるのだろう。

    「ああ、汚い、汚い。女は、いやだ。」
    というフレーズがあったが、始終、自分のことを醜いと思って、汚いと思って、自分に嫌気がさして汚らわしく思う感じ

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    2024年07月11日
  • 待つ(乙女の本棚)

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    この娘は誰を待っているのだろう。明確な答えは本人にもわからない。でも、この感覚、すごくよく分かる。
    誰かにかまってほしくて、誰かに見つけてもらいたくて、でも、そんなことがあったらと思うとドキドキしすぎて、白昼夢みたい、というのはその通りで…。
    待っているのは、ただ、漠然と寂しいから。人間が怖いから、一人でいる時間のほうが安心するけれど、それでも自分を受け入れてくれる、温かい誰かが現れたらいいなと幻想を抱いている。そんなことをする自分を、みだらな女だと思ったり、不埒な計画が燃えていると認識していても、こんなことでしか、寂しさを紛らわせられない。こんな自分を壊してしまいたいし、誰かに救い出してほし

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    2024年02月13日
  • 乙女の本棚 女生徒

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    ネタバレ

    巻末エッセイを含め、白地の背景に焦茶色(?)の文字のページが、印刷が上手くいかなかったのか何なのか、字が少しずれてぼけて見えて、目がチカチカして気になった。せっかく可愛くて素敵で好きなのに、残念。

    それはさておき、引用したくなる、線を引いて覚えておきたくなる文章だらけだった。とっても鋭い。
    この『女生徒』は、わたしの鏡だ。

    ふいに「お父さん」と口に出してみて気恥ずかしくなったり、「よいしょ」と掛け声をした自分に気持ち悪さを感じたり、可哀想な犬に居た堪れず敢えていじわるをしてやったり、理不尽な状況を前に結局何もできず、悔しさに「こんなくだらない事に平然となれる様に、早く強く、清く、なりたかっ

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    2024年01月11日
  • 待つ(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズより、何年ぶりかに読み返した太宰の掌編「待つ」です。
    すべての見開きページを飾る、今井キラさんの挿絵がぴったりすぎる。
    それにしても、こんなに可愛らしくいじらしい話だったかしら?
    自分がだれを、なにを待っているのかもさっぱりわからぬまま、それでもただ信じて冷たいベンチに腰かけている二十歳の少女を、期待と不安と覚悟をごちゃまぜに抱きしめながら信じるように待ちつづけている彼女を、はやく見つけてあげてほしい。
    『女生徒』を彷彿とさせるような、心のうちから弾け飛ばんばかりの、行き場のない乙女の可愛らしい咆哮のようなものが好き。

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    2023年10月16日
  • 待つ(乙女の本棚)

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    戦争の時代、彼女は何を待ったのか。
    この短い文章に太宰さんの中の乙女から見た世界が濃くみえる。
    そういえば、私も何かをずっと待っている気がしてくる。

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    2023年07月05日
  • 乙女の本棚 女生徒

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    大好きな『女生徒』を乙女の本棚シリーズで再読。
    朝の目覚めから夜の眠りにつくまで、多感で読書家な少女のとある一日を生きる。
    光を集めてさまざまに模様をかえてゆく万華鏡のように、少女の脳内はくるくると忙しい。それらを可愛らしくかけがえのない喜怒哀楽、と思ってしまうのは、私がすっかり大人になってしまった証拠なのだろうね。〈いま〉が手をすり抜けていく不思議な感触をたしかに自分でみつけて知っていたのに。苦しくて苦しくて、いつまでも、恥ずかしいスッポカシをくらいながら、少女たちはいつだっていまを生きている。「わるいのは、あなただ」
    読むたびに新鮮で、気づきがある。私はこの作品を好きすぎている。一言一句を

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    2023年05月20日
  • 乙女の本棚 女生徒

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    『女生徒』の素晴らしいところは、感情の描写のリアリティさにあると思う。
    本当に繊細に、丁寧に伝わる。美しい。
    実際に共感できるし、なるほどこの子ならそう言語化するのかと関心する。
    ヒロインの名前が最後まで明かされないミステリアスさも魅力。太宰作品は、苗字か名前どちらかでも明かされることが多い気がするので、なんとなく気になる。どんな名前なのか想像してみるのも結構楽しい。
    (元ネタは有明淑という太宰ファンの日記らしいので、少女の名前は「シズ」とかかもしれないなぁ。と思ったり。ちなみに元ネタの資料は青森近代文学館で販売されているのでぜひ!)

    ヒロインの行動は時に才女で、時にあどけなく、急にしょげた

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    2023年05月06日
  • 待つ(乙女の本棚)

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    物語の儚さや寂しさとイラストが合っており大変読みやすかった。そしてこの主人公の感情は現代の人でもわかるとこがあるかもしれません。

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    2023年04月29日
  • 待つ(乙女の本棚)

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    どこか官能的で退廃的な太宰治の文章に今井キラさんの作風がとてもマッチしている。
    文章も勿論だけど、今井キラさんのイメージ力が素晴らしいなと感じた。

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    2023年03月09日
  • 乙女の本棚 女生徒

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    この作品を初めて読んだ時は自分も同じ女生徒であり本から得た言葉に頼っている狡くて厭なやつでした

    少女のまま死ねそうにないので自分も美しく生きたいと思います

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    2022年11月07日